マゼランペンギン
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マゼランペンギン(学名:Spheniscus magellanicus)は、フンボルトペンギン属に属するペンギン。別名マゼラニックペンギン、ジャッカスペンギン。体長約70cmでペンギンの中では中型。
分布
南アメリカの太平洋岸(チリの南緯42度地点からホーン岬まで)と大西洋岸(南緯29度地点からフエゴ島まで)で繁殖する。フォークランド諸島でも繁殖が確認されている。非繁殖期は外洋を回遊しており、ペルー沖やブラジル南方沖で観察されることもある。
生態
繁殖地は主に南アメリカの大西洋岸および太平洋岸。保護区となっているアルゼンチンのプンタ・トンボ(南緯45度)が有名で、繁殖期になると50万羽ものマゼランペンギンが集まってくる。また、フォークランド諸島でも繁殖する。
巣は森の中や草原、裸の土地などにもあり、巣が掘りやすいところではトンネルを掘る。
成鳥は5-8月の殖期以外の時期は、遠洋を移動しており、めったに上陸しない。9-10月に繁殖地に戻り、10月に卵を2つ産む。抱卵期間は39-42日間で、雌雄が交代で卵を抱く。孵化後29日間は、警護期で片方の親鳥が必ず巣におり、ヒナを守っている。その後、巣立ちまでには40-70日かかる。
場所に対する忠誠度が高く、特定の個体が何年間も同じ場所に巣をもうける場合が多い。つがいの絆は強く、長く続く。
亜種その他
- 亜種はいない。
- マゼランペンギン、フンボルトペンギン、ケープペンギンは同種であると主張する学者もいる。マゼランペンギンとフンボルトペンギンは、飼育下では容易に雑種繁殖し、マゼランペンギンとフンボルトペンギンの雑種もチリで観察されている。しかし、これらの雑種は、繁殖成功率が低い。
保全状況評価
おもに、タンカーや商船などの事故によって流出した原油や重油の影響により、繁殖地によっては個体数が減少している。また、開発による繁殖地の環境破壊や漁網による混獲の影響も懸念されている。
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))- 平成24(2012年)の7月 - ブラジル南部、リオグランデドスル州の海岸にて、マゼランペンギンの死骸が漂着しており、500羽以上も確認されている。(読売新聞 7月15日)
人間との関係
上越市立水族博物館は、マゼランペンギンの飼育数が日本で一番多く、2012年現在で約100羽を飼育する[1]。
参考文献
脚注
外部リンク
- BirdLife International 2004. Spheniscus magellanicus. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.