Pentium 4

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Pentium 4(ペンティアム・フォー)は、インテルが製造したNetBurstマイクロアーキテクチャに基づくx86アーキテクチャのマイクロプロセッサ(CPU)に付された商標である。集積トランジスタ数は4200万[1]。最初の製品は2000年11月20日に発表されその当初は単一の商品名と目されていたが、その後も後継のプロセスルールで製造および販売展開され、製品シリーズを指すブランドになった。そのため、同じくPentium 4を冠するCPUであってもプロセスルール(すなわち製品世代)によって性能が大きく異なる。それら製品世代を区別して指す場合には、自作パソコンユーザーは、インテルが用いた社内開発コードネームをそのまま用いることが多い。本項でも以降の節では開発コードネームを見出しに用いる。

Willamette(ウィラメット)

2000年11月20日にリリースされた第一世代のPentium 4である。180nmプロセスルールで製造され[1]、256KBのL2キャッシュメモリを持つ。 当初はサポートするチップセットが、高価なRDRAMしか利用できないIntel 850チップセットのみで、Pentium 4に128MB分(64MBが2枚)のRIMM(RDRAMモジュール)を安価なPC-133 SDRAMと同等価格で同梱するなどの様々な販促活動を行ったが、あまり普及しなかった。このため、インテルは安価なPC-133 SDRAMが利用可能なIntel 845チップセットを止む無く発売した。なお、Intel 865系以降のチップセットはWillametteに対応していない。開発コードネームはウィラメット川からとられた。

発売当初はSocket 423を採用していたが、後にSocket 478を採用し、これが主流となる。

ソケット423版
ファイル:KL Intel Pentium 4 Wilamette.jpg
Pentium 4 1.50GHz (Socket423)
最高動作周波数(供給クロックx内部逓倍数) コア数 FSB周波数 2次キャッシュメモリ容量 TDP (ステップ=プロセス・ルール改訂番号)
2.00GHz (100MHz x20) 1 400MHz 256KB 71.8W
1.90GHz (100MHz x19) 1 400MHz 256KB 69.2W
1.80GHz (100MHz x18) 1 400MHz 256KB 66.7W
1.70GHz (100MHz x17) 1 400MHz 256KB 64W
1.60GHz (100MHz x16) 1 400MHz 256KB 61W
1.50GHz (100MHz x15) 1 400MHz 256KB 54.7W(B2/C1) 57.8W(D0)
1.40GHz (100MHz x14) 1 400MHz 256KB 51.8W(B2) 54.7W(C1)
1.30GHz (100MHz x13) 1 400MHz 256KB 48.9W(B2) 51.6W(C1)
ソケット478版
ファイル:Willamette.png
Pentium 4 1.80GHz (Socket478)
ソケット423版に比してインテグレーテッド ヒート スプレッダ(IHS)が大型化され、インターポーザ(サブストレート)のほぼ全面を覆うようになり、以後LGA775版(コアを問わず)を含めこの形状が主流となる。
最高動作周波数(供給クロックx内部逓倍数) コア数 FSB周波数 2次キャッシュメモリ容量 TDP (ステップ=プロセス・ルール改訂番号)
2.00GHz (100MHz x20) 1 400MHz 256KB 75.3W
1.90GHz (100MHz x19) 1 400MHz 256KB 72.8W
1.80GHz (100MHz x18) 1 400MHz 256KB 66.1W
1.70GHz (100MHz x17) 1 400MHz 256KB 63.5W(C1/D0/E0) 67.7W(SL62Z)
1.60GHz (100MHz x16) 1 400MHz 256KB 57.9W(C1) 60.8W(D0/E0)
1.50GHz (100MHz x15) 1 400MHz 256KB 57.9W(C1/D0/E0) 62.9W(DP)
1.40GHz (100MHz x14) 1 400MHz 256KB 55.3W

Northwood(ノースウッド)

2002年1月8日にリリースされた第二世代のPentium 4。Willametteのルビーをそのまま130nmプロセスルールで製造した製品。製造プロセスの微細化による消費電力低減とL2キャッシュメモリの倍増(256KBから512KB)による多少の性能向上を実現している。最大動作周波数は2004年2月販売開始品にて3.4GHzを達成した。 Northwoodでは前世代Willametteからパッケージの変更を受けることなく、全てがソケット478版となる。 2002年11月にはXeonプロセッサに引き続きハイパースレッディング・テクノロジー(HT:Hyper-Threading Technology、同時マルチスレッディング)が利用可能なPentium 4がリリースされた。このHTに対応したチップセットとしてIntel 865/875シリーズが開発された。 後継製品Prescottに比して発熱量と処理能力のバランスが良いとされ日本の自作パソコンユーザーにはPrescott登場後も根強い人気があったが、2005年3月をもって製造を終了した。

ソケット478版(のみ製造された)
ファイル:Pentium4 northwood.png
Pentium 4 1.8AGHz (Socket478)
ファイル:Pentium 4 Northwood SL6SH.jpg
インテグレーテッド ヒート スプレッダを外したPentium 4 2.4GHz(FSB 533MHz Socket478)。</br>大きさ比較用の硬貨はユーロ 2c、直径 18.75 mm, 0.74 in
最高動作周波数(供給クロックx内部逓倍数) コア数 FSB周波数 2次キャッシュメモリ容量 HT対応 TDP (ステップ=プロセス・ルール改訂番号)
3.40GHz (200MHz x17) 1 800MHz 512KB 89W 82W(D1)
3.20GHz (200MHz x16) 1 800MHz 512KB ○ / ×(SL792) 82W
3.06GHz (133MHz x23) 1 533MHz 512KB 81.8W
3.00GHz (200MHz x15) 1 800MHz 512KB ○ / ×(SL78Z) 81.9W(D1) 82W(M0)
3.00GHz (100MHz x30) 1 400MHz 512KB × 80W
2.80GHz (200MHz x14) 1 800MHz 512KB 69.7W(D1) 75.1W(M0)
2.80GHz (133MHz x21) 1 533MHz 512KB × 68.4W
2.80GHz (100MHz x28) 1 400MHz 512KB × 68.4W
2.66GHz (133MHz x20) 1 533MHz 512KB × 66.1W
2.60GHz (200MHz x13) 1 800MHz 512KB 69W
2.60GHz (100MHz x26) 1 400MHz 512KB × 62.6W
2.53GHz (133MHz x19) 1 533MHz 512KB × 59.3W(B0) 61.5W(C1/D1)
2.50GHz (100MHz x25) 1 400MHz 512KB × 61W
2.40GHz (200MHz x12) 1 800MHz 512KB ○ / ×(SL6WR) 66.2W(D1) 75.1W(M0)
2.40GHz (133MHz x18) 1 533MHz 512KB × 57.8W(B0) 59.8W(C1/D1/M0)
2.40GHz (100MHz x24) 1 400MHz 512KB × 57.8W(B0) 59.8W(C1/D1)
2.26GHz (133MHz x17) 1 533MHz 512KB × 56W(B0) 58W(C1/D1/M0)
2.20GHz (100MHz x22) 1 400MHz 512KB × 55.1W(B0) 57.1W(C1/D1)
2.00GHz (100MHz x20) 1 400MHz 512KB × 52.4W(B0) 54.3W(C1/D1) 43.7W(SL62Q) 75.3W(SL6SP)
1.80GHz (100MHz x18) 1 400MHz 512KB × 49.6W(B0) 66.1W(C1/D1) 40.9W(SL62R) 68.4W(SL6QL)
1.60GHz (100MHz x16) 1 400MHz 512KB × 38W(SL62S) 46.8W(SL668)

Prescott(プレスコット)

2004年1月1日にリリースされた90nmプロセスで製造される第三世代のPentium 4。L1データキャッシュを16KBに増量し、L2キャッシュメモリを1MBに増量し、さらなる高クロック化を想定してキャッシュアクセスのレイテンシとパイプライン段数を増加している。

PrescottではEM64Tへ(Northwoodに比して新たに)対応するために、64bitの算術/論理演算をレイテンシ1で実行する必要があり、ALUの構成が従来の16bitの倍速サブALU x2から32bitの倍速サブALU x2という形に変更された[2]。この変更により、2つのサブALU間のレイテンシは従来通り0.5であるものの、後続命令へのフォワーディングのレイテンシが1になったため、スループットは従来の0.5を維持しつつもレイテンシは1に増加している。また、ALUの変更に伴いシフト/ローテート命令と整数乗算命令の性能が改善されている。シフト/ローテート命令はこれまでSIMDユニットのシフトユニットではなく、2基あるALUのうちの片方で実行することが可能となりレイテンシが改善した。整数乗算命令はFP乗算器の代わりに、新たに搭載した専用の整数乗算器で実行することが可能となり性能が向上した。

パイプライン段数の増加による性能低下を抑えるため、間接分岐予測ユニット追加及び、トレースキャッシュBTBエントリー数の増量による分岐予測精度の向上、ストア - ロード・フォワーディングの強化、ハードウェアプリフェッチの強化などを行っている。このような改良を行ったものの、パイプラインの段数増加によって、1サイクルあたりの平均処理命令数は低下するため、同じ最大動作周波数のNorthwoodと比べると僅かながら性能は劣る。SSE2の拡張版にあたる「ストリーミングSIMD拡張命令3 (SSE3)」の他、一部製品ではバッファオーバーランを利用した攻撃プログラムの実行を防止する「エグゼキュート・ディスエーブル・ビット(XDビット)」や、AMD64互換の64ビット拡張である「Extended Memory 64bit Technology(EM64T、のちのIntel 64)」といった機能が追加されている。 初期の製品では従来のSocket 478に対応する製品も投入されたが、発売早々に775接点のLGAパッケージを採用するLGA775に移行している。LGA775はSocket Tとも呼ばれている。このTは次世代Pentium 4として開発していたTejas(後述)に由来する。Tejasではより消費電力が増えることから、電源供給ラインのコンタクト数を増加する目的でSocket Tの採用が予定されていたが、Prescottで既に同程度の消費電力になってしまったことに対する措置である。Prescottコアで発生したプロセッサの消費電力と発熱の問題を受けインテルはロードマップを大幅に変更した。以降、従来の動作クロックそのものの向上を重視する戦略から、1サイクルあたりの性能の向上を重視する方向へと開発方針を転換している。その時期を同じくして、製品名称に最高動作クロックを付けることを止め、代わりにプロセッサー・ナンバーを導入している。

対応するインテル チップセットは、

  • Intel 955X
  • Intel 945シリーズ
  • Intel 925Xシリーズ
  • Intel 915シリーズ
  • Intel 875P
  • Intel 865シリーズ

である。

ソケット478版
最高動作周波数が3.40、3.20、3.00、2.80GHzの各製品は、従来のNorthwoodと同じラインナップであるため、旧製品と区別するためにそれぞれ3.40E GHz3.20E GHz3.00E GHz2.80E GHzと表記された。これらは商標(の一部分)であり、E数値としての意味は無い。従って「クロックは3.20E GHz」などと記述することは厳密には誤りである。よって下表においてもE を表記していないが、それらCPUの商品名にはE を含んでいた。
最高動作周波数(供給クロックx内部逓倍数) コア数 FSB周波数 2次キャッシュメモリ容量 HT対応 XD-bit対応 Intel 64対応 TDP (ステップ=プロセス・ルール改訂番号)
3.40GHz (200MHz x17) 1 800MHz 1MB × × 103W(C0/D0/E0) 89W(G1)
3.20GHz (200MHz x16) 1 800MHz 1MB ○ / ×(SL88K) × × 103W(C0/SL7PN) 89W(D0/G1/SL88K)
3.00GHz (200MHz x15) 1 800MHz 1MB ○ / ×(SL88J) × × 89W
2.80GHz (200MHz x14) 1 800MHz 1MB × × 89W
2.80GHz (133MHz x21) 1 533MHz 1MB × × × 89W
2.66GHz (133MHz x20) 1 533MHz 1MB × × × 103W(C0) 89W(E0)
2.40GHz (133MHz x18) 1 533MHz 1MB × / ○(SL7FY) × × 89W
2.26GHz (133MHz x17) 1 533MHz 512KB × × × 89W
LGA775版
ファイル:P4LGA755.png
Pentium 4 551 (3.40GHz LGA775)
プロセッサ・ナンバ 最高動作周波数(供給クロックx内部逓倍数) コア数 FSB周波数 2次キャッシュ容量 HT対応 XD-bit対応 Intel 64対応 TDP
571 3.80GHz (200MHz x19) 1 800MHz 1MB 115W
570J 3.80GHz (200MHz x19) 1 800MHz 1MB × 115W
570 3.80GHz (200MHz x19) 1 800MHz 1MB × × 115W
--- 3.80F GHz (200MHz x19) 1 800MHz 1MB × 115W
561 3.60GHz (200MHz x18) 1 800MHz 1MB 115W
560J 3.60GHz (200MHz x18) 1 800MHz 1MB × 115W
560 3.60GHz (200MHz x18) 1 800MHz 1MB × × 115W
--- 3.60F GHz (200MHz x18) 1 800MHz 1MB × 115W
551 3.40GHz (200MHz x17) 1 800MHz 1MB 84W
550J 3.40GHz (200MHz x17) 1 800MHz 1MB × 84W
550 3.40GHz (200MHz x17) 1 800MHz 1MB × × 115W
--- 3.40F GHz (200MHz x17) 1 800MHz 1MB × 115W
541 3.20GHz (200MHz x16) 1 800MHz 1MB 84W
540J 3.20GHz (200MHz x16) 1 800MHz 1MB × 84W
540 3.20GHz (200MHz x16) 1 800MHz 1MB × × 84W
--- 3.20F GHz (200MHz x16) 1 800MHz 1MB × 103W
524 3.06GHz (133MHz x23) 1 533MHz 1MB 84W
519K 3.06GHz (133MHz x23) 1 533MHz 1MB × 84W
519J 3.06GHz (133MHz x23) 1 533MHz 1MB × × 84W
519 3.06GHz (133MHz x23) 1 533MHz 1MB × × × 84W
531 3.00GHz (200MHz x15) 1 800MHz 1MB 84W
530J 3.00GHz (200MHz x15) 1 800MHz 1MB × 84W
530 3.00GHz (200MHz x15) 1 800MHz 1MB × × 84W
517 2.93GHz (133MHz x22) 1 533MHz 1MB 84W
516 2.93GHz (133MHz x22) 1 533MHz 1MB × 84W
515J 2.93GHz (133MHz x22) 1 533MHz 1MB × × 84W
515 2.93GHz (133MHz x22) 1 533MHz 1MB × × × 84W
521 2.80GHz (200MHz x14) 1 800MHz 1MB 84W
520J 2.80GHz (200MHz x14) 1 800MHz 1MB × 84W
520 2.80GHz (200MHz x14) 1 800MHz 1MB × × 84W
511 2.80GHz (133MHz x21) 1 533MHz 1MB × 84W
510J 2.80GHz (133MHz x21) 1 533MHz 1MB × × 84W
510 2.80GHz (133MHz x21) 1 533MHz 1MB × × × 84W
506 2.66GHz (133MHz x20) 1 533MHz 1MB × 84W
505J 2.66GHz (133MHz x20) 1 533MHz 1MB × × 84W
505 2.66GHz (133MHz x20) 1 533MHz 1MB × × × 84W

Prescott-2M

2005年2月20日にリリースされた第四世代のPentium 4。開発を中止したTejas(後述)の代替として、上位製品であったXeonシリーズのうち、2次キャッシュメモリを2MB実装した製品を流用して商品化した。Prescottとの比較では、2次キャッシュメモリを1MBから2MBへ倍増し拡張版 Intel SpeedStep テクノロジ(EIST:Enhanced Intel SpeedStep Technology)に対応させたものと考えてよい。XDビットも実装された。プロセッサー・ナンバーは600番台となる。

また、コンピュータの仮想化技術であるインテル バーチャライゼーション・テクノロジーを実装した製品(プロセッサー・ナンバーは6x2)も発表された。

対応するインテル チップセットは、

  • Intel 955X
  • Intel 945シリーズ
  • Intel 925Xシリーズ
  • Intel 915シリーズ

である。

ファイル:HT-Pentium4.JPG
Pentium 4 670 (3.80GHz LGA775)
プロセッサ・ナンバ 最高動作周波数(供給クロックx内部逓倍数) コア数 FSB周波数 2次キャッシュメモリ容量 VT対応 HT対応 XD-bit対応 Intel 64対応 ソケット TDP (ステップ=プロセス・ルール改訂番号)
672 3.80GHz (200MHz x19) 1 800MHz 2MB LGA775 115W
670 3.80GHz (200MHz x19) 1 800MHz 2MB × LGA775 115W
662 3.60GHz (200MHz x18) 1 800MHz 2MB LGA775 115W(SL8QB) 84W(SL8UP)
660 3.60GHz (200MHz x18) 1 800MHz 2MB × LGA775 115W
650 3.40GHz (200MHz x17) 1 800MHz 2MB × LGA775 84W
640 3.20GHz (200MHz x16) 1 800MHz 2MB × LGA775 84W
630 3.00GHz (200MHz x15) 1 800MHz 2MB × LGA775 84W
620 2.80GHz (200MHz x14) 1 800MHz 2MB × LGA775 84W

Tejas(テハスあるいはテジャス)

当初第五世代のPentium 4として開発されていたが、リーク電流増大による過大な自己発熱に起因する排熱(放熱)困難が解決できず開発中止になった。インテルによるロードマップ「開発途上の製品」では、2つの物理コアそれぞれに2つのスレッドを処理させると見られるダイアグラムが示されていた。Hyper-Threadingにより2スレッド処理が可能な2コアによる4スレッドの同時処理が可能なクラスタ構成になっていたと考えられる。当時のCPU開発担当者などによる説明では、本来の処理を行うプログラムを処理する本スレッドにヘルパースレッドと呼ばれる補助スレッドを並行して走らせることで、本スレッドの処理内容を前もってヘルパースレッドが処理を行い、本スレッドのコードをヘルパースレッドが解釈してマイクロOps化してトレースキャッシュメモリに充填し、データなどは前もってメインメモリからキャッシュメモリにデータをコピーさせ、それによってパイプラインストールの時間および回数を軽減することで処理性能を向上させる予定であったと考えられる。Tejas開発中止の代替として、市場への新製品投入スパン維持をPrescott-2Mが担い、製品ラインナップ上Tejas同等の性能製品としてPentium Dが開発着手された。

CedarMill(シダーミル)

ファイル:Intel pentium 4 641 IMGP5032.jpg
Pentium 4 641 (3.20GHz LGA775)
四辺から覗く黒い樹脂製の突起は、端子面を覆っている静電破壊防止用の端子カバーを留めている爪である(CPUの構造物ではない)

2006年1月5日にリリースされた第五世代のPentium 4。CedarMillはTejasの製造プロセスルールを微細化したものとして計画されていたが、Tejasが開発中止となったためPrescott-2Mをそのまま65nmプロセスルールに微細化したものに変更された。性能や機能はPrescott-2Mと同等で、プロセッサー・ナンバーも同等性能のPrescott-2Mよりも1大きいものに留まっている。Pentium Dの下位製品として位置付けされた。Prescottと同じく消費電力は多かったが、後に改良によって他社製品と特に変わらない程度まで低下している。その上価格もPrescottより大きく引き下げられており、コストパフォーマンスが高い商品となった。しかし事実上の後継製品であるIntel Core 2への市場移行を速やかに促すべく、大きく宣伝されることは無く終息を待つこととなる。

ステッピング(製造プロセス・ルール改訂)によって消費電力が大きく引き下げられた物は、Prescottに比べて優れたオーバークロック耐性を持つ事が知られている。

対応するインテル チップセットは、

  • Intel 955X
  • Intel 945シリーズ
  • Intel 925Xシリーズ
  • Intel 915シリーズ

である。

プロセッサ・ナンバ 最高動作周波数(供給クロックx内部逓倍数) コア数 FSB周波数 2次キャッシュメモリ容量 VT対応 HT対応 XD-bit対応 Intel 64対応 ソケット TDP (ステップ=プロセス・ルール改訂番号)
661 3.60GHz (200MHz x18) 1 800MHz 2MB × LGA775 86W
651 3.40GHz (200MHz x17) 1 800MHz 2MB × LGA775 86W(B1/C1) 65W(D0)
641 3.20GHz (200MHz x16) 1 800MHz 2MB × LGA775 86W(B1/C1) 65W(D0)
631 3.00GHz (200MHz x15) 1 800MHz 2MB × LGA775 86W(B1/C1) 65W(D0)

脚注

  1. 1.0 1.1 インテルミュージアム「マイクロプロセッサーの歴史」 - インテル公式サイト.2013年12月5日閲覧。
  2. PrescottはALUが等速化されたという誤解があるが、依然として倍速である。Prescott以降のALUの具体的な構成についてはCedarMillのものであるが論文"A 9-GHz 65-nm Intel Pentium 4 Processor Integer Execution Unit"が詳しい。Prescottの回路については論文"Low-voltage-swing logic circuits for a 7GHz x86 integer core"を参照。

関連項目

外部リンク

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