献体
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献体(けんたい)とは、医学および歯学の発展のため、また、力量の高い医師・歯科医師を社会へ送りだすために、死後に自分の肉体(遺体)を解剖学の実習用教材となる事を約し、遺族が故人の意思に沿って医学部・歯学部の解剖学教室などに提供することである。
概要
現在、医学部医学科および歯学部歯学科のカリキュラムには、遺体解剖実習が必ず組み込まれている。文部科学省の指針としては、医学部生2人に対して1体、歯学部生4人に対して1体というものがある。また、最近では看護師、理学療法士、歯科衛生士などのコ・メディカルや社会福祉士、介護福祉士などの福祉職を目指す学生を解剖実習(見学実習)に参加させる大学や専門学校が増えている。中には作業療法士や臨床検査技師の養成課程で、見学ではなく実際に解剖の実習を行う大学も一部にある(北海道大学医学部保健学科など)。この遺体解剖実習への献体を希望する人々の団体として、白菊会、不老会などがある。
登録者数は1970年代半ばまで1万人台にすぎなかったが、2007年には21万人を突破している[1]。
また、今日の日本では、献体を用いての技能向上トレーニングは認められていない。そのため、海外で訓練したり、解剖学的に構造の似通っている豚で訓練しているのが現状である。
歴史
- 1868年 日本で最初の篤志献体
- 1949年 「死体解剖保存法」制定
- 1983年 「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」制定(初めて献体というものが法制化された)
関連項目
参考文献
- 神谷敏郎「献体の壁-二一世紀におけるわが国の篤志献体のゆくえ」、『UP』第33巻第5号(通巻第379号)、2004年5月。
- 日本解剖学会第2代解剖体委員会企画・編纂『わが国の献体』、日本解剖学会、1984年6月。
献体を行った著名人
脚注
外部リンク
- (財)日本篤志献体協会
- 献体を用いた技術訓練について
- law.e-gov.go.jp 医学及び歯学の教育のための献体に関する法律