エーディーケイ
株式会社エーディーケイ (ADK) は、かつて存在していた日本のコンピュータゲーム制作・販売会社である。商号は株式会社エーディーケイ。旧社名はアルファ電子株式会社(アルファでんし)。
概要
1980年7月に設立。本社は埼玉県上尾市に在り、アーケードゲームの開発、発売を主に行っていた他、埼玉県アミューズメント施設営業者協会(AOU構成団体)の事務局を本社内に置いていた。
設立当初はテレビゲームとは無縁の、トランシーバーなどの通信機器とスピーカーの部品などの音響パーツを扱うメーカーだった。しかし三立技研が販売を担当した『ジャンピュータ』の成功をきっかけに黎明期を迎えた日本のアーケードゲーム業界に本格参入。元々、自己資本の乏しいメーカーだったため、クラール電子やコアランド(後のバンプレスト)といったメーカーから開発資金を調達し、それらのメーカーを通して「クラッシュローラー」、「ジャンプバグ」などのスマッシュヒット作をリリースしていた。またテーカンが販売した「将棋」シリーズの開発では「ジャンピュータ」の麻雀に次いで、アーケードゲームで将棋というジャンルを確立することに成功した。
やがて自己資金で開発できる環境が整うと、セガ販売の『チャンピオンベースボール』から始まり、『エキサイティングサッカー』などの作品をリリースし、中堅メーカーながらも参入当初から見せるその技術力の高さをアピールした。特にそれまでドットイートゲームやシューティングゲームが中心だった日本のゲーム界のジャンルを広げ、日本のビデオゲームにおける、麻雀や将棋をはじめとするテーブルゲームの確立に貢献した。
1993年1月に社名をアルファ電子からエーディーケイ (ADK) へと変更。また、社名を変更する前に、自社開発のソフトの販売等で関係のあったSNKと『Multi Video System』を共同開発した。その際、ADK自身も業務提携しゲームソフト開発を筆頭サードパーティーとして協力して行った。そこで取り交わした契約上、ネオジオ以外の他機種向けのゲーム開発は禁止されていた。しかし、表向きには“関連企業”としていた「未来ソフト」という別ブランドで、他機種向けの作品を開発・販売していた。ネオジオゲームの市場は、主に海外だった為、当時の円高でADKの業績は悪化していった。SNKも行きすぎた多角経営と主力としていた対戦型格闘ゲームの退潮で経営が悪化、SNKは2001年に倒産した。
業績低下が止まらず、社員を削減していった結果、2000年ごろにはわずか10人余りとなってしまった。新規に携帯電話コンテンツやLCDゲーム事業を始めるが、これも上手く行かず2003年ごろに倒産。その後、旧SNKとの関係が深かったためかビデオゲーム等の版権は関連会社のSNKプレイモアが引き継いだ。またこの倒産を期に、広告代理店のアサツー ディ・ケイが、正式に「ADK」の略称を使うようになった。
沿革
- 1980年
- 7月1日、アルファ電子株式会社として設立。主にアーケードゲームの開発・販売を務める。
- 1981年
- 3月、業界初の麻雀ゲーム『ジャンピューター』をリリース。
- 1990年
- Multi Video Systemの回路設計を担当。
- 1993年
- 1月、社名を株式会社エーディーケイに改称。ユーザー向けにはADKを主に使用。
- 1999年
- 携帯電話向けコンテンツ事業開始。
- 2003年頃
- 倒産。版権等はSNKプレイモアに引き継ぐ。
作品
「アルファ電子」及び「ADK」として
- 1982年
- 1983年
- エキサイティングサッカー
- チャンピオンベースボール(セガ発売)
- チャンピオンベースボール2(セガ発売) - 前作のチームデータを1983年度版に入れ替えたマイナーチェンジ版
- 1984年
- エクイテス(セガ発売) - ロボットを操るSFシューティングゲーム
- ブルファイター(セガ発売) - アイスホッケーゲーム。
- 1985年
- スプレンダーブラスト - 3D視点のSFレースゲーム。
- ハイボルテージ - 3D視点のSFシューティングゲーム。
- ザ・高校野球
- エキサイティングサッカー2
- 1986年
- スーパースティングレイ(セガ発売)
- 1987年
- バトルフィールド(SNK発売)
- 1988年
- スカイソルジャー(SNK発売)
- 1989年
- スカイアドベンチャー(SNK発売)
- ギャングウォーズ(SNK発売)
- 帰ってきたチャンピオンベースボール(スーパーチャンピオンベースボール、SNK発売)
- 1990年
- マジシャンロード(SNK発売) - ファンタジーアクションシューティング。
- ニンジャコンバット(SNK発売) - 忍者が主人公のアクションシューティング格闘。ボスキャラクターの中には倒すと以後ステージ開始時に選んで使えるものも存在する。
- 1991年
- 1992年
- 1993年
- ワールドヒーローズ2(SNK発売)
- 1994年
- 痛快GANGAN行進曲(SNK発売) - 不良を主人公にした対戦型格闘ゲーム。多くの対戦格闘と異なり、奥行き方向の移動が可能。『ワールドヒーローズ』シリーズに登場の忍者「フウマ」が登場している。
- ワールドヒーローズ2JET(SNK発売)
- 1995年
- 将棋の達人(SNK発売)
- ワールドヒーローズパーフェクト(SNK発売)
- 1996年
- オーバートップ - 2Dのレーシングゲーム。
- ニンジャマスターズ〜覇王忍法帖〜 - 戦国時代が舞台の対戦型格闘ゲーム。プレイヤーキャラクターに忍者が非常に多い。
- ティンクルスタースプライツ - ADK最後のネオジオ作品。縦スクロールのシューティングゲーム。対戦の要素を盛り込んだことや、かわいいキャラクター等のため人気を博した。1997年にはセガサターン、2000年にはドリームキャスト(SNK発売)に移植された。
- 1998年
- ビーストバスターズ セカンドナイトメア(SNK発売) - ADK唯一のハイパーネオジオ64作品。ガンシューティングゲーム。SNKが1989年に開発・発売した『ビーストバスターズ』の続編。ただし、ストーリーの繋がりはない。
「未来ソフト」として
- 1997年
倒産後
倒産後しばらくはADK作品を基にした新作や続編は出てこなかった。しかし2005年、『ティンクルスタースプライツ』の続編『ティンクルスタースプライツ〜La Petite Princesse〜』が現在の版権元であるSNKプレイモアより発売された。さらに同年、『ネオジオバトルコロシアム』に、ADK作品からも数キャラほどプレイヤーキャラとして登場した。
それ以降、SNK時代に作られたシリーズ化されている作品を除くSNKプレイモア純正作品などに、ADKのキャラがたまに登場している。
2008年12月18日には、ニンジャマスターズ〜覇王忍法帖〜、ニンジャコンバット、ニンジャコマンドー、痛快GANGAN行進曲、ティンクルスタースプライツのADK作品5本を収録したPlayStation 2用ソフト『ADK魂』がSNKプレイモアより発売された。
なお、「ネオジオ」以前の作品に関しては、2011年発売の「SNKアーケードクラシックスゼロ」に「スーパーチャンピオンベースボール」が移植されたのが唯一となっている。
関連項目
脚注
外部リンク
- ADK魂(SNKプレイモア)
- ADK HEROES 同社の社員が知り合いというファンが作った、非公式のADK紹介サイト。