太平洋フェリー
太平洋フェリー株式会社(たいへいようふぇりー)は、名古屋市中村区に本社を置く海運会社。名古屋 - 仙台 - 苫小牧間において定期航路(フェリー)を運航している。
ファンネル(煙突)のマークは、「太平洋」と「フェリー」の頭文字、TとFを重ね合わせたものである。名鉄グループ。
目次
概要
1982年に「太平洋沿海フェリー」の営業権を引継ぐ形で設立された(なお、「太平洋沿海フェリー」は1970年に運航を開始しているが、現会社ではこの年を「創業年」と位置づけている)。
充実した個室や設備等により、船旅を扱う雑誌などでトップクラスの評価を得ている。また、ピアノの演奏やコンサート等のイベントなども運航毎に行われ、船長のトークショーなど珍しい企画も行っている。福島県沖での僚船との対航のさい、極めて接近して行き違うのも乗客へのサービスのひとつである。
操舵室見学は、アメリカ同時多発テロ事件の発生の影響で国土交通省より指導があり中止されていたがのちに再開され、「いしかり」では僚船との対航の時刻に合わせた14時15分から45分の間に実施されている。
歴史
- 1982年 - 会社設立。太平洋沿岸フェリーの営業権を承継。
- 1987年 - 「きそ」(初代)が就航。
- 1989年 - 「きたかみ」が就航。
- 1991年 - 「いしかり」(2代目)が就航。
- 2005年 - 「きそ」(2代目)が就航。「きたかみ」リニューアル。
- 2011年
航路
運航中の航路
- 定期航路(名古屋港(フェリー埠頭) - 仙台港(フェリー埠頭) - 苫小牧港(西港))
- 全区間を運航する便を隔日運航している。また、その間に仙台 - 苫小牧間の折り返し便を運航しているため、同区間では毎日運航となる。
- 例年、1月後半から2月にかけてがドック期間となっており、この間は変則運航となる。また、年末年始に休航日がある。
- 名古屋 - 苫小牧間の直通旅客は、仙台港停泊中に一時下船(実質2時間30分程度)が可能だったが、震災後は津波を警戒して、中止されている。
- その他
過去に運航していた航路
船舶
就航中の船舶
「いしかり」「きそ」「きたかみ」の3船体制で運航している。
「いしかり」は3代目にあたる。2008年、三菱重工業に発注され下関造船所で建造[6]された。2010年8月26日進水し、2011年3月13日に苫小牧発の便から就航予定であったが、東北地方太平洋沖地震にともない延期となった[7]。その後、暫定運航開始にともない同月25日に就航した[5][2]。
「きそ」は2代目にあたる。なお、同船は雑誌「クルーズ」(海事プレス社)が選出する「フェリー・オブ・ザ・イヤー」を2005年から2010年まで6年連続で受賞している(なお、2代目「いしかり」も同賞を1992年から2004年まで13年連続で受賞し、3代目「いしかり」が2011年に受賞)。
「きたかみ」は、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震発生時には通常運行のため仙台港に停泊中であったが、大津波警報の発令を受け緊急離岸し速やかに湾外退避を行なったため、津波による被害を免れた[8]。
- 船舶要目
船名 | いしかり[9] | きそ | きたかみ |
---|---|---|---|
建造 | 三菱重工業下関造船所 | 三菱重工業下関造船所 | 三菱重工業下関造船所 |
竣工 | 2011年3月 | 2004年1月 | 1988年12月 |
就航 | 2011年3月 | 2005年 | 1989年 |
総トン数 | 15,762トン | 15,795トン | 13,937トン |
全長 | 199.9m | 199.9m | 192.5m |
全幅 | 27.0m | 27.0m | 27.0m |
航海速力 | - | 23.2ノット | 21.5ノット |
最大速力 | 26.5ノット | 26.73ノット | 24.94ノット |
最大出力 | 24,000kW(32,640馬力) | 32,200馬力 | 28,800馬力 |
旅客定員 | 777名 | 768名 | 792名 |
トラック積載数 | 184台 | 174台 | 176台 |
乗用車積載数 | 100台 | 113台 | 150台 |
エレベーター | 4基 | 3基 | 1基 |
- 客室等級
以下の一覧には、ドライバー室を含まない。
いしかり | きそ | きたかみ |
---|---|---|
ロイヤルスイートルーム | ロイヤルスイートルーム | - |
スイートルーム | スイートルーム | スイートルーム |
セミスイートルーム | セミスイートルーム | セミスイートルーム |
特等客室(洋室) | 特等客室(洋室) | 特等客室(洋室) |
特等客室(和室) | 特等客室(和室) | 特等客室(和室) |
1等客室(和室) | 1等客室(和室) | 1等客室(和室) |
1等客室(和洋室) | 1等客室(和洋室) | 1等客室(和洋室) |
1等客室(洋室) | 1等客室(洋室) | 1等客室(洋室) |
S寝台(1段ベット) | S寝台(1段ベット) | - |
- | - | A寝台(カプセル) |
B寝台(2段ベット) | B寝台(2段ベット) | B寝台(2段ベット) |
2等(和室) | 2等(和室) | 2等(和室) |
- ギャラリー
※すべて「いしかり(3代目、現在就航中)」の画像。
- Ishikari 01.jpg
ロイヤルスイート
(リビング) - Ishikari 02.jpg
ロイヤルスイート
(寝室) - Ishikari 03.jpg
ロイヤルスイート
(パウダールーム) - Ishikari 04.jpg
ロイヤルスイート
(浴室) - Inboard of Ishikari(3rd) Semi-sweet bedroom, JAPAN.jpg
セミスイート
(寝室) - Inboard of Ishikari(3rd) Sweet bathroom, JAPAN.jpg
セミスイート
(浴室) - Inboard of Ishikari(3rd) Special room (Japanese-style), JAPAN.jpg
特等和室
- Inboard of Ishikari(3rd) Grade 1, JAPAN.jpg
1等和洋室
- Inboard of Ishikari(3rd) Special bed cabin, JAPAN.jpg
S寝台
- Inboard of Ishikari(3rd) Grade 2, JAPAN.jpg
2等
- Inboard of Ishikari(3rd) Promenade, JAPAN.jpg
プロムナード
- Inboard of Ishikari(3rd) Restaurant, JAPAN.jpg
レストラン
- Inboard of Ishikari(3rd) Bathroom, JAPAN.jpg
展望大浴場(男湯)
- Inboard of Ishikari(3rd) Passage, JAPAN.jpg
客室通路
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ゲームコーナー
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マッサージ機コーナー
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自販機・喫煙コーナー
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入港記念盾
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車両甲板(後部)
- Ferry "ISHIKARI"(3rd) under construction Yamaguchi,JAPAN.jpg
建造中の様子
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バイキングの例
(1日目・夕食) - File Ishikari 12.jpg
(2日目・朝食)
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(2日目・昼食)
- File Ishikari 14.jpg
(2日目・夕食)
- File Ishikari 15.jpg
(3日目・朝食)
引退した船舶
- いしかり(2代目)
- きそ(初代)
- 1987年10月就航。13,730総トン、全長192m、旅客定員850名、車両搭載台数:トラック176台、乗用車120台
- ラグジュアリー路線をコンセプトにした第1船。
- 2005年引退後、日本国外へ売却され地中海方面で運航。一時期2隻の「きそ」が同時運航したことがあったため、営業上の配慮から2代目が「ニューきそ」と呼ばれていた。
- だいせつ
- いしかり(初代)
- 1974年12月就航。11,880総トン、全長175m、旅客定員905名、車両搭載台数:トラック136台、乗用車105台[12]。
- だいせつの同型船。1980年代には船体延長工事、「きそ」(初代)就航後はロビースペースの拡充が行われた。
- 1991年、「いしかり」(2代)就航に伴い引退しギリシアに売却。
- あるごう
- あるなする
- あるびれお
- あるかす
- 1972年10月就航。9,779総トン、全長167m、旅客定員925名、車両搭載台数:トラック95台、乗用車75台[12]。
- あるびれおの同型船。1977年、車両甲板の増設を行う。
- 1987年に、きそ(初代)就航に伴い引退しギリシアへ売却。
運賃・料金
この項目では、特に記載がない限り定期航路の運賃・料金について記述する。
特徴
- 期間別運賃
- 使用船舶別運賃
- 比較的船齢が高い「きたかみ」には、「いしかり」・「きそ」よりも割安な運賃が適用される。
- 船室貸切料金
- 個室の相部屋利用は行っていない。なお、定員に満たない人数で利用するさい、他社では不足する人数分について大人正規運賃の50%前後に相当する船室貸切料金を徴収するのが一般的だが、当社はA期間に限りこの扱いを行っていない(B・C運賃期間は船室貸切料金(不足する人数につき大人基本運賃の半額)が必要)。
- 個室を定員の半数に満たない人数で予約することはできない。これはB・C運賃期間において船室貸切料金を支払う場合も同様である。(定員に幅がある部屋種別の場合、定員の最低人数の半数で計算する。また、半数の計算は端数切り上げ。)
割引制度
- インターネット割引
- 往復割引
- 往路を正規運賃で乗船し、往路乗船日までに復路乗船券を購入した場合、往路乗船日を含め15日以内の同一区間の復路が割引となる。
- 旅客・乗用車・オートバイ・自転車に適用
- 復路運賃が 10% 割引
- 学生割引
- 学生証の提示により割引が受けられる。
- S寝台以下の旅客に適用
- 10% 割引
- JAF会員割引
- 日本自動車連盟 (JAF) 会員証の提示により割引が受けられる。
- 旅客・乗用車・オートバイ・自転車に適用
- 10% 割引(ただし、B・C期間は適用除外)
- JAF会員証1枚に付き乗用車(二輪車)1台とその定員内の同乗者、徒歩乗船の場合は会員本人を含めて最大5名まで。
- 身体障害者割引・知的障害者割引・被救護者割引
セットプラン等
以下のプランは、いずれも事前決済が必要となる。電話予約の場合の決済方法は、クレジットカード、コンビニ・ATM収納、郵便振替のいずれかとなる。
- 早割
- 期間限定、客室数限定で、28日前までの予約 50% 割引となる。設定期間内でも便によっては設定がない場合もある。
- 旅客・乗用車・オートバイ・自転車に適用。ただし、早割運賃で車両のみの航送はできない。
- インターネット予約のみ
- クルーズパック
- モーニングバイキングつきプラン
- インターネット予約または電話予約
- マイカープラン
- 仙台~名古屋間限定。旅客と乗用車航送をセットにした割引プラン。
- インターネット予約または電話予約
- 往復フェリーフルパック
- 往復利用全食事つきプラン
- 仙台~名古屋間、苫小牧~名古屋間で設定。
- 電話予約のみ
補足事項
- 任意ISM取得
- 2007年10月までに会社及び保有3船すべての任意ISM(国際安全管理)を取得した。この取得は外航船においては強制だが、内航船については任意のものである。
- 業績推移
年度 | 売上高 | 従業員数 |
---|---|---|
2009年(平成21年)3月期 | 120億円 | 335名 |
2008年(平成20年)3月期 | 147億円 | 346名 |
2007年(平成19年)3月期 | 140億円 | 334名 |
参考文献
- 日本船舶明細書I 2008年版 - 社団法人 日本海運集会所(2007年12月30日発行)
- 太平洋フェリー社史
脚注
関連項目
- 日本のフェリー会社一覧
- 日本長距離フェリー協会
- 落陽 - 吉田拓郎(シンガーソングライター)の楽曲。当航路(当時は「太平洋沿岸フェリー」)の船が苫小牧港から出港する情景が描かれている。
外部リンク
テンプレート:Ship-stub- ↑ 貨物限定での苫小牧⇔名古屋航路 運航再開について - 太平洋フェリー(2011年3月22日付、同月29日閲覧)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 太平洋フェリーが苫小牧-名古屋臨時運航開始します(みなとのニュース) - 苫小牧港管理組合(2011年3月18日付、同月29日閲覧)
- ↑ 太平洋フェリーが苫小牧-仙台臨時運航開始します(みなとのニュース) - 苫小牧港管理組合(2011年3月23日付、同月29日閲覧)
- ↑ 仙台港にフェリー到着 震災後初、物流回復へ一歩 - 河北新報(2011年3月26日付、同月29日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ 5.0 5.1 新造船フェリー 25日初出港 苫小牧 - 北海道新聞(2011年3月22日付、同月29日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ 太平洋フェリー 新「いしかり」来春就航 147個室装備 - 河北新報(2010年6月10日付、同月12日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ 新造フェリー、運航開始延期 太平洋フェリー - 北海道新聞(2011年3月12日付、同月13日閲覧)テンプレート:リンク切れ
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 船内見学会にて配布のパンフレットより。
- ↑ テンプレート:PDFlink - 太平洋フェリー(2011年3月29日閲覧)
- ↑ details/ref.no.ss32795 (Ship for Sale) - shiplink.info(2011年3月29日閲覧)
- ↑ 12.0 12.1 12.2 12.3 竣工時の要目。