ボコスカウォーズ

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ボコスカウォーズ』は、戦略シミュレーションゲーム。オリジナル版は、1983年に現ラショウによりX1用ソフトとして開発された。

来歴

オリジナル版発表の翌1984年、第1回アスキーソフトウェアコンテストグランプリを受賞し、アスキーよりパッケージ販売された。同年MSXPC-8801、翌1985年にはS1PC-6001mkIIPC-9801FM-7ファミリーコンピュータ用に移植・発売されている。

ログイン1984年11月号では、続編にあたるX1用『ニュー・ボコスカウォーズ』(『ログインNEWバージョン』とも)がプログラムリストと共に発表された。これは敵キャラクターを一新、アイテムやトラップを新設したバージョンで、前作より難易度の高いバランスとなっている。この作品はテープログイン1984年11月号にも収録されたが、これ以外の形でのパッケージ販売はされていない。

現在もエンターブレインからダウンロード形式でPC-8801版が販売されており、2004年にはiモード用に移植された。2008年4月8日からファミコン版がWiiバーチャルコンソールで配信されている。

作品解説

プレイヤーはスレン王国軍を操作し、敵国バサム帝国のアドロス城に進軍し、敵指導者を倒すのが目的である。横スクロールのフィールド上を左に進軍し、途中牢屋に囚われている仲間を集めつつ敵兵を倒し、マップ終端にいる最終ボスを倒すと1面クリアとなる。以降、より難易度の高いステージを同様に繰り返し、5面クリアするとゲームクリアである。

移動する場合、切り替えボタンで移動させるユニットを切り替えながら進軍するが、選択肢が「全員」「スレン王のみ」「騎士・重騎士全員」「兵卒・重兵卒全員」の4つしか用意されていない。それぞれの選択したユニットが同時に移動するため、意図しないキャラクターが木や岩に引っかかっていることがままある。また、移動は画面外のキャラクターにも作用する。

敵兵と味方兵が接触すると戦闘になるが、当時のコンピュータゲームとしては珍しくステータスの数値が王様のパワー(ヒットポイント)以外は一切表示されておらず、内部的なパワー数値とランダム要素によって勝敗が決定される。敗北したキャラクターは消滅、この際自軍の兵が勝利するとそのキャラクターに10ポイントのパワーがプラスされる。

いくつかのキャラクター同士には相性が設定されており、楽に勝てる組み合わせ・負けやすい組み合わせが存在する。また敵の背後(画面左側)から攻撃すれば勝率が高くなるというように楽に戦いを進める方法もあるが、自軍は最小でも職業単位でまとめてしか動かせないため、やむを得ず敵に接触することや地形に引っ掛かり身動きがとれなくなる場合も多い。背後からの攻撃は騎士らしからぬ振る舞いなので、実行には相応のペナルティがあるということを意味している[1]

発売当時のジャンルはロールプレイングゲーム、あるいはアクションロールプレイングゲームとされていたが、現代の価値観に照らせば戦略性・パズル性が強く、シミュレーションゲームに近い。また自分が動かないかぎり敵からは戦闘を仕掛けてくることはないというターン制に近いシステムになっており、実質的にはアクション性はない。

なお独特のゲーム音楽にはプログラマー自身による歌詞『すすめボコスカ』が付けられている。

ストーリー

ボコスカウォーズ

隣国バサム帝国の攻撃を受けたスレン王国国王は、味方の軍勢とともにアドロス城の暴君オゴレスの討伐に向かう。

機種によっては、「滅亡に瀕したスレン王国の生き残りである王子が、暴君オゴレスへの最後の反撃に出る」という設定になっている。

ニュー・ボコスカウォーズ

オゴレス亡き後、廃墟と化したアドロス城にすみついた悪霊を倒すため、再びスレン王国軍がバサム帝国跡に向かう。

登場キャラクター

ボコスカウォーズ

味方

  • スレン王 - 主人公格で自軍に1体しか存在しない。最強の初期パワー220を誇るが、敗北すると即ゲームオーバーとなる。大木や領地の境界線を消去する能力を持つ。ファミコン版ではマップ上の木やサボテン等に変身させられている味方兵士を救出できる。なお、最大戦闘力は全キャラクター中最も高い320。ここまで育てると、敵兵卒には絶対に負けなくなる。
  • 兵卒 - 初期戦闘力30と最弱の兵士だが、初期メンバーは最も多く、地形の中から救出して補充することもできる。2周目より登場する「呪いの落とし穴」を消去する能力を持ち、3勝した兵卒は重兵卒(戦闘力140)に変身する。オゴレス王の親衛隊の戦闘力を10にまで落とすことができる。
    • 重兵卒 - 変身前の兵卒より+80のパワーを持つ。親衛隊に強い。最大戦闘力は310。
  • 騎士 - 初期戦闘力150と兵卒よりはるかに高いパワーを持つが、初期メンバー数は少なく、マップ上での補充もできない。牢屋の鉄格子を消去する能力を持ち、3勝した騎士は重騎士(戦闘力260)に変身する。
    • 重騎士 - 変身前の騎士より+80のパワーを持つ。魔導師に強い。最大戦闘力は310。

  • オゴレス王 - 最終ボス。戦闘力100。最強レベルのパワーを持つうえ、スレン王でなければまず倒せない。
  • 兵卒 - 戦闘力10。最弱の存在だが、まれに高いパワーを持つ兵卒も混在している。
  • 騎士 - 戦闘力50。パワーでは兵卒に勝る序盤の強敵。だが重騎士・重兵卒クラスの相手ではない。
  • 獄吏 - 戦闘力30 - 40。味方軍の兵卒を捕らえた牢屋付近に出現する。俊敏でパワーもあり、兵卒では苦戦必至。
  • 魔導師 - 戦闘力30。王様の背後に幻戦士を発生させる能力を持つ。重騎士に弱い。
    • 幻戦士 - 戦闘力50。魔導師が生み出す幻だが、多大なパワーを持つうえに何度でも復活する特性を持つ。魔導師が敗北すると一緒に消失する。
  • 重騎士 - 戦闘力100。王様を集中して攻撃する。パワーは強力だが、動きが鈍いという欠点がある。
  • 親衛隊 - 戦闘力250。オゴレス王の周囲にいる最強の敵。しかし兵卒には弱く、重兵卒には致命的に弱い(兵卒には戦闘力10になる)。親衛隊の堅固な魔法鎧の隙間を突けるのは身軽な兵卒のみ、というイメージ[1]

※戦闘力は1周目のもの。1周クリアするごとに敵の戦闘力は10底上げされる。5周目以降は変化なし。 ※「呪いの落とし穴」は5周目まで増え続ける。5周目以降は変化なし。

ニュー・ボコスカウォーズ

味方

  • KING(王様) - 『ボコスカウォーズ』における王様と同一。
  • PAWN(兵卒) - 『ボコスカウォーズ』における兵卒と同一。マップ上のTREASURE(宝)に触れてもGREAT PAWNに変身できる。
    • GREAT PAWN(重兵卒) - 『ボコスカウォーズ』における重兵卒と同一。
  • KNIGHT(騎士) - 『ボコスカウォーズ』における騎士と同一。マップ上のTREASURE(宝)に触れてもGREAT KNIGHTに変身できる。「BOTTOMLESS POND(魔法の底なし沼)」を消去する能力も持つ。
    • GREAT KNIGHT(重騎士) - 『ボコスカウォーズ』における重騎士と同一。騎士と違い、「BOTTOMLESS POND(魔法の底なし沼)」は消去できない。

  • DRAGONET(ドラゴニット) - 『ボコスカウォーズ』のオゴレス王にあたる存在。小龍の姿をしている。
  • RETAINER(リテイナー) - 『ボコスカウォーズ』の兵卒にあたる存在。
  • ARMOR-CLAD(アーマークラッド) - 『ボコスカウォーズ』の騎士にあたる存在。
  • EVELEYE(イビルアイ) - 『ボコスカウォーズ』の獄吏にあたる存在。
  • CONJURER(コンジャラー) - 『ボコスカウォーズ』の魔導師にあたる存在。
    • PHANTOM(ファントム) - 『ボコスカウォーズ』の幻戦士にあたる存在。
  • HEAVY ARMOR-CLAD(ヘビーアーマークラッド) - 『ボコスカウォーズ』の重騎士にあたる存在。
  • ENTOURAGE(エントラージュ) - 『ボコスカウォーズ』の親衛隊にあたる存在。

その他

  • KILLER RIVER(死の川) - 『ニュー・ボコスカウォーズ』オリジナルのトラップ。マップ上に存在し、上に乗ると無条件で死亡する。
  • WARP HOLE(歪みの穴) - 『ニュー・ボコスカウォーズ』オリジナルのトラップ。マップ上に存在し、KING以外が上に乗ると±40ユニットの範囲でランダムにワープするか、WARP HOLEが消失する。どちらの結果になるかはランダム。

機種による違い

ファミリーコンピュータ版

初期ユニットはスレン王1人であり、魔法で岩や木に変えられた仲間を1人ずつ救出していかねばならない。これはゲーム機の処理機能の制限に合わせるための措置である[1]。ただし、牢屋に捕らわれた兵卒はパソコン版のまま。

これに関連し「少数精鋭・雑魚を倒し成長」的な発想でゲームを進めた結果、戦闘結果がランダムであるためうまくいかず、パズル的な攻略法に気付く前に「運だけのゲーム」と誤解してしまうプレイヤーも少なくなかった。

パソコン版では敵キャラの多くが画面右に向かって進軍してくる傾向があるが、ファミコン版ではその動きが控えめである。特に、敵城から重騎士の大半を誘い出す場合、パソコン版では親衛隊の大半も外に出てしまうが、ファミコン版の親衛隊は城内に残る。

主に背景書き換え量の制約でゲーム進行、入力に対する反応は遅めで、移動が完了するまで方向キーを押していないと処理順の遅い味方がその場に残ってしまうこともある。逆用すれば、1列に並んだ味方を2列に並べ直すようなこともできる。

反面、音楽や効果音には凝っており、取扱説明書にはBGMの楽譜と歌詞(「すすめ すすめ ものども……」で始まるもの)が掲載されていた。この曲はチップチューンのカバーアルバム『ファミソン8BIT STAGE2』で桃井はるこが声を当てて歌っているテンプレート:Refnest[2]

脚注

テンプレート:Reflist
  1. 1.0 1.1 1.2 GAME SIDE』(マイクロマガジン社)Vol.10 pp.130 - 131
  2. 他にHONDALADYのCASETTABLEという曲の中でも歌われている。

参考文献

  • 「特集-RPGしてみようよ」『ログイン』23号、アスキー、1984年、136頁。
  • 「MSX MAGAZINE永久保存版」アスキー、2002年。

関連項目

外部リンク