夜尿症
テンプレート:Infobox Disease 夜尿症(やにょうしょう)とは、概ね5、6歳を過ぎても継続的に夜尿(睡眠中に無意識に排尿してしまう行為)が認められる状況を指す[1][2]。遺尿症とも呼ばれる。5、6歳に達していない場合や、継続的でない場合は、寝小便(ねしょうべん)、あるいはおねしょと呼ぶことが多い。
概要
夜尿症は、身体の発達及びホルモン分泌が密接に関わる。そのため、加齢とともに自然に治癒するケースが多い[3][4]。その他、遺伝との関連も指摘されている。米国や欧州では、病気の研究や、クリニックでの治療が行われている[4]。
原因
夜尿症の3大原因は以下のとおり。
- 夜間多尿
- 就寝中の排尿筋過活動
- 睡眠覚醒障害
これらのいずれか、もしくは複数の要因が重なり合うことで、夜尿症を引き起こしている。睡眠中の尿を十分膀胱に溜めることができるようになる、または尿意でトイレに起きることができるようになれば、夜尿症は改善することになる。
状況について、何歳でどのくらいの人が夜尿症かは諸説ある。一例を挙げると、5、6歳児では約20%で夜尿症がみられるが、加齢とともに解消が進み、小学校低学年では約10%、小学校高学年では約5%になる[5]。男女別では、児童・学童では男子の方が多く、成人では女性の方に夜尿が多いとされ、遺伝する傾向も指摘されている[1]。
治療法
生活指導、そしてそれでも治らない場合は、夜尿アラーム(en:Bedwetting alarm)による行動療法を行う。従来は有線タイプの夜尿アラームが主に使われていたが、後に無線タイプのものが主流になりつつある。 日本では薬でコントロールされることが多いが、中止すると再発しやすく、夜尿症が本当に薬で治せるのかどうかは議論のわかれるところである。
生活指導では、まず親の心構えが重要になる。
- 以前は特に根拠もなく、「起こさず・あせらず・怒らず」の3原則が基本とされ、夜中に起こして排尿させる事は、睡眠のリズムが狂い、睡眠依存性をもつ抗利尿ホルモンの分泌量が不安定になり、治療が難しくなるとされてきた。しかしながら、夜中に起こすと抗利尿ホルモンの分泌量が不安定になることを実証した研究は存在しない。
ICCS:International Children's Continence Society(国際小児禁制学会)で、最も推奨されている治療方法は、夜尿アラームと抗利尿ホルモン製剤である。
- 病気であることが多いため、「親のしつけの問題」ととらえるのではなく、「適切な治療」を心がける[3]。
- 自分の意思とは関係無く夜尿をするため、本人に非は無い。それでも落ち込んだりコンプレックスを持ったりするため、叱ったりせず、家族でサポートすることが重要となる[3]。
具体的な指導方法は、尿の我慢のさせ方(膀胱のトレーニング)や、水分の取り方の調整がある。ただし、尿の我慢のさせ方はやり方を間違えると腎盂腎炎など尿路感染症を引き起こす恐れもあるため、注意を要する。また、人体の水分調整機能は気温によっても左右されるため、夏場のクーラーなどにも注意を要する[3]。