Adobe Flash
Adobe Flash(アドビ・フラッシュ)は、アドビシステムズが開発している動画やゲームなどを扱うための規格及びそれを制作する同社のソフトウェア群の名称。元の開発会社はマクロメディアで旧称は Macromedia Flash(マクロメディア・フラッシュ)。10.1-11.1までは携帯端末にも対応しているが、それ以前の携帯端末向けは Adobe Flash Lite で、11.2以降は携帯端末は Adobe AIR のみになった[1]。競合としては、Microsoft Silverlightがある。類似技術として、W3CやWHATWGにより標準化の過程にあるHTML5が台頭しつつある。
目次
- 1 概要
- 2 バージョンアップの歴史
- 2.1 Flash 1, 2
- 2.2 Flash 3, 4
- 2.3 Flash 5, 6
- 2.4 Flash 7, 8
- 2.5 Adobe による買収
- 2.6 Flash CS3 (9)
- 2.7 Flash CS4 (10)
- 2.8 Flash Professional CS5 (10.1)
- 2.9 Flash Catalyst CS5 (1)
- 2.10 Flash Player 10.2
- 2.11 Flash Player 10.3
- 2.12 Flash Professional CS5.5
- 2.13 Flash Player 11.0
- 2.14 Flash Player 11.1
- 2.15 Flash Player 11.2
- 2.16 Flash Professional CS6
- 2.17 Flash Player 11.3
- 2.18 Flash Player 11.4
- 2.19 Flash Player 11.5
- 2.20 ActionScript Compiler 2.0
- 2.21 CrossBridge (旧称 Flash C++ Compiler)
- 2.22 Flash Player 11.6
- 2.23 Flash Player 11.7
- 2.24 Flash Professional CC
- 2.25 Flash Player 11.8
- 2.26 Flash Player 11.9
- 2.27 Flash Player 12
- 2.28 Flash Player 13
- 2.29 Flash Player 14
- 2.30 バージョン
- 3 必要システム構成
- 4 日本における普及
- 5 セキュリティ問題
- 6 HTML5との比較
- 7 ブラウザへのインストール
- 8 アドビシステムズ以外の実装
- 9 関連項目
- 10 参照
- 11 外部リンク
概要
ベクターイメージが規格の中心で、それにスクリプトで制御することによりマウスの動きに合わせてアニメーションをしたり、音を鳴らしたりなど、動きのあるウェブサイトを作成するのに向いている。アニメーション、ゲーム、ウェブサイトのナビゲーション、音楽再生などのコンテンツを作るためのソフトウェア。再生環境への依存度が低く、ベクターイメージを扱う場合、ウインドウサイズを変えても画質が劣化しないという特徴がある。ラスターイメージを扱うこともでき、この場合ビットマップスムージングで画質の劣化を目立たなくすることができる機能がある。
Flashを用いるとインタラクティブ性の高いウェブサイトにすることも可能だが、ウェブブラウザやプレーヤーからテキスト検索できない。ただし、google.com など一部の検索エンジンは Flash内のテキストを抜き出して、検索対象とすることができる。
Flash再生ソフトとしては主に Flash Player(フラッシュ・プレイヤー)が使われる。Microsoft Windows、Mac OS X、Linuxなどのオペレーティングシステム上で動作し、代表的なウェブブラウザの中でプラグインとして動作させることもできる。携帯電話機にも再生ソフトが搭載されているものがある(以前は機能制限を加えた Adobe Flash Lite(アドビ・フラッシュ・ライト) が提供されていた)。
また、アドビシステムズは Flashをウェブ以外にも利用できるようにする意向を発表している。Flashのファイルフォーマットは仕様が一般に公開されており、アドビシステムズ以外の企業、個人でも Flashデータを加工、生成するソフトウェアを自由に開発、配布することができる。しかし、仕様書に基づいてFlashファイルを再生するソフトウェアを開発することは認められていなかった。そのため、例えば Flash再生ソフトである Gnashでは、ウェブ上に存在する Flashを収集し、それらを解析することを通じて開発が行われていた。その後、ライセンスの変更が行われ、現在では互換ソフトの開発が可能になっている。
Flashによるアニメーションは、ポータルサイトや企業や公的機関、歌手や個人のウェブサイト等においてトップページに使用されるが、HTMLの代替ページを用意していない場合は、アクセシビリティの観点から批判も受けることも多い。また、Flash上に表示されたテキストは、通常のテキストや画像のようにブラウザの機能を用いてコピーや印刷、保存することが不可能なため、たとえば歌詞などのテキストを Flashを用いて表示し、容易にコピーペーストされないようにするという特殊な使われ方もある。そのほか、バナー広告をはじめとしたウェブ広告の分野においても広く使用されている。
近年のバージョンでは、インタラクティブなコンテンツの表現手段だけにとどまらずリッチインターネットアプリケーション向けの機能が拡充されており、高度なユーザーインターフェイス、複数ファイルの同時アップロード、シームレスな動画の再生など、DHTMLなどで賄いきれない柔軟で利便性の高いインターフェイスをクロスプラットフォームで比較的容易に提供できる手段としても普及している。
特に、2006年に脚光を浴びた動画投稿サイト YouTubeとともに急成長した動画配信の分野においては、(デジタル著作権管理の保護が必要な一部のケースを除いて)非常に広く使われており、従来の Windows Media Player、QuickTime、RealPlayerによるストリーミング再生に替わって、動画配信において欠かせない技術のひとつとなっている。
メディア・アート、インタラクティブ・アートやインスタレーションの制作ツールとして Flashが使用されることもある。
バージョンアップの歴史
Flash 1, 2
1996年にアメリカ合衆国のコンピュータ・ソフトウェア会社フューチャーウェーブ・ソフトウェア[2]が アニメーション・データを作成するソフト FutureSplash Animator と再生プラグイン FutureSplash Player(フューチャースプラッシュ・プレイヤー) を開発。これをマクロメディアが会社ごと買収、「FutureSplash」の頭文字「F」と接尾「lash」をとって略称を「Flash」とし、Shockwave シリーズに組み込んで「Shockwave Flash」とした。ファイルフォーマット名及び拡張子として使われている「SWF
」は元々「small Web format」(スモール・ウェブ・フォーマット)の略であったが、マクロメディアによって「Shockwave Flash」の略として改称された(現在は再び元の略称へ改称)。作成ソフトは Macromedia Flash に改名された。このころからすでに数多くの基本的な機能を備えており、またベクターイメージで描画する事により動画データとしては非常にデータ量を小さくした事により注目される。
Flash 3, 4
1998年、 Flash 3 のベータ版公開と同時に Shockwave Flash (SWF) の仕様をオープン・スタンダード化する事が発表される。同年発売された Macromedia Flash 3 からインタラクティブ関連の機能が強化され、次第に「アニメーションソフト」の枠にとどまらない発展をするようになる。Flash 4 で変数、文字列処理、条件分岐ができるようになる。
Flash 5, 6
Macromedia Flash 5、Macromedia Flash MX(Flash Player 6)で ActionScript が搭載され、プログラミングの機能が大幅に強化されたため、プログラマたちも Macromedia Flash を使うようになる。なお、MXは「miracle experience」[3]の略称である。
Flash 7, 8
Macromedia Flash MX 2004(Flash Player 7)では、ActionScript 2 が搭載され、動画配信もサポートし、2005年秋にリリースされた Macromedia Flash 8 Professional ではアニメ、グラフィック関連を中心に大幅なバージョンアップが行われ、また機能制限版の Macromedia Flash 8 BASIC も同時リリースされ、新たな層の開拓にも意欲的である。
Adobe による買収
2005年4月にマクロメディアはアドビシステムズに買収され、プレイヤーは Adobe Flash Player に改名される。作成ソフトは新バージョンの発売まで Macromedia Flash の名称のまま販売が継続された。2007年4月アドビのクリエイティブ製品群である「Adobe Creative Suite 3」に組み込まれて新バージョンとなる Adobe Flash CS3 Professional が発売され、作成ソフトの名称も Adobe Flash に改名された。
Flash CS3 (9)
第8版までは Macromedia Flash と Flash Player がほぼ同時にリリースされていたが、Windows、Mac OS 用の Flash Player 9 が2006年6月にリリースされた(開発環境は現在、Adobe Flash CS3 Professional か Flex 2 および Flex 3)。
Linux 用について見ると、Flash Player 8 はそのリリースが見送られることとなった。その後、Flash Player 9 が Windows、Mac OS 用よりも数ヵ月遅れた2007年1月にリリースされた。Linux 用のリリースが遅れた理由は、多くの Linux ディストリビューションに対応させる必要から、開発に相当時間がかかったためであるといわれている。
Flash CS4 (10)
CS4製品の米国での発表は2008年9月2日、発売は同年10月15日。日本語版の発表は同年11月11日、発売は同年12月19日であった。
3D変換、H.264のエンコード、Adobe AIRとの連携、新フォーマットXFLなどをサポートしている。
Flash Professional CS5 (10.1)
全世界での発表は2010年4月12日、日本での発売は同年5月28日。
Flash Catalyst CS5 (1)
CS5 から新設されたソフト。
Flash Player 10.2
2011年2月8日公開。以下の機能を追加[4]。対応する Adobe AIR は 2.6。SWF バージョン11。
- StageVideo のハードウェアアクセラレーション
- 複数のモニターでのフルスクリーンモード
- Internet Explorer 9 でのハードウェアアクセラレーションによるレンダリング
- カスタム ネイティブマウスカーソル
- サブピクセルテキストレンダリング
Flash Player 10.3
2011年5月12日公開。以下の機能を追加[5]。対応する Adobe AIR は 2.7。SWF バージョン12。
- メディアの測定 - ビデオの使用状況の分析
- 音声エコーの除去 - ヘッドセットを利用していない状況で、より強力なエコー除去やノイズ除去など
- ローカル記憶領域の管理の改善
- ネイティブ制御パネル
- Mac OS X でのアップデートの自動通知
Flash Professional CS5.5
2011年5月20日販売開始。
Flash Player 11.0
2011年10月3日公開。以下の機能を追加[6]。対応する Adobe AIR は 3.0。SWF バージョン13。
- GPUによる2D, 3Dのハードウェアアクセラレーションレンダリング。Stage3D API「Molehill」。
- キュービックベジェ曲線 (3次ベジェ曲線)
- 64ビットブラウザサポート
- Linuxベクター印刷
- G.711
- H.264/AVC ソフトウェア圧縮
- JSON
- ガベージコレクションのタイミング指示
- ソケットプログレスイベント
- 安全な乱数生成機
- HTTP ダイナミックストリーミングがコピーガード対応
- JPEG-XR
- 大きなBitmapDataのサポート
- LZMAによるSWFの圧縮
DisplayObjectContainer.removeChildren
、MovieClip.isPlaying
- 非同期のビットマップデコード
- TLS
Flash Player 11.1
2011年11月10日公開。対応する Adobe AIR は 3.1。SWF バージョン14。
- iOS 5 (AIR) 対応
- モバイル版 Flash Player の最終版
- Android 版は、Android 2.2-4.0のみをサポート。加えて、2012年8月15日からは、工場出荷時にインストール済みの Adobe 認証端末や2012年8月15日より前にインストール済みの端末以外には新規インストールが出来なくなった[10]。
Flash Player 11.2
2012年3月27日公開。以下の機能を追加。対応する Adobe AIR は 3.2。SWF バージョン15。
- マルチスレッド ビデオデコード (Windows, Mac OS X, Linux)
- 幾つかのエンコーディング、典型的にはライブストリームやリアルタイムインタラクティブで時々見られたジッターを除去。
- 幾つかのプラットフォームでビットレートの高いコンテンツで、ドロップされるフレームを減らすことにより、フレームレートを最大50%改善。
- フレームシークを正確にした。
- 解像度が高かったり、ビットレートの高いコンテンツをデコードしても、メインUIスレッドを止めないようにした。
- HTTP ストリーミングで、シークの反応性が良くなり、シーク後により素早く再生できるようにした。
- Flash Player バックグラウンドアップデート (Windowsのみ) - 「可能な場合にアップデートを自動的にインストールする (推奨)」を選択した場合、何も通知せずに自動的にバージョンアップするようになる
- フルスクリーンモードでのマウスロック、相対マウス座標 (モバイルの Adobe AIR は対応しない)
- 右クリック・中クリック (Adobe AIR だけでなく、Flash Player も対応)
- Flash Player 11.1 までは、Windows でビデオカードのデバイスドライバの日付が、2009年1月1日よりも前の場合は、wmode="direct" の時でも、ソフトウェアレンダリングを使用していたが、その判定日時を2008年1月1日に切り替えた。
- ウェブブラウザでタブが背後に隠れたり、最小化したときに、ThrottleEvent を生成。
- SWF バージョン13以降を指定した場合、高速なメモリ操作のオペコード[11]が無効になり、2008年版の古い方の Adobe Alchemy 1[12]、haXe の flash.Memory、Apparat の MemoryExpansion などが動作しなくなった。同時に新しい Adobe Alchemy 2 と Stage3D を併用する場合は別途課金をすることが発表された[13]。
Flash Professional CS6
2012年5月11日販売開始。Flash Player 11.2、Adobe AIR 3.2 対応。以下の機能を追加。
- スプライトシートの生成
- HTML5を生成する拡張機能
- 幅広いプラットフォームおよびデバイスのサポート
- あらかじめパッケージ化されたAdobe AIRアプリケーションの作成
- Adobe AIRモバイルシミュレーション
- Stage 3D 対応
Flash Player 11.3
2012年6月8日公開。以下の機能を追加。対応する Adobe AIR は 3.3。SWFバージョン16。開発コードCyril[14]。
- フルスクリーンモードでのキーボード入力のサポート(Adobe AIR だけでなく、Flash Player も対応)。ESC キー以外が利用可能。
- NetStream での低遅延オーディオ
- Sound APIでの低遅延オーディオ
- Windows Vista 以降かつFirefox 4以降でのプロテクトモードでの実行
- Mac OS X での自動アップデート
- Stage 3D コンテンツ用のテクスチャのプログレッシブ・ストリーム
- Context3D.driverinfo にハードウェアアクセラレーションの失敗情報を含めた
- フレームラベル イベント Event.FRAME_LABEL
- 外でマウスボタンをリリースしたというイベント取得 MouseEvent.RELEASE_OUTSIDE
- Linux 版で テンプレート:仮リンク のサポートを終了し、テンプレート:仮リンク のみサポートになり、Google Chrome のみ対応となり、Flash Player の単独配布を終了[15]。Linux 版をWindows・Mac OS X 版とは同時公開せず。Solaris 版は開発終了。
- Bitmap.drawWithQuality
- BitmapData.encode() - PNG, JPEG, JPEG XR への圧縮
- ApplicationDomain.getQualifiedDefinitionNames()
- Mac App Store の対応の改善
- モバイル版 (AIR)
- Android 4.0 でのスタイラスサポート
- iOS (AIR) 版のサンドボックス対応
- iOS での USB デバッグ
- iOS でバックグラウンドで位置情報の取得やネットワーク通信
- iOS 版のシミュレータのサポート
- アスペクト比対応の改善
- 144x144 サイズのアイコンのサポート
- Capabilities.screenDPI が iPad (第3世代) で正しい値を返すようになった
- Windows で iOS SDK のサポート
Flash Player 11.4
2012年8月21日公開。以下の機能を追加。対応する Adobe AIR は 3.4。SWFバージョン17。開発コード Dolores。
- サンドボックスブリッジ
- ByteArray の LZMA のサポート
- Stage3D でアルファチャンネル付きの圧縮テクスチャ
- StageVideoのattachCameraの改良
- Mac OS X で Carbon API のサポートの廃止
- Mac OS X で iTunes なしでの AIR の配布
- iOS プッシュ通知
- Ambient 音声再生モード
- iOS 5.1サポート
- iOS のネイティブエクステンションで C++/Objective-C の例外サポート
- ADT で接続されているモバイルデバイスの一覧
- ActionScript ワーカー(並列実行)。デスクトップ版のみ
- flash.system パッケージの Worker, MessageChannel など
- 2006年以降のビデオカードでの GPU アクセラレーション
- 新しい domainMemory API
- Flash C++ Compiler 対応(Adobe Alchemy の後継)
- プレミアム機能 - Stage 3D と domainMemory API の両方 (XC API) を使用する場合は有償契約が必要 (Flash Player のみ)
- この契約は、2013年1月をもって5か月で終了になり、無償で利用可能になった[16]。
- 無契約で両方を使用しようとした場合、Stage 3D はソフトウェアレンダリングとなる
- デバッグプレーヤーでは、両方の機能を使用した場合、ウォーターマークが表示される。ただし、Stage 3D はハードウェアレンダリングとなる。
Flash Player 11.5
2012年11月6日公開。パフォーマンスおよび安定性の向上が目的。対応する Adobe AIR は 3.5。SWFバージョン18。開発コードはEllis。
追加される主な新機能
- ActionScript ワーカーでの共有メモリをサポート
- Flash C++ Compiler でPOSIXスレッドのサポート。
- ByteArray.shareable, atomicCompareAndSwapIntAt(), atomicCompareAndSwapLength()
- flash.concurrent パッケージ
- リリースビルドにおけるスタックトレースのデバッグ
- 静的リンクDRM (デスクトップ版のみ)
- InvokeEventReason.OPEN_URL (モバイル版のみ)
- iOS
- 複数ライブラリのパッケージング
- 複数SWFのパッケージングとロード
- iPhone 5 サポート
ActionScript Compiler 2.0
ActionScript 3 用のコンパイラだが、ActionScript Compiler 1 が ActionScript の仕様書とずれている部分があり、仕様書通りに正しくコンパイルするように修正[17]。Flash Builder 4.7 に搭載。開発コードはFalcon。
CrossBridge (旧称 Flash C++ Compiler)
2012年12月4日公開。C/C++ から SWF へのコンパイラ。リリース当初は Flash C++ Compiler という名称だったが、リリース後に CrossBridge に名称変更になった。Adobe Game Developer Tools の一環として配布されている。
Flash Player 11.6
2013年2月12日公開。セキュリティの強化と安定性の向上が目的。対応する Adobe AIR は 3.6。SWFバージョン19。開発コードはFolsom。
追加される主な新機能
- Adobe AIR で Mac Retina のサポート
- フルスクリーン許可ダイアログのユーザーインターフェイス改善
- ランタイム時にグラフィックスベクトルデータにクエリをかける
- 複数SWFのサポート - AOTモードでiOSにデプロイしたAIRアプリケーションのランタイム時にSWFを読み込む機能
- AIRアプリケーションとしてiOS端末にデプロイする際に、サポート対象の画像解像度をより細かく制御
- iOSでiCloudへのバックアップの拒否指定
- Context3D.setSamplerStateAt()
Flash Player 11.7
2013年4月9日公開。対応する Adobe AIR は 3.7。SWFバージョン20。開発コードはGeary。このバージョンは長期サポートを行う。以下の機能を追加。
- サンドボックスに機能追加
- iOS
- Shared Object の iCloud バックアップの拒否
- 特定のデバイスは CPU レンダリング、別のデバイスは GPU レンダリングという指定を可能にした
- 第2のSWFファイルを外部ホスティング可能にした
- Android
- GameInput API, OUYA コントローラのサポート
- captive ランタイムのみでパッケージング
Flash Professional CC
Flash Player 11.8
2013年7月9日公開。対応する Adobe AIR は 3.8。SWFバージョン21。開発コードはHarrison。以下の機能を追加。
- サンドボックスの機能拡張
- ムービークリップの再帰ストップAPI
- iOS, Android
- Datagram ソケット、サーバーソケット
- SWF の LZMA 圧縮のサポート
- 4096x4096 のテクスチャサポート
- 長方形のテクスチャサポート
Flash Player 11.9
2013年10月8日公開。対応する Adobe AIR は 3.9。SWFバージョン22。開発コードはIrving。以下の機能を追加。
- Flash Player 自体の OS X での .pkg でのインストール
- Safari 6.1 以降のセーフモードのサポート
- モバイル AIR でバックグラウンド実行してる際の、ダイレクトレンダリングモードのサポート
- iOS 7, OS X 10.9 対応
- Android での AIR XXHDPI (144x144) アイコンのサポート
Flash Player 12
2014年1月14日公開。対応する Adobe AIR は 4。SWFバージョン23。開発コードはJones。本バージョンより0.1単位でバージョン番号を振るのを止め、3ヶ月単位でバージョンアップする予定。以下の機能を追加。
- iOS 向けの新しいパッケージツール
- Flash Player 自体の OS X での .pkg でのインストールの UI の改善
- Internet Explorer 11 on Windows 7 のサポート
- Safari 6.1 以降のセーフモードのサポートの改善
- Google Chrome での64ビット PPAPI のサポート
- Stage3D
- Stage3D での Buffer Usage フラグ
- Stage3D.requestContext3DMatchingProfiles()
- Android
- Android 4.4 のサポート
- Android での Workers サポート
- Android でのネイティブリソースへのアクセス
Flash Player 13
2014年4月8日公開。対応する Adobe AIR は 13。SWFバージョン24。開発コードはKing。このバージョンは長期サポートを行う。本バージョンより、Adobe AIR と Adobe Flash Player のバージョンを揃えることとなった。以下の機能を追加。
- 基本多言語面以外の Unicode のサポート
- 動画をフルスクリーンにしたときの警告メッセージの改善
- Stage3D のテクスチャラッピングに REPEAT_U_CLAMP_V と CLAMP_U_REPEAT_V を追加
- Stage3D に setRenderToTexture() 追加
- ゲームプレビュー (Androidのみ)
Flash Player 14
2014年6月10日公開。Adobe AIRもバージョンが14になる。SWFバージョン25。開発コードはLombard。以下の機能を追加。
- 異方性フィルタリング
- 新しい Stage3D の標準プロファイル
- Android x86 のサポート
- iOS のパッケージ化の改善
バージョン
作成ソフト
- 1996年 Future Splash Animator (Macromedia Flash 1)
- 1997年 Macromedia Flash 2
- 1998年 Macromedia Flash 3
- 1999年 Macromedia Flash 4
- 2000年 Macromedia Flash 5
- 2002年 Macromedia Flash MX (6)
- 2003年 Macromedia Flash MX2004 (7)
- 2003年 Macromedia Flash MX Professional 2004 (7)
- 2005年 Macromedia Flash Basic 8
- 2005年 Macromedia Flash Professional 8
- 2007年 Adobe Flash CS3(9) Professional
- 2008年9月23日 Adobe Flash CS4(10) Professional、日本語版の発売日は12月19日。
- 2010年5月28日 Adobe Flash Professional CS5 (11.0)
- 2011年5月20日 Adobe Flash Professional CS5.5 (11.5)
- 2012年5月11日 Adobe Flash Professional CS6 (12.0)
- 2013年6月18日 Adobe Flash Professional CC (13.0)
プレイヤー
- 1996年 Future Splash Player (Macromedia Flash Player 1)
- 1997年 Macromedia Flash Player 2
- 1998年 Macromedia Flash Player 3
- 1999年 Macromedia Flash Player 4
- 2000年 Macromedia Flash Player 5
- 2002年 Macromedia Flash Player 6
- 2003年 Macromedia Flash Player 7
- 2005年9月13日 Macromedia Flash Player 8[18]
- 2006年6月28日 Adobe Flash Player 9[19]
- 2008年10月15日 Adobe Flash Player 10.0[20]
- 2010年6月10日 Adobe Flash Player 10.1[21]
- 2011年2月8日 Adobe Flash Player 10.2[22]
- 2011年5月12日 Adobe Flash Player 10.3[23]
- 2011年10月3日 Adobe Flash Player 11.0[24]
- 2011年11月10日 Adobe Flash Player 11.1
- 2012年3月27日 Adobe Flash Player 11.2
- 2012年6月8日 Adobe Flash Player 11.3
- 2012年8月21日 Adobe Flash Player 11.4
- 2012年11月6日 Adobe Flash Player 11.5
- 2013年2月12日 Adobe Flash Player 11.6
- 2013年4月9日 Adobe Flash Player 11.7
- 2013年7月9日 Adobe Flash Player 11.8
- 2013年10月8日 Adobe Flash Player 11.9
- 2014年1月14日 Adobe Flash Player 12
- 2014年4月8日 Adobe Flash Player 13[25]
- 2014年6月10日 Adobe Flash Player 14[26]
必要システム構成
Adobe Flash Player
必要システム構成は以下の通り[27]。2.33 GHz 以上となっているが、Flash Player 11.0 リリース時点で、モバイル向け Sandy Bridge では、Core i3 や 低消費電力タイプ(25W以下)の Core i7 など最新のCPUが対象外となるなど、おかしな指標であるが、Pentium 4 を想定した数値であると思われる。
- Windows
- 2.33GHz 以上 (もしくは Atom 1.6GHz以上)
- 対応OS (32ビット)
- 対応OS (64ビット)
- Windows 7
- Windows 8
- Windows 8.1
- 512MB以上のRAM(ネットブックでは1GB以上推奨)、128MB以上のビデオメモリ
- Mac OS X
- Intel Core Duo 1.83GHz 以上 (PowerPCのサポートは10.1で終了)
- Mac OS X 10.6 以降
- 512MB以上のRAM、128MB以上のビデオメモリ
- Linux
- 2.33GHz 以上 (もしくは Atom 1.6GHz以上)
- 対応OS
- Red Hat Enterprise Linux 5.6
- openSUSE 11.3
- Ubuntu 10.04
- 512MB以上のRAM、128MB以上のビデオメモリ
日本における普及
日本での本格的な流通はFlash 2の頃からであるが、実際にはFutureSplashの直輸入版も一部店舗では取り扱われていた。
ウェブサイトの一般ユーザーに広くFlashが認知されるようになったのはFlash 4の時期とされる。数々の企業サイトで採用されるに至っていたが、特にフォークデュオのゆずの公式サイトは、そのほとんどをFlashで構築した上、「ゆず一家の家の中」を探索するアドベンチャーゲーム風の演出をそれに取り入れていた。他方で個人制作されたFlash作品もこの時期を境に増え始めており、個人制作Flashの「投稿型コミュニティ」や、自動リンクを用いて主催者が気に入った作品を登録する形式で紹介するウェブサイトが派生してきたのもこの時代である。
制作コストや人材費、時間コストなどはデジタルアニメよりも更に費用がかからない安いアニメが作ることが可能だった。
いわゆるMADムービーの制作ツールとしてFlashが多用されていた時期があり、『サザエさん』や『ドラえもん』、コミックソング等を素材に使用した作品が数多く公開された。一方で個人制作ながら表現において高レベルの水準に到達した『つきのはしずく』(森野あるじ)や、脚本に注力されFlashに興味の無い一般層も抵抗無く作品世界へ引き入れた感動系の始祖『キミとボク』(やまがらしげと)など、黎明期を代表する作品が発表されている。
また2ちゃんねるの利用者増加にしたがって、同掲示板内での内輪受けを狙ったFlash作品からも大きな流行が起こり、2002年始めに設立されたFLASH・動画板はその中核となった。作品にアスキーアートを多用している(比較的キャラが決まっているので、一から設定する必要がない、画力の差がそれほどでない、などの利点がある)。掲示板内の有志で様々なテーマに沿った「発表会」も主催されるなど、制作者同士の情報交換が頻繁に行なわれた。他にも作品に「泣ける系」「PV系」などの独特なジャンル分けを行ったり、Flash制作者を「Flash職人」と呼称するなど、独自の文化を形成している。
2005年春には商用音楽を無断転載して公開していた Flash を逆に企業が注目し、プロモーションとして大々的に抜擢する異例の「大出世」があった。(「恋のマイアヒ」参照)。また、2006年には同じく商用音楽を無断使用していたFlash「WALKING TOUR」が絵本化され、その際に同梱されたCDに収録のFlashに、当初は無断使用されていたプラネテスの「PLANETES」と同じ黒石ひとみによって新規に書き下ろされた曲が使われた。
Flashのバージョンアップに従って、Flashに搭載されているスクリプト言語であるActionScriptが高度化されたことに伴い、ウェブブラウザ上なら軽快に動作し、比較的容易な開発環境にあるFlashを使用した数多くの大規模なネット・ゲームやコミュニケーション・サイト、動画配信や地図ナビゲーション、Flash Liteを使用した携帯アプリなど、スクリプトベースで「作品」が制作されることが増加傾向にある。
2006年春、『菅井君と家族石』で注目されていたFROGMAN(蛙男商会)が、また、全編Flashで制作されたテレビアニメーションシリーズ『THE FROGMAN SHOW』が制作され、テレビ朝日・朝日放送にて放映。映画化やゲーム化なども行なわれた。加えて、うすた京介の漫画『ピューと吹く!ジャガー』が、蛙男商会の手によりFlashでOVA化されている。
セキュリティ問題
Flash Playerは本格的なプログラミング言語であるActionScriptの処理系を含んでいる。そのためFlashデザイナーやFlexプログラマーは任意の機能を実現できるが、信頼性の保証がないサーバから読み込まれたプログラムが動作することについて、セキュリティ上の懸念が存在する。
Flash Playerにはサンドボックスモデルに基づいたセキュリティ機構が実装されている。ローカルストレージや周辺機器へのアクセス、ダウンロード元と異なるドメインのサーバとの通信は制限されており、例えば自由に読み書きできるローカルストレージはWebブラウザのCookieに相当するSharedObjectに限られ、ファイルの読み書きにはユーザの選択による許可を必要とする。
このため通常はFlashによってシステムが破壊されたり、ローカルファイルに保存した情報が盗まれることはないが、Flash PlayerやPDFに埋め込まれたFlashを再生できるAdobe Readerにはシステムのクラッシュや悪意のあるプログラムの実行を許す脆弱性が過去にいくつか発見されている[28] 。多くのユーザはWebブラウザに組み込まれたFlash Playerを有効にした状態でWebを利用しているので、それらの脆弱性を突くJSRedir-RやTROJ PIDIEF.INのようなウィルスは修正アップデートが公開されるまでの間に急速に感染を拡大した。
Flash 10以降では、ダウンロードのページにあるチェックボックスを手動で外さない限り、McAfee Security Scanなどが自動的にインストールされるようになった。旧版のアンインストールについては、Adobeから「Flash Player Uninstaller」がリリースされており、それを利用するとすべてのブラウザのFlash Playerが削除される[29]。
HTML5との比較
アップルは、Safariがクラッシュする原因の大半はFlash Playerによるものだとし(Mac版Flash PlayerはWindows版に比べ安定性が低いテンプレート:要出典)、動作が重くセキュリティ問題を抱えるFlashは携帯機器には不向きであるとして、iOS上では動作しないようにしている[30]。同社はまた、Flashの代替として、プラグインを必要としないHTML5を強く推奨している。
しかし、HTML5はまだ仕様が確定していない発展途上の段階であり(2014年までに正式の仕様が勧告される予定)、現時点では実装状況はブラウザによって異なる。そのため、Flashを完全に置き換える要素にはなっていない。
Googleは、HTML5を強く推進し、また独自の動画規格WebMを開発している一方、AndroidをFlashに対応させたり、Google Chromeのデスクトップ版にFlash Playerを内蔵させている。モバイル分野ではAndroid 4.1以降をFlash Player非対応とするなど[31]、Adobeのモバイル版Flash Player開発中止に同調した動きを取っている。
また、Adobe自身もFlashからの変換ツールを開発する等、HTML5を推進する立場をとっている[32][33][34]。
ブラウザへのインストール
下記ブラウザは、Flash Player を搭載された状態で配布され、アップデートも自動で行われる。
- Internet Explorer 10 以降(Windows 8 もしくは Windows Server 2012)。ただし、Windows Server はデスクトップ・エクスペリエンスを有効にすること。
- Google Chrome 5 以降
他のブラウザは Flash Player をインストールする必要がある。Windows用では、「Internet Explorer」版(ActiveX)と「その他のブラウザ」版(プラグイン)に分かれていてInternet Explorerとその他のブラウザ両方で利用したい場合、それぞれインストールする必要がある。「その他のブラウザ」版を一回インストールすると、NPAPIに対応したブラウザ(Firefox・Safari・Opera等)の全てで利用可能になる。Flash Player 11.0 から64ビット版もリリースされており、64ビットネイティブ版ブラウザでも利用することができるようになった。Windows・OS X版では32ビット・64ビット両対応のインストーラが配布されている。
アンインストールについては、Adobeから「Flash Player Uninstaller」がリリースされており、それを利用するとすべてのブラウザのFlash Playerが削除される[35]。
アドビシステムズ以外の実装
再生ソフトウェア
アドビシステムズ以外が実装する Flash 再生ソフトウェアは存在するものの、いずれもまだバグが多く実用レベルに達していない。なお、SWFのファイルフォーマットの仕様は公開されている。昔は、この仕様書を再生ソフトウェアの作成に用いることはできなかったが、2008年5月1日に、ライセンスが変わり、Open Screen Project が始まり、互換プレーヤーを作ることが可能になった[36]。
作成ソフトウェア
Flash のファイルフォーマットである SWF は仕様が公開されており、サードパーティー製の Flash 作成ソフトも多数存在する。
- クロスプラットフォーム
- flaave
- Toon Boom Studio
- かんたんWebアニメーション
- サーバベース・コンバータ
- Windows
- frimo 3(Free Motionの後継ソフトウェア)
- In A Flash
- jaMing
- Liveswif lite
- MotionMaker 4(FlashMakerの後継ソフトウェア)
- MotionSWF
- ParaFla!
- Powerbullet
- Suzuka
- SWiSH
統合開発環境
ActionScript の統合開発環境。Adobe 製は Adobe Flash Builder。
- デスクトップアプリ
- FDT - Eclipse プラグイン
- FlashDevelop - Windows のみ
- IntelliJ IDEA
- ウェブアプリ
SWFライブラリ
SWF ファイルを読み書きするライブラリ。
関連項目
- Adobe Flash Lite
- Adobe Flash Media Server
- Adobe Flash Builder
- Adobe Media Player
- Gnash
- Swfdec
- ActionScript
- リッチインターネットアプリケーション
- Flash Video
- FlashPaper
- Adobe Shockwave
- Microsoft Silverlight
- Flash職人
- Flashゲーム
- Local Shared Object
参照
外部リンク
テンプレート:Adobe Systems テンプレート:Adobe Flash
テンプレート:Adobe CS- ↑ Flash to Focus on PC Browsing and Mobile Apps; Adobe to More Aggressively Contribute to HTML5 (Adobe Featured Blogs)
- ↑ FutureWave Software
- ↑ 「奇跡体験」を意味する。
- ↑ Adobe Flash Player 10.2 リリースノート
- ↑ Adobe Flash Player 10.3 リリースノート
- ↑ Flash Player 11 および AIR 3 リリースノート:2011/10/04
- ↑ Adobe - アドビ システムズ社、Flash Player 11と AIR 3 によって、3Dゲームを実現
- ↑ 8.0 8.1 Digging more into the Molehill APIs - ByteArray.org
- ↑ Adobe Pixel Bender 3D vertex and fragment shaders, molehill - Adobe Labs
- ↑ An Update on Flash Player and Android « Adobe AIR and Adobe Flash Player Team Blog
- ↑ MemoryExpansion - apparat - Accessing Alchemy memory. - A framework to optmize ABC, SWC and SWF files. - Google Project Hosting
- ↑ Updates from the Lab « Adobe AIR and Adobe Flash Player Team Blog
- ↑ Adobe Flash Player Premium Features for Gaming - Adobe Developer Connection
- ↑ Adobe roadmap for the Flash runtimes - Adobe Developer Connection
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Flash Playerのプレミアム機能
- ↑ Flash Builder Help / ActionScript Compiler 2.0 Backward Compatibility
- ↑ マクロメディア、「Flash Player 8」を公開
- ↑ 「Adobe Flash Player 9」リリース、パフォーマンスを大幅向上
- ↑ 「Flash Player 10」正式版公開、レンダリングエンジンを強化
- ↑ 「Flash Player 10.1」正式版が公開、ゼロデイ脆弱性にも対応
- ↑ 「Flash Player 10.2」正式版公開、Stage Video技術に対応、脆弱性の修正も
- ↑ 「Adobe Flash Player 10.3」公開、Android 3.1もサポート
- ↑ 窓の杜 - 【NEWS】「Adobe Flash Player 11」「Adobe AIR 3」がついに正式公開
- ↑ Flash Player and AIR 13 Released
- ↑ Flash Runtime 14 is now available!
- ↑ 必要システム構成
- ↑ Adobeセキュリティ情報
- ↑ Flash Playerをアンインストールする方法
- ↑ http://www.apple.com/hotnews/thoughts-on-flash/
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ HTML5/CSS3 特設サイト
- ↑ Adobe Illustrator CS5 HTML5 Pack
- ↑ Adobe Max 2010まとめレポート - アドビのHTML5・jQueryサポート最新事情
- ↑ Flash Playerをアンインストールする方法
- ↑ Adobe and Industry Leaders Establish Open Screen Project(2008.4)