プルコギ

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テンプレート:Infobox プルコギは、韓国の代表的な料理の一つ。醤油ベースで甘口の下味をつけた薄切りの牛肉を、野菜春雨と共に焼く、あるいは煮る料理であり「韓国風すき焼き」とも呼ばれる。

概要

「プル」()は「火」、「コギ」(고기)は「肉」の意味だが、日本でいう「焼肉」とはかなり異なり、むしろすき焼きに近い。

醤油・砂糖蜂蜜清酒ごま油などの調味料と、おろしたニンニクショウガ、さらにナシリンゴなどもおろして加えてよく混ぜたヤンニョムに、薄切り肉(牛ロースヒレなど)を漬ける。漬ける時間は肉の質やレシピなどにより30分から一晩とさまざまである。漬けた肉は玉ねぎ長ねぎきのこ・春雨などと共に焼いて、あるいは煮て、好みによってはサンチュなどに包んで食べる。

飲食店などではテーブルで、プルコギパン(불고기판、プルコギ専用の)を使って調理される。一般にプルコギパンは中央が盛り上がっており、周辺に溜まった肉汁に漬けながら中央で肉や野菜を焼き、煮る。最初から鍋の縁にスープを張る店もある。他にも、網で焼いたり、また平たい普通の鍋で煮て作ることもあるなど、地域や店、家庭によって調理方法はさまざまである。プルコギパン自体も材質・形状など多種多様に開発されている。できあがりは日本のすき焼きに近いが、単に肉野菜炒めのようなものや、具だくさんのスープ料理になることもある。肉は主に牛ロースやヒレなど赤身が使われる。豚肉を使えばテジプルコギ돼지불고기)となる。

ヤンニョムにナシ・リンゴ、さらに近年はキウイなどの果物を用いるのは、甘味・風味を加えると共に、肉を柔らかくするためである。肉を柔らかくするために、繊維を断ち切るような切り方をしたり、ヤンニョムに漬ける前に砂糖・清酒・ナシの果汁などを直接揉み込むといった工夫が加えられる。

歴史

カルビグイなどと同じく、ワイ貊の肉料理であるメッチョク(貊炙 / ばくせき)が起源とされている。『釈名』「釈飲食」によれば、貊炙は「胡貊より出ずる」料理であり、「全体もて之を炙り、各自刀をもって割く。」すなわち丸焼きないし大きな一枚肉として焼いて、各人が切り取って食べるものであると記述されている。高麗期は仏教の普及により肉食が禁じられたが、13世紀からのの支配などによって肉食の習慣と技術が復活した。開城(ケソン)では、肉を柔らかくするために焼く途中で冷水に浸して再び焼くという料理ソリャミョク(雪夜覓)が名物とされた。この名前は中国北宋の時代、雪の夜に趙普が太祖らを炭火焼の肉でもてなした故事にちなむとされている。李朝になると、宮中では味付け肉を厨房で焼いて供するノビアニが作られるようになり、これが食卓で調理するプルコギに発展した。ノビアニは、刻んだ肉や切込みを入れた肉で作るハンバーグ様の料理となって現在も韓国料理店で出される「韓定食」と呼ばれるメニューのひとつに登場することがある。

発展

上述のように材料や調理方法は多彩である。炭火で網焼きするスタイルや、下味は調理する直前につけるスタイルなどが生まれつつある。また、キムパブにこの肉を入れた「プルコギキムパブ」なども登場し、日本ではそのままご飯に乗せた「プルコギ」を見かける。さらに、プルコギ味の肉を乗せて焼いた「プルコギピザ」や、ハンバーガーのミートパティにプルコギの味付けをした「プルコギバーガー」など、その味は韓国料理以外にも広がっている。

一方で、イカジンオ)と豚バラ肉サムギョプサル)を唐辛子ベースの辛いヤンニョムに漬け込んでから炒めるオサムプルコギなる料理も登場して海鮮料理店などで提供されている。材料・味覚ともプルコギとは異なるものだが、焼く前に漬け込んでおくことと、テーブルで調理しながら食べるスタイルから命名されたと考えられる。

関連項目

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