ポーの一族

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsポーの一族』(ポーのいちぞく) は、萩尾望都による日本漫画作品。『ポーの一族』シリーズは漫画雑誌『別冊少女コミック1972年3月号から1976年6月号に断続的に連載され、その中核となる単独作品「ポーの一族」は1972年9月号から12月号に連載された。以下、シリーズ作品を『ポーの一族』、単独作品を「ポーの一族」と区別する。

概要

萩尾は「永遠にこどもであるこどもをかきたい」との発想から[1][2]石ノ森章太郎の「きりとばらとほしと」の吸血鬼の設定の一部をヒントにして『ポーの一族』の構想を思いつき[3][4][5][6][7]1972年、「すきとおった銀の髪」、「ポーの村」などの短編から描き始め[+ 1][+ 2]、同年8月から翌1973年6月にかけて当初の構想であった3部作[+ 3]ポーの一族」、「メリーベルと銀のばら」、「小鳥の巣」)を連載した[4]

1974年に発売された単行本[8]の初版3万部は発売から3日で完売し、『トーマの心臓』連載終了後[9]1974年12月「エヴァンズの遺書」でシリーズを再開、1976年5月「エディス」後編で終了した。

西洋に伝わる吸血鬼(バンパネラ[10])伝説を題材にした、少年の姿のまま永遠の時を生きる運命を背負わされた吸血鬼エドガーの物語。成長の代償に失うもの、大人になれない少年の姿が描写されている。200年以上の時間が交錯する構成で、舞台は18世紀の貴族の館から20世紀のギムナジウムまでさまざまである。作品発表当時としては異色の作品であり、少女漫画の読者層を増やした作品であると評価されている[11][12]

1976年、第21回(昭和50年度)小学館漫画賞少年少女部門を受賞。

作品

  1. すきとおった銀の髪(『別冊少女コミック』1972年3月号)
  2. ポーの村(『別冊少女コミック』1972年7月号)
  3. グレンスミスの日記(『別冊少女コミック』1972年8月号)
  4. ポーの一族(『別冊少女コミック』1972年9月 - 12月号)[+ 4]
  5. メリーベルと銀のばら(『別冊少女コミック』1973年1月 - 3月号)[+ 5][+ 6]
  6. 小鳥の巣(『別冊少女コミック』1973年4月 - 7月号)
  7. エヴァンズの遺書(『別冊少女コミック』1975年1月 - 2月号)
  8. ペニー・レイン(『別冊少女コミック』1975年5月号)
  9. リデル・森の中(『別冊少女コミック』1975年6月号)[+ 7]
  10. ランプトンは語る(『別冊少女コミック』1975年7月号)
  11. ピカデリー7時(『別冊少女コミック』1975年8月号)
  12. ホームズの帽子(『別冊少女コミック』1975年11月号)
  13. 一週間(『別冊少女コミック』1975年12月号)
  14. エディス(『別冊少女コミック』1976年4月 - 6月号)

番外編

1ページ劇場

  1. 1971年のひとりごと(『別冊少女コミック』1972年2月号)[+ 9]
  2. ポーの伝説に寄せて(『別冊少女コミック』1974年12月号)[+ 10]

あらすじ

1744年、森の奥に捨てられた幼いエドガーメリーベルは、老ハンナ・ポーに拾われて育てられるが、老ハンナとポー家の一族の人々は吸血鬼「バンパネラ」であった。11歳のときに一族の秘密を知ってしまったエドガーは、成人すれば一族に加わることを約束させられ、その代わりにメリーベルを巻き添えにしないよう彼女を遠くの町に養女に出させる。

1754年、エドガーが14歳のとき、正体を村人に見破られた老ハンナは胸に杭を打たれて消滅してしまう。彼女の連れ合いで一族の最も濃い血をもつ大老(キング)ポーは、いやがるエドガーを無理やり一族に加えてしまう。

3年後、13歳になったメリーベルはバンパネラのエドガーと再会し、自ら一族に加わることを望む。それから2人は一族のポーツネル男爵とその妻シーラを養父母として100年以上の時を過ごすが、1879年、4人の正体を知った医師によりメリーベルとシーラが消滅させられ、ポーツネル男爵もその後を追って消滅してしまう。

最愛の妹を失ったエドガーは絶望と悲しみに沈む中、新たにアラン・トワイライトを一族に加え、以後2人で100年近くの時を過ごすことになる。しかし1976年、2人にも永遠の別れの時が訪れる。

主な登場人物

ポーの一族

エドガー・ポーツネル1740年- )
4歳のときに生まれたばかりの妹メリーベルとともに森に捨てられるが、老ハンナ・ポーに拾われ、以後、老ハンナの館で育てられる。14歳のときに大老(キング)ポーによりポーの一族に加えられ、ポーツネル男爵夫妻の養子になる。3年後、メリーベルを一族に加える。性格は冷静にして酷薄、その一方で弱い者には同情を寄せたり助けを差し伸べたりするやさしさを見せる面もある。妹メリーベルにはことに深い愛情を寄せ、常に人間に戻りたがりながらもメリーベルを守るため呪われたバンパネラとして生き続けなければならない矛盾に悩み苦しむ。1879年、メリーベルと男爵夫妻をなくした後、アラン・トワイライトを一族に加え、以後100年近くの時を2人で駆け巡る。
メリーベル・ポーツネル1744年-1879年
エドガーの妹。生まれてすぐにエドガーとともに森に捨てられ、老ハンナ・ポーに拾われる。7歳のときにアート男爵家の養女となりエドガーと別れる。13歳のときに母親違いの兄オズワルド・オー・エヴァンズと彼の父親違いの弟ユーシスに出会い、ユーシスと恋に落ちるが、ユーシスが自殺、その後いったんはエヴァンズ家の養女となるが、そこに現れたエドガーに連れられ一族に加わる。明るく純真、可憐(かれん)な永遠の少女。一族に加わった当初は人間であった頃と同様に活発な面もあったが、身体が弱くなるにつれはかなさが増すようになる。1879年、クリフォード医師に銀の弾丸を撃ち込まれ消滅するが、その後もエドガーの心を占め続ける。
アラン・トワイライト1865年-1976年
古い港町の貿易商会の子息。8歳のときに港の事故で父親と婚約者を亡くす。14歳のときにエドガーとメリーベルに出会い、メリーベルに恋する。メリーベルの消滅後、エドガーに連れられ一族に加わる。性格は勝気でわがままだが、女の子にはやさしさを示す。1966年、クエントン館の火災の際、シャーロッテ・エヴァンズを助けられなかった負い目を持ち、10年後に出会った彼女の妹エディスと付き合い始める。しかし、エヴァンズ家の火災に巻き込まれたエディスを助けようとした際、消滅する。
フランク・ポーツネル男爵(?-1879年
1754年に一族に加わったエドガーを養子に、3年後に一族に加わったメリーベルを養女に迎え、妻シーラとともに4人で100年以上の時を過ごす。厳格な性格で、しばしばエドガーと衝突する。1879年、最愛の妻シーラを失うと、後を追うように馬車を暴走させその下敷きになり消滅する。
シーラ・ポーツネル男爵夫人(1731年-1879年
15歳のときにポーツネル男爵と出会い、金銭的な理由から16歳のときにさる伯爵家に嫁ぐものの、20歳のときにポーツネル男爵とかけおちし、そこで一族に加わりポーツネル男爵夫人となる。妖艶な美女で、如才なく感情を高ぶらせることがない。1879年、クリフォード医師に胸を刺され消滅する。
老ハンナ・ポー(?-1754年
エドガーとメリーベルの育ての親で、一族の中で最も濃い血を持つ大老(キング)ポーの連れ合い。森の中に捨てられていた2人を拾い、育てる。元々は2人を一族に加えるつもりはなかったが、エドガーに一族の秘密を知られたため、メリーベルには手を出さない替わりに、10年後に一族に加わることをエドガーに約束させる。その3年後、村人に正体を見破られ、胸を貫かれて消滅する。
大老(キング)ポー(?- )
老ハンナの連れ合いで、一族の中で最も長い時を生きるとともに最も濃い血を持つ。300年以上眠っていたが、1754年、老ハンナが消滅したことを感知して目覚め、老ハンナの遺志を継ぎエドガーを一族に加える。

エヴァンズ家

エヴァンズ伯爵(17??年-17??年)
エドガーとメリーベルの実の父親。当時の貴族の常道として他にも複数の恋人がいたが、2人の母親であるメリーウェザーには心をつくしひたすら愛した。メリーウェザーの死後、エドガーとメリーベルを正式に引き取ろうとしたが、2人ははやり病で死んだと乳母に聞かされ、長い間それを信じていた。ユーシスの死後、メリーベルをエヴァンズ家の養女として迎える。
メリーウェザー(17??年-1744年
エドガーとメリーベルの母親で、容姿はメリーベルにうり二つ。かの落ちぶれた男爵家の末娘で、2人の父親であるエヴァンズ伯爵の最愛の恋人であった。メリーベルの出産後、具合が悪く病弱になり、幼い2人を残して死去する。
オズワルド・オー・エヴァンズ(1735年-1780年
エヴァンズ伯爵家の長男にして、エドガーとメリーベルの母親違いの兄で、エドガーと同じ青い目を持つ。22歳のときにアート男爵家の養女のメリーベルと、次いでバンパネラになったエドガーと出会い、2人が自分の弟妹であることを知る。メリーベルがエドガーに連れ去られた後も2人のことを気にかけ、子孫に向けていつか2人が現れたらエヴァンズ家の資産をすべて与えるよう遺書を残す。
ユーシス・エヴァンズ(174?年-1757年
エヴァンズ伯爵家の次男にして、オズワルドの父親違いの弟。ネーデルランドの若い宮廷楽師であった実の父親譲りのみごとな金髪を持つ美少年。メリーベルと恋し合うが、ユーシスを盲愛する母親(伯爵夫人)との板挟みから、どちらも選ぶことができず自殺する。
ヘンリー・エヴァンズ伯爵(1784年-18??年)
オズワルド・オー・エヴァンズの孫。エドガーとメリーベルが現れたらエヴァンズ家の資産をすべて与えよとのオズワルドの遺書を受け、1820年、がけから落ちて記憶を失ったエドガーを助け世話をする。
シャーロッテ・エヴァンズ(1952年-1966年
オズワルド・オー・エヴァンズおよびヘンリー・エヴァンズ伯爵の子孫。14歳のときにクエントン館で開かれた集会で、ジョン・オービンたちからエドガーたちバンパネラの話を聞く。そこで火災が発生し、顔だけがエドガーのランプトンの絵を1枚持ち出そうとして逃げ遅れ、焼死する。
エディス・エヴァンズ(1962年- )
シャーロッテの妹。14歳のときにエドガーとアランに出会い、アランと付き合うようになる。ガス爆発による自宅の炎上の際、エドガーとアランが救出に現れるもアランは消滅し、残されたエドガーに助けられる。

その他の人物

ジャン・クリフォード(18??年-1879年
古い港町の医師。世話になった恩師の娘・ジェインと婚約しているが、恋愛と結婚は別と割り切っている。ポーツネル男爵一家がバンパネラであることを見破り、シーラの胸をピッチフォークで刺し貫いた後、メリーベルを銀の弾丸で撃ち消滅させるが、その直後、エドガーにメリーベルを撃った銃で射殺される。
グレンスミス・ロングバード男爵(184?年-1899年
1865年、友人のラトランド伯からサン・ダウン城に招かれ狩りをしていた最中にポーの村に迷い込み、誤ってメリーベルを撃つ。幸いメリーベルは命を取り留めたが、嵐のため村で2夜を過ごしたところ、血の足りないメリーベルのためにエドガーに血を吸われる。翌朝、城に帰り着くが誰も村のことは知らず、城の周辺を探し回ったが村を見つけることができなかったため、その間のできごとを日記に書き残す。
マルグリッド・ヘッセン(1932年- )
グレンスミスの曾孫(ひまご)。グレンスミスの日記を祖母エリザベスから受け継ぐ。小説家となり、1960年グレンスミスの日記』を発表する(英訳本の出版は1964年)。1964年、同書を読んだドン・マーシャルと知り合い結婚、翌年、共著で『バンパネラ狩り(ハント)』を発表する。
ルイス・バード(1945年- )
マルグリッド・ヘッセンの甥(おい)。1959年ガブリエル高等中学校ギムナジウム)の4年生のときにグレンスミスの日記を読み、ポーの村に登場するエドガーが最近転入してきたエドガーによく似ていたことから彼に声をかけたところ、メリーベルという妹がいたがずいぶん前に死んだと聞かされる。1964年、『グレンスミスの日記』を読んでマルグリッドに会いにきたドン・マーシャルに、1959年にガブリエル高等中学校にエドガーとアランが転入してきたことを教える。
ドン・マーシャル(1928年- )
1950年、旅行中にクエントン館で顔違い(顔だけがエドガー)のランプトンの絵を見つけ、その後出会ったエドガーとアランと国定公園の文化記念館で1夜を過ごす。3年後、そのときのできごとを「ランプトン」と題した短編にまとめ大学の同人誌に発表する。1964年、『グレンスミスの日記』を読み、著者マルグリッド・ヘッセンに会いにドイツに行き、そこで1959年にガブリエル高等中学校にエドガーとアランが転入してきたことを知る。同年マルグリッドと結婚し、翌年、共著で『バンパネラ狩り(ハント)』を発表する。
ドクトル・ドド(17??年-18??年)
ヘンリー・エヴァンズ伯爵の友人で医師。オズワルド・オー・エヴァンズの遺書と、館に現れたエドガーとメリーベルに興味を持ち、2人が去った後、2人の滞在中のできごとや2人の過去に関係があると思われることなどを手記にまとめる。
リデラード(リデル)・ソドサ(1877年-19??年)
2歳のときに貴族の両親をエドガーに殺害された後エドガーに拾われ(本人は両親をエドガーに殺されたことは認識していない)、以後エドガーとアランとともに暮らす。10歳のときに祖母に引き渡され、以後は普通の人間としての生涯を送る。1940年、ジョン・オービンにエドガーのことを話す。没年は不明だが、1966年の時点では既に亡くなっている。
アーサー・トマス・クエントン卿(1856年-1889年?)
風景や静物を好んで描いた画家でクエントン館の主。幼少時の事故により左耳がなくあごにかけて裂傷があり、それを隠すために髪を長く伸ばしていた。頑固で無口、生涯を独身で通した。1888年9月末に顔違い(顔だけがエドガー)のランプトンの絵を描き、その後も顔だけがエドガーのランプトンをモチーフとした絵を1889年5月までの間に10枚描く。その3か月後の8月21日、多量の吐血により死没する。なお、「エディス」にアーサーと呼ばれるよく似た人物が登場するが、同一人物であるかどうかは不明[+ 11]
テオドール・プロニス(1945年- )
ガブリエル高等中学校の4年生のときにエドガーとアランが転入してきたクラスの委員長。まじめで堅物な一方、黒魔術や魔物好きという趣味を持つ。エドガーによりバンパネラ化した級友マチアスに同じく級友のキリアン・ブルンスウィッグが血を吸われかけたところを、枯れ枝でマチアスを刺し貫き消滅させる。以後、血液の研究のため、1966年時点ではボンの大学に通っていた。同年、クエントン館での集会で、マチアスを消滅させた経緯を証言する。
ジョン・オービン(1900年- )
魔法と魔物を信じる者。1934年にエドガーと出会い、彼が魔物であると信じて、以後の生涯をエドガーの追跡に費やす。1966年にクエントン館でエドガーたちに出会った人々をそろえて集会を行うが、火災によりシャーロッテ・エヴァンズが死亡、館とともにランプトンの絵や多くの証拠を焼失する。1976年、シャーロッテの妹、エディスの前に現れたエドガーに再会するが、エヴァンズ家の火災でエドガーが燃えてしまったものと思い、もう二度と会えないと嘆き悲しむ。

エヴァンズ家 系譜

主要登場人物のうち、エヴァンズ家の血縁関係を示す。詳細は「ランプトンは語る」を参照のこと。 テンプレート:Familytree/start テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree テンプレート:Familytree/end

年表

エドガー(4歳)とメリーベル、エヴァンズ伯爵夫人の命でイルリー乳母により森へ捨てられる。老ハンナ・ポー、エドガーとメリーベルを拾う。
  • 1751年 フランク・ポーツネル男爵とシーラ(20歳)が結婚。シーラ、バンパネラに。
儀式を見たエドガー(11歳)、20歳になると一族に加わると約束させられる。
メリーベル(7歳)、アート男爵家の養女に。
  • 1754年 老ハンナ・ポー、消滅。エドガー(14歳)、大老(キング)ポーによりバンパネラに。エドガー、スコッティの村を追われポーツネル男爵夫妻と町へ。
  • 1757年 メリーベル(13歳)、オズワルド・オー・エヴァンズ(22歳)とユーシス・エヴァンズに会う。ユーシス・エヴァンズ自殺。メリーベル、エヴァンズ家の養女に。メリーベル、エドガーに連れられバンパネラに。(「メリーベルと銀のばら」)
オズワルド、マドンナと結婚。
  • 1780年 オズワルド・オー・エヴァンズ、遺書を残して死去。
  • 1783年 クリフォード・エヴァンズ、館を図書館として市に寄贈。
  • 1810年 クリフォード・エヴァンズ、息子ヘンリー・エヴァンズにオズワルド・オー・エヴァンズの遺書を託して死去。
  • 1815年 エドガーとメリーベル、チャールズ(14歳)の近所に滞在。(「すきとおった銀の髪」)[+ 12]
  • 1820年1月 エドガーとメリーベル、ヘンリー・エヴァンズの館に滞在。(「エヴァンズの遺書」)
  • 1845年 エドガーとメリーベル、チャールズ(44歳)に会う。(「すきとおった銀の髪」)[+ 13]
  • 1865年7月7日 グレンスミス・ロングバード男爵(20歳のころ)、ポーの村で2夜を過ごす。(「ポーの村」)
アラン・トワイライト誕生。
  • 1873年 アラン(8歳)の父親とアランの婚約者ロゼッティ・エンライト(7歳)、港の事故で死亡。
  • 1879年 エドガーとメリーベル、ポーツネル男爵夫妻とポーの村からシティへ移る。
エドガーとメリーベル、アラン・トワイライト(14歳)と出会う。
メリーベル、ジャン・クリフォードに撃たれて消滅。ポーツネル男爵夫妻、消滅。エドガー、ジャン・クリフォードを撃つ。
アラン、エドガーに連れられバンパネラに。(「ポーの一族」)
エドガー、アランを連れてウィッシュ村へ。
リデル、森でエドガーとアランと暮らし始める。(「ペニー・レイン」)
  • 1887年春 リデル(10歳)、エドガー、アランと別れて祖母と暮らし始める。(「リデル・森の中」)
  • 1888年9月30日 - 1889年4月15日 アーサー・トマス・クエントン卿、エドガーの絵を描く。
  • 1889年8月21日 クエントン卿(33歳)、死去。
  • エドガー、エルゼリ・バードと会う?テンプレート:要出典(「はるかな国の花や小鳥」)
  • 1899年12月25日 グレンスミス・ロングバード男爵、死去。
  • 1900年 グレンスミスの娘エリザベス・ロングバード、トニーと結婚しドイツに渡る。
  • エドガーとアラン、ポリスター卿に会いにロンドンへ。その後ラトランドへ。(「ピカデリー7時」)[+ 14]
  • 1914年7月、第一次世界大戦勃発。トニー、戦死。
  • 1921年1月 エリザベスの次女ユーリエ(17歳)、死去。
  • 1921年6月 エリザベスの長女ジュリエッタ、結婚。
  • 1922年 エリザベスの三女アンナ(17歳)、ピエール・ヘッセンと結婚。
  • 1923年 アンナ・ヘッセンの長男ピエール、誕生。
  • 1924年 アンナ・ヘッセンの長女エレーナ、誕生。
  • アラン、カレンとジューンに会う。エドガーとアラン、リトルヘブンでポラスト先生に会いドーバー海峡を越える。(「一週間」)[+ 15][+ 16]
  • 1932年 アンナ・ヘッセンの四女マルグリッド、誕生。
  • 1933年 アンナ・ヘッセンの次女ベルタ、死亡。
  • 1934年 ジョン・オービン(34歳)、ロンドンでエドガーに会う。(「ホームズの帽子」)
  • 1940年 ジョン・オービン、リデラード・ソドサにエドガーの話を聞く。(「リデル・森の中」)
  • 1942年 マルグリッド・ヘッセン、祖母エリザベスからグレンスミスの日記の話を聞く。(「グレンスミスの日記」)
  • 1945年 ジョン・オービン、エヴァンズ図書館でオズワルド・オー・エヴァンズの遺書とドクトル・ドドの手記を発見。
  • 194?年 - 1952年夏 エドガーとアラン、ミッドランドでロビン・カーに会う。
  • 1950年8月21日 ドン・マーシャル、レスターへ旅行中にクエントン卿の館でエドガーを描いた絵を発見。国定公園の文化記念館でエドガー、アランと1夜を過ごす。
  • 1952年 ロビン・カー、両親が離婚し母親とリバプールへ。ロビン・カー、父親に連れられスイスへ。ロビン・カーの父、ロビンを西ドイツガブリエル・スイス・ギムナジウムへ残して再婚しイタリアへ。
  • 1953年 ドン・マーシャル、同人誌に「ランプトン」を発表。
  • 1957年5月 ロビン・カー(12歳)、創立記念祭の前日に張り出し窓から墜落死[+ 17]
エドガーとアラン、ロビン・カーを迎えにリバプールへ。
エドガーとアラン、ロビン・カーを追いスイスへ。
  • 1958年5月 ガブリエル・スイス、創立記念祭の前日に水死[+ 18]
  • 1959年3月 エドガーとアラン、ガブリエル・スイス・ギムナジウムに転入。(「ポーの一族」「小鳥の巣」)
マルグリッド・ヘッセンの甥ルイス・バード、グレンスミスの日記の話を聞き、エドガーにメリーベルのことを尋ねる。(「グレンスミスの日記」)
  • 1959年5月 エドガーとアラン、マチアスを一族に加えようとする。ロビン・カーの死体が発見される。キリアン・ブルンスウィッグ、目覚めたマチアスにかまれる。マチアス、テオドール・プロニスに枯れ枝を突き刺され、消滅。エドガーとアラン、転校。(「小鳥の巣」)
  • 1960年 グレンスミスの曾孫(ひまご)マルグリッド・ヘッセン、『グレンスミスの日記』発表。
  • 1964年 ドン・マーシャル(36歳)、マルグリッド・ヘッセンと結婚。
  • 1965年夏 ドン・マーシャルとマルグリッド、『バンパネラ狩り(ハント)』を発表。
ジョン・オービン、クエントン卿の館を購入。
  • 1966年春 ルイス・バード、キリアン・ブルンスウィッグとテオドール・プロニスを訪ねる。
  • 1966年7月 ジョン・オービン、クエントン卿の館で集会を開く。館が出火し、シャーロッテ・エヴァンズ(14歳)死亡。(「ランプトンは語る」)
  • 1976年 エドガーとアラン、ロンドンでエディス・エヴァンズ(14歳)に会う。
アラン、ストラスフォードのアーサーからもらった絵をエディス・エヴァンズに渡す。
ジョン・オービン、エドガーに再会。
アラン、消滅[+ 19][+ 20]
ジョン・オービン、クエントン卿によく似た人物(アーサー)を目撃。(「エディス」)

作品中でのバンパネラ(吸血鬼)の特徴

人間の血を吸うほかは、赤いバラやそのエキスを食用とし、基本的にそれ以外の食べ物は摂(と)らない。また、ある程度の技量があれば、相手をバンパネラ化させることなく血を吸うことができ、触れるだけで生気を吸い取れるという(「ポーの村」)。ただし、血を吸われた者がバンパネラ化しなかった場合、バンパネラの因子が体内に潜伏して子孫の代で発現する可能性がある(「小鳥の巣」)[+ 21]。また、バンパネラ同士で血を分け合うといった描写も見られる。

映らないとされる鏡に映るよう偽装することができる(「ポーの一族」)。さらに本来は呼吸、脈拍、体温も持たないが、同様に偽装できる。ただし、脈拍/体温は、大ケガをするなど体力が弱っていると、偽装しても通常の人間より少ない/低い(「エヴァンズの遺書」)。

一般的に吸血鬼の弱点とされる日光は平気で日中でも出歩いている。十字架聖書も慣れることである程度苦手を克服できるが、十字架そのものよりも、それに込められた信仰が彼らにとっての脅威となる。銀の弾丸や杭またはこれに類する先のとがったもので胸を貫かれると消滅する。

「ポーの一族」構想メモ

ポーの一族」、「メリーベルと銀のばら」、「小鳥の巣」の3部作の構想を作者がノートに記したもの[13]。作者は「最初この3部作を描きあげれば終わるはずだったのですが、やっているうちにアイデアが次々浮かんできて、時間のあいまを埋めていくようにストーリーが膨らんできました」と語っている[4]

この構想メモには、アランの名字はトワイライトではなく「トワイニング」、ポーツネル男爵夫人の名前はシーラではなく「デライラ」、ユーシスは「ユリアーノ」、エヴァンズ伯爵は「デュラン伯爵」と記されている。 なお、「小鳥の巣」にはキリアン・ブルンスウィッグやマチアス、ロビン・カーなどの主要登場人物の名前はなく、後に『トーマの心臓』に登場するオスカー・ライザー(キリアン役)や「11月のギムナジウム」に登場するフリーデル委員長の名前が記され、さらに「レオンハルト」(マチアス役)という名前が記された少年には『トーマの心臓』のエーリク・フリューリンクのイラストが描かれており、構想段階ではこれらの作品が作者の中ではまだ明確に分かれていなかったようである。

作品の補足

  1. 『CREA』1992年9月号「特集THE少女マンガ!! 夢の永久保存版」のインタビューに、長編連載をやるには早すぎると編集から「待った」がかかったため、「すきとおった銀の髪」などの短編を小出しに描き、そんなにやりたいのならとようやく編集から了解が出たことが語られている。
  2. 週刊少女コミック』1976年3月28日号の『ポーの一族』とじ込みポスター裏面「萩尾望都の素顔初公開!!」に、「ポーの村」について「シリーズを続けるきっかけに!」と記されている。
  3. 『別冊少女コミック』1972年9月号掲載の「ポーの一族」第1話1ページ目に「不死の生命を持つバンパネラ……その一族を描く3部作〈第1話〉」と記されている。
  4. 『別冊少女コミック』1972年10月号掲載の「ポーの一族」第2話最終ページに「次回は最終回」との予告が記されていることから、その時点では11月号で終了する予定であった。
  5. 『別冊少女コミック』1973年1月号掲載の「メリーベルと銀のばら」第1話見開き扉ページに「『ポーの一族』のシリーズにひきつづいて、『メリーベルと銀のばら』を、4回にわたってお贈りする、萩尾望都先生の連作長編!!」と記されていることから、その時点では4月号で終了する予定であった。
  6. エドガーがバンパネラ化した直後の話は作品が単行本化された際に加筆されたもので、雑誌連載時には割愛されている。
  7. 『別冊少女コミック』1975年5月号掲載の6月号の予告ページには「一週間(仮題)」と記され、そこにリデル(らしき少女)のイラストが描かれている。「リデル・森の中」の構想作品を「一週間(仮題)」としていただけなのか、あるいは「一週間」にリデルが登場する予定であったのかは不明。
  8. 掲載号である『週刊少女コミック』1975年37号のもくじページに、「華麗なるタッチで描く"ポーの一族"番外編!!」と記されている。
  9. 「すきとおった銀の髪」掲載号の前月号に、エドガーとメリーベルのイラストと吸血鬼の一族に寄せる詩が掲載されている。ページの隅には「筆者は吸血鬼(バンパイア)の兄妹のお話をかきたくてうずうずしてるのです。12.10」と手書きで記されている。
  10. 「エヴァンズの遺書」前編掲載号の前月号に、エドガーとメリーベルとアランのイラストが描かれ、この後連載される予定の「エヴァンズの遺書」以降の作品がダイジェストに紹介されている。
  11. 「エディス」の中ではアーサーと呼ばれるのみでアーサー・トマス・クエントン卿であるとの明記はない。また、ジョン・オービンはアーサーの顔に左のあごにかけて傷があるのを見て「アーサー・クエントン卿…!?」と思いはしたものの、その確証はない。
  12. 『萩尾望都の世界 テレビランド増刊 イラストアルバム(6)』(徳間書店 1978年)の「ポーの一族 年表」に「1815 チャールズ、メリーベルと会う」と記されている。
  13. 『萩尾望都の世界 テレビランド増刊 イラストアルバム(6)』(徳間書店 1978年)の「ポーの一族 年表」に「1845 年老いたチャールズ、変わらぬメリーベルと会う」と記されている。
  14. 『別冊少女コミック』1974年12月号の1ページ劇場「ポーの伝説によせて」に、作者は「戦争のすこしまえ ロンドンで殺人事件が起こりましたが 死体が見つかりませんでした」と記している。
  15. 「一週間」について、『萩尾望都マンガの魅力』(鈴木志郎康著 清山社 1978年)、『ぱふ』特集萩尾望都(清彗社 1980年)、『「ポーの一族」の秘密』(名作少女マンガ研究会 データハウス 1996年 ISBN 4887183895)、『マンガ夜話』Vol.2 萩尾望都「ポーの一族」・大島弓子秋日子かく語りき」・岡崎京子pink」(キネマ旬報社 1999年 ISBN 4873765048)のいずれにも1959年、または「一週間」の後「小鳥の巣」に続くと記されているが、いずれにもその根拠は記されていない。おそらくイギリス以外の外国を舞台にした作品が「小鳥の巣」(と「グレンスミスの日記」)しかないことから、エドガーたちがドーバーを越えたのはこのときしかないと考えたことによるものだろうが、例えばエドガー自身が「小鳥の巣」の中で「まえにきた時は東西に別れてなかったのにな」と語っている(ドイツが東西に分裂したのは1948年)。つまりエドガーたちは1948年以前にもドイツに来ており、ドーバーを越えたのが1959年に限定される理由はない。
  16. 女の下着の歴史』(セシル・サンローラン著、深井晃子文化出版局 1981年)に「1928年、モードは一つの極限に達した。(中略)すなわちパンティ時代の到来へと向かっていく。」とあり、カレンがズロースをはいているこの作品は、それより以前の話であることが確認できる。
  17. 事故死なのか自殺なのかは不明。
  18. 作品の中ではおぼれたというだけで死んだとの記載はない。しかし、『別冊少女コミック』1973年6月号掲載の「小鳥の巣」第3話冒頭のあらすじに「この学校にはへんな伝説があった。2年まえロビン・カーという少年が張り出し窓から川へ落ち、それからその幽霊がでて毎年同じ日にだれかが死ぬというのだ。」と記載されており、ロビン・カー以後「同じ日にだれかが死ぬ」に該当するのは、この時点ではガブリエル・スイス以外にはいない。
  19. 『別冊少女コミック』1974年12月号の1ページ劇場「ポーの伝説によせて」の最後に、作者は「炎のなかで ひとりの少年が 燃えて消滅しました」と記している。
  20. 「エディス」連載終了直後の『別冊少女コミック』1976年8月号の「少年たちは今どこに!?」(作者と羽仁未央との対談)で次のやりとりがある。
    未央「ところで6月号の『エディス』では、アランが燃えてしまったでしょう。あたしの理想の人を殺しちゃうなんて、ひどいわー!!」
    萩尾「ああいう男の子が理想なの? わたしはエドガーのほうが好きなんだけれど……」
    (中略)
    未央「アランは消滅してしまったんだけど、エドガーは?」
    萩尾「ふっふっふっ……。エドガーは大好きだから絶対に殺さないのじゃ。これ、作者の特権ね(笑)。」
  21. 「小鳥の巣」のラストで、マチアスに血を吸われたキリアン・ブルンスウィッグについて、「バンパネラの血はキリアンの体内に深くしずんで存在した。それは潜在的な因子として子孫にうけつがれてゆき……。」と記されている。ただし、それはキリアンに限らず、「ポーの村」のグレンスミス、「エヴァンズの遺書」のアーネスト、さらにはグレンスミスの子孫であるマルグリッド・ヘッセンやルイス・バードにもあてはまることである。

登場人物名の由来

  • バンパネラ一族名「ポー」およびエドガーとアランの名前はエドガー・アラン・ポーに由来する[14]
  • メリーベルの名前の由来は作者によって明らかにされていないため、エドガー・アラン・ポーに13歳で嫁いだ妻ヴァージニアのことをポーがつづった詩「アナベル・リー」が由来であるとする説[15]や、「ベッシー・ベルとメリー・グレー」というマザーグースが由来であるという説[16]などがある。
  • 小鳥の巣」に登場する委員長テオドール・プロニスの名前について、作者は「名前というものあれこれ」というエッセイ[17]の中で、水野英子の「エーデルワイス」の主人公「テオドール」に由来する旨を記している。
  • リデルとシャーロッテ・エヴァンズ、エディス・エヴァンズの名前について、『不思議の国のアリス』のモデルであるアリス・プレザンス・リデル(Alice Pleasance Liddell)とその姉ロリーナ・シャーロッテ・リデル(Lorina Charlotte Liddell)および妹エディス・メアリィ・リデル(Edith Mary Liddell)の名前が由来であるとの推測に基づき、『不思議の国のアリス』と『ポーの一族』とに密接な関係があると説く研究がある[15]

作品の舞台(登場する主な地名)

イギリスおよびイングランドの首都。
メリーベルと銀のばら」の後半、「エヴァンズの遺書」のラスト、「ピカデリー7時」「ホームズの帽子」「エディス」の主舞台となる。
物騒な町でいつも事件ばかり起こっているが(「メリーベルと銀のばら」でのポーツネル男爵談)、陰気だが派手に遊べるところもある(「エヴァンズの遺書」でのロジャー・エヴァンズ談)。
「メリーベルと銀のばら」の前半の舞台。エドガーとメリーベルが育てられた村。
「ポーの一族」構想メモでは当初「ロビン村」という名称であった。場所は「イギリス、山間」と記されているが、それ以上どのあたりに所在するのかは不明。
ドーバー海峡のイギリス側の港町。対岸のフランス側の港町がカレーで、フランス側ではこの海峡をカレー海峡と呼んでいる。
ポーの一族」では「市(シティ)」と呼ばれるだけで地名が明らかにされていないが、「ポーの一族」構想メモには「イギリス、ドーバー」と記されている。
「エヴァンズの遺書」でエドガーはポーツネル男爵たちが待つリトル・ヘヴンのホテルに向かう途中、馬車ががけから落ち、ヘンリー・エヴァンズ伯爵の館で看護される。イギリスのどのあたりに所在するのかは不明。
「一週間」の中で、エドガーがアランに「リトルヘブンまで行ってドーバーをこえるよ」と語っているが、この「リトルヘブン」と「エヴァンズの遺書」の「リトル・ヘヴン」が同一の地名であるかは不明。
「一週間」のリトルヘブンは、のんびりと馬車でリトルヘブンに向かってそこからドーバーに行こうというぐらいだから、ドーバーまでそう遠くない場所に位置していると思われる。
ミッドランド地方(イングランド中央部)の東に位置するイングランド最小の州。1974年に西隣のレスターシャーに併合されたが、1997年に再び一州として独立した[18]
ラトランドのどこかにポーの村の入り口があり、「ピカデリー7時」のラストでエドガーとアランはラトランドに向かう。
「ポーの村」でグレンスミスはラトランド伯の招きでサン・ダウン城を訪れポーの村に迷い込むことから、ラトランドはラトランド伯の所領地であったと考えられる。
レスターシャーの中心都市。シェイクスピアリア王と王女たちの故郷と言われている[18]
ランプトンは語る」の中で、ドン・マーシャルはレスターに向かう途中雷雨に遭い、飛び込んだクエントン館で顔だけエドガーのランプトンの複製画を見つけている。
「ペニー・レイン」でエドガーが立ち寄った村。イギリスのどこに所在するのかは不明。
エドガーたちはこの村を半年ほど前に通ったとあることから、ポーの村を出た後のことと思われる。ポーの村がラトランドのどこかにあるとして、また「ポーの一族」の舞台が構想どおりドーバーであれば、ウィッシュの村はラトランドとドーバーの間に位置することになる。
ドイツ連邦共和国の首都。
グレンスミスの娘エリザベスはトニーと結婚して北海を渡り、ベルリンで暮らす。(「グレンスミスの日記」)
キリアン・ブルンスウィッグは幼少の頃ベルリン郊外の家に住んでいて、そこで戦車の群れを見た。(「小鳥の巣」)
グリム童話にゆかりのある町を結ぶドイツ・メルヘン街道の終点で、「ブレーメンの音楽隊」で知られる都市。
エリザベスの三女アンナがピエール・ヘッセンと結婚して、ブレーメンに移り住む。(「グレンスミスの日記」)
ヘッセン家は1942年にピエールの兄がいるツェレに引っ越すことになるが、その後再びブレーメンに戻ってきて、1959年にはマルグリッド・ヘッセンが父ピエールと二人で暮らしている。
ドイツ西部、ベルギーの国境近くに位置し、ケルン大聖堂で知られる都市。
「小鳥の巣」の舞台、ガブリエル・スイス・ギムナジウムが所在する地名は明らかにされていないが、ロビン・カーの死体を探すためにケルン市のほうまで川をさらったと上級生が語っていたり、創立祭の前日マチアスが家に帰る際「ケルンだからすぐだよ」と語っていることから、ケルン近郊に位置するのは間違いない。
「ポーの一族」構想メモには「小鳥の巣」の舞台は「西ドイツオーストリアの国境に近い高等中学」と記されているが、ケルンはベルギーの国境に近いので、構想から設定を変更したものと思われる。
ケルンの南方に位置する都市。東西ドイツが統一される以前、1949年から1990年まで西ドイツの首都であった。
「ランプトンは語る」の中で、ルイス・バードはボンの大学にテオドール・プロニスを訪ねている。
「はるかな国の花や小鳥」でエルゼリ・バードを捨てた恋人、ハロルド・リーが住む町。イギリスのどのあたりに所在するか、また実在する地名であるのかも不明。
「エディス」でアーサーと呼ばれるクエントン卿によく似た人物が住んでいた町。イギリスのどのあたりに所在するのか、また実在する地名であるのかも不明。「ストラトフォード」の誤りではないかと思われる[19]

作品中のマザーグース

『ポーの一族』には随所にマザーグースの詩の一節が用いられている。用いられている詩と作品は次のとおり。

  1. ハンプティ・ダンプティ(Humpty Dumpty)  「メリーベルと銀のばら
  2. 誰が殺した? クック・ロビン(Who killed Cock Robin?)  「小鳥の巣
  3. オレンジとレモン(Oranges and Lemons)  「ピカデリー7時」
  4. ライオンとユニコーン(The Lion and the Unicorn)  「ペニー・レイン」
  5. アーはアップルパイ(A was an apple-pie)  「はるかな国の花や小鳥」
  6. 美しいのは月曜日の子供(Monday's Child is fair of face)  「一週間」
  7. 世界中がアップルパイで(If all the world was apple-pie) 「一週間」
  8. 雨、雨、行っちまえ(Rain,rain,go away)  「一週間」
  9. ラバ・ダブ・ダブ(Rub-a-dub-dub)  「一週間」
  10. ジョージィ・ポージィ(Georgie Porgie)  「一週間」
  • 「クック・ロビン」は「Cock Robin」を「Cook Robin」と作者が見誤ってカナ表記したもので[20]、それがのちに『パタリロ!』(魔夜峰央著)の「クック・ロビン音頭」に引用され[21]一般化したものであると、『ふしぎの国の『ポーの一族』』(いとうまさひろ新風舎文庫 2007年)に指摘されている。
  • 作者は「クックロビンは一体何をしでかしたんだ」というエッセイ[22]の中で、中公新書の『マザー・グースの唄』(平野敬一著 1972年)でマザーグースと出会ったことを記している。
  • 1975-1976年に『マザー・グースのうた(全5集)』(谷川俊太郎草思社)が出版されたことによりマザーグースは一大ブームを迎え、『ポーの一族』でマザーグースを知ったファンによりマザーグースの読者層のひとつが形成されたとの記事が当時の毎日新聞に記されている[23]
  • 「一週間」に多数のマザーグースが用いられていることから、マザーグース研究家の鳥山淳子は「マザーグースを使いたいがために作り出した短編だと言ってもいいだろう」と記している[24]
  • 7.「世界中がアップルパイで」(If all the world was apple-pie)の最後の一節は「いったい何を飲めばいいんだ?」(What should we have to drink?)で、アランは作品中で「should」を「would」に変えて歌っている。また、これとそっくりな「もしもこの世が紙でできてて」(If all the world were paper)という別の詩があり、最後の一節がどちらも同じなことから、どちらの詩をアランが歌ったのか見解が分かれている[25]

プランタン

  • 作者には珍しい長編ラブ・コメディ作品[26]この娘うります!』(『週刊少女コミック』1975年6-16号)に登場する、ボードリアン・モデル・クラブのトップモデル。主人公ドミニク・シトロンの父親と恋愛の末、モデルを引退し結婚する。
  • 『ポーの一族』では、「エディス」で麻薬の密売取引を追う女刑事役で登場している[27]

パロディ作品

『とってもしあわせモトちゃん』番外編

作者の別作品のラブコメギャグ漫画『とってもしあわせモトちゃん』番外編「ジョニーウォーカーくんのバラのものがたり」には、自己パロディというべき、自称「ポーの一族のギャグタッチ」であるエロガー・ポーチネロが登場する。

ジョニー・ウォーカーは病気で寝ているガールフレンドのチェリーを見舞うため、バラを育てていた。おなかをすかせたエロガーはバラのつぼみを見つけると、モトちゃん(主人公であるかわいい生き物)に「咲いたら食べられる」という。これを見つけたジョニーは慌ててバラから追い払い、エロガーたちがおなかをすかせているのを見て食事を振る舞うが、エロガーは手を付けようとしない。そこでエロガーは自分の正体(バンパネラ)を明かし、ジョニーの血を吸おうとするが失敗。そのままジョニーの家に泊めてもらうが、翌朝花の咲いたバラを盗んでいってしまった。エロガーはバラを食べようとしたが、たまたま通りかかった家の少女(実はチェリー)がかわいかったので譲り、そのまま去っていった。

エロガーはエドガーをシニア(一世)、自らをジュニア(二世)と称したが、実際の関係は不明。

『ペーの一族』

東村アキコ著『ひまわりっ 〜健一レジェンド〜』の作品中で描かれる本作のパロディ作品。主人公の林アキコが勤める「南九州テレホン」お客様サービス課の副主任・猿渡が、女子高生時代に『ペーの一族』を描いて友人に見せる回想シーンに登場する。『ペーの一族』の主人公・林家ペーがエドガーの姿で描かれている。

著者は、「ストーリーは基本『ポーの一族』と一緒」で、「林家ペーが落語家だっていうことを最近の人は知らないじゃないですか。それというのは彼が、自分は林家一門っていうことを隠して生きているからだ...みたいなことだと思うんですよね。」ということから巻き起こるドラマだと、萩尾との対談で説明している[28]

作品中、林家三平に「ペー、テレビに映ってない!!」と怒鳴られ「テレビに映りたかったら、つねにこん平の後ろに回りこめ!」と言われたペーが、エドガーの姿で「笑っているふり...面白がっているふり...それくらいできるよ」とつぶやいたり、グレンスミスに模された人物が「...林家一門...」と愕然とするバックに「林家 林家 林家の一門」と記されている場面などが描かれている。

単行本・文庫本

  • フラワーコミックス『ポーの一族』(全5巻)
第1巻 1974年6月1日初版発行 ISBN 9784091300010
収録作品 「ポーの一族」、「ポーの村」、「グレンスミスの日記」、「すきとおった銀の髪」
第2巻 1974年7月1日初版発行 ISBN 9784091300027
収録作品 「メリーベルと銀のばら」、他ポー・シリーズ以外2編(「ふしぎの国の人形たち」、「10月の少女たち」)
第3巻 1974年8月1日初版発行 ISBN 9784091300034
収録作品 「小鳥の巣」、他ポー・シリーズ以外2編(「六月の声」、「妖精の子もり」)
第4巻 1976年2月5日初版発行 ISBN 9784091300041
収録作品 「エヴァンズの遺書」、「ペニー・レイン」、「リデル・森の中」、「ランプトンは語る」
第5巻 1976年9月5日初版発行 ISBN 9784091300058
収録作品 「ピカデリー7時」、「はるかな国の花や小鳥」、「ホームズの帽子」、「一週間」、「エディス」
  • 萩尾望都作品集 第1期(全17巻中、第6巻-第9巻)
第6巻『ポーの一族1』 1977年11月10日初版発行 ISBN 9784091780065
収録作品 「ポーの一族」、「ポーの村」、「グレンスミスの日記」、「すきとおった銀の髪」、「はるかな国の花や小鳥」
第7巻『ポーの一族2』 1977年12月10日初版発行 ISBN 9784091780072
収録作品 「メリーベルと銀のばら」、「エヴァンズの遺書」
第8巻『ポーの一族3』 1978年1月15日初版発行 ISBN 9784091780089
収録作品 「ペニー・レイン」、「リデル・森の中」、「一週間」、「小鳥の巣」
第9巻『ポーの一族4』 1978年1月15日初版発行 ISBN 9784091780096
収録作品 「ピカデリー7時」、「ホームズの帽子」、「ランプトンは語る」、「エディス」、ポーの一族名場面集(イラスト)、『とってもしあわせモトちゃん』番外編「ジョニーウォーカーくんのバラのものがたり」
  • 小学館叢書『ポーの一族』(全3巻)
第1巻 1988年7月1日初版発行 ISBN 9784091970619
収録作品 「すきとおった銀の髪」、「ポーの村」、「グレンスミスの日記」、「ポーの一族」、「メリーベルと銀のばら」
第2巻 1988年8月10日初版発行 ISBN 9784091970626
収録作品 「小鳥の巣」、「ペニー・レイン」、「ピカデリー7時」、「はるかな国の花や小鳥」、「一週間」、他ポー・シリーズ以外3編(「モードリン」、「白き森白き少年の笛」、「ヴィオリータ」)
第3巻 1988年9月10日初版発行 ISBN 9784091970633
収録作品 「エヴァンズの遺書」、「ランプトンは語る」、「リデル・森の中」、「ホームズの帽子」、「エディス」、他ポー・シリーズ以外4編(「白い鳥になった少女」、「妖精の子もり」、「雪の子」、「月蝕」)
  • 小学館文庫『ポーの一族』(全3巻)
第1巻 1998年8月10日初版発行 ISBN 9784091912510
収録作品 「ポーの一族」、「ポーの村」、「グレンスミスの日記」、「すきとおった銀の髪」、「ペニー・レイン」、「はるかな国の花や小鳥」、「リデル・森の中」、「一週間」
第2巻 1998年8月10日初版発行 ISBN 9784091912527
収録作品 「メリーベルと銀のばら」、「エヴァンズの遺書」、「ピカデリー7時」、「ホームズの帽子」
第3巻 1998年8月10日初版発行 ISBN 9784091912534
収録作品 「小鳥の巣」、「ランプトンは語る」、「エディス」、『とってもしあわせモトちゃん』番外編「ジョニーウォーカーくんのバラのものがたり」
  • 萩尾望都Perfect Selection(フラワーコミックススペシャル全9巻中、第6巻・第7巻)
第6巻『ポーの一族I』 2007年12月1日初版発行 ISBN 9784091312198
収録作品 「すきとおった銀の髪」、「ポーの村」、「グレンスミスの日記」、「ポーの一族」、「メリーベルと銀のばら」、「小鳥の巣」
第7巻『ポーの一族II』 2007年12月26日初版発行 ISBN 9784091312204
収録作品 「エヴァンズの遺書」、「ペニー・レイン」、「リデル・森の中」、「ランプトンは語る」、「ピカデリー7時」、「はるかな国の花や小鳥」、「ホームズの帽子」、「一週間」、「エディス」

ラジオドラマ

「ラジオドラマ ポーの一族」

NHK-FM1980年1月1日 - 1月6日に放送された。
第1回 「グレンスミスの日記」前編
第2回-5回 「ポーの一族」
第6回 「グレンスミスの日記」後編

「連続ラジオドラマ ポーの一族」

ラジオ関西で2007年10月6日より、アニたまどっとコムにて別バージョンがWEBラジオとして放送された[29]
番組はラジオドラマと「ポーの一族の記憶」「ポーっの瞬間」「ホーな人たち」「占いコーナー」のコーナーで構成され、ラジオドラマは地上波のみで放送された。放送された作品とキャストは後述のドラマCDを参照。「小鳥の巣」のみ放送されなかった。

ドラマCD

「連続ラジオドラマ ポーの一族」ディレクターズカット版

「連続ラジオドラマ ポーの一族」の放送終了後、各4話ずつ収録で全6巻が発売された。ラジオとは異なるディレクターズカット版を収録し、原作者・萩尾望都のオリジナル図版を使用した特製リバーシブルジャケットとプチイラスト入り解説シートを封入。なお、「ピカデリー7時」と「はるかな国の花や小鳥」のみ収録されていない。

「ポーの一族 エドガーとアラン篇」

映劇のドラマCDレーベル「e☆star」より2013年3月22日発売。

  • キャスト
  • 収録作品
    • 「ホームズの帽子」
    • 「ペニーレイン」
    • 回想 「ポーの一族」
    • 「小鳥の巣」
    • 「エディス」
    • CAST TALK(松岡禎丞×江口拓也×堀江一眞)

脚注

  1. 萩尾望都マンガの魅力』(鈴木志郎康清山社 1978年)のインタビューより。
  2. 萩尾望都の世界 テレビランド増刊 イラストアルバム(6)』(徳間書店 1978年)のインタビューでは、「子どもっていうのはすぐおとなになっちゃうでしょう。つまらないなあ、と思って。年をとらないこと、つまりおばけとか吸血鬼とか、死んでしまった人の怨念とかいろいろ考えているうちに吸血鬼がでてきたのね。」と語っている。
  3. 『萩尾望都の世界 テレビランド増刊 イラストアルバム(6)』(徳間書店 1978年)の萩尾望都インタビューより。
  4. 4.0 4.1 4.2 CREA』1992年9月号「特集THE少女マンガ!! 夢の永久保存版」のインタビューより。
  5. 毎日グラフ』1986年10月26日号「COMIC界の“超少女”たち〔女性マンガ家インタビュー〕」では、「きりとばらとほしと」は小学校のときに読んだと語られている。
  6. 石ノ森章太郎 萬画大全集 動画インタビュー 萩尾望都では、「きりとばらとほしと」を読んだのは中学生ぐらいと語られている。
  7. ユリイカ』(青土社)1981年7月臨時増刊号「総特集 少女マンガ」の吉本隆明との対談(「自己表現としての少女マンガ」)では、「きりとばらとほしと」を読んだのは小学校6年か中学校1年と語られている。
  8. 『少女コミック』掲載作品の単行本「フラワーコミックス」で、最初に発刊されたのが『ポーの一族』第1巻である。
  9. 雑誌『grape fruit(グレープフルーツ)』(新書館1981年7月に掲載されたエッセイ「しなやかに、したたかに」(エッセイ集「思い出を切りぬくとき」(あんず堂 1998年 ISBN 4872822315、河出文庫 2009年 ISBN 4309409873)に所収)に、『トーマの心臓』の連載を打ち切って『ポーの一族』の続きを描くようにと主張する編集部の意向をかわしながら、『トーマの心臓』を最終回まで描き終えたことが記されている。
  10. 『毎日グラフ』1986年10月26日号「COMIC界の“超少女”たち〔女性マンガ家インタビュー〕」で、「勉強にと“吸血鬼幻想”(種村季弘)を読み、スペルを読みちがえて“バンパネラ”。ああいう言い方はないんです。私、すごく多いんです。読みまちがい、聞きまちがい、描きまちがい。」と語られている。
  11. AERA』2006年5月1日-8日合併増大号「萩尾望都 少女漫画が文学を超えた日」より。
  12. 財団法人大阪国際児童文学館日本の子どもの本100選 - 『ポーの一族』
  13. 『週刊少女コミック フラワー・デラックス』1976年8月28日号に掲載。
  14. 『別冊少女コミック』1976年8月号「少年たちは今どこに!?」(作者と羽仁未央との対談)で次のやりとりがある。
    未央「ところで『ポーの一族』のエドガーやアランという名まえは怪奇小説家のエドガー・アラン・ポーから取ったのですか?」
    萩尾「そうです。ゴロ合わせみたいなもンですね。」
  15. 15.0 15.1 ふしぎの国の『ポーの一族』』(いとうまさひろ新風舎文庫 2007年 ISBN 9784289503544)より。
  16. マザーグースと日本人』(鷲津名都江著 吉川弘文館 2001年 ISBN 4642055290)の「コミックスのマザーグース出典一覧」より。
  17. 雑誌『grape fruit(グレープフルーツ)』(新書館)1982年2月に掲載(『思い出を切りぬくとき』(あんず堂 1998年、河出文庫 2009年)に所収)。
  18. 18.0 18.1 ロンリープラネットの自由旅行ガイド 英国』(メディアファクトリー 2003年 ISBN 4840108218)より。
  19. 「ストラトフォード」を含む地名であればシェイクスピアの生誕地として知られるストラトフォード・アポン・エイヴォンなどもあるが、「ストラトフォード」だけの地名はロンドンのストラトフォードとイギリス南西部に位置するグロスターシャーのストラトフォードだけである。そのいずれかに絞るなら、クエントン卿がアランに「まだロンドンにいるのか。そのうち出てくるとエドガーに言っといてくれ。」と話していることから、ロンドンではなくグロスターシャーのストラトフォードにいたことになる。
  20. 『別冊少女コミック』1973年6月号掲載の「小鳥の巣」第3話で、エドガーが「だれが殺した? クック・ロビン……」と歌っているページの欄外に「クック・ロビン(Cook Robin)…駒鳥のオス」と記されている。
  21. 『パタリロ!』(白泉社花とゆめコミックス」第6巻)で「クック・ロビン音頭」初披露の際、「すばらしい。小鳥の巣以来の感激だ。」という台詞がある。
  22. マザー・グースのうた第4集』(谷川俊太郎草思社 1976年)の付録。作者のエッセイ集『一瞬と永遠と』(幻戯書房 2011年)に収載。
  23. 毎日新聞「大変な人気「マザー・グース」“谷川俊太郎訳”が引き金に」(1976年5月3日掲載)。
  24. もっと知りたいマザーグース』(鳥山淳子スクリーンプレイ 2002年 ISBN 4894073218)。
  25. 「世界中がアップルパイで」(If all the world was apple-pie)を支持しているのは『ふしぎの国の『ポーの一族』』(いとうまさひろ著 新風舎文庫 2007年)、「もしもこの世が紙でできてて」(If all the world were paper)と記されているのは『マザーグースと日本人』(鷲津名都江著 吉川弘文館 2001年)の「コミックスのマザーグース出典一覧」。
  26. 「『トーマ……』の暗いイメージからぬけ出たい……そんなつもりで挑んだ連載でした」と、『この娘うります!』について記されている。(『週刊少女コミック』1976年3月28日号の『ポーの一族』とじ込みポスター裏面「萩尾望都の素顔初公開!!」参照)
  27. 他作品のキャラクターが別の作品に登場するものとして似たような例を挙げれば、『精霊狩り』シリーズ第3作目の「みんなでお茶を」(『別冊少女コミック』1974年4月号)にテイペント・ナンセンス博士の助手A役で『トーマの心臓』のオスカー・ライザーが登場している。
  28. 萩尾望都対談集『物語るあなた * 絵描くわたし』(河出書房新社、2012年11月) 第7章「私の人生を変えた萩尾作品」(萩尾と東村の対談)参照。
  29. 連続ラジオドラマ-アニたまどっとコム内HP
  30. ジャケットには誤って「ジェーン」と印刷されているが、CDでは原作どおり「ジューン」と呼ばれている。なお、『萩尾望都マンガの魅力』(鈴木志郎康著 清山社 1978年)、『マンガ夜話』Vol.2 萩尾望都「ポーの一族」・大島弓子「秋日子かく語りき」・岡崎京子「pink」(キネマ旬報社 1999年)にも同じ誤りが見られる。
  31. 5巻のジャケットには誤って「マルグリット」と印刷されているが、CDでは「マルグリッド」と呼ばれている。なお、「マルグリッド」と「マルグリット」の混在は雑誌掲載時の原作や単行本の中にも見られたが、2007年発売のPerfect Selection版ではすべて「マルグリッド」に統一されている。

外部リンク

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