スポーツ新聞

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スポーツ新聞(スポーツしんぶん)とは、スポーツゴシップ芸能レジャーなど、娯楽関連のニュースを中心として発行する新聞を言う。スポーツ紙(スポーツし)とも言う。

日本のスポーツ新聞

日刊ゲンダイ』、『夕刊フジ』に代表されるタブロイド版の夕刊紙もほぼ同様の紙面構成を取るが、紙面サイズが一般紙と同一で基本的には朝刊であることが異なる。

最近は政治面・経済面など比較的硬めの記事も掲載されるようになったが、内容としてはにおけるタブロイド紙と同等の大衆紙と評される。

日本のスポーツ新聞の先駆けは、1946年3月6日に創刊された『日刊スポーツ』である。なお『スポーツ報知』(『報知新聞』)では1872年7月15日に創刊として記されているが、スポーツ新聞として新装刊されたのは1949年12月30日である。

なお第二次世界大戦直後の物資不足の時にスポーツ新聞の発行が優先的にGHQから認められた要因は、GHQが“3S政策”という懐柔策を講じて占領政策を円滑に行う事を意図したものとの主張が一部で行われているが、検証がされておらず陰謀論の域を未だ出ていない。

構成・販売

主に野球日本プロ野球イチロー松井秀喜野茂英雄ではない)が出てからはメジャーリーグベースボール(MLB)の試合のうち日本出身選手が所属する球団のカード、日本の高校野球)、サッカーJリーグなど)、プロゴルフといったスポーツの試合や公営競技の内容や周辺記事を主体に構成されている場合が多い。特に夏期はほとんど野球が一面を独占する。野球以外ではサッカーや中央競馬GI競走の出走表や結果、国際的なスポーツ大会で日本選手や日本チームが優勝・準優勝を果たした場合に1面の大見出しに登場してくる。例外的にはかなり大きな社会の事件・出来事や芸能界政界のスキャンダル・慶弔、考えられない様なトピック(例:首都高速競走馬侵入騒動など)が発生した場合、これをトップへ持ってくる事もある。またブロック紙は「地元密着」の紙面作りを心がけており、連日のように地元球団・選手を一面に持ってくる新聞が多い(例えば日本シリーズがあっても該当する地元球団が出場しない場合は、日本シリーズではなくその地元球団の話題を一面に持っていく新聞がほとんどである)。

なお、大阪で発行されるスポーツ紙は、スポーツ報知を除き連日、阪神タイガース関連の記事が少なくても1面から3面まで紙面を飾ることがほとんどである。それは、タイガースが勝った時はもちろん(その時は、勝報として4・5面までがタイガース関連になる新聞もある)、負けや引き分けた時も、また、前日に試合がなかった時やシーズンオフの時も、さらには、WBCサッカー(関西は地域柄、サッカーに興味が薄い背景があるといわれている)の日本代表の重要な試合の翌日においても、徹底的にタイガース一面にこだわる。(特に、デイリーサンスポ[1]。一方で、同一エリアに球団を持つオリックス・バファローズ関連の記事が1面に来るケースはほとんど皆無で、勝利した翌日も、阪神以外のセ・リーグ球団の方が扱いが大きい上にモノクロ紙面で、場合によってはベタ記事程度しか取り上げられないのが実情である。セ・パ交流戦オープン戦として行われる関西ダービー(阪神-オリックス戦もしくはオリックス-阪神戦)の紙面扱いを見れば一目瞭然で、阪神記事が9割方を占めているのに対し、オリックス記事はやはりベタ記事程度の扱いで、阪神が敗戦してもその傾向は変わらない。

価格は一部140円が多い。ただし、日刊スポーツの大阪・西部各本社発行分は2014年4月1日、消費税が5%→8%に増税時も130円に据え置かれ、1面右上に130円と赤文字で明記されており、他紙より安いことをアピールしている。また、東海3県ではこの地域で圧倒的なシェアを持つ中日スポーツが長く100円で販売されており、それに対抗するためにスポーツ報知は100円、日刊スポーツとスポーツニッポンは120円で販売されていたが、報知は2012年4月から120円に、中スポも2012年5月から110円、2013年4月からは120円にそれぞれ値上げされ、2014年3月までは価格を据え置いた日刊、スポニチと共に各紙が120円で足並みを揃えていた。2014年4月の消費税増税に伴い、日刊・スポニチ・報知は130円に値上げされたが、中スポのみ120円と据え置いた。関東では東京中日スポーツのみが120円で、その他主要五紙は130円であった(以前デイリースポーツは120円だったが2000年頃から130円となる)が2013年4月1日から東京中日スポーツも130円に値上げされ、ここでも他紙と足並みを揃えた。しかし2014年4月の消費税増税時、主要五紙は140円に値上げしたが、東京中日スポーツのみ130円と据え置いた。なお、元旦付紙面は各紙とも一部10~20円程度値上げして販売されることが多い。

題字の配置

スポーツ新聞創刊当時から1970年代中盤頃までは一般紙と同じように、1頁最上段は右端に題字のスペースをとり、左端に広告や天気予報、新聞社によってはミニコラムを掲載していたことがあった。

その後特に駅売り即売版の読者拡大を念頭に、1970年代中盤頃から題字を少し左にずらして大見出しを出すようになった。特にこの頃から日刊スポーツが青色(ブルーニッカン)、スポーツニッポンスポーツ報知(当時は報知新聞)などは朱文字(後に報知は緑色=グリーン報知に変更)を採用するなどして目立たせた。

1990年代から1頁はカラー紙面を多用するようになったため、題字を左上にコンパクトにまとめたり、左端(サンケイスポーツは右端)の縦一列で題字を表示するなどしたが、現在は全部横題字(スポーツ報知は右上、スポーツニッポンは左上にそれぞれ固定。他はその日の紙面の内容により配置する場所が異なるが、概ね右上に各新聞の略称を大きく掲載している)となった。

スポーツ面

かつて巨人が絶大的人気・実力を誇った頃は全国紙は巨人の記事を一面に持ってくることが多かったが巨人人気の低下、日本人の相次ぐメジャーリーグへの進出等から巨人を一面に取り上げることは少なくなり代わりにさまざまなスポーツが一面を飾ることが多くなった。なお、現在でも巨人が勝利したときは一面に持ってきている場合が多い。またスポーツ以外の話題(例えば芸能関係やオウムに代表される話題性のある事件や小泉内閣に代表される政治関連、北朝鮮に代表される国際情勢)も一面を飾ることが多くなった。一方、阪神ソフトバンクなどの地元密着球団が成功を収めたことにより全国紙の地方版はブロック紙との対抗上から地元球団を頻繁に取り上げるようになった。

マイナーなスポーツについては扱いが小さくなる傾向があるが、オリンピック金メダルを有望視される選手が登場した場合はいかに国内の競技人口が少かろうとも扱いが大きくなる事がある。また卓球福原愛の様にTVで注目を大きく集めるスター選手が登場した場合にはその選手の活躍に応じて扱いが大きくなる事もある。その一方、基本的に男性向けという性質からプロレスリングプロボクシングK-1総合格闘技など格闘技については「バトル面」「ファイト面」と称して常時1~2面が確保され特に新聞社が後援する大きなイベントなどの際には別途に専用ページが一定規模確保されて広告宣伝的な意味合いも持つ選手インタビューや選手の動向などの記事が掲載される事もある。ただし、プロフェッショナルスポーツの格闘技でも大相撲に限りバトル面ではなく一般スポーツ面取り扱いとなる(これは社の運営するウェブサイトでも同様である)。また、本場所の開催時期には別途専用の大相撲面が設けられる。冬場には周辺スキー場(関東発行であれば群馬、甲信越、東北方面)の前日の積雪や天気の情報も載る。

プロレスを初めとする格闘技の結果は今や毎日掲載されるのが当たり前であるが、以前(1980年代半ば頃まで)は東京スポーツとデイリースポーツ以外では全くといって良いほど扱いが無かった。従ってその当時はプロレスファンが前日の結果を知る手段(勿論インターネットは無い時代)としていち早く情報が得られるとして、朝刊のデイリースポーツの購読はある意味必須であった(東京スポーツの方がデイリーより内容が充実はしているが、夕刊のためタイムラグの少ないデイリーが勝った)。

芸能・社会面など

スポーツ以外では釣り芸能関係に関する情報も充実している。

社会面については2ページ程度に縮約された形で構成される。主に共同通信社から配信を受けた記事が多い。経済政治関連の記事は通常は社会面の中に統合されており、企業の不祥事発覚や国務大臣辞任などの相当大きな出来事が発生した場合以外はスペースの小さい記事(いわゆるベタ記事)に留まる。揶揄するような切り口や見出し付けが多い。

芸能面はいわゆる持ち込みや仕込みの記事が多く、批判的な論調は少ない。テレビ局の新番組、映画の新作や完成披露記者会見、歌手の新曲、芸能人の結婚や離婚、何かしらの発表など各社の広報宣伝担当、芸能事務所が普段から関係を持つ芸能担当の記者に執筆を依頼する。そのため週刊誌の恋愛スクープなどでも事務所の確認を得ない限り掲載しないことも多いなど、ジャーナリズムではなくパブリシティとして捉えた方が良い。テレビ情報番組の芸能ニュースの出典元になりやすく、特にサンケイスポーツは関連のフジテレビネタを多く掲載し、それをめざましテレビなどで放送されている。

駅売店を中心に売られる「即売版」といわれるものには上記の内容に加えてアダルト記事や性風俗関連の情報(これは以前女性団体から「性の商品化の助長」などとして、夕刊紙とともに槍玉に上げられたこともある)が掲載されているが、宅配の「家庭版」には無いのが普通である。

一般には宅配用に掲載されるテレビ番組欄と番組解説記事を掲載している頁を即売版ではアダルト面に差し替え、テレビ番組欄は小スペースで番組表のみを掲載する(これを「二毛作」と説明する場合がある。但し、宅配版においてもテレビ番組表とアダルト面を一緒に載せている場合=スポーツニッポン大阪・西部版やサンケイスポーツ大阪版、デイリースポーツなどがある)。なおこれらは以前は一般紙と同じく最終頁での掲載だったが、現在は殆どがダブル1面を取り入れているために中面に掲載している。

一部のスポーツ紙ではラジオについては一般紙よりは扱いが少ない場合(関東では南関東=東京都神奈川県千葉県埼玉県のラジオ局。外国語FM放送は省略されたりする)が多い。また紙面スペースの都合でFMを載せていない場合もあったりする。

即売の扱い

また新聞休刊日(通常毎月第2日曜日。1月は元日=1月1日、5月は原則としてこどもの日=5月5日、10月は体育の日=10月第2月曜日。行わない月もある)の翌日も一部を除き、即売のみの「特別版」(号数を加算しない号外扱い)を発売している。なお、1月2日は「特別版」もないため、1年で唯一スポーツ新聞が発行されない。

コンビニ販売のスポーツ新聞は家庭版が基本であるが一部の店舗ではアダルト面が含まれる即売版が販売されており、どちらの版が置かれるかは店側の希望や新聞の配送ルートによって決まってくる。この場合、繁華街の店舗などでは即売版が置かれる事が比較的多く、一方、地元の新聞専売所経由で配送されてくる場合にはほとんどで家庭版が置かれる事になる。他方、夕刊紙については家庭版が無い為、コンビニ扱いのものでもアダルト記事が含まれている。また店舗によっては特別朝刊を販売する所もあるがこの特別朝刊については家庭版が無い為、コンビニ販売分にもアダルト面が入ることになる。発行社によって取扱いが異なるが、基本的には希望をすれば指定した版の紙面を購読することが可能である。

その他

一般紙とは異なり、訃報時を除き、原則として芸能人スポーツ選手などは敬称が略される。また、政治家でも醜聞の場合には敬称・肩書が略される事も珍しくない。

広告には、消費者金融(いわゆるサラ金、ほとんどは創業間もない「都(1)」(トイチ)と呼ばれる業者)の宣伝広告やブルーカラー職種(主にタクシーの運転手、新聞店配達員・拡張団員、土木建設、風俗店関係)、パチンコ店関連の求人広告が多いのが特徴。また読者層からか、2000年に規制緩和された債務整理破産手続等を担当する法律事務所弁護士)の広告も目に付くようになっている。

記事広告という体裁もあり外見は新聞記事本記の体裁がなされているが広告代理店など発行社以外が制作した場合、本紙とはフォントや組み方の癖に違いがあり一目でそれとわかるようなものもある。

通常は欄外に「特別広告」「広告のページ」などと記載があることや、本記も独特な内容であるため区別がつけやすい。しかし最近は、発行社製作による本紙と同一のフォント・整理記者が組んだ記事広告も見受けられる。

テレビとの関わり

インターネットなどでより多種多様な情報を手に入れられる現在になっても、紙媒体であるスポーツ新聞はテレビとの関わりがとても深い。特にワイドショーなどの情報番組はこれが顕著となっている。

やじうまワイド』では特別朝刊を使って「新聞が来ない朝はスポーツ新聞が面白い」と話題を採り上げる。

テレビのコーナーで特に取り扱う新聞記事として、野球相撲社会芸能が主流である。の番組とはじめとする芸能ニュースはこれらを元に作られている。

朝刊紙

全国紙

全国紙の系列にあるのは以下のとおり。なお、日本経済新聞のみ、その紙面の性質(経済紙)からスポーツ新聞社は持っていない[2]

ブロック紙

ブロック紙の系列にあるのは以下のとおり。

  • 中日スポーツ中日新聞系。通称“中スポ”):名古屋。東海北陸長野県近畿の一部で販売。
  • 東京中日スポーツ(中日新聞・東京新聞系。通称“トーチュウ”):東京。関東及び静岡県東部・中部で販売。
    • 両紙とも家庭に配達されるのはもちろん、駅売り版でも「アダルト記事」がない[4]。ただし風俗店関連の広告は掲載されている。
  • サンケイスポーツ産経新聞系。通称“サンスポ”):東京、大阪。北海道・愛知県・岐阜県・山口県・九州・沖縄を除く全国で販売。
  • 道新スポーツ北海道新聞系。通称“道スポ”):札幌。北海道で販売。
    • 紙面の大半は、提携紙であるサンケイスポーツ東京本社版と共有している。
  • 西日本スポーツ西日本新聞系。通称“西スポ”):福岡。福岡県を中心に九州(離島の一部除く)で販売。
    • アダルト面が存在しない(廃止時期不明)。
    • 中央競馬面と芸能・社会面は中日スポーツとそれぞれ紙面共有している。(中央競馬面のみ、以前はサンケイスポーツ大阪本社版と紙面共有)
  • デイリースポーツ神戸新聞[2]。通称“デイリー”):神戸、東京。近畿・中国・四国・北陸・関東・静岡県等で販売。
    • 東京では「夕刊デイリースポーツ」の題号(類似題の宮崎県のローカル夕刊紙とは無関係)で2009年11月29日まで夕刊も発行していた(主要駅、コンビニエンスストアなどの新聞スタンドを対象とした即売版専用)。
  • 九州スポーツ東京スポーツ系。通称“九スポ”):九州と中国地方西部で販売。
    • 九スポは東京スポーツ系の中で「唯一の朝刊紙」であることから、他地域がフォローできなかったスポーツ関係の記事をいち早く掲載することがある。また、スポーツ報知の九州発行が始まるまでは読売新聞の販売店で宅配が取り扱われることが多かった。

その他

  • エル・ゴラッソ(EL GOLAZO!)
    • サッカー専門の新聞。朝刊として発行しており、毎週月・水・金に発売される。

夕刊紙

休刊・廃刊

海外のスポーツ新聞

アメリカのスポーツ新聞

スポーツ・ビジネス・デイリーなどが有名。

イギリスのスポーツ新聞

スポーティングライフ(en)などが有名。

フランスのスポーツ新聞

レキップなどが有名。

イタリアのスポーツ新聞

ガゼッタ・デロ・スポルトなどが有名。

スペインのスポーツ新聞

マルカなどが有名。

韓国のスポーツ新聞

日刊スポーツスポーツワールド朝鮮日報傘下のスポーツ朝鮮京郷新聞傘下のスポーツ・カンソウル新聞傘下のスポーツソウル東亜日報傘下のスポーツ東亜韓国日報傘下のスポーツ韓国等が知られている。

中国のスポーツ新聞

東方体育日報などが有名。

外部リンク

脚注

  1. http://blog.hangame.co.jp/suyakata1970/article/40499185/
  2. 2.0 2.1 但し、神戸新聞系のデイリースポーツとスポーツ面の記事における写真の提供や、東京版の委託印刷、および中京圏を除く本州各地と四国地方の一部日本経済新聞新聞販売店での取り扱いなどによる提携はある。また神戸新聞も日経新聞の兵庫県向け紙面の委託印刷を請け負っている
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 広義のフランチャイズ契約。
  4. 東京中日スポーツは2010年9月まで、駅売り版に限りアダルト面があった。

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