勝沼ぶどう郷駅
勝沼ぶどう郷駅(かつぬまぶどうきょうえき)は、山梨県甲州市勝沼町菱山にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)中央本線の駅である。
駅構造
島式ホーム1面2線を持つ地上駅。のりばは駅舎側から1番線、2番線である。この地域に中央本線が開通した後に開設された駅であり、開業当初はホームなどを急勾配にしないためスイッチバック駅であった。
スイッチバック駅といっても通過が可能な構造で、当駅に停車する列車のみ駅の甲府寄りで本線から分岐した線路をすすみ当駅に入っていた。
スイッチバックが廃止されたのは1968年(昭和43年)8月30日のことである。このときからこの駅のホームは25‰の勾配がある本線上に設けられているが、スイッチバック時代の遺構が残っており、現在公園として整備中である。国鉄形式の駅名標「勝沼」を復刻した旧ホームなどの整備が行われている(復刻のため隣駅は「甲斐大和」ではなく「初鹿野」になっている)。
ホームは駅舎より高い位置にあり、駅舎の2階から階段と小さな橋でホームの脇に業務用の通路が延びている。駅前には約1000本のサクラが植えられており毎年4月ごろに見頃をむかえるが、線路が駅舎や駅前広場より高い位置を通っているため通過する列車の内部からもこの様子を見ることが出来る。
駅舎は1980年(昭和55年)にできたもので2階建てである。駅舎内部にはコンコースのほか駅事務室や独立した待合所があるほか市の観光案内所をかねたコーヒー店と市営のワインショップが併設されており、特産の甲州ワインの販売がある。コンコースのホーム側の端に出札口と改札が設けられていてその脇に自動券売機が1台設置されている。この自動券売機は、夜間は高額紙幣(1万円札・5千円札・2千円札)が使用できなくなり、1000円札と硬貨のみとなる。
みどりの窓口未設置の業務委託駅(JR東日本ステーションサービス委託)でPOS端末が設置されている。簡易Suica改札設置駅。
優等列車の停車について
優等列車は、原則として当駅には停車しないが、3月から11月の観光シーズンにおいて停車する列車がある。詳細はおおむね以下のとおり(例外あり)。
- 午前中に新宿駅を発車および、14時から19時の間に同駅へ到着する「かいじ号」。
- 午前中に新宿駅を発車および、午後に同駅へ到着する「あずさ号」各1本。
- 臨時列車扱いの「はまかいじ号」および「快速ビューやまなし号」。
のりば
番線 | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1 | テンプレート:Color中央本線 | 下り | 甲府・上諏訪・松本方面 |
2 | テンプレート:Color中央本線 | 上り | 大月・八王子・新宿方面 |
当該区間の中央本線のラインカラーはテンプレート:Color青であるが、駅名標のラインカラーには、当駅に乗り入れない中央線快速のラインカラーであるテンプレート:Colorオレンジが使われている。
利用状況
1日平均乗車人員は以下の通りとなっている。
乗車人員推移 | |
---|---|
年度 | 1日平均人数 |
1998 | 380 |
1999 | 372 |
2000 | 404 |
2001 | 424 |
2002 | 425 |
2003 | 417 |
2004 | 421 |
2005 | 429 |
2006 | 401 |
2007 | 377 |
2008 | 432 |
2009 | 430 |
2010 | 427 |
2011 | 420 |
2012 | 471 |
駅周辺
この駅は勝沼を名乗ってはいるが、勝沼の中心部からみて東側の笹子峠を下り甲府盆地に入る位置にある。これは笹子峠と甲府盆地との標高差を距離で稼ぐため、盆地の縁に沿って迂回する路線形状を取らざるを得ないことによる。駅を出ると駅前広場をはさんですぐのところが崖のようになっていてそこから勝沼の町・甲府盆地を一望できるほか、駅前からは勝沼の市街へ通じる急な坂が左右に降りている。冬の晴れた日には駅前広場から南アルプスや八ヶ岳までもが一望できる。
この駅の所在地は勝沼のうちの菱山というところで、この駅のできた当初当時の菱山村がこの駅を菱山駅とするよう求めたというエピソードもあるが、この駅は勝沼のぶどうを多く出荷することとなっていたので駅名は結局勝沼となった。
駅の周りから駅の南4キロメートルほどのところまでが当駅の駅名ともなった勝沼ぶどう郷である。勝沼の中心部までは直線距離でも1.5キロメートルほどの距離がある。
駅近くの鉄道遺産記念公園(現在整備中、改札口を出て左方向に100メートル弱)には国鉄EF64形電気機関車の18号機(東芝製)が静態保存されている。もとは、廃車後に塩尻機関区篠ノ井派出構内で留置されていたが、甲州市がJR貨物より譲り受け、国道18号・国道141号・国道20号を経由して陸送された。なお、展示にあたっては塗色をし直すなどの整備がなされている。(当機は国鉄、JR貨物時代共国鉄色)
- トンネルワインカーヴ
- 大日影トンネル遊歩道
- 勝沼ぶどう郷駅とトンネルワインカーヴの間にある、旧大日影トンネルは遊歩道として整備されており、散策することができる。全長1376mのトンネル内にはレンガの壁や線路、鉄道標識等が当時のまま残されている。
- 甲州市役所 勝沼庁舎(旧・勝沼町役場)
- 勝沼町ぶどうの丘
- 大善寺
- 国道411号(青梅街道)
- 国道20号(甲州街道)
バス路線
乗り場 | 系統 | 主要経由地 | 行先 | 運行会社 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
勝沼ぶどう郷駅 | ぶどうコース1 | 中原・ぶどうの丘・勝沼病院・等々力公民館 | 健康福祉センター | 甲州市市民バス | ||
ぶどうコース2 | 上町・釈迦堂入口・図書館文化館・勝沼病院・山交差点西 | 健康福祉センター | 甲州市市民バス | |||
ワインコース1 | ぶどうの丘・山交差点西 | 健康福祉センター | 甲州市市民バス | |||
ワインコース2 | 深沢共撰所・上町・勝沼病院・図書館文化館・四季の里団地 | 健康福祉センター | 甲州市市民バス |
歴史
勝沼はすでにこの地域に開通していた中央本線上に新しく設置された駅である。まず1913年(大正2年)に大日影信号場が設置され、それが駅に昇格する形で同年の4月8日に勝沼駅は開業した。
当時は勾配上にホームを設けるのを避け、通過可能なスイッチバック駅であったが、1968年(昭和43年)にスイッチバックは廃止と成り、現在に至っている。
1993年(平成5年)に現在の勝沼ぶどう郷駅へ改称された。さくらんぼ東根駅、井川さくら駅などこの後地名と名物を組み合わせた駅名がJR東日本には多く登場するが、この駅はその嚆矢となった。
- 1913年(大正2年)4月1日 - 大日影信号場として設置。
- 4月8日 - 駅に昇格、勝沼駅として開業。旅客および貨物の取扱を開始。
- 1960年(昭和35年)6月11日 - 貨物の取扱を廃止。
- 1968年(昭和43年)8月30日 - 複線化に伴いスイッチバック運転解消。
- 1980年(昭和55年)10月 - 現駅舎の使用開始。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、東日本旅客鉄道の駅となる。
- 1993年(平成5年)4月1日 - 勝沼ぶどう郷駅に改称。
- 1998年(平成10年) - 「関東の駅百選」に選定される。選定理由は「四季折々の季節の中で勝沼の町のシンボルとなるぶどうの丘を望む駅」。
- 2004年(平成16年)10月16日 - 簡易Suica改札機を導入。
隣の駅
- 東日本旅客鉄道
- テンプレート:Color中央本線