フレデリック・フォーサイス

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テンプレート:Infobox 作家 フレデリック・フォーサイス(Frederick Forsyth, 1938年8月25日 - )は、イギリスケント州アシュフォード出身の作家。スパイ小説や軍を舞台にした作品が多く、世界各国で読まれている。

略歴

19歳でイギリス空軍に入隊後、1956年から1958年まで勤務する。その後、イースタンディリープレスのレポーターとしてジャーナリズムの世界に入り、1961年ロイター通信社の特派員としてパリ西ドイツチェコスロバキアで過ごす。1965年BBC放送入りし、1967年ナイジェリア内戦ビアフラ独立戦争)取材の特派員として現地入りした。

そして1970年に、フランスシャルル・ド・ゴール大統領暗殺未遂事件を書いた処女作『ジャッカルの日』を世に送り出した。

フォーサイスを語る上で欠かせない逸話として、赤道ギニアクーデター支援がある。『ジャッカルの日』の印税により、ナイジェリアでの独立戦争に敗れ祖国を失ったビアフラ人のために傭兵部隊を雇い、赤道ギニア共和国に対しクーデターによる政権転覆を1972年に図った。しかし、計画は船への武器積み込み予定地であるスペインで、事前に買収していたスペイン国防省の役人の裏切りにより、傭兵隊長がスペインで身柄を拘束され頓挫した。この実話を下地にして、執筆されたのが第3作にあたる『戦争の犬たち』で、この物語では作戦は成功している。後年、アカデミー賞俳優のクリストファー・ウォーケン主演で映画化された。ただし『朝日新聞』の取材には、作戦会議を取材させてもらっただけで、傭兵達が自分を首謀者だと思い込んだのだと、計画への関与を否定している(「AK-47 カラシニコフ」より)。

また、ロシアの危機を描いた『イコン』(1996年)は、現在のロシア情勢と照らし合わせてもリンクするところが多く、再評価されている。フォーサイスは同作で執筆活動の終結を宣言した。そのため、直後の来日時のサイン会(東京・八重洲ブックセンターなど)では、多くのファンが詰めかける結果となった。

結局、絶筆宣言は覆され、8年ぶりにスパイ小説『アヴェンジャー』を発表した。その後、アンドリュー・ロイド=ウェバーと共に『オペラ座の怪人』の続編となる『ラヴ・ネヴァー・ダイズ (ミュージカル)』、原作はフォーサイスの作品『マンハッタンの怪人』(The Phantom of Manhattan))のミュージカル脚本を上梓し、アルカーイダタリバンなど複雑な思惑の絡み合うイスラム社会とテロリズムを描いた『アフガンの男』(2008年)を発表する。

トリビア

  • 日本での出版第一号は1971年に刊行された『ジャッカルの日』で、出版元角川書店の当時担当者だった角川春樹は「世界的にも無名の作家で、日本での翻訳出版権も日本円で当時、数万円で契約出来た」と自著「わが闘争ー不良青年は世界を目指す」で語っている。
  • 『ハイディング・プレイス』(フジテレビ出版)は米露日を背景に、日本を舞台にした政治スリラー。登場人物の一人は俳優高倉健を念頭に執筆された。同作は日本側主導で、映画化を念頭に企画が進められていたが、「原作の内容が余りにも、アレだったので...映画化はなくなった」と、ラッパーの宇多丸が、2013年11月9日放映のレギュラー番組『5時に夢中!』(東京MXテレビ)で明らかにした。 

主な著作(日本語訳)

関連項目

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外部リンク