宇宙航空研究開発機構

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テンプレート:Infobox 研究所 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(うちゅうこうくうけんきゅうかいはつきこう、英称:Japan Aerospace eXploration Agency, JAXA)は、日本の航空宇宙開発政策を担う研究・開発機関である。内閣府総務省文部科学省経済産業省が共同して所管する独立行政法人で、同法人格の組織では最大規模である。2003年10月1日付けで日本の航空宇宙3機関、文部科学省宇宙科学研究所 (ISAS)・独立行政法人航空宇宙技術研究所 (NAL)・特殊法人宇宙開発事業団 (NASDA) が統合されて発足した。本社は東京都調布市(旧・航空宇宙技術研究所)。報道では宇宙機構宇宙開発機構宇宙航空機構などの略称が用いられることもある。

概要

目的

現在の法人設置における根拠法令になる独立行政法人宇宙航空研究開発機構法4条によれば本法人の目的は以下の通り[1]

「大学との共同等による宇宙科学に関する学術研究、宇宙科学技術(宇宙に関する科学技術をいう〔……〕)に関する基礎研究及び宇宙に関する基盤的研究開発並びに人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用並びにこれらに関連する業務を、宇宙基本法第2条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり、総合的かつ計画的に行うとともに、航空科学技術に関する基礎研究及び航空に関する基盤的研究開発並びにこれらに関連する業務を総合的に行うことにより、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上並びに宇宙の開発及び利用の促進を図ることを目的とする」

宇宙開発の計画と評価

2012年7月11日まで、本法人は文部科学省に付随する審議会である宇宙開発委員会(最初は1968年総理府に設置)[2]により宇宙開発の計画・評価を、航空科学技術委員会[3]により航空科学技術研究の計画・評価を受けていた。

各省庁毎に分かれている宇宙開発政策を統合して一元的な宇宙開発を推進することを目的として、2008年8月27日宇宙基本法が施行された。これにより新たに内閣に設置された宇宙開発戦略本部が本法人の位置付けの検討・見直しを行うこととされた。この流れを受けて2012年7月13日に、宇宙政策の立案と各省間の統合調整を行う宇宙審議官を長とした要員数約30人の宇宙戦略室が内閣府の下に発足した。これと共に宇宙開発委員会が廃止され、宇宙開発戦略本部の本部長の内閣総理大臣の諮問を受けて宇宙開発計画の妥当性の審議や各省や宇宙機関への勧告を行う、7人以内の非常勤の有識者により構成される宇宙政策委員会も内閣府の下に発足した。本法人はこれらの機関の指導・監督を受けて宇宙開発の実務に当たることになる[4]

歴代理事長

組織

2013年4月1日現在は、次の6本部1所1プログラムグループ体制で運営されている[6]

宇宙輸送ミッション本部
宇宙輸送システムの研究開発、H-IIAロケットをはじめとするロケットの打ち上げおよび、国際宇宙ステーション計画への取り組みや有人宇宙技術の研究や蓄積など。(旧・宇宙開発事業団
第一衛星利用ミッション本部
人工衛星システムの研究開発と利用の促進など。(旧・宇宙開発事業団)
第二衛星利用ミッション本部
有人宇宙ミッション本部
国際宇宙ステーションの日本実験モジュール「きぼう」や宇宙ステーション補給機「HTV」等有人宇宙システムに関する研究開発や利用の促進など。
研究開発本部
航空宇宙技術の基盤研究・将来に向けた技術開発や各プロジェクトへの技術支援など。(旧・宇宙開発事業団技術開発部門・宇宙科学研究所技術研究部門)
航空本部
日本の航空産業のための航空技術の研究開発(旧・航空宇宙技術研究所・研究開発本部航空部門)
宇宙科学研究所(ISAS=アイサス)
惑星探査機、天体観測衛星、工学試験衛星の開発および運用など。総合研究大学院大学に参加している。(旧・宇宙科学研究本部)
月・惑星探査プログラムグループ
月(月周回衛星「かぐや」)や惑星(小惑星探査機「はやぶさ」)探査などを担う。愛称は JSPEC (JAXA Space Exploration Center)。

✝平成25年4月1日現在。

各部門毎に本部長以下、各組織に分かれ各研究テーマや開発業務を行っている。

予算と人員規模

2010年(平成22年)度の宇宙開発予算を先進国の宇宙機関同士で比較すると、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が約1兆7,597億円(さらに同規模の予算が国防総省から支出、2009年度の宇宙開発予算総額は約4.6兆円[7])、欧州宇宙機関 (ESA) が約5,018億円(2007年度の宇宙開発予算総額は約8,000億円[7])であるのに対し、JAXA の実質的な予算額はわずか1,800億円と NASA の10分の1程度である[8]。なお1,800億円という額は内閣官房予算で開発される情報収集衛星 (IGS) の毎年約400億円の JAXA 分受託費用を除外した額であり、これを加えた場合の JAXA の予算は約2,200億円、他省庁の予算も含めた宇宙開発予算総額は3,390億円になる[7]

ロケットの開発費で比較すると、前任者から改良開発された NASA のデルタIV の開発費は2,750億円、アトラスVの開発費は2,420億円であるのに対し、H-IIを技術的基盤に同じく改良開発された H-IIAH-IIB の開発費合計額は約1,802億円であり2機種合わせても1000億ほど安く開発されている[9]。さらに前身の NASDA を見ても、全段新規開発された ESA の主力ロケットのアリアン5シリーズの開発費約8,800億~9,900億円に対し、同じく全段新規開発された H-II の開発費は2,700億円で3分の1以下である[9]

人員で比較するとアメリカの約43,500人(NASA 約18,500人+アメリカ戦略軍 約25,000人)、欧州の約10,195人(ESA 約1,900人 + CNES 約2,400人 + DLR 約5,600人 + ASI 約250人 + BNSC 約45人)、インド宇宙研究機関の約13,600人に対して、JAXA は NASA の10分の1以下の1,571人である[8]。なおJAXA 発足以降人員は漸減傾向にある[10]

沿革

ファイル:H-IIA Family.png
H-IIA ロケットファミリー

テンプレート:See also

統合時の状況

JAXA は、国の行政改革の一環としてのみならず、各宇宙機関の連携不足を解消して相次ぐ失敗により失われた日本の宇宙開発に対する信頼回復をするために発足した組織であるが、統合直後に臨んだ H-IIAロケット6号機(元は事業団が9月中に打ち上げる予定だった)は上昇途中にトラブルを起こし、地上からの指令で爆破される結果に終わった。さらに、宇宙科学研究所が打ち上げた火星探査機のぞみ」を火星周回軌道に乗せる事にも失敗し、発足後は試練の連続となった[11]

統合後の主な実績

2005年(平成17年)2月26日にはH-IIAロケット7号機でひまわり6号の軌道投入に成功した。7月10日には M-VロケットによるX線天文衛星すざくの打ち上げにも成功した。X線天文学は日本が世界をリードしている宇宙科学分野である[12]10月10日には小型超音速実験機NEXST-1による飛行実験に成功した。

2006年(平成18年)には1月から2月にかけての1ヶ月以内に初めて連続3機のロケットを打ち上げた。この際打ち上げた陸域観測衛星だいちは災害監視に活用され、赤外天文衛星あかりは宇宙科学の発展に貢献している。またひまわり7号1990年(平成2年)の米国との衛星調達協定以降、初めて成功した国産商用衛星であった。同年には太陽観測衛星ひのでが打ち上げられ、翌2007年12月にはアメリカのサイエンス誌において、様々な新発見を掲載した『ひので特集号』が刊行された[13]

2007年(平成19年)9月に打ち上げたかぐやは月面のHD画像を地球に送信する等アポロ計画以来世界最大規模の月探査を成功させ、2009年2月にはこの成果をまとめたサイエンス誌『かぐや特別編集号』が刊行された[14]

前身の ISAS が2003年(平成15年)に打ち上げたはやぶさ2010年(平成22年)に地球に帰還し、小惑星からのサンプルリターンを世界で初めて成功させ、2008年7月と2011年8月にサイエンス誌で『はやぶさ特集号』が刊行された[15]。また同2010年に打ち上げたIKAROSは宇宙空間での太陽帆航行を世界で初めて成功させた。世界初の成果を得た「はやぶさ」と「IKAROS」はギネスブックに登録された[16][17]

2008年(平成20年)からはきぼう宇宙実験棟の運用が始まり、2009年(平成21年)には H-IIBロケットの打ち上げと宇宙ステーション補給機による国際宇宙ステーションへの物資輸送を成功させたことで、80年代から続けられてきた日本の国際宇宙ステーション計画において大きな成果を収めた。またNASDA時代から引き続きスペースシャトルソユーズを利用して有人宇宙飛行事業を実施している。

宇宙機の打ち上げ

テンプレート:See also ここでは、JAXA が開発した宇宙機の打ち上げ、もしくは JAXA の衛星打ち上げロケットによる打ち上げのみを列挙する[18]

名称 略字名 用途 打上ロケット 打上日 備考
光学2号機 情報収集衛星 H-IIAロケット6号機 2003年 11月29日 打上げ失敗によりロケットが指令破壊され衛星を喪失
レーダー2号機
ひまわり6号 MTSAT-1R 運輸多目的衛星 H-IIAロケット7号機 2005年 2月26日 RSCサービス
すざく ASTRO-EII X線天文衛星 M-Vロケット6号機 7月10日 ISAS(宇宙科学研究本部)
きらり OICETS 光衛星間通信実験衛星 ドニエプルロケット 8月24日
れいめい INDEX 小型科学衛星 ISAS ピギーバック衛星
だいち ALOS 陸域観測技術衛星 H-IIAロケット8号機 2006年 1月24日
ひまわり7号 MTSAT-2 運輸多目的衛星 H-IIAロケット9号機 2月18日 RSCサービス
初の1ヶ月以内連続打上げ
あかり ASTRO-F 赤外線天文衛星 M-Vロケット8号機 2月22日 ISAS
光学2号機 K2 情報収集衛星 H-IIAロケット10号機 9月11日 H-IIAロケット6号機の打ち上げ失敗によって失った衛星の代替機。
ひので SOLAR-B 太陽観測衛星 M-Vロケット7号機 9月23日 ISAS
大型展開アンテナ
小型・部分モデル2
LDREX-2 大型展開アンテナの実証試験 アリアンVロケット 10月14日 相乗り衛星
きく8号 ETS-VIII 技術試験衛星VIII型 H-IIAロケット11号機 12月18日 初のH2A204型での打ち上げ。
衛星も5.8トンと過去最も重い。
レーダー2号機 R2 情報収集衛星 H-IIAロケット12号機 2007年 2月24日 H-IIAロケット6号機の打ち上げ失敗によって失った衛星の代替機。
光学3号実証機 K3
かぐや SELENE 月周回衛星 H-IIAロケット13号機 9月14日
きずな WINDS 超高速インターネット衛星 H-IIAロケット14号機 2008年 2月23日
日本実験棟「きぼう
船内保管室
ISS日本実験棟「きぼう」(JEM) の船内保管室 スペースシャトルエンデバー号 3月11日 土井隆雄宇宙飛行士が搭乗し組み立てミッション (1J/A) を行う。STS-123
日本実験棟「きぼう」
船内実験室/ロボットアーム
ISS日本実験棟「きぼう」(JEM) の船内実験室とロボットアーム スペースシャトルディスカバリー号 6月1日 星出彰彦宇宙飛行士が搭乗し組み立てミッション (1J) を行う。STS-124
いぶき GOSAT 温室効果ガス観測技術衛星 H-IIAロケット15号機 2009年 1月23日 他に学校・企業開発の小型衛星6機相乗り
小型実証衛星1型 SDS-1 技術試験衛星
日本実験棟「きぼう」
船外実験プラットフォーム/船外パレット
ISS日本実験棟「きぼう」(JEM) の船外実験プラットフォームと船外パレット スペースシャトルエンデバー号 7月16日 ISS長期滞在中の若田光一宇宙飛行士が組み立てミッション (2J/A) を行う。きぼうの完成。STS-127
HTV技術実証機 HTV-1 宇宙ステーション補給機 (HTV) H-IIBロケット試験1号機 9月11日 夜間打ち上げ(02時01分)
光学3号機 情報収集衛星 H-IIAロケット16号機 11月28日 5年の耐用年数の切れる情報収集衛星光学1号機の代替
あかつき PLANET-C 金星探査衛星 H-IIAロケット17号機 2010年 5月21日 あかつきはISAS PLANET計画他に大学開発の小型衛星4機相乗り
IKAROS 小型ソーラー電力セイル実証機
みちびき QZS-1 衛星測位システム H-IIAロケット18号機 9月11日 準天頂衛星システム計画 (QZSS) の初号機
こうのとり2号機 HTV-2 宇宙ステーション補給機 (HTV) H-IIBロケット2号機 2011年 1月22日
光学4号機 情報収集衛星 H-IIAロケット19号機 9月23日 5年の耐用年数の切れる情報収集衛星光学2号機の代替
レーダ3号機 情報収集衛星 H-IIAロケット20号機 12月12日
しずく GCOM-W1 水循環変動観測衛星 H-IIAロケット21号機 2012年 5月18日 他にアリラン3号鳳龍弐号が相乗り
小型実証衛星4型 SDS-4 技術試験衛星
こうのとり3号機 HTV-3 宇宙ステーション補給機 (HTV) H-IIBロケット3号機 7月21日 こうのとり3号機の与圧部には5機の CubeSat3、1、米共同1[19])を搭載。ISS に搬入後、きぼうから軌道へ投入する(参照)。
H-IIB には新型アビオニクス(参照)を初適用。
レーダー4号機 情報収集衛星 H-IIAロケット22号機 2013年 1月27日
光学5号実証機 情報収集衛星
こうのとり4号機 HTV-4 宇宙ステーション補給機 (HTV) H-IIBロケット4号機 8月4日 こうのとり4号機の与圧部には4機の CubeSat(日越共同1、米3)を搭載。ISS に搬入後、2013年10月から2014年3月にかけて順次きぼうから軌道へ投入する。
4号機からH-IIBの打ち上げ業務が三菱重工に移管された。
ひさき SPRINT-A 惑星分光観測衛星 イプシロンロケット試験機 9月14日 2度の延期の後のイプシロンロケットの初打ち上げ。8月22日の打ち上げが信号中継装置の配線誤りにより延期され、再設定された8月27日の打ち上げも、自動点検装置の姿勢制御に関するエラー誤検知により再延期されていた。
全球降水観測主衛星 GPM 全球降水観測衛星 H-IIAロケット23号機 2014年 2月28日 他に大学開発の7機の小型衛星を搭載。
だいち2号 ALOS-2 陸域観測技術衛星 H-IIAロケット24号機 5月24日 他に大学や企業開発の4機の小型衛星を搭載。

打ち上げ予定

ファイル:H-IIA F19 launching IGS-O4.jpg
H-IIAロケット (19号機)
ファイル:H-IIB F2 launching HTV2.jpg
H-IIBロケット (2号機)

打ち上げが予定されているロケットと衛星・探査機。状況に合わせて順番などは変更されることがある。

2014年(平成26年)度
  • H-IIBロケット:宇宙ステーション補給機 (HTV) 5号機
  • H-IIAロケット:ひまわり8号[20]
  • H-IIAロケット:はやぶさ2
  • H-IIAロケット:情報収集衛星光学5号機
  • H-IIAロケット:情報収集衛星レーダー予備機
  • ソユーズSTK:雲・エアロゾル放射観測衛星EarthCARE[21]
2015年(平成27年)度
  • H-IIAロケット:X線天文衛星 ASTRO-H[22] - すざく後継機。
  • H-IIAロケット:TELSTAR - カナダの通信衛星[21]
  • H-IIBロケット:宇宙ステーション補給機 (HTV) 6号機
  • イプシロンロケット:小型ジオスペース探査衛星 ERG[23]
2016年(平成28年度)
2017年(平成29年度)
  • H-IIAロケット:情報収集衛星レーダー6号機[24]
  • H-IIAロケット:準天頂衛星システム2号機[21]
  • H-IIAロケット:準天頂衛星システム3号機[21]
  • H-IIAロケット:準天頂衛星システム4号機[21]
  • H-IIAロケット:GOSAT2 - いぶき後継機[21]
  • イプシロンロケット:LOTUSAT1 - ベトナムへ供与するASNAROレーダ機[21]
  • 未定:次世代情報通信衛星 - きく8号応用[26]
2019年(平成31年度)
  • H-IIAロケット:情報収集衛星光学7号機[27]
  • 未定:光データ中継衛星[28]
2020年(平成32年度)
  • イプシロンロケット:LOTUSAT2 - ベトナムへ供与するASNAROレーダ機[21]
2022年(平成34年度)

検討・提案段階の探査計画

  • セレーネ2計画:月着陸、サンプルリターン計画
  • はやぶさMK.2計画、マルコ・ポーロ計画:小惑星からのサンプルリターン、ヨーロッパ宇宙機関と共同研究中
  • 有人月面拠点システム:将来の国際月有人研究拠点構築に向けた、日本の参加形態のありようなどの検討を実施。
「JAXAビジョン2025」に盛り込まれた将来計画
  • 火星探査計画:火星探査への再挑戦計画。
  • 木星探査計画:長期深惑星探査における国際共同研究テーマ。国際会議などで議論中。

検討・提案段階の科学衛星

継続予定の宇宙技術

  • リモートセンシング衛星(地球観測衛星)
  • 高度通信技術衛星(衛星間通信衛星等)
  • 宇宙観測技術衛星(スペースVLBI、赤外線探査、紫外線探査、高エネルギー線探査)
  • 国際宇宙ステーション滞在実験
  • ペイロードの余裕から打ち上げできるピギーパック衛星打ち上げ(宇宙事業協力協議会、各大学の宇宙工学研究室との連携。公募型小型衛星のコンテストなど)。

継続予定の航空技術

ファイル:Beechcraft B65 Queen Air.JPG
JAXAが実験機として所有するビーチクラフト・クインエア

施設・事業所

事務・駐在員(宇宙飛行士を含む)関係部署および研究所

テンプレート:Multiple image

有人宇宙利用関連駐在事務所

宇宙航空研究開発・打ち上げ・管制実務担当施設

射場

実験場・観測施設・管制施設・宇宙通信施設

実験・開発施設
大気圏観測・宇宙観測施設
宇宙通信施設
打ち上げ管制施設
深宇宙ミッション用臨時通信施設

電波通信施設を借り受け運用中。

情報漏洩事件

2011年8月検出分

2011年8月11日に JAXA 職員用パソコン1台が異常を検出、同月17日コンピューターウイルスに感染している事が判明した。その後このウイルスを駆除しても異常が続いたため継続して調査したところ、別の新種のウイルスも情報を収集していたこと、7月6日から8月11日までに外部に情報を送信していたことが判明し、この事実を2012年1月13日に発表した。漏洩した可能性のある情報は「端末に保存されていたメールアドレス」、「宇宙ステーション補給機(HTV)の仕様や運用に関連する情報」、「当該端末からアクセスしたシステムへのログイン情報」である[30]。感染経路は、2011年7月6日に職員宛に送られてきたメールの添付ファイルを、新種のウイルスが仕込まれた標的型攻撃メールと気付かずに職員が開けた事によるものであるとされた[31][32]。この標的型攻撃メールは、職員の知人の送信者名で職員を飲み会へ誘う件名で送信されていた[33]

2012年3月27日に調査結果が発表され、「当該端末の中に入っていた情報および当該端末が業務中に表示した画面情報が漏洩したが、当該端末内に機微な情報が保存されていなかったこと、並びに当該端末では当該期間中にHTVの仕様や運用に関する機微な情報が扱われていなかったこと」、「当該端末からアクセスしたシステムへのログイン情報が漏洩したが、当該端末内に機微な情報が保存されていなかったこと、並びに当該端末では当該期間中にHTVの仕様や運用に関する機微な情報が扱われていなかったこと」、「メールアドレスの個々の漏洩は特定できなかったこと」が明らかにされた[31]

2012年11月検出分

2012年11月21日、社内ネットワークに接続された筑波宇宙センターの職員業務用パソコン1台でコンピューターウイルスを検知、28日にこのパソコンが「イプシロンロケットの仕様や運用に関わる情報」および「イプシロンロケット開発に関連する M-Vロケット、H-IIAロケットおよび H-IIBロケットの仕様や運用に関わる情報」などの情報を収集し、外部に送信していた可能性があることが判明し、この事実を同月30日に発表した[34][35]。同30日は三菱重工も宇宙事業関連情報が新型ウイルスにより外部に流出していた可能性があることを発表した[36]

2013年2月19日に調査結果が発表された。情報流出の原因となったウイルスの感染経路は、東日本大震災の4日後の3月15日に送られてきた被災者への支援金給付の案内を装ったなりすましメールの添付ファイルを、それと気付かずに職員が開けたことにあった[37]。感染した端末に保存されていた情報は2011年3月17日から2012年11月21日までの1年5ヶ月間、外部に送信され続けていた[38]

2013年4月検出分

2013年4月18日にJAXAのサーバーの定期検査を行ったところ、4月17日深夜に何者かが筑波宇宙ステーションに勤務する職員のIDパスワードを使って不正にサーバに侵入していたことが判明した。また、これにより「国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の運用準備に使われる参考情報」、「「きぼう」運用関係者の複数のメーリングリスト」の情報が流出した可能性があることも判明し、JAXAはこの事実を同月23日発表した[39][40]。産経ニュースによると、不正なアクセスは日本と中国からあり、漏洩した可能性のある情報は、きぼうの作業手順書など18件と、JAXA や米航空宇宙局 (NASA) の職員ら延べ約190人のメールアドレスリストとのこと[41]

その他の不祥事

コーポレートスローガン

JAXA発足以来、「空に挑み、宇宙を拓く」が使用されてきたが、JAXA発足10周年を記念して、2013年10月に、新たに「Explore to Realize」と定められた[44]

イメージソング

JAXA が2004年(平成16年)末から2005年(平成17年)夏にかけて行った「JAXA宇宙の音楽募集キャンペーン」で募集した曲の中から審査員や一般投票による審査の結果、グランプリとなった E.Bakay / Vocal 河合夕子の『Radio Emission』が JAXA のイメージソングに採用された。また、他の最終審査会出場の作品と共に公開されている[45]

関連団体

管理運営先

加盟団体・事務局

業務委託・提携先

加盟団体

脚注

テンプレート:Reflist

参考資料

テンプレート:参照方法

条約・協定・法令・政令関係
  • 原典宇宙法(JAXA内サイト)
  • 内閣府, 宇宙計画委員会資料
  • 日本学術会議、第3部資料
  • 省庁間連絡会議、宇宙利用推進協議会
研究開発関連
各国宇宙航空研究開発公開資料
データ集
宇宙開発ポータル

関連図書

  • 『宇宙おもしろ実験図鑑』(協力:宇宙航空研究開発機構 発行:PHP研究所

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:JAXAの施設 テンプレート:宇宙機関 テンプレート:独立行政法人 テンプレート:総務省

テンプレート:文部科学省
  1. 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法(平成十四年十二月十三日法律第百六十一号)、e-Gov
  2. 文部科学省:宇宙開発委員会のページ
  3. 文部科学省:航空科学技術委員会のページ
  4. 第7回宇宙開発戦略本部資料、宇宙開発戦略本部
  5. 理事長挨拶、JAXA
  6. JAXA組織図、JAXA
  7. 7.0 7.1 7.2 「はやぶさ」で脚光!日本の宇宙開発予算は3390億円 日本生命
  8. 8.0 8.1 宇宙航空研究開発機構の事業と今後の課題について 平成22年3月16日 (PDF)
  9. 9.0 9.1 わが国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性 平成23年2月24日 (PDF)(首相官邸公式サイト 宇宙開発戦略本部)
  10. JAXAの経営計画 組織と人員、JAXA
  11. 日本の宇宙開発の歴史 21世紀、JAXA情報センター
  12. 世界をリードする日本の天文学、JAXA
  13. 「ひので」の成果が、科学雑誌「サイエンス」の特集と表紙に!、Astro Arts
  14. 科学誌「サイエンス」が「かぐや」特集号を発行、Astro Arts
  15. 米科学誌「サイエンス」における「はやぶさ」特別編集号の発行について、JAXA 2011年8月26日
  16. 「はやぶさ」ギネス世界記録に認定、JAXA
  17. 世界初の宇宙ヨット JAXA「イカロス」、ギネス認定、朝日新聞 2012年12月12日
  18. 平成23年 世界の宇宙インフラデータブック ロケット編、社団法人 日本宇宙航空工業会
  19. 宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機 (HTV3) の打上げについて JAXA、2012年7月19日
  20. 20.0 20.1 宇宙政策委員会 第3回宇宙輸送システム部会資料
  21. 21.00 21.01 21.02 21.03 21.04 21.05 21.06 21.07 21.08 21.09 21.10 宇宙産業政策の現状と課題 2014年2月28日 第6回宇宙政策委員会 宇宙産業部会 経済産業省提出資料
  22. 宇宙政策委員会 第8回会合 配布資料その6(PDF) 2012年11月8日
  23. 小型科学衛星の将来計画 -小型科学衛星専門委員会
  24. 24.0 24.1 24.2 情報収集衛星の研究・開発 (PDF) 首相官邸
  25. 三菱重工、スカパーから通信衛星打ち上げ受注 2014年5月15日
  26. 次期情報通信衛星(PDF) 宇宙政策委員会第2回会合 2012年8月
  27. 平成25年度 内閣官房 重点要求
  28. 宇宙から情報収集高める「新型衛星」打ち上げへ 中朝に対応 産経ニュース 2014年5月6日
  29. [1](PDF)
  30. JAXAにおけるコンピュータウイルス感染の発生について JAXA公式 2012年1月13日
  31. 31.0 31.1 コンピュータウイルス感染に関する調査結果について JAXA公式 2012年3月27日
  32. JAXAのパソコンにウイルス、「こうのとり」の情報などが漏洩の恐れ It pro 2012年1月16日
  33. のウイルス感染は標的型メールの疑い、NASA関連の情報も漏えい ITmedia 2012年1月13日
  34. JAXAにおけるコンピュータウイルス感染の発生及び情報漏洩の可能性について JAXA公式 2012年11月30日
  35. 宇宙機構でPCウイルス感染 ロケットの情報漏洩か 産経新聞 2012年11月30日
  36. 三菱重工でもウイルス感染 宇宙関連情報、漏洩か 日本経済新聞 2012年11月30日
  37. JAXAウイルス感染原因は震災メール NHKニュース 2013年2月20日
  38. におけるコンピュータウィルス感染に関する調査結果について JAXA 2013年2月19日
  39. JAXAのサーバーに対する外部からの不正アクセスについて、JAXA 2013年4月23日
  40. テンプレート:Cite news
  41. [きぼう情報流出か JAXA に不正アクセス、国内と中国から接続 運用には支障なし]、産経ニュース 2013年4月23日
  42. プログラム架空発注、JAXA職員ら詐欺容疑 読売新聞 2013年5月14日
  43. 機構職員の逮捕について JAXAニュースリリース 2013年5月14日
  44. 新しいJAXA理念とコーポレートスローガンについて
  45. JAXA|JAXAのイメージソング 2012-05-28 参照