篠原一 (政治学者)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
篠原 一(しのはら はじめ、1925年8月21日 - )は、日本の政治学者、東京大学名誉教授。東京都目白生まれ[1]。専攻は、政治学、ヨーロッパ、特にドイツの政治史。進歩的政治学者としての啓蒙活動がよく知られる。政治史学者としては岡義武の「西欧政治史」講座の後継者として、概説書『ヨーロッパの政治』(東京大学出版会)に結実する「歴史政治学」(Historische Politologie)を提唱し、理論的な面から西洋政治史にアプローチする多くの後進を育てた。
30年以上癌をわずらい丸山ワクチンの投与を受けている。特定非営利活動法人「丸山ワクチンとがんを考える会」理事長、「丸山ワクチン患者・家族の会」代表を務め、癌患者の精神的支柱となっている。
略歴
- 1950年3月 東京大学法学部政治学科卒業
- 1950年4月 東京大学法学部助手
- 1953年7月 東京大学法学部助教授
- 1963年9月 ボン(西ドイツ)留学(1965年9月まで)
- 1963年11月 東京大学法学部教授
- 1986年 成蹊大学法学部教授
著作
単著
- 『ドイツ革命史序説――革命におけるエリートと大衆』(岩波書店, 1956年)
- 『現代の政治力学――比較現代史的考察』(みすず書房, 1962年)
- 『日本の政治風土』(岩波書店, 1968年)
- 『現代日本の文化変容――その政治学的考察』(れんが書房, 1971年)
- 『市民参加』(岩波書店, 1977年)
- 『連合時代の政治理論』(現代の理論社, 1977年)
- 『ガン患者は待っている―丸山ワクチンと私』(サイマル出版会,1981年)
- 『ポスト産業社会の政治』(東京大学出版会, 1982年)
- 『ヨーロッパの政治――歴史政治学試論』(東京大学出版会, 1986年)
- 『<市民と政治>5話』(有信堂高文社, 1988年)
- 『市民の政治学――討議デモクラシーとは何か』(岩波書店[岩波新書], 2004年)
- 『歴史政治学とデモクラシー』(岩波書店, 2007年)
共著
編著
- 『連合政治――デモクラシーの安定をもとめて(1・2)』(岩波書店, 1984年)
- 『ライブリー・ポリティクス――生活主体の新しい政治スタイルを求めて』(総合労働研究所, 1985年)
- 『警察オンブズマン――民主的監察制度の多面的検討』(信山社, 2001年)
- 『討議デモクラシーの挑戦――ミニ・パブリックスが拓く新しい政治』、岩波書店、2012年。
共編著
- (横山信)『近代国家の政治指導――政治家研究(1)』(東京大学出版会, 1956年)
- (永井陽之助)『現代政治学入門』(有斐閣, 1965年/第2版, 1984年)
- (三谷太一郎)『近代国家の政治指導――政治家研究(2)』(東京大学出版会, 1965年)
- (宇沢弘文)『世紀末の選択――ポスト臨調の流れを追う』(総合労働研究所, 1986年)
- (牧柾名)『地域からの教育改革――川崎における学校・家庭・行政の地域ネットワーキングの実践』(自治体研究センター, 1987年)
- (三谷太一郎)『岡義武ロンドン日記1936-1937』(岩波書店, 1997年)
共訳書
- (C.ブリントン)『革命の解剖』(岩波書店, 1952年)
門下生
カッコ内は専門地域
- 馬場康雄(イタリア)
- 高橋進(ドイツ)
- 平島健司(ドイツ)
- 高橋直樹(イギリス)
- 舛添要一(フランス)
- 山口定(ドイツ。学部生として演習に参加)
- 田口晃(オーストリア、スイスなど中部ヨーロッパ小国)
- 井上すず(フランス)
- 犬童一男(イギリス)
- 山田徹(ドイツ)
- 若松隆(スペイン)
- 野地孝一(フランス)