コロムビア・レコード
コロムビア・レコード(Columbia Records)は、アメリカのレコードレーベルの一つ。現在は米国ソニー(ソニー株式会社の現地法人)完全子会社のソニー・ミュージックエンタテインメント (米国)(SMEI)の一部門となっている。
概要
1953年に当時の親会社であるCBSは別レーベルであるエピックを設立し、傘下のレーベル群を束ねる存在としてCBSレコード・グループという法人を作った。コロムビアはその中核レーベルとなったが、アメリカ以外の国では“コロムビア”という商標を他社が保有していることが多く、日本では日本コロムビア(2002年10月にコロムビアミュージックエンタテインメントへ一時社名変更、2010年10月をもって社名復帰)が名称とツイン・ノーツと言われる音符マークを登録商標として保有している。このような場合はレーベル名として代わりに“CBS”が使われており、コロムビア・レコードとCBSレコードは混同されることが多い。1990年代より、コロムビア・レコードレーベルで発売されてきたクラシックジャンルについては「ソニークラシカル」レーベルへ移行している。
CBSとソニーが合弁で発足させた株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの前身であるCBS・ソニーレコードでは、国内作品(J-POP等)ではソニーレコーズレーベルが中心であり、Columbia/CBSのレーベルは洋楽・クラシックといった輸入盤にほぼ限定されている。
日本に於ける正規輸入盤・日本版(日本語ライナーノーツ付き)のレーベル作品については、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ.SMEIとは直接の資本関係は無い)の子会社であるソニー・ミュージックジャパンインターナショナル・ソニーレコーズインターナショナルから、コロムビアレコードの商標を国内で保有している日本コロムビア[1]の商標許諾シールが貼付される形態で発売されている。
沿革
- 1888年 ノース・アメリカン・フォノグラフ(1888年に設立されるが、1894年には破産する)の子会社「コロムビア・フォノグラフ」として創立される。
- 1894年 アメリカン・グラフォフォン(1886年に設立)を買収する。
- 1897年 イギリス法人「英コロムビア」(今の英EMI)を設立する。
- 1906年 社名をコロムビア・グラフォフォンと改称する。
- 1927年 放送局「CBS(Columbia Broadcasting System)」を設立する。また(株)日本蓄音器商会と提携し、日本国内でコロムビア・レコードの発売を本格的に開始する。
- 1938年 元子会社のCBSに買収される。
- 1948年3月1日 LP盤を初めて商品化[2]。
- 1956年 ステレオ録音開始。
- 1958年7月1日 ステレオ・レコードを発売する(レスピーギ「ローマの松」ほか)。
- 1961年 LPレコードの高品質の印として「360°SOUND」のマークの使用を開始。
- 1968年3月1日 日本でソニーとの合弁会社CBS・ソニーレコードを設立。
- 1968年7月1日 CBSの日本盤の発売元が日本コロムビアから順次、CBS・ソニーレコードに移る。
- 1979年5月5日 デジタル録音開始(ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」メータ指揮ニューヨーク・フィル)。
- 1988年 ソニーがCBSレコーズ・グループを買収。
- 2004年 ソニーとベルテルスマンが合弁会社ソニーBMGミュージックエンタテインメントを設立。
- 2008年 ソニーがソニーBMGのベルテルスマン持分を取得、ソニーBMGを完全子会社化する。
- 2009年 ソニーBMGがソニー・ミュージックエンタテインメントに改称。
主なアーティスト
ポピュラー音楽
- ベニー・グッドマン
- デューク・エリントン
- フランク・シナトラ
- ドリス・デイ
- ビリー・ホリデイ
- ベッシー・スミス
- マイルス・デイヴィス
- オーネット・コールマン
- キース・ジャレット
- ウェザー・リポート
- ハービー・ハンコック
- ウィントン・マルサリス
- パーシー・フェイス
- ジョニー・キャッシュ
- ジョニー・マティス
- アンディ・ウィリアムズ
- ボブ・ディラン
- ニール・ダイアモンド
- サイモン&ガーファンクル
- バーブラ・ストライサンド
- バーズ
- アル・クーパー
- ブラッド・スウェット&ティアーズ
- シカゴ
- ジャニス・ジョプリン
- サンタナ
- エアロスミス
- エルヴィス・コステロ
- ジューダス・プリースト
- ポール・マッカートニー
- ラヴァーボーイ
- ローリング・ストーンズ
- クリス・クリストファーソン
- アース・ウィンド・アンド・ファイアー
- ビリー・ジョエル
- ブルース・スプリングスティーン
- TOTO
- ザ・クラッシュ
- ジャーニー
- アリス・イン・チェインズ
- マイケル・ボルトン
- マライア・キャリー
- デスティニーズ・チャイルド
- フージーズ
- マックスウェル
- トニー・ベネット
- ジョニー・マティス
- ワム!
- ポール・ヤング
- ピンク・フロイド
- ケイト・ブッシュ
- ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック
- ジョナス・ブラザーズ
- P.O.D.
- アイアン・メイデン
- スーザン・ボイル
- SEIKO
- Toshi Kubota
- 注:過去に所属していたアーティストも含む。
クラシック音楽
- ブルーノ・ワルター
- レナード・バーンスタイン
- ユージン・オーマンディ
- ジョージ・セル
- ブダペスト弦楽四重奏団
- ジュリアード弦楽四重奏団
- ヴラディーミル・ホロヴィッツ
- ルドルフ・ゼルキン
- グレン・グールド
- アイザック・スターン
商標
レコード・ビジネスにおける「コロムビア」という商標は、米国以外の国では他社が保有していることが多い(イギリスでは英コロムビア→EMIが、日本では日本コロムビアが保有。いずれも創業期には米コロムビアとも資本関係があった)。この為、コロムビア・レコードはそれらの国では「コロムビア」というブランド名を使用することができない。
これらの国では、CBS傘下の時代には「CBS」というブランド名を使用していた。
日本コロムビアは、1962年の英コロムビアとの契約解消後、一部洋楽(米コロムビア)音源に「CBS」レーベルの使用を開始(通称:CBSコロムビア)、それ以降は洋楽部門「CJ」(CBS JAPANの略称)に所属した邦楽ポップス歌手・グループにも1968年8月25日までに発売された新譜に「CBS」レーベルを使用していた。「L-」で始まる規格番号に因み「L盤」と呼ばれていた。
これらは1968年のCBS・ソニー設立後、米コロムビア音源の洋楽は改めて同社で再発売、邦楽ポップスはレーベルを「コロムビア」「デノン(デンオン)」等に変更して再発売した。
当初、CBS・ソニーは米コロムビアと日本コロムビアとの原版契約を盾に、旧CBSコロムビアレーベル所属の邦楽歌手を全てCBS・ソニーに移籍させようとしたが、このうちジャッキー吉川とブルーコメッツ、および黒沢年男(現:年雄)は一旦形式的に移籍した後、共に日本コロムビアに復帰している。また、「CJ」の邦楽部門もレーベルを「コロムビア」に変更した上で存続し、規格番号のみ1973年12月末まで「L盤」として発売された。
ソニー傘下となってからは、「CBS」というブランド名も使用できなくなった為、「Sony」「Sony Music」「SME」などのブランド名を使用している。
日本の輸入レコード店には「Columbia」という商標のついたアメリカ盤が並んでいるが、それらには日本コロムビアによる商標使用許可を受けていることを示すシールが貼られている。
ソニー・ミュージックのクラシック向けレーベル、「ソニークラシカル」の『赤地に音符の型抜き』マークは、コロムビア時代の名残を象徴しているとも言える。
日本において商標は「コロムビア」と表記する。「コロンビア」は誤りである。
関連項目
- ブルーノ・ワルターやレナード・バーンスタインのレコーディングに使用した臨時編成オーケストラ(日本コロムビア時代に発売されたレコードには「コロムビア交響楽団」とクレジットされていた)。
外部リンク
注
テンプレート:Reflist- ↑ ただし2002年10月から2010年9月まではコロムビアミュージックエンタテインメント名義。
- ↑ LP商品化第1号は、メンデルスゾーン作曲「ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64」(ミルステイン(ヴァイオリン)ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック レコード番号:ML 4001)