ザ・ウルトラマン (漫画)

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テンプレート:Pathnav テンプレート:Sidebar with collapsible listsザ・ウルトラマン』は、ウルトラシリーズを題材とした内山まもるの漫画作品。小学館の「小学三年生」や『コロコロコミック』などに連載された。TVアニメシリーズの『ザ☆ウルトラマン』との関連性はない。

概要

初出は、第2期ウルトラシリーズがウルトラマンレオをもって終了した直後の1975年度に、学習雑誌「小学三年生」誌上で一年間連載(昭和50年四月号〜昭和51年三月号)されていた、内山によるオリジナルストーリーのウルトラシリーズ外伝。この時のストーリーは通称「ジャッカル編」と呼ばれ、3年後の1978年に『コロコロコミック』で再掲されて人気となり、続編の「ファイタス編」が作られてコロコロに掲載され、共に単行本化された。単行本では、第2期ウルトラシリーズ放映時に小学館の学習雑誌で連載された同作者による『ウルトラマンA』・『ウルトラマンタロウ』・『ウルトラマンレオ』から選出された数編が収録されていた。双葉社から発売された単行本では、1997年朝日ソノラマの雑誌宇宙船81号に掲載された『ウルトラマンティガ』の漫画版も収録されている。

「ジャッカル編」をはじめとするオリジナルストーリーでは、大仕掛けな物語が展開されている。各ウルトラ戦士にはいわゆる人間的な描写が盛り込まれており、例えばウルトラマンAは陽気で大らか、ウルトラマンレオは若い好青年といった性格付けがされている。ゾフィーを主人公とするストーリーが比較的多く、後述するようにオリジナルの怪獣やウルトラ戦士が登場するほか、ウルトラ戦士が鎧や剣などの武器や戦艦などの兵器を使用する場面も見られる。

また、上記のTVシリーズの漫画化作品も、本編とは異なる設定や展開が多い。特にタロウとレオでは、完全なオリジナルストーリーも挿入されている。

ウルトラ戦士

メロス
宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長。最大の特徴は、戦闘時に頭部から足までの全身を包む極めて強靭な鎧(メロス曰く「肩当部分は特に強靭である」)で、ブラックホールの高重力を防ぐ機能さえ備えているという。ブレスレットからの遠隔操作により戦闘中でも着脱が可能。鎧の頭部には地球人のような目鼻口を持つ顔面パーツがあるが、素顔はウルトラマンの顔をしている。必殺技は鎧の腹部に装着されたブーメラン「アンドラン」(左右2つに分割してそれぞれを投げる「ダブル・アンドラン」というバリエーションがある)、鎧の肩の部分のサスペンダー状のパーツから発射する「アンドロレーザー N75」、全身のエネルギーを集めて腕から放つ最強の必殺技「レーザーショット・アンドロメロス」。
ゾフィーとは旧知の仲で、ウルトラの国がジャッカルによって壊滅させられた際にジャッカル軍団に対抗すべく来援した。皮肉屋の性格で、当初は単独でジャッカルを倒そうとするが、そのために残り少ないウルトラ戦士が犠牲になったことを反省し、ゾフィーらと共闘する。『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦』及び『アーマードダークネス』にも登場。
名称の由来は太宰治短編小説走れメロス』より[1]
ファイタス
メロスの弟。鎧を纏い仮面を着けているために素顔は不明だったが、『アーマードダークネス』で鎧を脱いだ姿が描かれた明らかになる。最強のウルトラ戦士に憧れ、ウルトラの国の道場で師範代を務めるウルトラセブンに対して勝負を挑んだ。細身の剣が武器。剣からは螺旋状の光線「スパイラルビーム」を放つこともできる。最期はセブンとの勝負に敗れ、命を落とした。
その後、『アーマードダークネス』でピンチのセブンを救出するために飛来。自らの鎧をセブンに貸与し、ブラックホールに落ちたウルトラの父ウルトラマンヒカリの救出に向かわせた。命を落とした際、ファイタスに新しい命を与えたのが当時命の研究をしていた科学者のヒカリであり、「かつてヒカリに命を救われた」旨の発言もしている。
エルフ
ウルトラマンタロウの幼馴染で親友だったが、バルタン星人の王・キングバルタンとなり、宇宙征服を企てる。タロウと再会して改心するが、裏切者としてタロウと共に囚われる。バルタン星人の宇宙侵攻を阻み、タロウを脱出させるためにタロウの必殺技「ウルトラダイナマイト」を真似て自爆し、動力炉を破壊した。タロウは訓練により自爆しても再生できるが、エルフは無理を承知の上で自ら死を選んだ。
ウルトラマンレオの両親
故郷の獅子座 L77星がマグマ星人に破壊された際に行方不明となり、死んだと思われていたが生存していた。ババルウ星人(TV版39話でレオに倒された星人の弟)に囚われて人質となり、レオ兄弟は脅迫されて心ならずもウルトラ兄弟と戦うことになる。
ウルトラ戦士たち
ウルトラ兄弟以外にも100万人存在するとされている、ウルトラの国のウルトラ戦士。本作に登場する名も無きウルトラ戦士の多くは概ねウルトラマンに酷似した姿をしており、個人の名前は出て来ない。地球人に変身する能力も持つ。ジャッカル軍団との戦いで壊滅状態に陥った際、ゾフィー以下28人の生き残りはウルトラ28人衆と呼ばれた。その内の1人は『アーマードダークネス』で登場する女戦士アウラの父であり、メロスをかばって戦死している。
ウルトラの母の率いる救護部隊・銀十字軍の隊員も登場する。外見は母に似た姿だが、頭の両側の飾りがない。
ベーダー人との戦いの際、「ウルトラ忍者部隊」なる特殊部隊が登場する。通常のウルトラマンとは赤と銀の配色が逆になっている。隊長であるゾフィーの権限でも、200名しか動員できないとされている。

敵宇宙人

ジャッカル
宇宙大魔王。ジャッカル大魔王とも呼ばれる。黒髪に湾曲した角を持つ。かつてウルトラマンキングに敗れて宇宙の地獄ブラックホールに追放された宇宙人。ブラックホールのエネルギーを吸収し、更に強力になって復活、ウルトラの国を壊滅に追い込む。変身能力を持ち、ゼットンブラックキングバードンエースキラーなどの強力な怪獣に変身してウルトラ兄弟を次々と倒した。ゾフィーをはじめとするウルトラ一族への変身もできるうえ、M87光線でアストラを倒し、撤退するウルトラ戦士たちに紛れ込んでウルトラの国への侵入を果たした。変身は姿だけではなく能力もコピーでき、しかもオリジナルよりも遥かに強いという。ジャッカル本来の武器は、ウルトラ戦士をも一撃で倒すほど強力な「ジャッカル破壊光線」。髪が金色に輝くと最大出力の破壊光線を放射でき、本編ではこれでウルトラの国の最重要施設であるプラズマ核融合炉を破壊し、ウルトラの国を壊滅に追い込んだ。その後、配下の軍団を率いて生き残ったウルトラ戦士の抹殺と全宇宙の支配に乗り出すが、突如現れたメロス、さらに彼と協力したゾフィーによって妨害され、最後は復活したウルトラ兄弟の必殺技を一斉に受けて木端微塵となり滅び去った。
名称の由来はフレデリック・フォーサイス小説ジャッカルの日』より[1]
ジャッカルに倒されたウルトラ兄弟の中にセブンは含まれていないが、最後に復活してジャッカルを倒すメンバーにはセブンも加わっている。内山作のレオ編でセブンはシルバーブルーメに特攻して命を落としており、この機会に一緒に復活したものと思われる。
ジャッカル軍団
ジャッカルが従えている大軍団。四天王を筆頭に、その数は100万人にも及ぶ。軍団の構成員はジャッカルに良く似た姿だが、髪はジャッカルと四天王にしかなく、四天王以下は階級に応じて角が短くなっている。またジャッカル軍団のマークの位置が異なる(ジャッカルは額、四天王は左胸、軍団長は胸部中央、軍団員は腹部)。最下級の軍団員であっても、普通の怪獣より強いとされている。ジャッカルが倒された後、四天王以下生き残りは一度は見逃されるが、その後ファイタスの計略により再びウルトラ一族に戦いを挑み全滅した。
後年の『ウルトラ兄弟物語』ではジャッカーという生き残りが登場し、『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦』及び『アーマードダークネス』ではエンペラ星人亡き後に再び動きを見せている。
パイレーツ星人
キングパイレーツを頂点とする宇宙海賊。レオの指揮するパトロール艇を撃墜し、捜索のために出撃してきたゾフィーの率いるウルトラ戦艦をも次々と撃沈すると、旗艦を拿捕して地球侵攻を目論む。
ベーダー人
ベーダー総統に率いられる宇宙の侵略者。100日眠り100日活動するという周期で行動する。ウルトラの国が誇る大要塞を破壊し、地球とウルトラの国を目指して侵攻する。
キングバルタン
バルタン星人の王となっていたエルフ。詳細はバルタン星人を参照。
レッドバルタン、ブルーバルタン
キングバルタン(=エルフ)が率いるバルタン帝国のバルタン達。詳細はバルタン星人を参照。
アヌビス星人
ウルトラ一族に降伏を要求し、受け入れなければ「超空間破壊砲」でウルトラの国を破壊すると脅迫する。実は超能力を持つ「生体コンピュータ」に操られていた。
アサシン星人
暗殺のプロ。忍者暗殺星人と呼ばれ、彼に狙われて生き延びた者は宇宙にいないと言う。ゾフィーを暗殺するためにウルトラの国へ潜入して彼に重傷を負わせ、セブンとジャックを倒す。ウルトラ一族の必殺技がほとんど通用せず、個人技では最強クラスであるAのスペースQの直撃でさえ、脳震盪を起こさせる程度の効果しかない。武器は刀。

後年への影響

脚注

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関連項目

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  1. 1.0 1.1 特別復刻コミックス『ウルトラ戦士銀河大戦争』巻末インタビュー。
  2. 朝日ソノラマ刊「ファンタスティックコレクション ウルトラマンマックス」には、丸山浩による「内山メロスをイメージした」とのコメントが掲載されている。
  3. テンプレート:Cite bookテンプレート:Cite book