月刊ビジネスアスキー

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月刊ビジネスアスキー』(げっかんビジネスアスキー)は、アスキー・メディアワークス(旧アスキー)が発行したパソコン雑誌である。

創刊から2008年10月号までの誌名は『月刊アスキー』(げっかんアスキー)で、その表記は時代と共に「ASCII」「アスキー」「ascii」などの変化を経ていった。かつてはパーソナルコンピュータを幅広く扱う趣味性の強い内容であったが、2006年にリニューアルされ、ITビジネスに主眼を置いた誌面となった。

歴史

1970年代

創業〜マイコン時代

1977年(昭和52年)5月24日、西和彦らが株式会社アスキー出版(メディアリーヴスの項目を参照)を設立、同年6月18日に同社の月刊誌『月刊アスキー』として創刊し、同年7月号として定価440で発売された。創刊号の発行部数は5,000部。

1980年前後に創刊され、ともにいわゆる「マイコンブーム」の中にあった後発のパソコン雑誌(マイコン雑誌)の数々が休刊した中で、2010年まで生き残った。『I/O』が最後の生き残りである。

創刊号では(趣味としてのマイコンという色の強かった先行の『I/O』に対し)巻頭言で「ホビーとの訣別」を掲げ[1]、その文中には「パーソナル・コンピューティング」という言葉も見える。しかしまだen:Home computerがアメリカで誕生したかしないか、という時代であり(1977年はApple IIPET 2001TRS-80の誕生の年である)、実際の内容は「マイクロコンピュータ総合誌」としてマイコンに関する幅広い内容を扱うこととし、ワンボードマイコンが記事の中心だった。

1980年代

1980年前後、『I/O』『月刊アスキー』『月刊マイコン』『RAM』が4大雑誌と言われた。月刊アスキーは、4誌唯一の大きなサイズや、誌面イラストのセンス溢れるデザインで、『I/O』と並び最も人気あるマイコン雑誌の地位を誇った。

この時代の特筆事項としては、TL/1・GAMEなどの小さな言語処理系と、思考型ゲームがある。思考型ゲームではコンピュータRPG黎明期の一つ『アレフガルド』(『ザ・ブラックオニキス』より登場が早かった)の他、『ボコスカウォーズ』やウォーゲームフリートコマンダー』はファミリーコンピュータにも移植。マイコンによるオセロゲームの投稿プログラム大会「マイクロオセロリーグ」で常連だった森田和郎はエニックス(現:スクウェア・エニックス)の第1回ホビープログラムコンテストにも入賞、『I/O』出身の中村光一と共に、雑誌投稿出身のゲームクリエイターとして名を知らしめた。

1980年代中期にはゲーム産業・市場が発展、「ホビーとの決別」を高らかに謳って出発したアスキーであったが、82年に本誌別冊として始まったパソコンゲーム誌ログイン、さらに86年にはさらにそこから独立したテレビゲーム誌ファミコン通信を発刊。本誌のゲーム記事はこれらとあるていど住み分けがされつつ掲載される。ゲームがホビーから産業になったと見ることもできる。

1990年代

遠藤編集長時代

1990~2002年にかけて、月刊アスキーの編集長は遠藤諭であった。「パーソナルコンピュータ総合誌」として、内容としては、ハードウェアソフトウェアをはじめ多くの分野についての記事があり、WindowsMacintoshPC-UNIX携帯電話デジタル家電など、多くのプラットフォームにまたがった記事を掲載する他、「ホーテンス・S・エンドウ」名義で連載し好評を受けた「近代プログラマの夕」(連載開始は編集長就任以前)、今日いわゆるデジタルガジェットと呼ばれているような部類の商品の紹介、東京おとなクラブ時代の杵柄であるサブカルなど幅広くかつ濃い内容であった。

2000年代

休刊、asciiそしてビジネスアスキーへ

2006年(平成18年)7月18日発売の同年8月号(通巻350号)で臨時休刊することを発表した。

2006年10月24日、「ビジネスとITのギャップを埋める」『月刊アスキー』に新創刊した。表紙のロゴはそれまでの大文字ではなく小文字(ascii)となっている。

2007年9月29日、月刊アスキーの創刊30周年を記念し『月刊アスキー限定復活版』を発行した。表紙のロゴも創刊時の旧ロゴ(ASCII)が使用されている。

2008年9月24日に発売された2008年11月号より、誌名が『月刊ビジネスアスキー』に変更された(同年7月7日に発表)。表紙のロゴ表記もカタカナである。

2010年代

ビジネスアスキーとしても休刊

2010年1月23日、この日発売された3月号をもって『月刊ビジネスアスキー』休刊。

姉妹誌

脚注

  1. 富田倫生『パソコン創世記』に引用されている

関連項目

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