インテル
テンプレート:Infobox テンプレート:Infobox インテル(Intel Corporation)は、アメリカの半導体メーカーである。
「Intel」という名称はIntegrated Electronics(集積されたエレクトロニクス)からきている。スローガンは"Sponsors of Tomorrow"。日本でのスローガンは"その好奇心で、未来をつくろう"。
概要
主にマイクロプロセッサ、チップセット、フラッシュメモリなどを製造・販売している。主な製品にIA-32(Pentiumシリーズなど。8086シリーズの流れをくむ)、IA-64(Itaniumなど)、Intel 64(IA-32の64ビット拡張。AMD64と互換性がある)などのパーソナルコンピュータ用CPUがあり、PC/AT互換機やアップルのMacintoshに使われている。1990年代末からは多方面のコンピュータ関連ハードウェア事業に展開している。1992年以降から現在に至るまで、世界第1位の半導体メーカーとして君臨し続け、特に世界CPU市場ではここ数年80%近いシェアを維持している[1]。
海外事務所は50ヵ国以上、製造・研究拠点は8ヵ国17拠点にある。特にイスラエルの拠点は大きく、2007年現在で7000人の従業員を擁している[2]。
また、カリフォルニア州サンノゼ市にある半導体製造工場には、インテルの歴史を紹介しているインテル博物館が併設されている。日本語での音声案内もあるので、日本人にも見学しやすい環境となっている。
日本法人
日本法人であるインテル株式会社は、東京都千代田区(東京本社)と、茨城県つくば市(筑波本社)の2ヵ所に本社を置く。登記上の本店は東京本社である[3]。
1971年に渋谷区に設置された米国法人の日本支社が前身である。その後、1976年4月28日に世田谷区にインテルジャパン株式会社が設立され、1997年2月1日に現在の商号 インテル株式会社に変更した[4]。
歴史
設立 - 1970年代
- 1968年7月18日 - フェアチャイルドセミコンダクターを退職したロバート・ノイス、ゴードン・ムーア(ムーアの法則で知られる)、アンドルー・グローヴらが設立した。当初は半導体メモリを主力製品とし、磁気コアメモリの置き換え・駆逐を野望とした。目標は達成され、1970年の発表の1103の広告で、ICパッケージが虫のように紙面を埋め尽くし「Cores Lose Price War」(コアは価格戦争に負けた)と宣言した[5]。
- 1969年4月 - インテル初の製品であるSRAM 3101を発表(記憶容量64ビット)。
- 1970年10月 - 世界初のDRAM 1103を発表(記憶容量1,024ビット)。
- 1971年9月 - 世界初のUV-EPROM 1702を発表(記憶容量2,048ビット)。
- 1971年10月 - NASDAQに株式を公開。
- 1971年11月15日 - 世界初のマイクロプロセッサーである4004(4ビット、クロック周波数108KHz、トランジスター数2,300個)を発表。
- 1972年4月 - 8008(8ビット、クロック周波数200KHz、トランジスター数3,500個、プロセス技術10ミクロン)を発表。
- 1974年4月1日 - 8080(8ビット、クロック周波数2MHz、トランジスター数6,000個、プロセス技術6ミクロン)を発表。
- 1976年3月 - 8085(8ビット、クロック周波数2MHz、トランジスター数6,500個、プロセス技術3ミクロン)を発表。
- 1978年6月8日 - 8086(16ビット、クロック周波数5〜10MHz、トランジスター数2万9,000個、プロセス技術3ミクロン)を発表。
- 1979年6月 - 8086の廉価版である8088を発表。1Mビットのバブルメモリーを発表。
1980年代
- 1980年 - ゼロックス、DEC(当時、現在のHP)と共同でLANの規格をIEEE 802委員会に「Ethernet 1.0規格」として提出・公開(詳細はイーサネット#歴史を参照)。
- 1981年8月 - IBMが同社初のパソコンIBM PCを発表。CPUに8088が採用されたことは、インテルが急成長するきっかけとなった。
- 1982年2月 - 80286を発表(16ビット、クロック周波数6-12.5MHz、トランジスター数13万4,000個、プロセス技術1.5ミクロン)。
- 1985年10月 - DRAM事業から撤退し、CPUの開発・生産に経営資源を集中。x86で初の32ビットマイクロプロセッサーであるi386(後にi386DX。クロック周波数16~33MHz、トランジスター数27万5,000個、プロセス技術1.5〜1ミクロン)を発表。
- 1989年4月 - i486(クロック周波数16~100MHz、トランジスター数120万個、プロセス技術1〜0.6ミクロン)を発表。
1990年代
- 1991年5月 - Intel Insideロゴ(日本語の『インテル、入ってる』が英訳されたもの[6])を発表。CMなどで広く使用されたのだが、実はこれは日本発のキャンペーンであり、発案者は古川享。
- 1991年12月 - 現在の本社社屋であるロバート・ノイス・ビルディングが竣工。
- 1993年3月 - x86の第5世代に当たるPentium(クロック周波数60-300MHz、トランジスター数310万個、トランジスター数万個、プロセス技術0.8〜0.35ミクロン)を発表。同社のCPUで初めて製品名に固有名詞を使った。その後、Pentiumの名称は、引き続き同社のCPUのブランドとして使われた。
- 1994年11月 - Pentiumにバグがあることが発覚。当初インテルは問題ないとしていたが、同年12月20日に製品回収に至った。
- 1995年8月 - コンパック(現在のHP)、DEC、IBM、マイクロソフト、NEC、ノーザンテレコム(現在のノーテルネットワークス)とともに、これまでのシリアルポート、パラレルポート、PS/2ポートなどを置き換えるインターフェイス規格、USBを推進する業界団体USB-IFを発足。
- 1995年11月 - x86の第6世代に当たるPentium Pro(クロック周波数150-200MHz、トランジスター数550万個、プロセス技術0.8〜0.35ミクロン)を発表。
- 1997年1月 - Pentiumにマルチメディア処理を強化するMMX拡張命令を追加したMMX Pentiumを発表。
- 1997年5月 - MMXテクノロジーをサポートするPentium II(クロック周波数233~450MHz、トランジスター数750万個、プロセス技術0.35〜0.18ミクロン)を発表。CPUパッケージには、これまでの正方形のパッケージに代わり、Single Edge Contact (S.E.C.) カートリッジが採用された。
- 1998年4月 - 低価格パソコン向けのCeleron(クロック周波数266MHz - 3.46GHz、プロセス技術250〜45nm)を発表。
- 1999年2月 - ストリーミングSIMD拡張命令 (SSE)をサポートするPentium III(クロック周波数450MHz~1.40GHz、プロセス技術250~130nm)を発表。この製品でクロック周波数が1GHzの大台を突破した。
2000年代前半
- 2000年11月 - NetBurstマイクロアーキテクチャーを採用したPentium 4(プロセス技術180〜65nm、トランジスター数4,200 万個、クロック周波数1.40〜3.80GHz)を発表。
- 2001年5月 - サーバー、ワークステーション向けのXeon(クロック周波数1.40〜3.80GHz、プロセス技術180〜45nm)を発表。
- 2001年5月 - インテル初の64ビットプロセッサーであるItanium(クロック周波数は733MHz - 1.66GHz、プロセス技術180〜90nm)を発表。
- 2003年3月 - ノートパソコン向けに一から設計されたPentium Mを発表。同月に発表されたノートパソコン向けのプラットフォーム「Centrino モバイル・テクノロジー」を構成する部品の一つである。
- 2005年4月 - インテル初のデュアルコア・プロセッサーであるハイエンド・デスクトップパソコン向けのPentium Extreme Editionを発表。
- 2005年5月 - メインストリーム・デスクトップパソコン向けのデュアルコア・プロセッサーPentium Dを発表。Pentium Extreme Editionとは違い、ハイパースレッディング・テクノロジー(HT テクノロジー)は無効化されている。
- 2005年11月 - マイクロン・テクノロジーとの合弁会社「IM フラッシュ・テクノロジーズ」を設立し、NAND型フラッシュメモリ事業に参入。
- 2005年 - これまでモトローラ製とIBM製のCPUを採用し続けていたアップルが、2006年以降、MacintoshのCPUをインテル製に切り替えることを発表。
2000年代後半
- 2006年1月 - ロゴ (CI)とスローガンを刷新。新ロゴは、創業時から使用されてきた「ドロップ -e」ロゴとIntel Insideロゴを融合・発展させたものである[7]。同時に、それ以前の自らをプロセッサーメーカーだったインテルバージョン2と称し、今後はインテルバージョン3のプラットフォームメーカーであると宣言した。
- 2006年6月27日 - XScaleマイクロアーキテクチャなどの技術ライセンスとモバイル事業をMarvellへ売却することを発表。売却額は6億ドル。1400人の技術者・従業員もMarvellへ移籍し、買収は2006年11月8日に完了した[8]。
- 2006年7月 - 高性能と低消費電力を両立させるCoreマイクロアーキテクチャーを採用したCore 2 Duo(クロック周波数1.06〜3.20GHz、トランジスター数2億9,100万個、プロセス技術65〜45nm)を発表。
- 2006年11月 - ハイエンド・デスクトップパソコン向けのCore 2 Extremeを発表。
- 2007年1月 - メインストリーム・デスクトップパソコン向けのクアッドコア・プロセッサーCore 2 Quadを発表。
- 2007年5月 - NOR型フラッシュメモリ事業をSTマイクロエレクトロニクス、フランシスコ・パートナーズとの合弁会社「Numonyx」に移管。
- 2008年3月3日 - ネットブックやモバイル・インターネット・デバイス(MID)など向けにAtomを発表[9]。
- 2008年7月16日 - Centrinoの後継となる「Centrino 2 プロセッサー・テクノロジー」を発表[10]。
- 2008年9月9日 - 「X18-M Mainstream SATA SSD」と「X25-M Mainstream SATA SSD」を発表[11]。10月には企業向け高性能SSD「X-25E Extreme SATA SSD」も発表[12]。
- 2008年11月18日 - Nehalemファミリー最初の製品となるCore i7(クロック周波数2.66-3.20GHz)を発表[13]。
- 2010年3月17日 - 32nmプロセスを採用した、初の6コア内蔵となるCore i7-980X Extreme Edition(クロック周波数3.33GHz)を発表[14]。
- 2011年3月2日 - マカフィーの買収を完了。
- 2012年1月27日 - リアルネットワークスの保有するストリーミング・メディア関連特許とビデオ・コーデックを買収することを発表。約190の特許と170の特許出願、ビデオコーデック・ソフトウェアが対象となり、買収額は1億2,000万ドル。インテルはAMDにストリーミング・メディア技術において大きく引き離されており、リアルネットワークスの買収によりAMDとの技術的な差を埋めることを目指すとしている。
歴代CEO
- 初代 : ロバート・ノイス(1968年 - 1975年)
- 2代目 : ゴードン・ムーア(1975年 - 1987年)
- 3代目 : アンドルー・グローヴ(1987年 - 1998年[15])
- 4代目 : クレイグ・バレット(1998年[15] - 2005年)
- 5代目 : ポール・オッテリーニ(2005年 - )
製品開発と製造
製品の開発傾向
インテルは現在までの経営や社是から、中道を嫌い、極端や徹底を好むと考えられている。現行の手法が効果的でないと結論すると、現状に改良を加えるという中間解を選ばずに、全面的な方針転換を行うことがしばしばある。
ニセ486・ニセPentium
1990年代の初めにはニセ486やニセPentiumが大量にアジアの闇市場に出現して対策に苦慮した。これらはリマーク品といわれ低性能品のセラミックパッケージ表面の型番印刷を上手に削ぎ落とし、高性能品の型番を印字し直したものだった。良案はホログラムを貼り付ける方法だったが、当時のCPUパッケージには貼るスペースが全くなかった。新たなPentiumファミリーであるPentium IIとPentium III、Celeronではその二次キャッシュの実装問題と互換CPU問題をあわせて一挙に解決する方策としてCPUパッケージにS.E.C.C. (Single Edge Contact Cartridge)やS.E.P.P. (Single Edge Processor Package)が採用された。
CPUのクロック競争とマルチコア化
CPUを製造する半導体メーカーは、世界初のCPUである4004の時代から、宿命的に性能向上の手法としてクロック周波数の高速化が求められ、インテルは常に(時には求められる以上に)高速化を推し進めてきた。数百KHzの初期世代からやがてMHzからGHzで数えるまでになった。他社とのクロック競争を常にリードしてきたインテルは、2000年前後にはクロックの物理的な限界に行き着いている自覚を持った。
クロック周波数の高速化は、現在の半導体プロセスの主流のCMOSでは、消費電力が完全に比例する。これは、プロセスルールの微細化が面積当り消費電力に2乗で効いてくるのと合わせれば、光速度でも1GHz相当の時間内に30cmしか伝播できない物理法則による高速半導体設計の制約以前に、まずCPUダイが自らの熱で溶ける可能性が目前の危機となった。
この問題の究極の回答として、シングルコア(単一のプロセッサコア)でのこれ以上の無理な高速化を避けて、マルチコア(複数のプロセッサコア)による並列的な動作によって性能向上を図る道を採った。デュアルコアやクアッドコアの新世代CPUによって新たなコア数競争の時代に突入した。
自社製造
インテルは、80286まではセカンドソースとしてAMDや日本電気にも製造ライセンスを与え、普及とリスク分散を優先したが、普及した80386からはセカンドソースを停止した。またインテルに出資していたIBMは486までは製造権を持ち独自のカスタム版を出荷した。
その後のインテルは、CPUの半導体製造ライン(Fab)を、自社製造で貫き、外部契約半導体製造会社(ファウンドリ)に出さない。これは、技術情報漏洩防止だけでなく、そもそも最高密度の製造プロセスを使っての製造は、自社と自社と競合するプロセッサメーカーに限られるからである。特に最先端を行くインテルが求めている製造プロセス製造ラインを維持できるのは、技術力のみならず製造販売量も世界トップであるインテル以外には不可能で、外部の委託製造会社では最先端の製造ラインの開発建設維持のコストを負担するだけの業績が見込めないのが最大の理由である。半導体製造装置メーカーも常にインテルと共に新プロセス対応の新世代製造装置を開発しており、2008年12月15日〜17日に開催された「2008 International Electron Device Meeting」(IEDM 2008)で、2009年後半からラスト・ゲート方式HKMG(High-k, Metal Gate:高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート電極)による32nmプロセスの量産を開始する予定と発表した[16]。逆に、CPU以外のチップについては、CPUがより最新の製造技術に移った後のコストの償却が完了した旧世代の製造ラインで製造を行っている。そのため、インテル製チップセットやオンボードグラフィックスチップなどはCPUに比して何世代か前のプロセスで製造されている。
チックタック戦略
インテルは、プロセス技術とマイクロアーキテクチャーを毎年交互に改良するチックタック戦略をとっている。2006年から2007年にかけてCoreマイクロアーキテクチャーに移行し、2008年には45nmプロセスに移行した。2008年末からはNehalemマイクロアーキテクチャーへの移行を進め、2009年第4四半期から32nmプロセスによるチップの量産を開始する予定である[17]。
主な製品
インテル・プラットフォーム
- モバイル
- Centrino
- Sonoma
- Napa
- Santa-Rosa
- Centrino 2
- Montevina
- Centrino Atom
- Centrino
- コンシューマー・デスクトップ
- Anchor Creek
- Bridge Creek
- エンタープライズ・クライアント
- Lyndon
- Averill
- 1Pワークステーション
- Gallaway
- Wyloway
- 1Pサーバー
- Kaylo
- 1Pワークステーション
- Gallaway
- Wyloway
- 2Pワークステーション
- 2Pバリューサーバー
- 2Pバリューサーバー
- 2Pサーバー
- MPサーバー
- Itanium
マイクロプロセッサー
PC向け
- 4004
- 8008
- 8080
- 8085
- 8086
- 80286
- i386DX/SXシリーズ
- i486DX/SX/DX2/SX2/DX4シリーズ
- オーバードライブプロセッサ
- Pentium
- MMX Pentium
- Pentium II
- Celeron
- Pentium III
- Pentium 4
- Pentium D
- Celeron D
- Core
- Core Duo
- Core 2
- Core 2 Solo
- Core 2 Duo
- Core 2 Quad
- Core 2 Extreme
- Pentium Dual-Core
- Core i7
- Core i5
- Core i3
- Pentium (Nehalemアーキテクチャ)
サーバー、ワークステーション向け
- Pentium Pro
- Pentium II Xeon
- Pentium III Xeon
- Pentium III-S
- Xeon
- Itanium
- Itanium 2
モバイル向け
- Mobile Pentium II
- Mobile Celeron
- Mobile Pentium III
- Mobile Pentium III-M
- Mobile Pentium 4-M
- Mobile Pentium 4
- Pentium M
- Celeron M
- Intel Core(Core Duo, Core Solo)
- Intel Core 2(Core 2 Duo, Core 2 Solo)
- Intel Core i7/i5/i3
- Pentium (Nehalemアーキテクチャ)
- Atom
組込用途
- StrongARM
- XScale PXA210/PXA25x/PXA26x/PXA27xシリーズ(2006年にMarvell社へ売却)
- Intel 8048 - MCS-48ファミリー
- i8051シリーズ
- Intel MCS96/MCS296シリーズ
- i860
- i960
- Intel IXP42x/IXP46xシリーズ
- Intel 80186/80286シリーズ
- Intel Embedded IA-32 Processors and Chipsets
- Intel IOP3xxシリーズ
- Intel PCI Bridges
その他
- Intel iAPX 432
- 1981年発表のインテル初の32ビットプロセッサーである。メインプロセッサーは2チップ構成。それまでの8080系統CPUの限界に対して過去のしがらみを捨て、数々の先進的なマルチタスク機能とメモリ管理機能をハードウェアでサポートし、フォールトトレラント機能の搭載、マルチプロセッサ対応など、非常に高度で先進的で複雑なデザインだった。インテルはこのデザインをマイクロメインフレームと称した。しかし、コンパイラをはじめとするソフトウェアの完成度が低いなどの理由で性能が出ず、米軍のAdaコンピュータ以外にはほとんど普及しないまま消え去った。この経験もあって8080系統の連綿と続くCPUの命令体系は、拡張に次ぐ拡張で階上階を重ねていくことで、ソフトウェアの継承を容易にした。
- MXP5800/5400
製品カテゴリ
CPUに関するインテル独自の製品カテゴリを以下に示す。
LPIA
LPIA(Low Power on Intel Architecture)は、IA-32命令セットアーキテクチャに基づく低消費電力なCPU製品のカテゴリーである[18]。
CULV
超低電圧動作のプロセッサ群をCULV(Consumer ultra low voltage)と呼ぶカテゴリーでまとめている。これらはAtomファミリーより性能面で上位に位置しているが、消費電力では10W以下であり、ネットブック向けと従来型ノートパソコン向けの間を埋めるCPUとして、Core 2 Duo、Core 2 Solo、Celeron M、Pentiumの従来ファミリーのカテゴリはそのままに、それらの中で特に消費電力の少ない製品をまとめたものである[19]。この呼称は技術的な区切りではなく、マーケティング用途での区分であり、Atomよりも高い単価によって、ASP(平均販売価格)の向上が期待される。
機能をある程度限定し、CPUにそれほどの処理性能を求めないネットブックに対し、従来のノートパソコンの延長線上にある超薄型ノートパソコン[20]用のCPUとして、ある程度の演算性能を持ちながら、超低電圧動作によってかなりの低消費電力化が行えるCPUのカテゴリである。
FPU(数値演算コプロセッサー)
- i8087 - i8086用
- i80287 - i80286用
- i80387/i387SX - i386用
- i487SX/i487SX2 - i486SX用(構造にはFPUではなく、一部のピン配置を除きi486DX/i486DX2同等のCPUであり、FPUソケットにi487SXを刺すことにより、i486SXは動作を止め、i487SXがCPUとしてすべての処理を担う。なお、i486SXもi486DXもダイは同等品であり、浮動小数計算の回路のテストを省略し、無効にしただけの物である。)
チップセット
- i430FX/HX/VX
- i450KX/GX
- i440FX
- i440LX/EX
- i440BX/ZX
- i440GX
- i810/E/DC-100
- i815/E
- i820
- i830/M/MP
- i840
- i845/D/E/G/GE/GV/P/PE
- i850/E
- E7205
- i865PE/GE
- i855PM/GM/GME
- i852GM/GME
- i875PE
- E7210
- i925X
- i915P/G
- i955X
- i945P / G
- Intel P965 / G965 / Q965 / Q963
- Intel 975X
- X38 / P35 / G35 / G33 / G31 / Q35 / Q31
- X48 / P45 / P43 / G45 / G43 / Q45
- X58
- H55 / H57 / Q57
- P67 / H67 / Q67 / Z68
- X79 / Z77 / H77 / Q77
グラフィック・アクセラレーター
- Intel 740
- Intel 810
- Intel Extreme Graphics
- Intel Graphics Media Accelerator
- Intel HD Graphics
- Intel Iris Graphics
イーサネット・コントローラー
- intel 8259xシリーズ
- intel 8257xシリーズ
- intel 8256xシリーズ
- intel 8255xシリーズ
- intel 8254xシリーズ
デスクトップ・ボード(マザーボード)
- インテル純正チップセット
- エクストリーム・シリーズ
- メディア・シリーズ
- エグゼティブ・シリーズ
- クラシック・シリーズ
- エッセンシャル・シリーズ
- サードパーティ製チップセット
- エッセンシャル・シリーズ
フラッシュメモリー
NOR型フラッシュメモリを得意とするが、前述の通り、事業をSTマイクロエレクトロニクス、フランシスコ・パートナーズとの合弁会社「Numonyx」に移管した。NAND型フラッシュメモリは、マイクロン・テクノロジーとの合弁会社「IM フラッシュ・テクノロジーズ」にて生産され、Intel/Micron双方のブランドで販売される。
ソリッドステート・ドライブ (SSD)
- デスクトップパソコン、ノートパソコン向け
- X18-M Mainstream SATA SSD
- X25-M Mainstream SATA SSD
容量はいずれも80GBまたは160GBである。
- サーバー、ワークステーション、ストレージ・システム向け
- X-25E Extreme SATA SSD - 容量は32GB。64GBのものも予定されている。
ソフトウェア
- Intel C++ Compiler
- Intel Fortran Compiler
- Intel Math Kernel Library
- Intel Integrated Performance Primitives
- Intel Threading Building Blocks
- Intel Thread Checker
- VTune Performance Analyzer
過去の製品
※現在はすべて撤退。
その他
社是
社是はないが、"Six Values"と言われており、インテル社内の基本ルールとされている。1974年の"Eleven Values"が起源である。そのうち、QualityとCustomer Orientationは日本企業の製造管理に学んだものである。
- Intel Six Values
- Customer Orientation
- Discipline
- Quality(品質)
- Risk Taking(危険を負う)
- Great Place to Work
- Results Orientation
投資活動
インテルはその豊富な資金力を背景にインテル キャピタル (Intel Capital)の名称でベンチャーキャピタル活動も行っており、日本企業に限っても過去に以下のような企業に出資している。
ブランド価値
ブランド調査会社インターブランドのBusinessWeek誌と共同で行った"The Best Global Brand Ranking 2006"の調査では、インテルのブランド価値は約300億ドルに相当し、コカ・コーラ、マイクロソフト、IBM、ゼネラル・エレクトリックに次いで世界で5番目となっている。
Wintel
1990年後半頃を中心に、PCの主たる構成要素の2つの部分である基本ソフトOSとCPUを、マイクロソフトとインテルでそれぞれほぼ独占している状況を揶揄的に表現して (Windows + Intel =) Wintel(ウインテル)と呼んだ。今日ではあまり用いられないが、その背景にマイクロソフトがインテルに対してAMD64を採用するよう要請したり、インテル以外のCPU開発に投資したり、逆にインテルがLinuxベンチャーキャピタルに投資する等、両者が互いに比較的健全な関係になったことが挙げられる。
一方、インテルが未発表のCPUをアップルが採用したり、インテルがアップルのため密かに1年もかけてカスタムCPUを設計製造するなど、アップルとインテルはかつてのWintelよりも親密な関係を構築している。
PCIベンダーID
現在の多くのコンピュータに使用されているPCIバス規格において、インテルは機器の製造元を表すベンダーIDの値に同社黎明期のヒット作である8086の名前と同じ 8086
(16進数表記)を使用している。
独占禁止法違反の疑い
米インテルは1998年6月より米連邦取引委員会 (FTC)の独占禁止法 (Antitrust Law)違反に関する審理を受け、1999年3月に和解している。日本法人は2005年3月8日に独占禁止法違反で日本の公正取引委員会より排除勧告を受けている。ヨーロッパではインテルが欧州で不当な販売方法を行っているとして欧州委員会が2001年から調査してきたが、一時静かだった後あらためて欧州委員会が2004年に調査を開始していた。この結果、2007年7月27日 欧州委員会は米インテルに対してEU競争法(日本の独占禁止法に相当)違反の疑いがあると告知した。日本と欧州連合の勧告では、CPUの販売で競合他社の製品を使わないように不当に働きかけたと指摘された。この取引に応じなかったシャープと一時期ほぼ断絶状態にあった。
これに対して、インテル法務責任者は、MPU市場は正常に機能しており、インテルの行動は適法だと確信していると発表した。またAMDは、消費者やPCメーカーのための市場開放が進むだろうと今回の告知を歓迎した。
2008年には、米ニューヨーク州が米インテルに対して独占禁止法違反の疑いがあるとして、文章や情報を求める召喚状を送付した。同社がライバルのAMDを市場から閉め出すことでAMDならびに消費者やコンピューターメーカーに損害を与え、独占禁止法に違反していないかを検討するのが目的だとされる。インテルは現在PC向けプロセッサ市場の8割近くを占有しており、こうした地位を乱用していないかが争点とされている。政府機関による同様のインテル調査は2005年3月の日本を皮切りに、韓国、欧州の3拠点で立て続けに行われており、米国でのケースは4例目となる。
2009年5月13日、欧州委員会はインテルに対して10億6000万ユーロの制裁金を命じた。欧州委員会の発表では、インテルは主要なコンピュータメーカーに対してはたらきかけ、インテルからCPUを購入することの見返りにメーカーに対してリベートを支払ったとされる。また、各小売業者に対して金銭を渡し、インテル製のCPUを搭載したコンピュータのみ販売するよう取り計らったことが指摘されている。さらに、インテルはコンピュータメーカーに対して、AMD製のCPUを搭載した製品の販売差し止めや、発売延期を求め、それら製品の販売ルートに制限を加えたとされる。インテルは欧州委員会の決定内容については争うものの、同委員会の制裁措置を受け入れる意向を発表した[21][22]。
2009年11月4日、米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ司法長官が、インテルを独占禁止法違反(反トラスト法)の疑いで告訴した。当時、一部のコンピューターメーカーに巨額のリベートを提供する見返りとして、AMD製のCPUを使わないよう圧力をかけていたという。更に、ヒューレット・パッカード、IBM、デルなどの主要コンピューターメーカーに対しては、AMD製のCPUを利用したパソコンやサーバーなどを販売した場合は報復措置を取ると脅していたとされ、例えば当時のヒューレット・パッカードに対しては、一つでもAMD製品を利用した場合は開発中のインテル製品の一部を「引き揚げる」と圧力をかけたとしている。
訴訟では、不当行為の是正、州政府機関および顧客への損害賠償、追徴金などを求めている[23][24]。
2009年11月にインテルとAMDは和解を発表した[25][26]。和解によって両社は独占禁止法やライセンスなどのすべての訴えを取り下げ、5年間の特許クロスライセンスを締結し、インテルはAMDに12億5000万ドルを支払い、不当な契約を行わないことで合意した。ただし、両社間だけの問題でない独占禁止法違反に関する調査は米連邦取引委員会や欧州委員会などの各国機関で継続される。
2009年12月16日、米連邦取引委員会 (FTC)はインテルを提訴した[27]。同日、インテルは反論の声明を発表した[28]。
脚注
関連項目
外部リンク
- Intel Corporation(USA本社 英語版)
- インテル(日本法人 日本語/英語混在)
- プロセッサ温故知新(元社員、嶋正利のコラム)
- 元の位置に戻る ↑ インテルとAMDのCPU価格競争が沈静化――両社の業績は上向き傾向に
- 元の位置に戻る ↑ Impress Watch 【Intelイスラエル訪問レポート】 Core 2 Duoの故郷を報道陣に公開 11月29日(現地時間) 開催
- 元の位置に戻る ↑ 以前は筑波本社が登記上の本店だった。
- 元の位置に戻る ↑ テンプレート:Cite web
- 元の位置に戻る ↑ Computer History Museum - The Silicon Engine | old-version-tplリンク先の3番目の画像を参照
- 元の位置に戻る ↑ 人材確保にはブランド認知が必要 / Intel Inside誕生裏話
- 元の位置に戻る ↑ インテル、企業ブランドを刷新
- 元の位置に戻る ↑ マーベルがインテルのコミュニケーション・プロセッサーとアプリケーション・プロセッサー事業を 6 億ドルで買収
- 元の位置に戻る ↑ インテル、最新の低消費電力プロセッサー・ファミリー向け「インテル® Atom™」ブランドを発表
- 元の位置に戻る ↑ インテル、インテル® Centrino® 2 プロセッサー・テクノロジーで革新的なノートブック PC 技術を提供
- 元の位置に戻る ↑ インテル、ノートブック / デスクトップ PC 向け SSD 新製品を出荷開始
- 元の位置に戻る ↑ インテル、エンタープライズ用途向け高性能ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)を出荷開始
- 元の位置に戻る ↑ インテル史上最高の Intel® Core™ i7 プロセッサーを発表
- 元の位置に戻る ↑ インテル コーポレーション、次世代の 32nm プロセス技術開発を完了
- ↑ 以下の位置に戻る: 15.0 15.1 テンプレート:Cite web
- 元の位置に戻る ↑ nikkei electronics 2009/1/12 p.12-p.13
- 元の位置に戻る ↑ インテル コーポレーション、次世代の 32nm プロセス技術開発を完了
- 元の位置に戻る ↑ テンプレート:Cite web
- 元の位置に戻る ↑ 「CULV」に属するCPUをプロセッサ番号で表せば、Core 2 DuoのSU9600, SU9400, SU9300、Core 2 SoloのSU3500, SU3300、Celeron Mの723、PentiumのSU2700がある。これらは動作クロック1.6 - 1.2GHz、1 - 3Mバイトの2次キャッシュを持ち、いずれも800MHzバスと64ビット命令セット、45nmプロセスで、Core 2 Soloの5.5Wを除けば10WのTDPである。
- 元の位置に戻る ↑ 超薄型ノートブック・パソコンは、概ね厚さが1インチ(約2.5cm)未満で重量1.5kg程度、11-13型のディスプレイを備えて10万円以下のクラスである。
- 元の位置に戻る ↑ 欧州委員会、独占禁止法違反でインテルに14億5000万ドルの制裁金([1]2009年5月14日)
- 元の位置に戻る ↑ IT業界と独禁法:また始まった大騒動(JBpress2009年5月14日)
- 元の位置に戻る ↑ インテル、独禁法違反でニューヨーク州検事総長から提訴
- 元の位置に戻る ↑ インテルからデルへ巨額リベートの疑い--ニューヨーク州検事総長の主張
- 元の位置に戻る ↑ AMDとインテル、独占禁止法および知的財産をめぐるすべての紛争で和解 AMD 2009年11月12日
- 元の位置に戻る ↑ 独占禁止法と知的財産のすべての訴訟で和解 インテル 2009年11月13日
- 元の位置に戻る ↑ FTC、反競争的なビジネス慣習でインテルを提訴
- 元の位置に戻る ↑ FTC の訴訟に対する声明を発表