武蔵小杉
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武蔵小杉(むさしこすぎ)は、神奈川県川崎市の武蔵小杉駅を中心とした地域の通称である。
中原区の区役所が置かれ、同区における行政及び商業の中心地区となっている。地域の住所表記は小杉町を中心に、周辺の小杉陣屋町、小杉御殿町、新丸子町、新丸子東、中丸子、下沼部、市ノ坪などが含まれる。これらの多くは1943年(昭和18年)以降に大字小杉から分離し成立した町名である。
目次
地理
地域はおおむね国道409号・JR南武線・東急東横線に囲まれた地区が商業等施設の集積地、周囲は住宅地となっており、多摩川河川敷、等々力緑地、二ヶ領用水、中原平和公園、中原平和館などの施設もある。商業では、地元の法政通り商店街以外にも、大規模なスーパー(イトーヨーカドー、マルエツ、東急ストア、フーディアム、デリド)などがある。
江戸時代、この付近には中原街道の小杉宿が置かれていた。近代になると、多摩川の川べりである武蔵小杉一帯は工場や横浜正金銀行の大規模なグランドなどが立地し、かつての駅名は東京横浜電鉄では「工業都市」、南武鉄道では「グラウンド前」である。一方太平洋戦争以前、この一帯で商業の中心として栄えていたのは、中原街道に近い新丸子駅周辺であった。
後に日本電気(NEC)玉川事業場(1936年)やキヤノン小杉事業所(1976年)がおかれ、武蔵中原駅近隣には富士通本店・川崎工場があることから、関連企業も南武線以北にあるビルに事業所を多く構えるようになった。
2010年3月には、それまで通過していたJR横須賀線に駅が新設され、南武線との乗換連絡通路も設置された。また、2013年3月東急東横線は東京メトロ副都心線や西武池袋線(西武有楽町線経由)、東武東上線に乗り入れた。鉄道網は今後、相鉄本線(相鉄いずみ野線)との直通運転が予定されるなど、更なる整備が見込まれている。
武蔵小杉では2011年までの10年間に7,431戸の新築マンションが供給されたが、これは首都圏の駅別に見たランキングでは川崎(7,803戸)、豊洲(7,620戸)に次ぐ第3位であった[1]。これは鉄道網の整備に加え、NECなどの工場跡地の開発がマンションの大量供給に繋がった結果であり、武蔵小杉では今後も高層マンションや商業施設建設が予定されている[1]。
大字としての「小杉」
テンプレート:Infobox Settlement 1889年(明治22年)の町村制施行時点で橘樹郡中原村の所属であった大字小杉は、自治体の合併により1925年(大正14年)に中原町、1933年(昭和8年)に川崎市へ所属を変え、1943年(昭和18年)に大字小杉は小杉町、小杉御殿町、小杉陣屋町、新丸子東の一部となった[2]。それ以来大字としての小杉に該当する地域は存在せず町名としては実質的に廃止されているが、川崎市による登記上は町丁名としての「小杉」が残存しており[3]、郵便番号も211-0061が設定されている。
地区構成
東西方向に走るJR南武線と南北方向に走る東急東横線・目黒線が十字に交差しており、十字に4分割される地区ごとで違った性格を持っている。
北西地区から南西地区にかけては二ヶ領用水が流れ、古くからの住宅地となっている。南西地区には法政通り商店街などがあり、工場地帯に隣接する庶民的な雰囲気の地区として飲食店や風俗店やパチンコ店舗もあり、武蔵小杉で最も商業が盛んな地域となっている。
駅北側の東横線沿いには、古くは繁華街であった新丸子駅周辺から連続する商店がある。駅南東側はかつては大規模な工場地帯であったが、南側を中心に大規模な再開発事業が進行している。
交通状況
道路
綱島街道、府中街道、中原街道などがあるが、道路渋滞が慢性化している。
地域再開発によるさらなる交通量増加が予想され、川崎市による道路整備が計画されているものの、建物の完成や住宅の分譲からは後れる見通しである。綱島街道、府中街道では拡張工事が実施されており、用地買収も進められている。
鉄道
テンプレート:Main 武蔵小杉駅はターミナル性を備えており、JR 3路線、東急 2路線の計5路線の電車が発着している。
武蔵小杉駅からは現在、渋谷、新宿三丁目、池袋、川越、所沢、大手町、横浜、元町・中華街、川崎、立川、東京、品川、新橋、新宿、千葉、成田国際空港などへ乗換なしで行くことができる。
地域の呼称
「武蔵小杉」の名称は、1927年に南武線(南武鉄道)の駅が開設される際に初めてつけられたものである。当時、富山県には小杉駅が既にあり、区別のために旧国名を置いた「武蔵小杉」とされた。
この地名は定着し、発音上も「武蔵小杉(むさしこすぎ)」と一語の固有名詞として現される。地元住民を中心に「武蔵」を省略して単に「小杉」と呼称されることもあり、若年層などには「こすぎ」と後ろにアクセントを置いて呼ばれることもある。
武蔵小杉地区の再開発にあたり川崎市が「MUSACO(ムサコ)」という愛称を命名したものの、反発が大きく根付いていない[4]。
地域の再開発
川崎市は武蔵小杉を川崎の第三都心(都心=川崎、副都心=溝の口・新百合ヶ丘)に指定して、住・商・医が整った「コンパクトな街」を標榜し、東西南北各エリアごとに再開発と交通インフラの整備がまとめて計画的に策定された。
駅周辺に工場跡地やグラウンド跡地3ヘクタール以上などのまとまった未利用地があるなど好条件であり、民間の力を利用した大規模開発が行われる。37haに15000人が暮らす予定で、市内最大級の公共施設、ホテル、商業施設、消防署等も建設されるなど、汐留の再開発よりも規模が大きい。駅周辺約800m2のエリアには、国内最高層となる59階建てを含む高層マンション群9棟が同時に建設される。
上記開発計画とは別個に、駅南東側では東京機械製作所が玉川製作所を移転させる計画が進行中で、駅北側では旧・新日本石油社宅跡地の再開発が計画中など、駅周辺全体で再開発が進行している[5]。
駅北側
- 北側地区 小杉町二丁目地区
- 南武線北側の武蔵小杉タワープレイス等があるエリアで、再開発の事業主体は新日石不動産、三井不動産レジデンシャル、鹿島建設である。
- ホテル・ザ・エルシィ跡地 - 2007年9月末に営業終了したホテル・ザ・エルシィ跡地は、隣接する日本電気ビルと合わせて大型商業施設建設が検討されており、旧・新日本石油社宅跡地に建設予定のコンベンション施設とペデストリアンデッキで相互接続予定である。
- 旧・新日本石油社宅跡地 - 旧・新日本石油社宅が2009年3月末で廃止され、新日石不動産、三井不動産レジデンシャルが共同でコンベンション施設等を建設する。敷地面積は約17,000 m2で、店舗5区画、保育所1区画、教育施設1区画が2016年度に竣工・開館予定である。コンベンション施設は約3,000 m2(ホール約1,000 m2含む)で、収容人数はシアター形式(座席のみのレイアウト)の1000人規模である。ホテル・ザ・エルシィ跡地に建設予定の大型商業施設とペデストリアンデッキで相互接続予定である。
- ペデストリアンデッキ - JR武蔵小杉駅北口に設置される。
- 街区公園
- 日本医科大学武蔵小杉病院 - 日本医科大学の校舎やグラウンドを含めて施設の建替えが検討されている。
- 大西学園 - 建替えが検討されている。
駅南側
- エクラスタワー武蔵小杉 - 39階建てマンション(高さ149m)で、1F - 4Fはショッピングセンターの武蔵小杉東急スクエア(1Fは大型スーパーマーケットのマルエツ)が開設、5F - 6Fは中原図書館が移設されて市内最大図書館となり、2013年3月完成。
- 駅前広場:変電所を地下化し、上記マンションに隣接する。
- 小杉第一公園 - 上記駅前広場に隣接し、駐輪場(400台)が設置される。
- 武蔵小杉駅南部B地区
- 東急東横線武蔵小杉駅に付随するエリアで、再開発の事業主体は東京急行電鉄である。
- 駅上部人工地盤 - 東急東横(目黒)線ホームの上部に3,000m2の人工地盤を設置する。2013年3月に完成し、武蔵小杉東急スクエアとして使用されている。
- 武蔵小杉駅南部C地区
- 中小企業婦人会館などが存在したエリアで、再開発の事業主体は三井不動産レジデンシャルである。
- 武蔵小杉駅南口駅前広場 - 綱島街道からのアクセス道路と共に駅前ロータリー、駐輪場(1000台)が設置される。
- パークシティ武蔵小杉ザ・グランドウイングタワー - 37階建てマンション(高さ140m)で、B2F - 4Fは三井不動産運営の商業施設(4Fはメディカルモール)となり2014年4月完成である。
- パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー - 59階建て国内最高層マンション(高さ200m)で、コンビニエンスストア(FamilyMart)、認可保育園(ベネッセ系列)、市民会館、市民活動センター、公開緑地からなり、2009年4月完成である。
- 武蔵小杉駅南部E地区
- D地区に同じ。
- パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワー - 47階建てマンション(高さ170m)で、商業施設(フーディアム(ダイエー)、コナミスポーツ等全14店舗)、公開緑地からなり、商業施設は2008年6月、マンションは同年10月完成である。
- 新丸子東3丁目地区(旧武蔵小杉駅南部F地区)
- 主に東京機械製作所の社宅などが存在したエリアで、事業主体は東京建物他である。
- ブリリア武蔵小杉:20Fマンション(高さ69.95m)で、1Fが商業施設となり、2011年8月完成である。
- フローラルガーデン(武蔵小杉松尾マンション) - 8階建てマンション(高さ24.83m)で、レンタル物置・倉庫跡地に建設され、2009年2月末日完成である。
- 大規模工場跡地地区
- 東京機械製作所玉川製造所があるエリアで、工場を千葉県へ移転後に再開発される。事業主体は東京機械製作所と東京建物である。
- グランツリー武蔵小杉 - 第一工場の跡地に建設されるセブン&アイ・ホールディングスによる敷地面積24,900m2の大型複合商業施設で、2014年秋完成予定である。
- 57階建てタワーマンション - 同じく第二工場の跡地に敷地面積8,925m2で建設されて保育所を併設し、2015年度完成予定である。
駅東側
- 武蔵小杉駅東部A地区
- 綱島街道とJR横須賀線に挟まれた旧NECエリア。再開発の事業主体はJR東日本他。
- レジデンス・ザ・武蔵小杉 - 24Fマンション(高さ76.25m)に商業施設(Deli°f(デリド))が付帯。
- 駅前広場 - 武蔵小杉駅及びレジデンス・ザ・武蔵小杉隣接の駅前広場。駐輪場(1600台)が設置される。
- 川崎市消防局中原消防署/リッチモンドホテルプレミア武蔵小杉 - 21F消防署・ホテル一体型のビル(高さ76.20m)。1F-4Fが両施設、5F-21Fがホテル専用(5Fはレストラン)となる。
- 先端産業高度化地区(旧武蔵小杉駅東部B~D地区)
- NEC玉川事業場エリア。NEC玉川ルネッサンスシティが既に完成しており再開発へ向けた動きはなかったが、再開発地区に指定された。下記以外具体的な内容については明らかになっていない。
- NEC玉川ソリューションセンター - 12Fオフィスビル(高さ54m)。2010年3月末日完成。
- リエトコート武蔵小杉 - 共に地上47階建てとなる2棟のタワーマンションで、イーストタワー(高さ161.14m)は賃貸で運営。西側のザ・クラッシィタワー(高さ161.77m)は分譲となる。
- ザ・コスギタワー - 49Fタワーマンション(高さ160m)。
- R-Styles武蔵小杉 - WEST、EASTの2棟の賃貸マンション(共に12F(高さ40m))。
- 野村不動産武蔵小杉ビルN棟 - 14Fオフィスビル(高さ72.019m)に商業施設が付帯。2010年3月完成。
- ロイヤルパークス武蔵小杉 - 6Fマンション(高さ19.91m)に商業施設が付帯。2009年4月20日完成。
- プラウド武蔵小杉グリーンフロント - 7Fマンション(高さ19.9m)。2009年4月20日完成。旧称:武蔵小杉新駅前(B棟)
- 中丸子まるっこ公園 - 上記マンション群に隣接の児童公園。2007年12月26日完成。
- 武蔵小杉南口線 - 上記マンション群の間に新たに設置されるアクセス道路。綱島街道と府中街道を結ぶ。
- 中丸子地区C地区
- 武蔵小杉駅近くの横須賀線線路沿いエリア。再開発の事業主体は住友不動産。
- シティハウス武蔵小杉 - 22Fマンション(高さ79.9m)。1F、2Fが商業施設となる。2009年2月完成。
駅西側
- 小杉町3丁目中央地区
- 中原区役所(一部)、JAセレサ川崎、ユニオンビル、中原市民館、KJライフクリエイト等があるエリア。
- A地区 プラウドタワー武蔵小杉 - 45F建分譲マンション(高さ160m)、13F賃貸マンション、セントア武蔵小杉(商業施設)、保育所からなる。2009年の着工を目指して都市計画決定され、2014年3月完成。委託先:野村不動産、相鉄不動産、清水建設
- B地区 現有のユニオンビル
- 小杉町3丁目東地区
事業主は再開発組合の予定。
その他の地区
- 聖マリアンナ医科大学東横病院 - 建替えを行い、2008年2月28日完成。地上5階建てで、用地の一部を売却したため敷地面積は狭くなる。
- セントスクエア武蔵小杉 - 聖マリアンナ医科大学東横病院が売却した敷地に建設された16階建てのマンション(高さ56.12m)。
- 神奈川県警中原警察署 - こちらも老朽化のため新築建替えを行い、2008年3月に完成した。
関連項目
- 聖マリアンナ医科大学東横病院
- 日本医科大学・日本医科大学武蔵小杉病院
- 武蔵小杉タワープレイス
- 二ヶ領用水
- 神奈川県立住吉高等学校
- 法政大学第二中・高等学校
- 神奈川県道45号丸子中山茅ヶ崎線(中原街道)
- 東京都道・神奈川県道2号東京丸子横浜線(綱島街道)
- 南武沿線道路
- 国道409号(府中街道)
- 法政通り商店街
- 川崎縦貫高速鉄道