学校の設置者

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学校の設置者(がっこうのせっちしゃ)とは、学校を設置し、学校を所有するのことである。

日本における学校の設置者

1条校の設置者

ここでいう「学校」には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学(短期大学、大学院大学を含む)、高等専門学校、特別支援学校が該当する。

学校の設置者には、日本国)、地方公共団体学校法人が主に該当する。また、1990年代終わりから2000年代始めにかけてから、国には、国立大学法人独立行政法人国立高等専門学校機構を含み、地方公共団体には、公立大学法人を含むようになっている(学校教育法第2条)。

ただし学校教育法の附則によって、私立の幼稚園については学校法人以外のものが設置することを当分の間認めている。

また、構造改革特別区域においては、「構造改革特別区域法」により学校設置会社株式会社)や学校設置非営利法人特定非営利活動法人)による設置も認められており、学校の設置者は多様化しつつある。

専修学校・各種学校の設置者

専修学校各種学校は、学校教育法に定めはあるものの、学校教育法でいう「学校」(=以下「1条校」)とはされていない[1]。専修学校と各種学校は、専修学校・各種学校を運営するのに足りる財産や社会的信望を持っていることを要件に行政機関に認可されれば、個人・法人が設置することができる。

ただし、専修学校や各種学校の設置を目的とする学校法人のような法人を設立することも私立学校法において認められている。専修学校や各種学校は1条校ではないので、「学校」の設置を目的とする学校法人として設立することは認められないが、学校法人に準じる形態の法人(準学校法人)の設立が認められる。準学校法人は、学校法人と非常によく類似する組織である。このため、準学校法人は、「学校法人」と称することができ、社会においても学校法人と準学校法人はほとんど区別されずに扱われている。

日本における学校の設置者の種類

公法人

  • (日本国)(国立大学法人、独立行政法人国立高等専門学校機構を含む)
    国が設置している学校は、国立学校と呼称される(学校教育法第2条第2項)。
    国による学校の設置には、日本国が直接行うもの、個別の国立大学法人が行うもの、独立行政法人国立高等専門学校機構が行うものの3つの形態がある。日本国が直接設置している学校は、文部科学省が学校管理の実務を行うことになっているが、2005年(平成17年)3月現在、日本国が直接設置している学校はない。各国立大学法人が設置している学校と独立行政法人国立高等専門学校機構が設置している学校は、各法人が個別に学校の管理を行う。
  • 地方公共団体公立大学法人を含む)
    地方公共団体が設置している学校は、公立学校と呼称される(学校教育法第2条第2項)。
    地方公共団体による学校の設置には、地方公共団体が直接行うもの、個別の公立大学法人が行うものの2つの形態がある。地方公共団体が直接設置している学校は、大学については首長の権限で、それ以外の学校については教育委員会が管理を行う。公立大学法人が設置している学校は、各公立大学法人が個別に学校の管理を行う。

特別な学校法人

  • 放送大学学園放送大学学園法(平成14年法律第156号)による)
    放送大学学園は旧・放送大学学園法(昭和56年法律第80号)による特殊法人であったが、2003年(平成15年)10月1日、放送大学学園法(平成14年法律第156号)(新法)により、「特別な学校法人」(第3条)とされた。通常の学校法人と異なり、放送大学学園に対しては、経常費の半額を超える補助金を交付することが可能となっており、国は、放送大学学園に対して財政的に多額の支援を行うことができる。放送大学学園が行う放送については、国が直接行う放送ではないので公共放送に分類されるが、国から多額の補助金が交付されることもあり、実質的に国の支配下にあるとされ、国営放送のように捉えられることもある。
    なお、放送大学学園の正式名称は「放送大学学園」である(放送大学学園法第3条・放送大学学園寄附行為[2]第1条)。法人の名称に学校法人の語は付かず、「学校法人放送大学学園」とは言わない。
  • 沖縄科学技術大学院大学学園沖縄科学技術大学院大学学園法(平成21年法律第76号)による)
    沖縄を拠点とする国際的に卓越した科学技術に関する教育研究の推進を図り、もって沖縄の振興及び自立的発展並びに世界の科学技術の発展に寄与することを目的として2011年11月1日に同法人が設立された。同法2条により「特別の学校法人」と位置づけられている。正式名称は「学校法人沖縄科学技術大学院大学学園[3]沖縄科学技術大学院大学を設置している。

私法人・私人

1条校

幼稚園

上述の1条校のうち、幼稚園においては「当分の間、学校法人によって設置されることを要しない」と規定されている(附則第6条)。

  • 財団法人
    私立学校法が施行される前の私立学校の設置者は、原則として財団法人とされていた。このため、現代においても財団法人による設置が見られる。
  • 各種法人
    社会福祉法人や宗教法人の例もある(宗教法人の場合、改めて宗教法人が学校法人を設立して移管するケースも多い)。
  • 個人

専修・各種学校

1条校と異なり、設置者は学校法人に限定されていない。

  • 準学校法人
    専修・各種学校のみを設置する法人(私立学校法第64条第4項)を「準学校法人」といい、同法第65条において「学校法人」と称することができる。ただし、本来の学校法人とはやや異なる扱いを受けることがある。
  • 各種法人
    1条校に該当しない専修学校や各種学校については学校法人以外の者が設置することができるため、高等学校や大学などの学校に見られない法人が教育施設を設置していることがある。そのため、幼稚園と同様に財団法人による設置も見られるが、株式会社による設置も比較的多い。
    医療系 - 社団法人組織の医師会医療法人などの例もある。
    ビジネス系 - 札幌商工会議所が運営している例もある。
  • 個人
    法令の規定において個人(自然人)が専修学校や各種学校を設置することの禁止はなく、個人も専修学校や各種学校を設置することができる。しかし認可の指針としては、私人の行為のうち、教育施設の運営に関係する行為とそうでない行為を区別することが求められており、特に会計については完全に区分して行うものとされている。このためある程度複雑な事務処理が必要となり、法人化が検討されることが比較的多く、設置者が個人である学校は小規模校に若干見られる程度となっている。

脚注

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関連項目

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  1. 専修学校は第124条、各種学校は第134条に規定されている。
  2. 放送大学学園寄附行為
  3. 沖縄科学技術大学院大学学園 寄附行為(2012年2月20日閲覧)