総合研究大学院大学

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テンプレート:Infobox 総合研究大学院大学(そうごうけんきゅうだいがくいんだいがく、テンプレート:Lang-en)は、神奈川県三浦郡葉山町湘南国際村、1995年までは東京工業大学長津田キャンパス)に本部を置く日本国立大学である。1988年に設置された。大学の略称は総研大(そうけんだい)。

概要

総合研究大学院大学は、日本初の博士課程のみの国立大学院大学である。大学卒業者、あるいは大学院修士課程博士前期課程)修了者を対象とする。前者に対しては5年一貫制博士課程、後者に対しては博士後期課程となる。6研究科で構成され、各研究科はさらに幾つかの専攻に分かれている。各専攻における研究指導は、基盤機関(大学本部(葉山キャンパス:1995年までは東京工業大学長津田キャンパス)、4つの大学共同利用機関法人に属する16の研究所)、独立行政法人メディア教育開発センター、及び独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)で行われる。

目的

国立大学法人法に定められているところの、国立大学院大学である。国立大学院大学の目的は、時代の先を見据え、専門的かつ視野の広い研究者を育成し、公共の利益に資すること。

学術研究の新しい流れに先導的に対応し、創造性豊かな視野の広い研究者を養成することが目的である[1]。5年一貫制博士課程の新設は、高い潜在能力を持った人材を早めに確保することによって、より高度な学術研究の実施を行う人材を発掘し養成することである。

参考までに、総合研究大学院大学以外の(国立大学法人の)大学院大学には、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)がある。各大学院大学は博士前期課程及び博士後期課程を持ち、地域産業への人材輩出と地域産業振興を目的とした産業基盤強化のための学術研究センターとして、産学及び地方自治体の協力によって設立されたものである。また、公共政策の分野における高度学際的政策研究・教育機関を目的として設置された政策研究大学院大学(GRIPS)がある。これらの大学院大学開設時の経験に基づき、一部の国立大学法人、公立大学法人では、大学院重点化が行われている。

沿革

  • 1988年10月 - 総合研究大学院大学が開学(数物科学研究科、生命科学研究科。共に博士後期課程)。本部は神奈川県横浜市緑区長津田町東京工業大学長津田キャンパス(現・すずかけ台キャンパス)内
  • 1989年4月 - 文化科学研究科(博士後期課程)設置。3研究科で学生受入開始
  • 1995年2月 - 本部を神奈川県三浦郡葉山町に移転
  • 1997年4月 - 先導科学研究科(博士後期課程)設置
  • 1999年4月 - 先導科学研究科で学生受入開始
  • 2004年4月 - 国立大学法人法により国立大学法人総合研究大学院大学となる。数物科学研究科を物理科学研究科、高エネルギー加速器科学研究科、複合科学研究科の3研究科(共に博士後期課程)に改組。生命科学研究科に5年一貫制博士課程を併設
  • 2006年4月 - 物理化学研究科、高エネルギー加速器科学研究科、複合科学研究科に5年一貫制博士課程を併設
  • 2007年4月 - 先導科学研究科に5年一貫制博士課程を併設。生命体科学専攻と光科学専攻を生命共生体進化学専攻に改組
  • 2009年1月 - 基盤機関の独立行政法人メディア教育開発センター廃止により、平成21年度からの文化科学研究科メディア社会文化専攻の学生募集停止を発表[2]

構成

総合研究大学院大学は、以下の研究科、専攻、及び各専攻に対応する基盤機関で構成される。研究科によっては、研究分野の専門性のために異なる基盤機関にまたがっている。

教育の特徴

基本構成

総合研究大学院大学本部を中心として、各専攻を構成する基盤機関との間で協定を締結し、研究者及び所属学生の受け入れを実施している。総合研究大学院大学では、国立大学法人法の規定により、大学院大学長を中心に各専攻を構成する機関の長が理事として大学理事会に参画している。大学本部における教育研究に関する重要事項は、葉山教授会にて審議される[24]

各研究科は独立しており、それぞれは複数の専攻で構成されている。各専攻は各基盤機関に対応しており、各機関の教員は、各人の培ってきた専門分野に応じた各専攻に配属されている。研究科の教育研究に関する重要事項は、各研究科教授会にて審議される[24]

葉山キャンパス

葉山キャンパスには大学本部が置かれ、入学式および学生対象のオリエンテーションが行われたり、国際シンポジウムや学術研究会及び学術成果発表会などが実施されている。大学本部の教員の研究組織として機能することを目的として葉山高等研究センターが設置されており、ここでは学際的な研究を目的にして各研究計画を実施したり、他大学や研究所の研究者との共同研究の機会の提供、通常の科研費等にはなじまない先進的な研究課題や基盤機関においてできにくい研究課題を推進している。

また、葉山キャンパスには先導科学研究科が設置されているので、先導科学研究科に所属する学生や教職員もここを利用する。他に、総合研究大学院大学付属図書館もある。

研究の特徴

上記に記述する設置専攻科から明らかなように、文部科学省が所管していた各研究所からなる。各国立研究所は、大学共同利用機関法人として、もしくは設立の目的からして、民間の研究センターとして(経済産業省総務省管轄の独立行政法人のように)の役割を担ってきた理化学研究所のように独立行政法人として運営が変わったものもある。しかしながら、本大学院大学の場合には、大学共同利用機関法人と同じ機関にメディア教育開発センター、宇宙航空研究開発機構が加わり、産官学の連携を踏まえた運営がなされている[25]

具体的には、研究成果の発信、学術研究分野における研究成果の高度化、高度な研究を行う人材の養成及び輩出が目的である。各分野は、日本を代表する研究所としての役割を担う研究機関が担当しているため、高度かつ精密な装置利用研究なども行われている。文化科学研究専攻科においては、科学的成果の活用によって、これまでは文献学的もしくは資料的な研究が中心であった文化研究をさらに進めて、科学的見地からの歴史学的かつ地域学的な研究へと発展させることを目的に運営が行われている。

今後は、文系・理系の枠組みにとらわれない総合学術研究発展を目指した総合科学大学院大学としての役割の継続が行われることになる。

将来の計画

2008年2月現在、行政改革の都合によって、官庁主導による研究所の増設計画等はないため、その他の研究機関並びに大学共同利用機関が本学に加わる予定はない。しかし、今後も、大学や現在加わっていない大学共同利用機関との間で、人的交流や学術交流を始めとして、シンポジウムの共同開催や共同研究の実施を含めて強化する予定である[26]

大学関係者一覧

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所在地

  • 大学本部所在地: 240-0193 神奈川県三浦郡葉山町(湘南国際村)
  • 各専攻科所在地: 各専攻科を構成する基盤研究機関の所在地と同じ。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

  1. 学長からのメッセージ(総合研究大学院大学、2008年4月1日)
  2. 国立大学法人 総合研究大学院大学 | 総合研究大学院大学文化科学研究科メディア社会文化専攻の学生募集停止について
  3. 総合研究大学院大学学則によると、アジア地域文化学講座、ヨーロッパ・アフリカ地域文化学講座、アメリカ・オセアニア地域文化学講座がある。
  4. 総合研究大学院大学学則によると、民族社会・宗教学講座、民族技術学講座、民族言語・芸術学講座、文化資源学講座がある。
  5. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、国際日本研究講座のみ。
  6. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、日本歴史研究講座のみ。
  7. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、日本文学研究講座のみ。
  8. 2014年5月1日現在、2人の在籍者がいる
  9. 総合研究大学院大学学則によると、電子構造学講座、物質化学講座がある。
  10. 総合研究大学院大学学則によると、分子動力学講座、電子動力学講座がある。
  11. 総合研究大学院大学学則によると、光赤外線天文学系講座、電波天文学系講座、共通基礎天文学系講座がある。
  12. 総合研究大学院大学学則によると、核融合システム講座、核融合シミュレーション講座がある。
  13. 総合研究大学院大学学則によると、宇宙探査理工学講座、宇宙観測科学講座、宇宙工学講座がある。
  14. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、加速器科学講座のみ。
  15. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、物質構造科学講座のみ。
  16. 総合研究大学院大学学則によると、素粒子原子核理論講座、素粒子原子核実験講座がある。
  17. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、統計科学講座のみ。
  18. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、極域科学講座のみ。
  19. 総合研究大学院大学学則によると、講座は、情報学講座のみ。
  20. 総合研究大学院大学学則によると、分子・細胞遺伝学講座、発生遺伝学講座、進化情報遺伝学講座、ゲノム遺伝学講座がある。
  21. 総合研究大学院大学学則によると、細胞生物学講座、発生生物学講座、環境生物学講座、神経生物学講座、進化多様性ゲノム生物学講座、生殖発生学講座がある。
  22. 総合研究大学院大学学則によると、分子生理学講座、細胞生理学講座、情報生理学講座、統合生理学講座、大脳生理学講座、発達生理学講座がある。
  23. 総合研究大学院大学学則によると、「専攻の教育研究の実施に当たって緊密な連係及び協力を行う機構等法人」として、大学共同利用機関法人人間文化研究機構、大学共同利用機関法人自然科学研究機構、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構、独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所がある。
  24. 24.0 24.1 テンプレート:PDFlink
  25. 一部の大学共同利用機関法人に所属する研究所が加わっていない場合もあるが、そちらの場合には、複数の省庁との関連性があるためである。例としてRETIなどが挙げられる。
  26. 2008年2月現在、文部科学省によって推進されている国際研究拠点形成における各機構との間では、研究成果の相互活用を始めとして、研究施設の相互利用を促進することで、人的交流ならびに研究成果交流などの推進を行うことが決定されている。これは、理化学研究所なども参加して実施している。現在、各種報道機関において質の高い教養番組の制作をはじめとして信頼の高い情報が提供されている状況に鑑み、独立行政法人メディア教育開発センターの廃止が議論されている。総合研究大学院大学では、既存専攻の存続を目的として、放送大学学園における後期大学院課程設立を支援する予定。

参考文献

関連項目

外部リンク

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