現金自動預け払い機

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大町東郵便局に設置されているゆうちょ銀行のATM

現金自動預け払い機(げんきんじどうあずけばらいき)、ATM(エーティーエム)、(テンプレート:Lang-en-shortautomated teller machine)は、通常、紙幣(及び硬貨)、通帳、磁気カード等の受入口、支払口を備え、金融機関や貸金業者、現金出納を行う業者の提供するサービスが、顧客自身の操作によって取引できる機械を指す。元々は都市銀行の店舗に設置され、普通預貯金の預け払いに用いられ出したが、今日、金融機関はもとより、小売店や公共施設などに幅広く設置されている。また、普通預金以外の取引や現金を介さない取引も広く取り扱うよう進化しており、自動取引装置自動窓口機などとも呼ばれる。金融機関では一般に、店舗に設置している場合は「自動機」、その他の小売店や公共施設などに設置している場合は「店舗外」と呼称することが多い。

なお、現金の引出と残高照会のみを扱う機器は、現金自動支払い機(げんきんじどうしはらいき、キャッシュディスペンサー[1])と呼ばれ区別されている。ただし、一般にはCD機も含め全てATMと呼称される事が多い。台湾では、CD機にも看板には「ATM」と掲示されている。金融機関窓口の代用として設置されたことが始まりであることから、ATMの脇には、金融機関窓口と同じように、紙幣袋(現金を持ち帰るための封筒)が設置されていることが多い。

機能

主な取扱業務

ATMでは、以下のような業務を扱う。

  • 預貯金口座への現金の預け入れ
  • 貸付金の現金による返済
  • 預貯金や貸付金の引出
  • 預貯金残高や取引明細、相場情報などの照会
  • 預貯金通帳に記入されていない取引の記入・預貯金通帳の繰越
  • 振込(現金あるいはキャッシュカードを利用した振込)
  • 振替(自己の預貯金口座の一方から引き出し、他の預金口座に預け入れる取引。金融機関によっては口座を作成した支店同士でないと取扱できない場合がある。但しゆうちょ銀行の場合、振替は電信振替で他者の口座宛へ送金する事を意味し、他金融機関宛の送金が「振込」となる)
  • キャッシュカードに登録した暗証番号の変更
  • 債券や外国通貨の購入申込
  • 宝くじナンバーズなど)の購入。
    • ATMの設置機関以外の金融機関の口座を使用する場合、主に預貯金の引出と預貯金残高の照会を扱っている。

上記の業務に必要な媒体を取り扱うため、紙幣硬貨通帳、帳票類、磁気カードなどの挿入・支払口と、案内や操作のための表示画面、操作鍵(キー)などを備える。近年のものは操作部に画面表示と一体化した液晶タッチパネルを採用したものが多い。金融機関によっては、ATMで硬貨を扱わない場合や扱っていても現金振込での使用に限定している場合もある。また、ATMで硬貨を扱っている金融機関であっても、無人店舗やコンビニATMでは扱っていない場合が多い。ごく一部の金融機関のATMでは住所変更・届出の電話番号の変更もキャッシュカードで変更手続する事や、資料請求の依頼をキャッシュカード1枚でできる所もある。

なお振り込め詐欺などにみられる、還付、払戻、返金などはATMを操作して相手が振り込む金を自分の口座で受け取るようなことは業務として含まれておらず、またそのような機能はATMに備わっていない。

利用者認証

日本では、機器利用者の本人認証のために、磁気情報が記録された専用のキャッシュカードまたは通帳と、通常4桁の暗証番号を用いる。かつては、暗証番号そのものを平文(暗号化がまったくされていない状態)のまま、磁気ストライプに記録していた(生暗証)が、カードリーダーを使って容易に読み取る事が出来るため、旧富士銀行の盗難キャッシュカード事件(1993年平成5年)7月19日最高裁判決。「判例時報」第1489号111頁以下を参照)を契機に、現在は暗証番号はカードに記録せず、入力した暗証番号は、ホストコンピュータ上の口座登録情報と照合されるようになっている(カードに暗証番号を記録しない方式への変更をゼロ暗証化と称した)。

しかし、暗証番号の詐用に加え、近時はカードの磁気ストライプ自体の複製により預金が不正に引き出される被害が相次いで問題となっており、以下の取扱が一部の銀行、信用金庫等で始まっている。

  • カードの情報を磁気ストライプに代え、複製の困難なICチップに記録したICカード
  • 預金者の手指や手掌の静脈叢紋様を予め登録し、利用者の当該部位を取引の都度照合して生体認証するATM
    • 生体認証の対象となる部位については現状では銀行等の個別規格と、全国銀行協会の統一規格とが並存しており、提携先のATMが異なる形式で生体認証を行場合にはICチップ・生体認証を用いた取引を行えない。この場合は併せて搭載された磁気ストライプ記載の情報を用いた取引となり、取引金額や取引項目に制限が生じることもある。なお、将来的には他の生体認証情報も記録して、いずれの生体認証型ATMでも利用できるように準備が進められている(2006年(平成18年)8月現在)。

数字入力・表示時の配慮

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タッチパネル式のATM(三菱東京UFJ銀行の店舗外ATM。三菱東京UFJ銀行

視覚障害者への対応として、タッチパネル以外に、ボタンでも数字を入力できるようにしている機種もあり、また、点字による表示および音声案内機能を持たせたものもある。ゆうちょ銀行のATMは視覚障害者の操作性確保のために、全ての稼動機に数字ボタン・点字・音声案内機能を備えるほか、富士通の民間事業者向け汎用ATM「ファクト・ブイ」(FACT-V)には案内音声を聴取できる受話器が標準装備となっており、この受話器に暗証番号、金額等を入力できるボタン式キーを備えているが、稼働中の機種についてはタッチパネルのみでボタン式キーを省略した機種が多く、利用の支障となることが多い。なおこれとは別にコンビニATMは、筐体を小型化するためタッチパネルが垂直配置であり、狭隘な店内において入力が盗み見られる事を防ぐため、ボタン式数字盤が周囲を囲われた形状で右下方に独立した機種への置き換えが進んでいる。また、設置者によっては画面の上に視野角を意図的に狭くする偏光フィルター膜を貼付し、上記のような入力を盗み見られる事件を防いでいるところもある。

音声案内

前述の音声案内は、視覚障害者だけでなく健常者にとっても操作をサポートする役割を果たしているが、日本語の他に英語での案内も可能となっている機種を設置している金融機関もある。三菱東京UFJ銀行Leadus日立製作所製の機械のみ)と知多信用金庫愛知県)、三井住友銀行のATMでは英語のみならず、ポルトガル語中国語朝鮮語の表示も可能となっている(三菱東京UFJ銀行(旧東京三菱銀行の支店設置分)のATMJ製のATMは英語のみ)。

営業時間

一般に金融機関では、平日8時45分から19時までと土曜9時から17時について稼動し、金融機関の支店よっては、日・祝と大型連休年末年始は現在も非稼動のところもあるが、近年は大幅に営業時間帯を拡張した箇所も多く出現している。特にコンビニエンスストアのATMは、店舗の営業に合わせて通例24時間稼動し、利用者の取引銀行等の定める時間内で、利便性の幅を拡げている。

ただし、平日18時以降と一部の金融機関では土曜14時以降については時間外手数料が徴収される場合も多い。そのため手数料を無料化する銀行や、一定の取引条件(給与振込や各種料金自動支払等)で手数料を無料化するなどの特典を設け、他行との差別化、顧客の囲い込みを行う銀行が多い。近年では土曜日の時間外手数料を休日扱にしている金融機関が多い。なお、ゆうちょ銀行(郵便局)は郵政省・日本郵政公社時代から時間外及び休日の手数料が無料である。なお、アメリカでは自社のATMを使う限り24時間原則無料である。

設置主体

基本的には各金融機関により、営業店に併設される。現在は普通、相互接続により提携金融機関の取引もできるようになっている。一つの管理行のもと、数個の金融機関が共同で運営し、各預金者が無料で利用できる共同出張所の形態もある。なお、提携金融機関の取引には原則、手数料が徴収される。

過去には、銀行界が運営会社(日本キャッシュサービス/NCS)を作り、共同ATMを駅などに設置していたが、金融機関の業態間におけるオンラインの相互接続が進んだことにより、事業を終了し解散した経緯がある。しかし近年、銀行コンビニエンスストア・警備会社などが出資する共同運営のコンビニATM設置のため株式会社イーネットなどを立ち上げ、設置台数を急激に増やすなど、共同ATM設置が進んでいる。近年では、パチンコ店への設置が推し進められている[2][3][4]

主要メーカー

ほか、かつては東芝も扱っていたが、事業部門を沖電気工業に売却し、現在は撤退している。また、旧・ジェトロニクス日本法人(現在は、旧・オリベッティ日本法人をNTTデータが引き取った企業であるNTTデータ ジェトロニクスが継承)が、日立製作所よりOEM供給を受けて販売していた時期もある。

防犯

各社のATMとも、日本自動販売機工業会のレベル2相当以上の手工具破壊耐力があるといわれているが、建設機械を使ったATMコーナーの破壊事件が相次いでおり、一層の対策を求められている。

その一例として、セブン銀行のATMでは、現金収納部分が不正にこじ開けられると、特殊な液体(緑色)が中の紙幣にこぼれて、収納紙幣を汚損させる(不正に取り出しても、使い物にならなくし、証拠品として使えるようにする。また液の付着が少量にとどまっても、カラーボールのような追跡支援効果もある)といった対策が取られている。2006年12月に発生した、同行ATM強奪事件では、早速同行よりこの特殊液が付着した紙幣についての注意喚起がなされた

また、防犯上の観点から、ATMの製品カタログや取扱説明書は、原則としてユーザー(金融機関)の中でも限られた担当者・システムエンジニア以外は、請求・閲覧できない。

脚注

  1. テンプレート:Lang-en-shortCD
  2. テンプレート:Cite news
  3. テンプレート:Cite news
  4. テンプレート:Cite news

関連項目

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