受託放送事業者

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テンプレート:Ambox 受託放送事業者(じゅたくほうそうじぎょうしゃ)とは、かつてあった放送事業者の一種である。

概要

従前の放送法では、第2条第3号の4に受託放送事業者を「電波法の規定により受託国内放送、受託協会国際放送又は受託内外放送(以下「受託放送」と総称する。)をする無線局の免許を受けた者」と定義していた。 通信と放送の融合を目指して放送法が改正 [1] され、2011年(平成23年)6月30日施行されて受託放送事業者の制度は廃止された。 本記事ではこの廃止時までのことを主として述べる。

定義

引用の促音の表記は原文ママ

受託放送事業者

平成元年法律第55号による放送法改正で「電波法の規定により受託国内放送をする無線局の免許を受けた者」と定義され、1989年(平成元年)10月1日施行された。 後に、平成6年法律第74号による放送法改正で上記のように変更され、1994年(平成6年)12月1日施行された。

受託国内放送

平成元年法律第55号による放送法改正で第2条第1号の3に「他人の委託により、その放送番組を国内において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であつて、人工衛星の無線局により行われるもの」と定義され、1989年10月1日施行された。 後に、平成21年法律第22号による放送法改正で「他人の委託により、その放送番組を国内において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であつて、人工衛星の無線局又は移動受信用地上放送をする無線局により行われるもの」と変更され、2010年(平成22年)4月23日施行された。

受託協会国際放送

平成6年法律第74号による放送法改正で第2条第2号の2の2に「日本放送協会の委託により、その放送番組を外国において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であつて、人工衛星の無線局により行われるもの」と定義され、1994年12月1日施行された。

受託内外放送

平成6年法律第74号による放送法改正で第2条第2号の2の3に「他人の委託により、その放送番組を国内及び外国において受信されることを目的としてそのまま送信する放送であつて、人工衛星の無線局により行われるもの」と定義され、1994年12月1日施行された。

制度廃止時の状況

受託国内放送

種類とこれに対応する事業者は次表の通り。

放送周波数帯 方式 局所在地 プラットフォーム 受託放送事業者
BS
(11.7 - 12.2GHz
アナログ
NTSC-BS
東経110度
静止軌道
(なし) 放送衛星システム
デジタル
ISDB-S
(なし)
スカパー!e2(※1)
CS
(12.2 - 12.75GHz)
デジタル
(ISDB-S)
スカパー!e2 スカパーJSAT
(なし)(※2)
デジタル
DVB-S
東経124度
静止軌道
スカパー!(※3)
東経128度
静止軌道
移動受信用地上
(207.5 - 222MHz
デジタル
ISDB-Tmm
日本各地
(未設置)
未定 ジャパン・モバイル
キャスティング
[2]
(認定済、免許未交付)

移動受信用地上放送は、7月24日までは同周波数帯が地上アナログテレビジョン放送周波数帯の一部として割り当てられていたため、翌年4月の放送開始を目指していた。

受託協会国際放送

事業者はインテルサット1社のみで、3つの軌道位置にある人工衛星により行われていた(NHKワールドTVを参照)。

受託内外放送

制定時から廃止時までに実施した事業者は存在しなかった。

受託放送役務の提供義務

委託放送事業者等の委託によりその放送番組を放送する役務を受託放送役務といい、電気通信事業法では、これにかかる事業を電気通信事業には含めないものとしていた。

受託放送事業者は、委託放送事業者等からその放送番組について総務大臣の認定に従った放送の委託の申込みを受けたときは、正当な理由がなければこれを拒んではならないとされていた。

放送法改正による経過措置

従前の受託放送事業者は以下の事業者にみなされて放送事業者としては位置付けられなくなった。但し、設備提供義務が放送法によって規定される点は変わらない。

なお、従来委受託制度が無かった移動受信用以外の地上放送にも、基幹放送局提供事業者制度が導入された。
従来の衛星役務利用放送の電気通信役務を提供する電気通信事業者もあわせて統合された。

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:通信と放送に関する制度
  1. 平成22年法律第65号による改正
  2. 認定時は株式会社マルチメディア放送(現株式会社mmbi)、2011年1月会社新設分割。