世界日報 (日本)

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世界日報(せかいにっぽう)は、日本の世界日報社により発行される1975年創刊の保守新聞。日刊紙は関東地方の一部、及び沖縄県の一部を配布地域としており、他に日本全国向けの週刊紙、サンデー世界日報がある。


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世界日報社 (1970年代 - 日本)

発行社は世界日報社で、初代会長は「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」と「国際勝共連合」の会長を兼任していた久保木修己代表取締役社長主筆木下義昭である。

概要

1975年1月1日創刊。インターネットによる紙面提供を行っている。

韓国の全国紙『世界日報』や、統一教会傘下の「ニューズ・ワールド・コミュニケーションズ」社が発行する『ワシントン・タイムズ』紙(『ワシントン・ポスト』とは全く無関係である)と提携している。

世界日報読者向けに1982年(昭和58年)5月18日に設立された世日クラブというものがあり、講演会を行っている。そこでは八木秀次高橋史朗小林正中西輝政櫻井よしこなどの著名な保守系の評論家らも壇上に上がっている。高橋とのつながりからか、森昭雄の講演まで行われている。

なお、日本では1946年-1948年に同名の新聞「世界日報」が存在した。この新聞は、題号を「世界経済新聞」(1948年10月1日 - 1950年2月28日)、「夕刊世界経済新聞」(1950年3月1日 - 12月31日)と改めた後、1951年に産業経済新聞(現・産経新聞)に紙面統合されて終刊したが、現・世界日報との関係は一切ない(ただし、題字と地紋は現・世界日報が同一のものを使用)。

紙面・論調

冷戦真っ只中に創刊され、一貫して親米保守反共主義の路線をとってきた。これは、発行母体の政治姿勢を踏襲しており、現在も「共産党担当デスク」という連載がある。その一貫性は、保守系言論紙のなかでも突出している。

この新聞は、教科用図書検定で「侵略」を「進出」と書き換えさせたことが誤報であるといち早く報道する等に代表されるような、保守派の利益となる報道(下記の主なスクープ参照)に精力を注ぐことでも知られる。アメリカ合衆国(米国)で発行している姉妹紙『ワシントン・タイムズ』も保守系言論紙として共和党の政策を一貫して支持し来ている(ちなみに、ロナルド・レーガンがアメリカ合衆国大統領に当選した時に、日本の世界日報は号外を発行し、東京で配布している)。『世界日報』においても、国連での合意を経ずにイラク戦争を始めたアメリカへの批判が強かった頃も、一貫してジョージ・ウォーカー・ブッシュ政権のイラク侵略戦争を正当であると論じてきた。

中東情勢報道でも米国擁護、親イスラエル路線を明確にしており、これらと対立するアラブ・イスラーム諸国、またはイスラーム主義には批判的である。例えばパレスチナで、初の普通選挙にてハマースが勝利した際には、“パレスチナ住民の教育水準が低く政治的思考力が欠けているためにテロ組織を第一党に選んでしまった”として、米国・イスラエルの保守派と同じ主張を行った。

また、母体である統一教会の影響から、その関係者・関連団体の活動が記事にされることが頻繁にあり、更に新宗教に親和的な内容がしばしばみられる。

新宗教の擁護の一例として、同紙は1994年9月25日10月30日付の二回、「文春『オウム真理教攻撃』のウソ」と題して、資産家拉致・監禁事件(後にオウム真理教による資産目当ての犯行であると判明)にオウム真理教信者が関わったとする『週刊文春』の報道を批判し、実際は被害者であった長女夫妻や四女らによる資産目当ての 犯行と論じ、オウム真理教を擁護した(『週刊文春』'94年11月17日号参照 )(『「オウム真理教」追跡2200日』(江川紹子著、文藝春秋、1995.7)第三章参照)。

さらに地下鉄サリン事件を機に当時の政権が提案した「宗教基本法案」に対する反対キャンペーンを展開した(結局同法案は廃案となった)。

また、近年においては、キリスト教根本主義宗教右派勢力から支持されていると言われる「インテリジェント・デザイン」(ID)理論に肯定的な記事もしばしば載せている。

教育問題については、幼少期からの科学的な見地に基づく性教育について、「性交のすすめ」につながり「快楽の性」や「性の自己決定権」を教え込む過激な性教育だとして反対し、伝統的家庭の価値観を重視し、ジェンダーフリー批判や公立高等学校での一律男女共学化批判(「別学の良さを否定するのはおかしい」)、中高生に対する子宮頸がん予防ワクチン接種推進に反対し性交渉を控えさせる教育を主張する[1]など、保守的な道徳・倫理観を称揚する紙面作りがなされている。この部分は、保守系紙であることに加えて、統一教会が行っている「純潔運動」との関連性がある。

一方、女性天皇問題においては、日本紙が女系天皇容認に対して反対を主張したのに対し、韓国紙は女性天皇を認めるべきと主張するという“ねじれ現象”が生じた。

この新聞の最大の特徴は、韓国、朝鮮民主主義人民共和国などの東アジアの記事が多い事に見られるように国際報道の重視である。また、世界の主要紙の論調などの翻訳記事を定期的に掲載している。

以前は、北朝鮮のことを「北韓」と呼称していた(現在でも稀に使用される)。また、「韓半島」という呼称も使用される。

自社取材以外の一般ニュースは時事通信のものを使用している(これは聖教新聞しんぶん赤旗も同様)。

保守派メディアではあるが統一教会系であるため、必ずしも日本の保守勢力の全てが評価しているわけではない。  

主なスクープ

世界日報事件

1983年10月1日、当時の編集局長らによる、統一教会色を薄め一般紙を志向する路線を会社の乗っ取りであると反発した「国際勝共連合理事長梶栗玄太郎ら約百人が、東京都渋谷区宇田川町のワールドビル(当時)内にあった世界日報社事務所に押しかけて社内を占拠し、社員を監禁・暴行した。

この事件で追放された元編集局長(統一教会の広報局長でもあった)副島嘉和と営業局長井上博明は連名で『文藝春秋1984年7月号に「これが『統一教会』の秘部だ―世界日報事件で『追放』された側の告発」という手記を発表。統一教会の思想が“いずれ世界は統一教会により統一される、そしてその中心は世界の王たる文鮮明師である”とする韓国中心主義である事、霊感商法のマニュアルや資金の流れなどを暴露した。中でも、世界各国の、やはり統一教会の幹部たちが演じる元首“代理”と共に、統一教会会長の久保木修己が“天皇の代理”として文鮮明に拝礼する秘密儀式があるという内容に、勝共連合を反共の同志と考えていた民族派右翼が激怒し反発した。

同誌発売直前の1984年6月2日、副島は、帰宅途中の路上で暴漢に「韓国の空手を使ったような」(副島本人による証言)技で全身をメッタ刺しにされ、危うく命を失いかけるほどの重傷を負った(「副島襲撃事件」)。

一新聞社の元編集長が内部告発の後に殺されかけるというこの事件を「読売」、「朝日」、「毎日」の各紙が報じたが、『世界日報』は記者が病院に駆けつけていながらこの事件を一切報道しなかった。結局、犯人を特定できないまま、この事件は時効を迎えた。この影響で、それまで『世界日報』に執筆していた文化人たちの中にも距離を置く者が少なからず出た。その後は統一教会の責任役員石井光治と梶栗の二人を共同社長とした体制で再刊されたが、事件の前よりも統一教会色が強い新聞となった。

主な海外支局

世界日報社が発行するその他の主な媒体

  • 週刊新聞『サンデー世界日報』
  • 月刊誌『ビューポイント』

姉妹紙

  • ワシントン・タイムズ(米国)
  • 世界日報 (韓国)
  • ティエンポス・デル・ムンド(アルゼンチン
  • ミドルイースト・タイムズ(エジプト
  • ノーティシャス・デル・ムンド(米国)
  • ウルティマス・ノティシャス(ウルグアイ
  • 週刊インサイト(米国)
  • 月刊ワールド・アンド・アイ(米国)

契約通信社

主な寄稿者

番組表

テレビ
沖縄テレビと琉球放送は東京からの空輸便での配達で、朝刊より遅い時間に配達される事に配慮して12:00から掲載し、翌朝の5:00-12:00の番組も掲載。沖縄県最後発の琉球朝日放送は収録されていない。
ラジオ
特記事項
  • 電子版はラテ面と広告は削除されている。

その他

2000年頃まで、長年渋谷駅ハチ公口広場に面したビルの屋上に巨大な広告看板があった(会社概要のページに当時の写真がある[2])。

一時期、駅前やバス停付近のガードレール等に新聞スタンドを固定して、無人販売していた。

他の一般紙とは異なり、図書館で閲覧できることはほとんどない(寄贈紙が置かれている場合はある)。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh130322.htm
  2. [1]