ビット毎秒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月5日 (火) 20:53時点におけるKAWASAKI Hiroyuki (トーク)による版 (日本では“bps”、英語圏では“b/s”が多いというのは疑わしい / ほか)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:独自研究 テンプレート:Infobox ビット毎秒(ビットまいびょう)は、データ転送レートJIS情報処理用語としてはビット速度、bit rate[1])の単位である。1間にデータ転送路上の仮想の、または物理的な地点を通過した(すなわち転送された)ビット数と定義される。モデムルータシリアルATALANケーブルなどのデジタル通信機器で用いられる。bps(ビーピーエス、bit per second、ビットパーセカンド)とも。

用語

テンプレート:出典の明記 データ転送レート、ビット速度に相当する物理量は、(データ)転送率、転送速度、転送効率、伝送率、伝送速度、伝送効率、信号速度などとも呼ばれる。似た概念や用語として、コネクション速度、転送レート、通信路容量スループット帯域幅スペクトル効率がある。

速度」として表現されることもしばしば見られる。しかし、ビット毎秒は情報がどれだけ速く到着したか(伝送経路遅延)ではなく、単位時間にどれだけ多くのビットが通過したかを表す転送効率である。

効率」を使った用語もあるが、データ転送には他にもさまざまな「効率」が問題になる箇所があり(データ圧縮誤り訂正変調方式など)、紛らわしい。

混同されることがあるが、変調レートであるボー (baud) とは異なる単位である。たとえば、1回の変調で2ビット送れば、bps値はボー値の2倍である。

記述のしかた

ビット毎秒は、ビット/秒と書いたり、英語の"bits per second"を略してbpsb/sと書いたりする[2]。通常は小文字で書く。

最近では、通信技術の進歩によって転送効率の高い機器が登場したので、次のような単位も用いられている。

  • キロビット毎秒kbps, kb/s、bpsの103倍)
  • メガビット毎秒Mbps, Mb/s、bpsの106倍)
  • ギガビット毎秒Gbps, Gb/s、bpsの109倍)
  • テラビット毎秒Tbps, Tb/s、bpsの1012倍)

コンピュータの分野ではキロメガギガなどの接頭辞を、本来の意味から離れて210倍、220倍、230[3]の意味として使用することがあるが、ビット毎秒については本来の103倍、106倍、109倍の意味で用いることが多い。

ビット毎秒の「毎秒」を省略して単に「ビット」と呼んだり、「ビット」さえも省略してその上に付く接頭辞だけで呼ぶこともある(「100メガビット毎秒」のネットワーク→「100メガ」ネットワークなど)。

バイト毎秒

bを大文字にして "Bps" または "B/s" と書くことによってバイト毎秒として扱われる場合も多い。それとの混同を防ぐため、先述のようにビット毎秒は原則として小文字で書く。通常、1バイトには8ビットのデータが含まれていることから、bpsの値を8で割るとBpsの値になる。例を下に記す。

  • ADSLFTTHなどで8Mbps、100Mbpsという表記があったとき、これらをバイト毎秒に換算すると、それぞれ1MB/秒、12.5MB/秒となる。
  • 1KiB/秒 = 8192bps = 8.192kbps。1kbpsはおよそ0.122KiB/秒。

しかし、1バイトを8ビットとして扱わない環境もあるので、情報通信の分野においてバイトという単位を使うことは不適切とされ、常に正確に8ビットを表すオクテットという単位が用いられることが多い。

使用例

非可逆圧縮を音声・映像データに使用するとき、元の信号との違いは圧縮歪みの形で表れる。これが主観的な品質に影響を及ぼすかどうか、それがどの程度であるかは、圧縮方式、エンコーダの処理能力、入力データの特徴、および受信者の圧縮歪みに対する認知度に依存する。圧縮歪みがどのように聞こえるものかよく知っている専門家は歪みに気づくかもしれないが、一般的な受信者はそれを気にしないことが多い。

下に挙げる値は、最新の圧縮技術を使用して一般的な受信者が参照標準よりも悪いとは思わない最低限のものである。同時にその他の代表的な使用例(媒体に記録する際に使用されるビット毎秒など)も挙げる。

音声

  • 0.6kbps - 軍用などで、音声を認識するための必要最低限な品質(MELPeなど特別仕様の音声エンコーダを使用した場合)
  • 2.4kbps - 軍用などで、音声を認識するための品質 (LPC-10e, MELP)
  • 3.45kbps - 携帯電話で実用化された最低限、PDCハーフレートの音質 (ARIB STD-27 PSI-CELP)
  • 8kbps - 携帯電話の音質 (G.729 Annex A CS-ACELP)
  • 12.2kbps - GSM (ACELP)、及び3G (AMR) の音質
  • 32kbps - 一般的な固定電話、及びPHSの音質 (G.726 ADPCM)。32kbpsのMP3は「AMラジオ程度の音質」と喩えられる[4]
  • 48kbps(ステレオで96kbps)- FMラジオの音質。48kbpsのMP3は「FMラジオ程度の音質」と喩えられる[4]
  • 64kbps - デジタル加入電話 (ISDN) の音質(G.711 μ-law 対数量子化圧伸PCM)。高品位符号化ISDNの音質 (G.722 SB-ADPCM)。ワンセグの音声 (HE-AAC) の品質
  • 144kbps - 地上デジタル放送の音声の品質
  • 232kbps - YouTubeHD画質モードの最高音質
  • 256kbps - AAC-LCの1チャンネル当たりの最大
  • 320kbps - MP3の最高音質
  • 352kbps - ATRACの最高音質
  • 640kbps - Dolby Digitalの最高音質
  • 1.4112Mbps - オーディオ用CD (CD-DA) の音質(線形量子化非圧縮のリニアPCM
  • 1.5Mbps - DTSの最高音質。非圧縮、48kHz、16bitのステレオ音声の音質
  • 4.6Mbps - 非圧縮、48kHz、16bitの5.1chサラウンド音声の音質
  • 5.6448Mbps - SACDステレオの音質
  • 6.1Mbps - 非圧縮、48kHz、16bitの7.1chサラウンド音声の音質
  • 16.9344Mbps - SACDのマルチチャンネル (5.1ch) の音質
  • 18Mbps - Dolby TrueHDの最高音質(Blu-ray Discの場合)
  • 24.5Mbps - DTS-HD Master Audioの最高音質(Blu-ray Discの場合)

映像

媒体

注意

技術の進歩、および使用するモードによって、比較対象の装置のうちのいくつかで使われている実際のビット毎秒の高低は異なる場合がある。また、音声・映像における品質は一般的なフォーマットに基づくもので、その他のフォーマットでは異なることがある。

  • μ-lawA-lawを使用した電話回線は、約64kbps。
  • DVD - 品質やソースによりビット毎秒が異なるが、通常は1 - 10.08Mbpsの範囲になる。
  • MD - 通常のMDなら292kbps(モノラル時146kbps)、MDLPの場合にはそれぞれLP2=132kbps、LP4=66kbps。Hi-MDではさらに選べるビット毎秒が増える。
  • Blu-ray Disc - 36Mbpsが1倍であるが、映像は2倍速の72Mbpsまで対応する。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:データ圧縮
  1. JIS X 0009:1997 [情報処理用語(データ通信)] 用語番号 09.05.17。
  2. テンプレート:要検証範囲
  3. 詳細は2進接頭辞を参照。
  4. 4.0 4.1 ただし、AM (FM) ラジオ放送が実際に32 (48) kbpsのMP3で伝送されているわけではない。