権現

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テンプレート:Sidebar 権現(ごんげん)は、日本の神の神号の一つ。日本神々仏教が仮の姿で現れたものとする本地垂迹思想による神号である。という文字は「権大納言」などと同じく「臨時の」「仮の」という意味で、仏が「仮に」神の形を取って「れた」ことを示す。

インドバラモン教ヒンドゥー教の神々は「天」という神号で護法善神として大乗仏教天部に取り入れられたが、日本の神々が日本仏教に取り入れられた際には本地垂迹に基づき権現という神号が多く用いられた[1]。権現には山王神道天台宗)・両部神道真言宗)に基づくものや、自然崇拝山岳信仰)と修験道が融合したもの等がある。

神号の事例

神社に由来した事例

春日大社武甕槌命(一殿)・経津主命(二殿)・天児屋根命(三殿)・比売神(四殿)の四柱の祭神を祀るが、中世には興福寺神宮寺として支配的な影響力を持ったため、神仏習合に基づいて不空絹索観音(一殿)・薬師如来(二殿)・地蔵菩薩(三殿)・十一面観音(四殿)の垂迹として春日権現と呼ばれてきた。ただし、武甕槌命や天児屋根命は古事記日本書紀などに登場する神道固有の神々であり、「武甕槌権現」「天児屋根権現」というような神道本来の神名と神仏習合思想が混在した神号は存在しない。

地名に由来した事例

山岳信仰と修験道が融合した立山修験白山修験、羽黒修験などではの名が冠されて、それぞれの神号は立山権現白山権現羽黒権現になっている。また日光修験の日光権現日光二荒山神社の祭神)は、勝道上人が開基した二荒権現(ふたらごんげん)に由来する「日光」という地名が神号と結びついた事例である。

神社名や地名を用いる以外では、祭神の数で「六所権現」などと呼ぶこともある[2]。組み合わせにより、「日光三所権現」のように用いられることもある。「金剛蔵王権現」(金剛蔵王菩薩)のように本地仏の名前がそのまま垂迹神の名前として用いられる例もあるが稀である。これらのことは明神号にも多く共通する。

神仏分離・廃仏毀釈

明治維新神仏分離令(神仏判然令)で権現社・権現宮の多くが廃され、「権現」の神号や修験道が一時禁止されたため、権現の神々は政策により本来の神社の祭神に戻されたり、修験道の神々は強制的に神道の神々として改変(祭神の変更)された。後者の事例としては復古神道国学の影響下で、火難除けの愛宕権現は廃されて愛宕大神に、白山権現(白山修験)が廃されて白山比咩大神の呼称に、なお秋葉権現の祭神は三尺坊大権現から火之迦具土大神に変更された。

主な権現

脚注

  1. 「権現」以外の例は八幡大菩薩など。
  2. この場合は複数の神をひとつの神とみる。

関連項目

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