王銘エン
テンプレート:特殊文字 テンプレート:Ambox-mini テンプレート:中華圏の人物 王 銘琬 (おう めいえん)は台湾の囲碁棋士。日本棋院所属、九段、瓊韻社の富田忠夫名誉九段門下。プロ棋士鄭銘瑝、鄭銘琦は実弟。台湾プロ棋士の周俊勲は義弟(妹の夫)。獲得タイトルに本因坊2期、王座1期など。
厚み重視の棋風で、「ゾーンプレス」と名付けた序・中盤理論に基づく中央重視の戦法など独特な感覚を見せ、「銘琬ワールド」とも呼ばれる。またTV番組での解説や著書などで見せるユーモアあふれる語り口も人気が高い。
経歴
台北市生まれ。1975年11月来日、日本棋院院生となる。1977年入段。林海峰の研究会などに参加。1984年六段。1985年に名人、本因坊両リーグ入りして注目を集めるが、いずれも1期で陥落。1987年に新人王戦準優勝。1989年にNEC俊英囲碁トーナメント戦で棋戦初優勝。1991年の俊英囲碁トーナメント戦では、鄭銘瑝との兄弟対決を制した。1992年九段。 1998年の本因坊リーグ5勝2敗で王立誠と同率となるが、プレーオフで敗れる。2000年の本因坊リーグで5勝2敗で挑戦者となり、趙善津に4-2で本因坊位奪取。翌年は張栩を4-3で退けて防衛。2002年に加藤正夫に2-4で本因坊位を奪われる。同年趙治勲より3-2で王座位奪取。2000年の応昌期杯ではベスト4に進出するが、常昊に敗れる。
通算成績は、900勝504敗2ジゴ2無勝負(2010年2月25日)。
「趣味は女房孝行」と公言した愛妻家でもある。妻の劉黎児は、2004年まで台湾有力紙中国時報の東京特派員を務め、その後フリーのエッセイスト。2005年夏、初の小説「棋神物語」(台湾から来日して囲碁棋士になった少年の物語)を出版。夫婦そろって台北で記者会見し各紙で大きく取り上げられた。
タイトル歴
- NEC俊英囲碁トーナメント戦 1989、91年
- 本因坊 2000-01年
- 王座 2002年
- 大和証券杯ネット囲碁オープン 優勝 2007年(決勝で依田紀基に2-0)
- エステー&フマキラー囲碁マスターズカップ 2012年
その他の棋歴
国際棋戦
- 応昌期杯世界プロ囲碁選手権戦 ベスト4 2000年(○梁宰豪、○曺薫鉉、○馬暁春、1-2 常昊)、ベスト8 2004年
- 世界囲碁選手権富士通杯 第3位 2002年、ベスト8 1989、1996、2005年
- トヨタ&デンソー杯囲碁世界王座戦 ベスト8 2002年
- 中環杯 ベスト8 2004年、2005年
- CSK杯囲碁アジア対抗戦(台湾チームで出場)
- 農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦(日本チームで出場)
- 2000年 0-1(×崔哲瀚)
- 2005年 0-1(×李昌鎬)
国内棋戦
- 留園杯争奪戦 優勝 1979年
- NEC俊英囲碁トーナメント戦 準優勝 1986、87年
- 新人王戦 準優勝 1987年(決勝で依田紀基に1-2)
- NHK杯 準優勝 1991年(決勝で依田紀基に敗れる)
- 竜星戦 準優勝 2002年(決勝で小林光一に敗れる)
- 棋聖戦 各段戦優勝
- 三段戦 1980、81年
- 六段戦 1986年
- 七段戦 1987年
- 八段戦 1991年
- 九段戦 1993年
- 棋聖戦リーグ3期
- 名人戦リーグ10期、本因坊戦リーグ10期
受賞等
- 棋道賞 新人賞 1984年、殊勲賞 1985年、勝率1位 1993年、優秀棋士賞 2000年
- テレビ囲碁番組制作者会賞受賞 2003年
ゾーンプレス戦略
「ゾーンプレス」呼ばれる戦法は『棋道』誌1998年7-12月号の連載「新おすすめ正統思考法」で公表され、その後NHK囲碁講座、単行本等で紹介され、独特の理論が人気を集めた。従来の布石理論の、広いところから打つという基本原則をベースに、サッカーのゾーンプレス戦術のイメージを取り入れてさらに理論的な幅を持たせたものと考えられ、模様の幅(ゾーン)、相手の石への圧力(プレス)といった概念の有機的な結びつきによって「盤上のすべての石が働く」状態を目指したものである。実戦においては実利よりもゾーンを重視した場合に、斬新な着手として現れることがあり、実験的な手法と見られる場合もある。
得意手法
テンプレート:碁盤 9x9 目ハズシから黒1への珍しいシマリ(あるいは構え)をよく用いる。白がaやbに入ってくれば厳しく攻め立て、何も打たなければ黒cあるいはdで大きな地を確保できる。
メイエンワールド
- 王銘エン(黒)―趙治勲
テンプレート:碁盤 黒3の大高目から二間ジマリ、黒7のヒラキなど独特な手法、そして黒15まで「メイエンワールド」の独特なスタイルが表れた一局。
エピソード
- 2000年の本因坊戦挑戦手合第1局(対趙善津)で、シチョウアタリを見落として中央の種石を取られるという歴史的大見損じを演じた。59手での投了は挑戦手合史上最短記録。
著作
- 『銘琬流 石の動き「広い方から押し込む」』日本放送出版協会 2002年
- 『ゾーンプレスパーク』日本棋院 2003年
- 『ヨセ・絶対計算—あなたは「一目」を理解していますか? (王銘琬これを伝えたい 1)』毎日コミュニケーションズ 2004年
- 『我間違える ゆえに我あり (王銘琬これを伝えたい 2)』毎日コミュニケーションズ 2005年
- 『読みの地平線—最小限の読みで強くなる (王銘琬これを伝えたい 3)』毎日コミュニケーションズ 2005年
- 『王銘琬の囲碁ミステリーツアー』毎日コミュニケーションズ 2007年