ネオアコ
テンプレート:独自研究 ネオアコとは、ポスト・パンクの流れから派生した音楽ジャンル/スタイルのひとつ。ネオ・アコースティック (neo acoustic) の略称。なおネオアコ(ネオ・アコースティックも含む)と言う言葉自体は和製英語であり、欧米では通用しない言葉である。
経緯
1980年代初頭、イギリスのチェリー・レッド、ラフ・トレード、ポストカード、ベルギーのクレプスキュールといったレーベルから、「パンク以降」を感じさせる新しい感覚のアコースティック・サウンドを奏でるアーティストが登場した。「ネオ・アコースティック」という呼称は、これらのアーティストまたはムーブメントに対して、日本の評論家やレコード会社が名付けたのが始まりとされる。当時は「ポストモダーン」とも呼ばれていた。
呼称の由来として、当時パンク以降に登場した様々な音楽スタイルに対して「ネオ○○」というジャンル名が与えられていたことが背景にある(ネオ・サイケ、ネオ・モッズなど)。この場合の「ネオ」はポスト・パンクに近い意味合いであると思われ、音楽業界において「パンクが旧来の価値観を破壊した」という認識のもと、旧来の音楽スタイルと区別する意味で使われたものである。
1980年代半ば頃まで、ネオアコはイギリスおよび日本のリスナーに一定の人気を保ち、特に1983年から1985年にかけてはファンから後に名盤と呼ばれることになるアルバムが次々と発表されるが、当時の日本においてネオアコのファンはあくまで一部の洋楽リスナーに限定されていたと言っていいだろう。1980年代半ば以降は、アーティストの音楽性が洗練されていった影響もあり、この動きは一時下火となっていた。
1989年、日本でネオアコから多大な音楽的影響を受けたフリッパーズ・ギターがメジャー・デビューしTVドラマの主題歌に使われた「恋とマシンガン」ブレイクを果たすと、その後彼らが影響を受けたネオアコのアーティスト達を様々な媒体で紹介した事や、また彼らが導火線となったとされる渋谷系の勃興も相まって、1990年代初頭にネオアコの人気が盛り上がり、多くの新しいファンを獲得した。
音楽的特徴
音楽的には、バーズをはじめとする1960年代アメリカのフォーク・ロックや、ソウル、ジャズ、映画音楽等の影響を受け、アコースティック楽器を中心とした、いわば「おしゃれ」で透明感のある瑞々しいサウンドを特徴とする。
代表的なアーティスト
イギリス
- ザ・スミス (The Smiths)
- アズテック・カメラ (Aztec Camera)
- フェルト (Felt)
- オレンジ・ジュース (Orange Juice)
- ペイル・ファウンテンズ (The Pale Fountains)
- エヴリシング・バット・ザ・ガール (Everything but the Girl)
- フレンズ・アゲイン (Friends Again)
- ウィークエンド (Weekend)
- イースト・ヴィレッジ (East Village)
- ジャスミン・ミンクス (Jasmine Minks)
- トラッシュキャン・シナトラズ (The Trash Can Sinatras)
- ザ・サンデイズ (The Sundays)
- ザ・パステルズ (The Pastels)
- アイレス・イン・ギャザ (Eyeless in Gaza)
- モノクローム・セット (The Monochrome Set)
- ロータス・イーターズ (The Lotus Eaters)
オーストラリア
ギリシャ
- ファンタスティック・サムシング(Fantastic Something) - 1980年代に登場したヴェイス兄弟のユニット。ギリシャ生、米国育ち。彼らが紡ぎ出す音の雰囲気から、一部では「ギリシャのサイモン&ガーファンクル」と呼ばれていた。唯一発表されたアルバム制作には、実際サイモン&ガーファンクルの楽曲制作にも長く携わっていたレコーディングエンジニアのロイ・ハリーが担当していた。音の要素にポスト・パンク的なテイストは全く無く、純粋に綺麗なメロディーラインとコーラスワークでエバーグリーンな音を発表していた。