芸予諸島

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芸予諸島(げいよしょとう)は、瀬戸内海西部、広島県愛媛県の間に位置する諸島。両県の旧国名である安芸国伊予国を一文字ずつ取ってこう呼ばれている。

地理

地理的には、旧備後国を含む広島県すべての島と、愛媛県越智郡島嶼部および若干の付属島嶼、大小数百のからなっている。西に防予諸島、東に笠岡諸島がある。

芸予諸島をより細かく分ける場合、西側から安芸群島蒲刈群島下大崎群島上大崎群島関前諸島来島群島越智諸島芸備群島上島諸島備後群島走島群島とする。備後群島、走島群島は厳密には旧備後国に属しているが、現在は芸予諸島に含める場合が多い。

架橋

小さな島が密集していることから架橋が盛んな地域であり、本州と四国をつなぐ瀬戸内しまなみ海道向島因島生口島大三島伯方島見近島大島馬島を通る形で建設されている。また、本州から下蒲刈島上蒲刈島豊島大崎下島平羅島中ノ島、愛媛県の岡村島までは、安芸灘諸島連絡架橋の一部として愛称・安芸灘とびしま海道で連結している(全体構想としては大崎上島までのルート)。江田島倉橋島なども本州と橋で繋がっている。

人口・経済

有人島は約50島、人口は合計約17万人。能美島、因島、向島、倉橋島の広島県4島の人口が比較的大きく、いずれも2万人を超えている。他5000人を超えている島として、広島県大崎上島、生口島、愛媛県大島、伯方島、大三島の5島がある。広島市の市街がある宇品島尾道市の市街がある向島を除けば、本土より早いペースで過疎化高齢化が進行している島が殆どである。

主な産業は造船観光柑橘類栽培である。愛媛県であっても広島県への依存度は強く、全域が中国電力の電力送電網に属している。特に上島町は自動車で四国側に直接渡る手段がなく、一旦フェリーで広島県側に出て再度愛媛県に入る必要があるほか、水道水、医療、防災事業なども一部広島県に依存している。

広島県側は県の積極的な架橋により、大崎上島厳島を除く大型の島は離島指定が解除されている。一方、愛媛県はしまなみ海道を除けば架橋が進んでいない。上島町や大下島などの離島が存在するほか、岡村島は四国ではなく本州に接続されている。

かつては本州・四国とその間の島々を結ぶ多数の旅客船・フェリー航路が存在したが、過疎化・人口減少に加え、上記の架橋による陸路シフトの影響もあり、航路休廃止・減便等が続いている。

歴史

芸予諸島は古来より西日本及び大陸・朝鮮半島京都畿内を結ぶ海の要衝で、風待ち・汐待ちの浦が各地に発達した。この海域の重要性は安芸国、伊予国の一の宮である厳島神社大山祇神社(ともに航海の守護)が芸予諸島にあることからもわかる。

中世にはの生産が盛んで、室町時代には「備後」という名称で年9万石余が畿内に送られていた[1]。狭い海峡もあり、村上水軍を初めとする水軍海賊)が活躍した。砦・居館跡が各地に点在している。また、朝鮮半島との往来も盛んで、朝鮮通信使等の歴史が伝えられている。

行政区画

平成の大合併の結果、2006年3月末時点で愛媛県側のすべての島が今治市上島町に、広島県側も江田島市呉市大崎上島町尾道市福山市に再編された。

芸予諸島を構成する島々

面積1km²以上の島

面積は2004年、人口は2000年現在

面積1km²以下の有人島

人口順に記載

その他

全体図

ファイル:芸予諸島.png
芸予諸島の全体図

関連項目

脚注

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  1. 今谷明「米・塩・木材の道」、『週刊朝日百科日本の歴史』20、中世II-9(琵琶湖と淀の水系)、5-263頁。