プロ野球ファミリースタジアム
テンプレート:Infobox 『プロ野球ファミリースタジアム』(プロやきゅうファミリースタジアム、Pro Yakyu Family Stadium)とは、1986年12月10日にナムコ(現:バンダイナムコゲームス。NBGI)から発売されたファミリーコンピュータ(ファミコン)用野球ゲームソフトである。当時ナムコが家庭用ゲーム機において展開していたブランド「ナムコット」(namcot)を冠して発売したファミリーコンピュータ用ソフトとしては、第21作目にあたる。略称は「ファミリースタジアム」(Family Stadium)、「ファミスタ」(Famista)[1]。
なお、本作以前にもナムコはエレメカの野球ゲームを発表していた[2]が、ビデオゲーム形式としては初の作品だった。
同時期には、アーケードゲームとして任天堂VS.システム基板に移植され、1987年には、北アメリカ(北米)にもアタリゲームズからメジャーリーグベースボール(MLB)公認のデータに差し替えた『ATARI R.B.I. BASEBALL』を稼働開始、1988年には『R.B.I. BASEBALL』のタイトルでファミコンの現地版にあたるNintendo Entertainment System用ソフトも発売された。
目次
概要
テンプレート:出典の明記 最初のファミスタ登場以前、ファミコンにおける野球ゲームは任天堂の『ベースボール』(1983年12月発売。1986年2月にはディスクシステム移植版も発売)が唯一のものとして存在していた[3]。それは当時としては決して出来が悪いものではなかったが、ROMカートリッジ容量の制約からゲームシステムをコンパクトにまとめる必要があった為、野球ファンを筆頭としたファミコンユーザーからはより内容を充実させ『ベースボール』の不満点(選手・チームの個性がないこと、守備が自動守備のみであるがために守備時に野手をプレイヤーが操作できないこと等)を解消した「もっと面白い野球ゲームがプレイしたい」という欲求が高まっていた。
この様な状況下でリリースされたファミスタは、前年に発売された任天堂「スーパーマリオブラザーズ」が社会現象ともいえるブームになったことで老若男女問わず広範囲にわたる層にユーザーが拡大していたファミコンゲーム市場において大いに歓迎されることになった。
もっとも、ファミスタの成功はそれだけが原因ではなく選手ごとに名前と能力の個性があり、プレイヤーの感情移入を強化させた点や基本的な操作系統こそ『ベースボール』を継承しつつ野手の守備操作を可能とした点を始め『ベースボール』での不満点をことごとく解消した完成度の高い作品であった事や、ファミコン発売当時よりもROMカートリッジの大容量化・低価格化やプログラミング技術の向上により、高度なゲームが制作できる環境作りが整備された事情も大きい。
1987年以降続編(後述も参照)が発売され『ファミスタシリーズ』を形成(北米版『R.B.I. BASEBALL』ものちにシリーズ化)。また、野球以外にも『ファミリージョッキー』(競馬ゲーム)をはじめとした「ファミリー」を冠したゲームソフトを発売。それらを総称して『ファミリーシリーズ』と呼ぶ場合もある。
コントローラーの操作
- このゲームでは、投げる・打つ・走る・守るという動作を、すべてコントローラーで操作。
- 十字ボタン:選手の移動、塁指定、球種や交代選手の選択などに使用。
- Aボタン:バッティング、ピッチング、送球、帰塁などに使用。
- Bボタン:走塁、タッチプレー、けんせい球のモード切替などに使用。
- スタートボタン:ゲームのスタート、タイムの宣告に使用。
- セレクトボタン:プレイモード(1P・2P・ウォッチ)の選択に使用。
ゲームモード
続編も概ねこれらのモードを中心に構成していた。
- 1P PLAY
- 1人用モード。勝ち抜き戦も兼ねており、パスワード(英数字4ケタ入力)で続きから始めることも可能。プレイヤー側は常に先攻。点差が10点以上開くとコールドゲームとなり、イニングに関係なく試合終了となる。
- 2P PLAY
- 2人用の対戦モード。
- WATCH
- 観戦モード。ただし、コントローラで選手を操ることもできる。
いずれの試合も、ピッカリ球場(ピッカリスタジアム)で行われる。試合終了後には、架空のスポーツ新聞として「ナムコットスポーツ」が発行(表示)され、試合結果が告知される。結果とともに、プレイヤーの評価として「年俸」が表示されるほか、1人用モードで勝ち抜いた場合はパスワードも表示される。また、観客動員数も表示されるが、試合展開とは関係なく、常に一定(30000人)である。北米版は、AC版が「ATARI SPORTS NEWS」、NES版が「TENGEN SPORTS NEWS」となっている。
チーム
1作目は、選手名は基本的に日本野球機構(NPB)のチームに在籍する選手が実名で登場するものの、チーム名は架空の名称に変更されており、容量の都合から一部は連合チームとされている[4]。そのため、全部で10チームにとどまっている。また、このうちナムコ作品にちなんだ架空選手で構成されたチーム「ナムコスターズ」(Nチーム)も収録された。
- Gチーム(ガイアンツ) - 読売ジャイアンツがモデル。
- Lチーム(ライオネルズ) - 西武ライオンズがモデル。
- Rチーム(レールウェイズ) - 近鉄バファローズと南海ホークスと阪急ブレーブスの合同チーム。
- Cチーム(カーズ) - 広島東洋カープがモデル。
- Tチーム(タイタンズ) - 阪神タイガースがモデル。
- Fチーム(フーズフーズ) - 日本ハムファイターズとロッテオリオンズの合同チーム。
- Wチーム(ホイールズ) - 横浜大洋ホエールズがモデル。
- Dチーム(ドラサンズ) - 中日ドラゴンズがモデル。
- Sチーム(スパローズ) - ヤクルトスワローズがモデル。
- Nチーム(ナムコスターズ)
これらのチームにより、架空のリーグ「JAPAN LEAGUE(ジャパンリーグ)」が構成されている。
ナムコスターズのスタメンの守備位置
初期のファミスタには、選手別の守備能力というものが設定されていなかったが、ナムコスターズについては、説明書[5]にスターティングメンバー(スタメン)の守備位置が記載されたり、ガイドブックには全球団分スタメンの守備位置が記載されることがあった。このうち、初代ファミスタのナムコスターズの守備位置は、掲載媒体によって異なる場合がある(後述の一覧表も参照)。
例として、1番の「まつぴ」は、説明書ではレフトとなっているが、1987年1月に双葉社から発行された攻略本『プロ野球ファミリースタジアム必勝攻略法』ではセンターとなっている。その後発売された一部攻略本[6]で過去の作品のデータが収録された際にも後者のデータを採用している。
1998年にナムコが自社発行した『ナムコ公式ガイドブック ワールドスタジアム2』ではナムコスターズの歴史をデータとともに振り返る特集記事「ナムコスターズを彩った選手たち」に説明書のデータを採用したが、2003年にナムコが開設した『ファミリースタジアム2003』公式サイト内の「ファミスタ・ナムコスターズ選手名鑑」[7]では、双葉社などの攻略本のデータを採用している。
打順 | 選手 | 守備位置1(説明書) | 守備位置2(攻略本) |
---|---|---|---|
1 | まつぴ | レフト | センター |
2 | ばろん | セカンド | レフト |
3 | ふあいか | サード | ファースト |
4 | ぱつく | センター | サード |
5 | にやむこ | キャッチャー | キャッチャー |
6 | ぎる | ショート | ショート |
7 | いんで | ファースト | セカンド |
8 | らりいX | ライト | ライト |
9 | (ピッチャー) |
隠しメッセージ
1Pモードで、Nチームを選びパスワードを「1198」と入力すると同じNチームとの対戦となる。ここからリセットせずに最後の対Gチーム戦まで勝ち続け、ナムコットスポーツの優勝記事でスタートボタンを押してタイトル画面に戻りしばらく待つと、開発者クレジットを兼ねた隠しメッセージが表示される。
開発スタッフ
一部除き、隠しメッセージのクレジットより参照。
- 開発チーム
- PICCARI PRO
- プロデューサー
- HIRO ※「HEAD」としてクレジット
- 企画・プログラム
- KISSY ※岸本好弘。グラフィックも兼任。「GAMEDESIGN&PROGRAM」としてクレジット
- グラフィック
- サウンド
続編
1986年の第1作以降、ファミコンでは1994年まで全9タイトルが発売された。4作目より、「ファミスタ」が正式名称となった。詳細は各タイトルの記事を参照。
- プロ野球ファミリースタジアム'87(プロ野球ファミリースタジアム87年度版!)
- プロ野球ファミリースタジアム'88(プロ野球ファミリースタジアム'88年度版)
- ファミスタ'89 開幕版!!
- ファミスタ'90
- ファミスタ'91
- ファミスタ'92
- ファミスタ'93
- ファミスタ'94
脚注
- ↑ 略称はいずれも商標登録されている。
- 「ファミリースタジアム」…1986年8月1日出願(番号:商標出願昭61-80899)・1988年12月19日登録(番号:第2102621号)ほか
- 「ファミスタ」…1986年12月11日出願(番号:商標出願昭61-130974)・1988年10月26日登録(番号:第2087625号)ほか
- ↑
- 『ピッチイン』(Pitch In) - 1979年発表。投球の速度を測定するもの。
- 『バッティングチャンス』(Batting Chance) - 1980年発表。バッティングゲーム。点線状に並んだランプ(ボールの軌道を表したもの)でスピードに合わせて一個ずつ点灯され、その点灯するタイミングに合わせてスウィングするというもの。
- 『一打逆転』(いちだぎゃくてん) - 1985年発表。打球の速度を測定するもの。
- ↑ ちなみにファミコン以前の野球(テレビ)ゲームではいずれもアーケードゲームで『ビクトリアスナイン』(タイトー)『チャンピオンベースボール』(セガ・アルファ電子)がすでに選手やチームの差異を実現していた。また、パソコンでもファミスタ発売前年まで『野球狂』(ハドソン)『ベストナインプロ野球』(アスキー)といった作品が選手やチームの差異を表現していた。
- ↑ 加えて、当時はパ・リーグの人気がセ・リーグに比べて低かったこともあり、セ・リーグ6球団がすべて単独チームであるのに対して、パ・リーグの球団は当時黄金時代を築き上げ、「球界の新盟主」と呼ばれた西武ライオンズ除く5球団が連合チームとなっている。
- ↑ 初代ファミスタ、'87年度版のものを参照。
- ↑ 以下の書籍を参照。
- 『ファミリースタジアム'88のすべて』1989年1月、JICC出版局発行。編者:ファミコン必勝本編集部。書籍コード:ISBN 4880635057
- 『ファミスタ'90完全攻略マニュアル』1989年12月、冬樹社発行。編者:ヨルカ・ヘッドルーム出版事業部。書籍コード:ISBN 4809280144
- 『ファミスタ百科』1991年2月、小学館発行。書籍コード:ISBN 4091041191
- ↑ ファミスタ・ナムコスターズ選手名鑑
- ↑ 『プロ野球 熱スタ2007』公式サイト内インタビューより(リンク先はAdobe Flash形式で掲載。トップ→『STAFF ROOM』→『第1回 「オレとファミスタ」』)。
- ↑ 『ワールドスタジアム3オフィシャルガイドブック』(1999年5月14日、ナムコ発行・アスペクト発売。書籍コード:ISBN 9784757204409)掲載のインタビューでの小野の発言より。
- ↑ 登録情報…作曲:中潟憲雄。作品コード:075-2673-3。ISWCコード(著作権協会国際連合で決められた世界共通のコード):T- 101.525.238-5
関連書籍
- プロ野球ファミリースタジアム必勝攻略法
- 1987年1月18日、双葉社発行。編著者:ファイティングスタジオ。書籍コード:ISBN 4575150657。本作の攻略ガイドブック。「ファミリーコンピュータ完璧攻略シリーズ」の1冊として発行された。
関連項目
- ファミスタシリーズに登場する球団一覧 - 球団の変遷については、こちらも参照。
- ファミリーコンピュータのゲームタイトル一覧
- バンダイナムコゲームス発売のゲームタイトル一覧
外部リンク
- アナタとワタシのナムコ伝07 ファミリースタジアム2005/10/12 - ※NBGI公式サイト内。ナムコ(2005年当時。現:NBGI)創立50周年時に掲載された記事。岸本のコメントが記載されている。
- プロ野球ファミリースタジアム ※ゲームクエスト内に掲載していた、データページ(データ提供:Nintendo DREAM・広技苑。インターネットアーカイブ2005年2月18日付保存キャッシュ)
- 北米AC版『ATARI R.B.I. BASEBALL』の情報ページ ※「GAMESPOT」内(英語)。
- NES版『R.B.I. BASEBALL』の情報ページ ※「MobyGames」内(英語)。