フレンチトースト

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フレンチトースト

フレンチトースト英語: French toast)は北アメリカヨーロッパの一部、アジアの一部の国・地域、ラテンアメリカなどで朝食軽食デザートとしてよく食べられているパン料理の1種である。溶いた鶏卵牛乳などの混合液をパンに染み込ませ、フライパンなどで焼き直したもので、パンがしっとりした食感に変わる。

概要

フレンチトーストには様々な作り方があるが、基本的なものはパン(食パンフランスパンをスライスしたもの)に、鶏卵と、牛乳かオレンジジュース、それにナツメグシナモンなどのスパイスを混ぜた調味液をしみこませて、フライパンなどで軽く両面を焼いて作る。バニラエッセンスを使うこともある。

パンも食パンだけでなく、レーズンナッツを含んだものを使うことがある。また、1枚ではなく、2枚を合わせて、間につぶしたバナナなどのフルーツを挟んだり、ジャムピーナッツバターを塗る場合もある。 好みで、バターメープルシロップ生クリーム、粉砂糖ガムシロップ蜂蜜などをかけて食べる。

歴史

フレンチトーストは、ヨーロッパの様々な国で作られていたことが記録に残っており、最も古い記録は4世紀終わりから5世紀初めにかけて編纂された料理書アピキウスの中で「アリテル・ドゥルキア」(Aliter Dulcia)つまり「もう一つの甘い料理」とのみ呼ばれるもので、パンを牛乳にひたして作るが、鶏卵の使用については言及されていない[1]

語源については、アメリカで1724年にニューヨーク州オールバニの酒屋の店主ジョーゼフ・フレンチが命名したとされている。但し、第一次世界大戦アメリカ軍ではほぼ同様の製法の物が「ミルクトースト」と呼ばれていたこともあり、真偽は不明である。

2003年頃にイラク問題をめぐってアメリカとフランスの関係が悪化した際、反仏活動の一環として民間の食堂がフレンチポテトフリーダムフライに改称したことが話題になった。アメリカ合衆国下院議会でもこれに追随し、ロバート・ウィリアム・ナイ下院議員が主導して下院の食堂のメニューにあったフレンチポテトをフリーダムフライに改称したが、これにあわせてフレンチトーストもフリーダムトーストに改称されたことがある[2]

現在、フレンチトーストの簡易レシピとしてプリンを用いたものが一部で話題となっている[3]

「失われたパン」

フランスやベルギーコンゴ共和国カナダニューファンドランド・ラブラドール州、アメリカのニューオーリンズアケイディアナでは、フレンチ・トーストはフランス語で「失われたパン」(テンプレート:Lang-fr)と呼ばれる。ミルクや卵に漬けることで硬くなったパン(すなわち「失われたパン」)を「生き返らせる」ものであることがその理由である[4]。フランスでは朝食としてではなくデザートとして食べられている[5]

各国のフレンチトースト

日本 
日本では、食パンを用い、鶏卵と牛乳に砂糖を加えた液を染み込ませて、フライパンで焼くのが一般的であるが、店によってバリエーションも広い。パン屋で焼いたものを売る場合や、パン工場で焼いたものをコンビニエンスストアなどで販売する場合もあるが、これらの場合は日持ちを考えて、中まで液を染み込ませず、表面に薄く付けただけのものが多いため、飲食店で出すものとは食感などに違いがある。
香港 
「西多士」(広東語: サイトーシー)と呼ばれ、茶餐廳という喫茶軽食店の定番メニューである。溶き卵を付けて、少しの油で揚げるような調理法をする。バターを載せて出すが、そのままでは甘くないので、シロップか蜂蜜をかけて食べる。薄切りの食パン2枚の間にピーナッツバターを塗り、外側だけとき卵を付けて焼いたものを出す店もある。
台湾 
「法國土司」(中国語: ファーグオトゥースー Fǎguó tǔsī )などの名で朝食に出す店が多い。台湾では鉄板で焼く料理も少なくないため、そのひとつとして、食パンの表面に溶き卵だけを付けて鉄板で焼いて出しているものなど、総じて甘くないものが多い。塩味のものでは、具として、2枚の間にツナを挟んだ「鮪魚法國土司」(ウェイユーファーグオトゥースー)や、スイートコーンを挟んだ「玉米法國土司」(ユーミーファーグオトゥースー)などもある。
イタリア 
薄切りにしたモッツァレラチーズをパンでサンドイッチ風に挟んでから、周りに卵液をつけて焼いたモッツァレッラ・イン・カロッツァ(Mozzarella in Carrozza、「馬車に乗ったモッツァレッラ」)という料理がある。
スペイン 
牛乳に砂糖を加えた液を染み込ませたパンに溶き卵をからめてオリーブオイルで揚げ、シナモンシュガーをまぶしたトリハスという菓子がある。ラテンアメリカの一部の国ではトレハスと呼ばれるが、若干違いがある。
インド 
ベンガル地方の「フレンチトースト」は刻みタマネギと青唐辛子を混ぜた卵液をパンにからめてマスタード油で焼いた塩味の軽食である[6]

脚注

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関連項目

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pl:Torrija
  1. Joseph Dommers Vehling, trans., Apicius: Cookery and Dining in Imperial Rome, Book VII, chapter 13, recipe 296 full text at Gutenberg
  2. テンプレート:Cite web
  3. テンプレート:Cite web
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