ウルトラマン物語
テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox Film 『ウルトラマン物語』(ウルトラマンストーリー[1])は、1984年7月14日に公開された円谷プロダクション製作の特撮映画作品。同時上映は『アニメちゃん』。
目次
概要
本作よりも前に制作されたウルトラシリーズの劇場版は、日タイ合作の『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』を除けば、TVシリーズの一話をそのまま上映するか、テレビシリーズを再編集して繋ぎ合わせるものであった。だが、本作は半分以上が新規撮影されており、ウルトラマンタロウがウルトラの母とウルトラの父の教えを受けながら、少年(地球人で言えば10歳程度)から青年へと成長する過程を描いた、劇場版オリジナルとなった。流用シーンもTVシリーズのエピソード設定に準じたものになっていて、タロウの成長の合間に起きた事件として使われた。また、タロウが研究のために見る歴代ウルトラ戦士の戦いにも使われている。その中には、TVシリーズでは『タロウ』よりも後に放送された『ウルトラマンレオ』や『ウルトラマン80』の戦いもある。ウルトラ戦士や怪獣のスーツの大半は新規に造られている[2]。
また、『レオ』『ザ☆ウルトラマン』『80』『アンドロメロス』で使用されたBGMが一部流用されている[3]。
本作では地球人は直接には一切登場せず、ウルトラ戦士がTVシリーズにおける人間体になったような描写も省略されている[4]。
本作の完成披露試写会場において、ウルトラ6兄弟・ウルトラの父・母・ブースカ・カネゴン・ピグモンと共に舞台挨拶に登壇テンプレート:誰。次回作としてウルトラマンとアンドロメロスの登場する映画の製作が予定されていたが[5]、実現には至らなかった。
公開後、コロムビアから本編の音声にシリーズ各作品の主題歌を挟んだコロちゃんパックカセットが3巻リリースされた。
後年への影響
本作以降、2006年の『ウルトラマンメビウス』とその劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』まで、海外作品やオリジナルビデオ作品の『ウルトラマンネオス』を除き、昭和ウルトラに関連する「M78星雲光の国」や「ウルトラ兄弟」といった設定は、制作されたウルトラシリーズの各作品に反映されなかった。
『ウルトラマンマックス』第24話に本作のポスターが登場している。
本作でタロウの声を演じた石丸博也、ウルトラの母の声を演じた池田昌子らは、『メビウス』でもタロウとウルトラの母の声を演じ、タロウについては『ウルトラマンギンガ』などのメビウス以後のタロウが登場するウルトラシリーズの各作品で石丸が演じている。
ストーリー
M78星雲ウルトラの星では、まだ子供だったウルトラマンタロウが一人前のウルトラ戦士を目指して特訓に励んでいた。怪獣はすべて悪い怪獣だと思っていたタロウだったが、ウルトラの星に生息する善良な怪獣ドックンとの出会いを機に、怪獣の中には平和を愛する怪獣もいるということを知る。
特訓を続けながら成長したタロウはある日、訓練中にウルトラの父が自分に実戦を許してくれない理由を考え、それが理由でミスを犯す。それこそ、ウルトラの父がタロウに実戦を許さない理由だった。しかし、ウルトラの父に一喝されたタロウは己の慢心を認め、以前よりも特訓に力を注ぐようになった。
そして、遂にタロウに実戦を許される時がきた。ウルトラマンと引き分けたメフィラス星人が、ウルトラセブンに倒されたエレキングを改造エレキングに強化改造し、地球に再び現れたのである。張り切って地球に向かったタロウは、改造エレキングとメフィラス星人を倒し、これで自分も一人前の戦士と認められるに違いないと喜ぶが、ウルトラの父から「まだ学ばねばならないことがある」と特訓を続けさせられる。
不満を抱きながらも特訓を続けるタロウは、不思議な夢を見た。それを聞いたウルトラの父は尋常ではない驚きぶりを見せると、タロウに最後の特訓を課した。それは、ウルトラの父が頭部のウルトラホーンから発したエネルギーを、タロウが自分のウルトラホーンで吸収するというものだった。この特訓こそ、かつてウルトラの父が倒し、今また復活しようとしている宇宙の帝王ジュダを倒すためのものだった。
そして、ついに復活したジュダの配下とウルトラ兄弟の戦いに、タロウが参戦する。
登場ウルトラマン
- ウルトラマンタロウ
- タロウ(少年時代)
- スーパーウルトラマン
- タロウとウルトラ5兄弟(ゾフィー、マン、セブン、ジャック、A)が合体した姿。
登場怪獣・宇宙人
- テンプレート:Anchor
- 身長:60メートル
- 体重:3万2千トン
- 宇宙の歪みから生まれた悪魔。5万年前にウルトラの父によって封印された。本作では、地球を襲ったヒッポリト星人やバルタン星人 、エンマーゴはジュダの手下という設定になっている。
- 存在自体が宇宙の歪みそのものであるためか、宇宙の歪みは消し去る事ができないため、数万年ごとの彼の復活は避けられないが、ウルトラマン達が何世代にも亘って封印し続けている。
- グランドキングが倒されると同時に苦悶の内に消え去った。
- 初出はウルトラシリーズにおける外伝『ウルトラ超伝説』。
- テンプレート:Anchor
- 身長:70メートルテンプレート:Refnest
- 体重:21万5千トン
- ジュダの力によって、宇宙に漂う怪獣の悪霊が集結して誕生した怪獣。そのボディのパーツは角がゴモラ、尾はツインテール、両腕の鋏はサドラ、左腕の装甲はバルタン星人と言われているが、タイラントなどの過去のウルトラシリーズで登場した合体怪獣のように明確に合体したパーツが判断できる形状ではない[7]。
- 全身が金属質の装甲に覆われているため、むしろロボット怪獣との印象が強い。腹部に無数の光の明滅があり、活動中は常に明滅している。
- 主な武器は頭部から撃つ「グランレーザー」と呼ばれる破壊光線と右腕の巨大な鉤爪である。飛行形態では足首が逆転しており、空間戦闘もこなすが本領は格闘戦で、惑星フェラントとその宙域でウルトラ兄弟と対決する。凄まじい怪力とウルトラ兄弟の必殺光線一斉発射すら跳ね返すほど非常に強固な装甲を誇り、圧倒的な戦闘能力でウルトラ兄弟を追い詰めるが、ウルトラ5兄弟の力を与えられスーパーウルトラマンになったタロウのコスモミラクル光線を浴びて大爆発を起こし、消滅した。
- ウルトラシリーズ初の映画で新規に登場した怪獣である[2]。
- 当初はタイラント同様の合体怪獣の設定で、上記の他にキングザウルス三世の角、シルバーブルーメの胸などが合成されていたが、美術スタッフの山口修によりロボット怪獣としてクリーンアップされた[8]。
- 造形物は着ぐるみと遠景用の人形が製作された。
- データカードダス『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』ではプラズマソウルを取りこんだプラズマ怪獣として4弾から登場。
- 『大怪獣バトル ULTRA MONSTERS NEO』に登場したグランドキング
- 第5話「レイオニクス暗殺計画」に登場。
- 今作ではガッツ星人の操る怪獣として登場。バトルナイザーのデータ収集の為に、ガッツ星人に呼び出される。そして巨大化したガッツ星人と共にバトルナイザーの怪獣との戦いを繰り広げた末、倒された。
- ステータスは原作同様スピードが低いものの、それ以外は高く設定されている。今作ではロボット怪獣として扱われており、雷属性攻撃には滅法弱く、スピードゲージもロボット怪獣のものである。必殺技は劇中使用した「グランレーザー」、「グランビーム」の他、両腕の爪で連続攻撃する「グランクラッシュ」が使える。グランビームには高熱属性が付加されている。
- 漫画作品『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー』に登場したグランドキング
- 第18話「レイブラッドを倒せ!」に登場。レイブラッド星人の使役怪獣(ゲーム版における強化ゼットン)としてイオのゴモラ、ヴィットリオのEXゴモラと戦う。
- 2体のゴモラ相手に互角以上のパワーで押しあい、レイブラッド星人が変身したレイモン(バーストモード)がイオ達を直接攻撃したため、優勢だったがレイモンと一体化したイオが変身した事でゴモラが強化され、超振動波とグランレーザーの撃ち合いで敗北し、爆散した。その後、レイモン(バーストモード)も分離したレイモンの特攻を受け、再び実体を失う。
- テンプレート:Anchor
- 『ウルトラマンギンガ』第10話「闇と光」に登場。
- 身長:14センチ - 78メートル
- 体重:150グラム - 21万5千トン
- グランドキングの強化形態。頭がよりシャープな形状となり、右腕の鋏が大型化し、左腕の装甲が3本の爪状になるなど、外見が大きく変化している。能力もよりパワーアップしており、口や胸から強力な破壊光線を発射する。劇中では単にグランドキングと呼ばれた。
- ナックル星人グレイ(SD)が闇に魅入られた美鈴と共にダークライブし降星小学校を襲撃。美鈴を人質に取る形でウルトラマンギンガとジャンナインを動揺させ、優位に立った。その後ヒカルを美鈴の意識の中に送り込み動けなくなったギンガを援護するため、千草がウルトライブしたウルトラマン(SD)、誠一郎がウルトライブしたウルトラセブン(SD)、健太がウルトライブしたウルトラマンティガ(SD)が加勢しても尚も圧倒し、口からの破壊光線で逆に全員倒してしまい、残ったジャンナインも追い詰める。しかしヒカルの手で美鈴を奪還されると大幅に弱体化し、形勢逆転。ギンガに空中へ投げ飛ばされた後、ギンガサンシャインを受けて倒された。
- スーツは新規造形[9]。
- テンプレート:Anchor
- 身長:27メートル
- 体重:1万トン
- ウルトラの星に住むおとなしい怪獣(ただし、怒ると強い)。少年時代のタロウと出会い、特訓相手にされるが、後に仲直りした。
- スーツは新規造形[2]。
流用映像での登場
- タイラント
- アントラー
- ボーグ星人
- ミクラス
- エレキング(初代、再生)
- グドン
- ツインテール
- ゼミストラー
- イカルス星人
- ガンダー
- キングザウルス三世
- タッコング
- メフィラス星人(初代、二代目[10])
- ヤプール
- シルバーブルーメ
- レッドキング(3代目)
- バルタン星人(5代目)
- ヒッポリト星人
- エンマーゴ
キャスト
声の出演
- ウルトラマンタロウ - 石丸博也、野沢雅子(少年時代)
- ウルトラの父 - 石田太郎
- ウルトラの母 - 池田昌子
- ゾフィー - 津田喬
- ウルトラマン - 堀内賢雄
- ウルトラセブン - 松田重治
- ウルトラマンジャック - 小室正幸
- ウルトラマンA - 佐藤弘
- ウルトラマンレオ - 佐藤弘
- ウルトラマン80 - 小室正幸
- ジュダ - 和田啓
- ナレーター - 金内吉男、野田圭一(予告編・CM)
スーツアクター
- ウルトラマンタロウ - 城谷光俊、加藤明人(少年時代)
- ウルトラの父 - 今井朝幸
- ウルトラの母 - 岩槻由美子
- ゾフィー - 稲田芳寛
- ウルトラマン - 杉本匡功
- ウルトラセブン - 安田聖一
- ウルトラマンジャック:上野雅則
- ウルトラマンA - 柳田雅一
- ドックン - 深沢政雄
- グランドキング - 宮本知彰
スタッフ
- 監督 - 高野宏一
- 製作 - 円谷皐
- プロデューサー - 円谷皐、宇川清隆
- 脚本 - 平野靖士
- 構成 - 藤島浩一郎、金田益美
- 企画 - 円谷皐
- 撮影 - 山本武
- 音楽 - 円谷音楽出版
- 音楽プロデューサー - 玉川静
- 編集 - 浦岡敬一
- 照明 - 牛場賢二
主題歌
- エンディングテーマ
- 「ウルトラマン物語〜星の伝説〜」
- 作詞 - 谷のぼる / 作・編曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 水木一郎、こおろぎ'73
- 挿入歌
- 「愛の戦士タロウ」
- 作詞 - 谷のぼる / 作・編曲 - 菊池俊輔 / 歌 - 水木一郎、コロムビアゆりかご会
映像ソフト化
- シリーズ40年、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の公開を記念し2006年9月13日にDVDが発売。
- シリーズ45年を記念した「ウルトラシリーズ45周年記念 メモリアルムービーコレクション 1966-1984 DVD-BOX」に収録されている。
脚注
- ↑ 予告編・TVスポットでは「ウルトラマン物語(ものがたり)」と読まれていた。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 テンプレート:Cite book
- ↑ ただし、ジョーニアスとアンドロ超戦士たちは登場しない。
- ↑ 例えば、セブンにしても流用シーンがちょうど変身時のSEが使われて登場するといった具合である。
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 6.0 6.1 スチール撮影会では、レオと80のスーツが用意されていた。
- ↑ 『語れ!ウルトラ怪獣』(KKベストセラーズ・2014年) p.24
- ↑ 『不滅のヒーロー ウルトラマン白書・第4版』(朝日ソノラマ・1995年) p.229
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ ただし、本作におけるメフィラス星人は同一人物という扱いになっている