名門大洋フェリー

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株式会社名門大洋フェリー(めいもんたいようフェリー、MEIMON TAIYO FERRY CO., LTD.)は、大阪市西区江戸堀に本社を置く海運会社。大阪から北九州へのフェリー航路を運航している。商船三井ケイハン(京都市中京区)の2社が折半で出資している。

なお、社名の「名門」とは、由緒ある門地や門閥という一般的な意味ではなく、母体企業の一つが「名門カーフェリー」の社名で名古屋と門司を結ぶ航路を開設していたことに由来する。

沿革

※【名】名門カーフェリー 【大】大洋フェリー(両社合併まで)

  • 1970年
    • 3月 - 【大】大阪苅田間のフェリー運航を目的に「大洋フェリー」を設立。後に商船三井が出資し傘下におさめる。
    • 11月 - 【名】京都市に本社を置く京阪練炭工業(現・ケイハン)が母体となり、「名門カーフェリー」を設立。
  • 1972年
    • 5月 - 【名】四日市新門司航路を開設。第1船「フェリーかしい」就航。
    • 7月 - 【名】四日市~新門司航路に第2船「フェリーあつた」就航。同航路は毎日運航となる。
    • 10月 - 【名】四日市~新門司航路を名古屋まで延長する。
  • 1973年
    • 4月
      • 【名】大阪~新門司航路を開設。第1船「フェリーすみよし」就航。
      • 【大】大阪~苅田航路を開設。第1船「おりおん」就航。
    • 6月 - 【名】大阪~新門司航路に第2船「フェリーはこざき」就航。同航路は毎日運航となる。
    • 7月 - 【大】大阪~苅田航路に第2船「ぺがさす」就航。同航路は毎日運航となる。
  • 1976年
    • 4月 - 【名】名古屋~新門司航路の運航を休止(「フェリーあつた」は係船後、大阪~新門司航路に就航)。
    • 11月 - 【大】日本高速フェリーの「さんふらわあ」「さんふらわあ2」を64億円で購入(親会社の商船三井が債務保証)。
  • 1977年3月 - 【大】「さんふらわあ」「さんふわわあ2」が、大阪~苅田航路に就航。
  • 1979年6月 - 【大】「さんふらわあ」「さんふらわあ2」に、旅客設備のグレードアップを主体とする改装工事を実施。
  • 1982年2月 - 【名・大】名門カーフェリーと大洋フェリーの両社が合併協議を開始する。
  • 1983年3月 - 中国自動車道が全線開通し、大阪と北九州が高速道路で直結される。
フェリーから陸路への移行が進んだため、フェリーの利用率は前年比7%の減少となった。
  • 1984年
    • 11月 - 【名・大】両社が合併を前提に新会社「名門大洋フェリー」を設立。苅田航路を廃止して航路を大阪~新門司航路に集約し、新会社が両社のフェリーをチャーターする方式で1日2往復の運航を行うことが決定される。
    • 12月 - 【名・大】名門大洋フェリーとして、大阪~新門司航路(1日2往復)運航を開始。「ぺがさす」(2代目)就航。「おりおん」復帰。ファンネルマークを、現在使用している「MTマーク」に変更する。
  • 1986年3月 - 【名・大】名門カーフェリーと大洋フェリーが対等合併し、両社が設立した新会社「名門大洋フェリー」を吸収し発足。
  • 1989年
    • 1月 - 大阪~新門司航路に新造船「ニューぺがさす」就航。
    • 3月 - 大阪~新門司航路に新造船「ニューおりおん」就航。
  • 1992年
    • 1月 - 大阪~新門司航路に新造船「フェリーおおさか」就航。
    • 4月
      • 大阪~新門司航路の愛称をシティラインCITY LINE)と命名。各船の青色塗装部分に“CITY LINE”の文字が入れられる。
        • 「ニューぺがさす」は「フェリーきょうと」に、「ニューおりおん」は「フェリーふくおか」にそれぞれ改名され、大洋フェリー時代からの船名が姿を消した。
      • 大阪~新門司航路に新造船「フェリーきたきゅうしゅう」就航。
  • 2002年
    • 8月 - 大阪~新門司航路に新造船「フェリーきょうと2」就航。
    • 10月 - 大阪~新門司航路に新造船「フェリーふくおか2」就航。
2002年新造の両船には、船首付近の両舷にかもめのイラストが描かれた(このイラストは、その後「フェリーおおさか」「フェリーきたきゅうしゅう」にも描かれた)。
  • 2005年10月 - 燃料油価格変動調整金を設定。
  • 2007年
    • 4月 - シーズン別運賃を設定し、通常期運賃と繁忙期運賃の2本立てとなる。
    • 10月 - 第1便の出航時間を変更(所要時間を20分増加)するダイヤ改定を実施。
  • 2008年7月 - 第2便の出航時間を変更(所要時間を30分増加)するダイヤ改定を実施。

燃料油価格変動調整金

  • 2005年10月 - 燃料価格の変動に対応した「燃料油価格変動調整金」が設けられ、運賃とともに徴収が開始される。
  • 2007年4月 - 調整金額変更
  • 2007年10月 - 調整金額変更
  • 2008年4月 - 調整金額変更
  • 2008年7月 - 調整金額変更
  • 2008年10月 - 調整金額変更
  • 2009年1月 - 調整金額変更(値下げ)
  • 2009年4月 - 調整金撤廃

航路

上下ともに夕方に出港し翌日早朝に到着する第1便と、夜に出港し翌日朝に到着する第2便がある。第1便には、「フェリーおおさか」「フェリーきたきゅうしゅう」が就航。第2便には、「フェリーきょうと2」「フェリーふくおか2」が就航する。

瀬戸内海を通るため、明石海峡大橋瀬戸大橋および来島海峡大橋の真下を通る。

当航路と同じく関西と新門司港を結ぶ、阪九フェリーと就航以来激しい競争を続けている。

船舶

ファイル:Mtf PICT0026.JPG
フェリーきたきゅうしゅう
ファイル:Ferry-Fukuoka 2 JAPAN.jpg
フェリーふくおか2

ファンネルマークは赤地に白い円の中にアルファベットの「M」と「T」をあしらった青色のマークが入っている。1984年12月の名門大洋フェリーとしての運航開始時より使用されている。

船体の塗装は上半分が白色で、下半分が青色、そして下半分の青色の部分に白帯と白文字で「CITY LINE」の愛称が入っている。

運航中の船舶

2002年に就航した「フェリーきょうと2」「フェリーふくおか2」は本格的なバリアフリー対応になっており、特に特別2等洋室(液晶テレビあり)と2等洋室(液晶テレビなし)は、いずれも2段ベッドでありながら梯子を廃止して上段ベッドへの昇り降りを階段に変更している。また、下段ベッドとは互い違いに配置しているため、各ベッドの上段・下段それぞれの客を気にせずに利用できるのが特徴である。

  • フェリーおおさか
1991年5月竣工、1992年1月22日就航、2002年改造。9,479総トン、全長160.0m、幅25.0m、出力27,000馬力、航海速力22.9ノット(最大25.9ノット)。
旅客定員814名。車両積載数:トラック160台・乗用車100台。佐伯重工業建造。
  • フェリーきたきゅうしゅう
1991年9月竣工、1992年4月17日就航、2002年改造。9,476総トン、全長160.0m、幅25.0m、出力27,000馬力、航海速力22.9ノット(最大26.2ノット)。
旅客定員814名。車両積載数:トラック160台・乗用車100台。佐伯重工業建造。
  • フェリーきょうと2
2001年10月竣工、2002年9月3日就航、2005年改造。9,731総トン、全長167.0m、幅25.6m、出力19,860kw(27,000馬力)、航海速力23.2ノット(最大25.7ノット)。
旅客定員697名(最大841名)。車両積載数:トラック180台・乗用車100台。三菱重工業下関造船所建造。鉄道建設・運輸施設整備支援機構と共有。
  • フェリーふくおか2
2001年11月竣工、2002年10月18日就航、2005年改造。9,731総トン、全長167.0m、幅25.6m、出力19,860kw(27,000馬力)、航海速力23.2ノット(最大25.7ノット)。
旅客定員697名(最大841名)。車両積載数:トラック180台・乗用車100台。三菱重工業下関造船所建造。鉄道建設・運輸施設整備支援機構と共有。

過去に就航していた船舶

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  • フェリーかしい
6,496総トン、全長140.9m(名門カーフェリー)
航路休止により日本カーフェリーに売却、「さいとばる」に改名。
1978年9月6日1時45分頃、来島海峡にて韓国船タンカー「CHAN WON(チャン ウォン)」と衝突、浸水。曳航中に沈没。
  • フェリーあつた
6,490総トン、全長140.9m(名門カーフェリー)
1979年、ギリシャへ売却。「EL GRECO」→「EL GRECO」→「CAPTAIN ZAMAN」→「CAPTAIN ZAMAN」と会社、船名を変えながら地中海航路に就航していた。2008年2月、解体のためインドへ。
  • フェリーすみよし
7,270総トン、全長138.6m(名門カーフェリー)
1992年、フィリピンへ売却。現在は、SuperFerrySuperFerry 2」→2GO「St. Thomas Aquinas」。
2013年8月、セブ島沖で貨物船と衝突し沈没した。[1]
  • フェリーはこざき
7,267総トン、全長138.6m(名門カーフェリー)
1992年、「フェリーコスモ」に改名しドック代船用として尾道造船の所有となる。関西汽船などでも運航された。1996年、フィリピンへ売却。現在は、SuperFerry「SuperFerr 5」→2GO「St. Joan of Arc」。
  • おりおん
7,174総トン、全長140.9m(大洋フェリー)
白色の船体に流れ星が描かれ、煙突(ファンネル)の色は、商船三井が打ち出した「オレンジファンネル構想」に基づいてオレンジ1色となった。
「さんふらわあ」「さんふらわあ2」就航後、常石造船に係船された後、フジフェリー(商船三井系)が「おりおん」を用船して1978年11月より東京~松阪航路に就航。1979年11月の営業譲渡後、関西汽船に売却。「フェリーにしき丸」に改名され、1980年12月より阪神~今治~松山~別府航路に就航したが、1984年に「さんふらわあ」「さんふらわあ2」と等価交換され、船名を戻して復帰。1989年、ギリシャへ売却。Minoan LinesDAEDALUS」を経て、現在はアルバニアAdria Ferries「RIVIERA ADRIATICA」(2006年のみAlgerie Ferriesに貸与)。
  • ぺがさす
7,167総トン、全長140.9m(大洋フェリー)
白色の船体に流れ星が描かれ、煙突(ファンネル)の色は、商船三井が打ち出した「オレンジファンネル構想」に基づいてオレンジ1色となった。
「さんふらわあ」「さんふらわあ2」就航後、常石造船に係船された後、貨物専用フェリー会社として設立された九州急行フェリー(商船三井系)に売却され、1977年5月より東京~苅田航路に就航。フジフェリーが同社へ営業譲渡後は松坂にも寄港した。
1984年、ギリシャに売却。ANEK LinesAPTERA」として地中海航路に就航していた。
  • さんふらわあ
12,130トン(改装後)
船首部に「おりおん」「ぺがさす」に描かれていた流れ星のバウマークが描かれた。また、コンパスデッキにはイメージキャラクターとして、2つの頭を持った空を飛ぶ架空の鳥“どんぐるくん”が描かれた。1979年の改装工事では、船尾両舷にあったランプウェイの撤去のほか、屋外プールの屋内温水プール化、上部に展望台を兼ねたレストラン・シアターを増設などが行われた(改装工事は常石造船で実施)。1984年に関西汽船「フェリーこがね丸」「フェリーにしき丸」と等価交換された後に、来島どっぐに売却されチャーターバックの上就航。2000年、韓国に売却。さらに2005年、北朝鮮に売却。
  • さんふらわあ2
12,105トン(改装後)
「さんふらわあ」「さんふらわあ2」は、船首部に「おりおん」「ぺがさす」に描かれていた流れ星のバウマークが描かれた。また、コンパスデッキにはイメージキャラクターとして、2つの頭を持った空を飛ぶ架空の鳥“どんぐるくん”が描かれた。1979年の改装工事では、船尾両舷にあったランプウェイの撤去のほか、屋外プールの屋内温水プール化、上部に展望台を兼ねたレストラン・シアターを増設などが行われた(改装工事は来島どっくで実施)。1984年に関西汽船「フェリーこがね丸」「フェリーにしき丸」と等価交換された後に、来島どっくに売却されチャーターバックの上就航。1998年4月、日本国外へ売却。
  • ぺがさす(2代目)
7,189総トン
太平洋沿海フェリー「あるごう」→関西汽船「フェリーこがね丸」として就航したのち、「さんふらわあ」「さんふらわあ2」と等価交換され移籍。
1989年、ギリシャへ売却。Dane Sea LinesやBlue Star Ferriesで「RODOS」として就航していた。
2006年、退役&解体を前提に売却。「ROD」に改称され係船ののちインドへ。
  • ニューぺがさすフェリーきょうと
9,352総トン、全長160m
2002年、フィリピンへ売却。
  • ニューおりおんフェリーふくおか
9,352総トン、全長160m
2002年、フィリピンへ売却。

乗り場までのアクセス

大阪南港(大阪南港フェリーターミナル)
大阪市交通局南港ポートタウン線(ニュートラム) フェリーターミナル駅から徒歩5分。ペデストリアンデッキで直結。
新門司港(新門司フェリーターミナル)
JR小倉駅北口(新幹線口)およびJR門司駅北口より無料送迎バスが運行されている。新門司港発の所要時間は、門司駅までで25分程度、小倉駅までで40分程度。出発時刻はフェリー到着後すぐ(客がバスに乗車したと判断したとき)。新門司港行きの小倉駅発(標準)は1便15:40、2便18:40。門司駅発(標準)は1便16:00、2便19:00。但しフェリーの運航スケジュールにより運休などもある。阪九フェリーオーシャン東九フェリーの新門司港とは2キロほど離れている。

参考文献

  • 日本船舶明細書I 2008年版 - 社団法人 日本海運集会所(2007年12月30日発行)

関連項目

外部リンク

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