まさし君

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テンプレート:Sidebar with collapsible lists テンプレート:Sidebar with collapsible listsまさし君』(まさしくん)は、植田まさしによる日本4コマ漫画

概要

貧乏大学生「上田まさし」の学生生活のみならず、様々なアルバイト先で巻き起こす騒動を描く。連載当時の1980年代の流行・社会情勢を取り入れた時事ネタも多数描かれている。

登場人物

上田まさし
本作の主人公。東西大学在学の20歳。貧乏で工事現場はもとよりウェイター、清掃員、映画のエキストラといろんなところでアルバイトをしているが、そのせいでアルバイト中毒(友人いわく違う意味のアル中)になったことがある。「ひまわり荘」というアパートに住んでいる。褒められると調子に乗るタイプで、バイトでキャベツの千切りをほめられ、調子にのってレタスまで千切りにしてしまったり、大工手伝いのバイトでは柱材を板状になるまで鉋がけしたことも。大木が「(まさしは)泳げない」と何度か言っているが、プールサイドでウェイターのバイト中に服を脱いでプールに飛び込もうとした4コマもあり、本当に泳げないのかどうかは不明。また自称高所恐怖症だが、そのわりには屋上の手すりの外側に立っていたり、ロープ1本でぶら下がっての窓清掃のバイトをしていることもあり、本当に高所恐怖症なのかは不明。
趣味はイタズラで、ひまわり荘の住民や教授、アルバイト先の人が主に被害に遭う。その点においては『かりあげクン』と類似するところがある。そのイタズラは時々常軌を逸する。
  • 疲れて寝ている大木の顔に白い布をかけ枕元に線香を立てて人に「死んだように眠ってる」と言う。
  • 海水浴場で大木らが魚を突いている時に銛(もり)で他人のスイカ割りのスイカを突いて盗んでくる。
  • 高所恐怖症の友人を目隠しして手すりの外側に立たせる、など。
イタズラ以外でも常軌を逸した(むしろ触法行為である)あるいは常識はずれな行動を取る事がある。例えば、よその家の風呂場に侵入して勝手に入浴して帰る、大木に2万円ほど用立ててくれと頼まれ、大木の部屋のものを全部売ってお金を作る、拾った財布を来年まで取っておいてその後警察に届けるなど、一方常識はずれな行動としては焼き肉をするために大木より肉を買いにやらされたところ、ミンチを買ってきたなど。
タバコは吸わず、酒はビールをオチョコで飲んでも酔っ払うほど非常に弱い。
フェミニスト。(喫茶店でバイト中に一方的に別れ話を出され泣いている女性客を見かねて相手の男の薄毛を暴露させた事がある。)
手先が器用で、道端で自作の刺繍を主婦に売ったり、長イスや本棚を自分で作ったこともある。ただし、長イスは縦に並んで座る形状だったため不評だった(わざとそう作ったのだが)。また、他人が作ったバイクのプラモデルを分解して、部品を1つも間違わずに組み立て前の形に組み直した。イタズラではないが、食い逃げの常習犯でもある。時として善行もするが、かえってそれが裏目に出てしまうこともある(例:配達の時、郵便受けに入れたら雨に濡れるだろうと、窓を開けて家の中に新聞を入れたが、入れた場所が浴室で、新聞は浴槽の湯の中に浸かってしまった)。道端で大金を拾い、先輩や友人に相談しようとしたが、借金の相談と思われて誰も相手にしてくれなかった。お金の管理が上手く、家賃はあまり滞納しないが、お金の計算は苦手な模様(駅弁を販売中にお釣りの計算にモタついて電車が発車した。)。よく大木に食事をたかられ、物を食べていると食わせろと言われるため、おはぎを箸の両端に刺してダンベルに見せかけたり、饅頭をおでこに付けてたんこぶに見せかけたり、スイカの皮を削って着色しサッカーボールに見せかけたりして隠すことが多い。時には逆に、大木の物を盗み食いすることもある。アベックには異常なほど嫉妬心を持っている。例えば、川に落ちたアベックを救うためにロープを投げたが、わざと横に移動して水が噴き出す排水溝のところまで移動させてカップルに排水溝から出る水を浴びさせた。バイト先の喫茶店にいた女優が吸ったタバコの吸殻を持ち帰ってくわえたり、歯医者で隣の美人に使った器具を取り上げて自分に使わせたりと、実はむっつりスケベ(その時の歯医者にもそう言われた)。声が大きく、新聞配達時にオヤジに文句を言われた事がある。
大木金吾
まさしと鈴木の先輩。大学生。東西大学在学。同じく貧乏学生で、よくアルバイトをしている。まさしと同じひまわり荘に住んでいる。3回留年していることからもわかるとおり、あまり頭も良くないようで、まさしが「ひまわり荘 アホ木カバ夫」という宛名でハガキを出したら、彼に届いた。体重は85キロ。着ている服は、胸に横に太い線が1本入ったシンプルな服。なぜか半袖でも長袖でも同じ。違う服を着ることはほとんど無い。まさし達にイタズラを仕掛けられることが多い。
よくまさしに食事をたかりに行く。たいていはまさしの食事中。しかも、先輩風を吹かせて「●●ぐらいあるんなら出せよ」など横柄な態度。しかし、納豆の代わりにとろろいもであえた甘納豆をご飯にかけられるなど、妙な形の逆襲に遭うこともしばしば。彼にたかられるのを防ぐため、まさしは空になった炊飯器を用意した上でヤカンでご飯を炊き、もうご飯がないように思わせたり、夕食を質素なものにして、大木が寝ている時に食べる朝食を豪華にしたりしていた。
食い意地が張っていて、本人自身が認めている通り、食べ物には意地汚いため、まさしの部屋にある食べ物を勝手に食べることが多いが、そのせいで酷い目に遭うこともしばしば。ハンバーガーの包装紙に包まれたヨーヨーに思い切りかぶりつき歯を欠けさせたり、痛んで捨てるつもりの饅頭や賞味期限を1年越したラーメンなど、痛んだ物を食べさせられたりした。ただし、時には、サンマたい焼きなどをまさしにごちそうしたり、ネコにおかずの魚を取られたまさしにコロッケを分けてやるなど、いいことをする場合もある。逆に、自分はまさしの部屋のものを勝手に食うくせに、自分の部屋のものを勝手に食われると、怒って犯人捜しをする(ちなみに、犯人はいつもまさしである)。
風邪を引いたまさし達後輩の様子を見に行ったり、まさしにティッシュを貸してやったり面倒見のいい部分もあるが、「この分は後で返せよ」と言っている。よくまさし達と組んで、映画館や動物園にタダで入ろうとしているが、ほとんど失敗している。まさしと一緒に食事に行くことが多く、一人前のラーメンやお子様ランチを2人で食べている。お子様ランチの時は、ライスを交互に食べ、刺してある旗を倒した方が料金を払う、という賭けをしていた。学生食堂でゴハン・味噌汁・おかず・漬け物の4点がセットになった定食4人前を4人で分ける賭け(ジャンケン)をして敗れ、漬け物4人前を食べさせられるはめになった事もある。まさしと一緒に、ヒッチハイクで里帰りをしようとしていたネタがあることから、出身は、まさしと同じであると思われる。
よく後輩から借金をしたり、家賃を滞納してしまったり、アルバイトの給料を増やそうとして競馬で全部スッてしまうなど、まさしと違い、お金にはかなりルーズ。漢字に弱く、字もかなり下手。レポートを書く時も全部平仮名で書く。
好きな女性によくラブレターや花束を贈るが、成功したことはない。あるとき、好きな女性に花束を渡し、受け取ってもらって喜ぶが、その女性は墓参りに行く途中で、もらった花束を墓に飾ってしまった(墓に備える花を探していたため)。
1巻の中盤あたりまでは、頭の形が丸く、もみあげの形も違っていた(この頃は「大木」という名前は明らかになっていなかったが、やっていることは同じだった)服の柄も一定していなかった。
鈴木(近藤、野口)
まさしの友人。東西大学在学。まさしと同じく貧乏学生でよくアルバイトをしている。ひまわり荘に住んでいる。同じ大学の鈴村に想いを寄せている。登場初期には「近藤」だったり「野口」だったり名前が一定していなかった。代返を引き受けたものの、教授には気付かれており、本人の出席簿がかなり先の回まで欠席扱いになってしまった。
鈴村
東西大学の学生。かなりの美人で、同じ大学の鈴木が想いを寄せている。鈴木には鈴村嬢と呼ばれる。美人ではあるが、まさし達と共に行動して平然(?)と遅刻をしていたり、まさしの家(と思われる場所)でこたつに入っている時、まさし達がこたつを取ると、思いきりあぐらをかいていた辺り、しょせん三流大学生、と思える行動もある。
大家夫婦
まさし達が住むアパート・ひまわり荘の大家。住人達がよく家賃を滞納するので困っている。家賃を滞納して追い立てを食っているアパートの住人を、まさしを始めとする他の住人が応援すべくその住人の部屋に集まったが、真下が大家の部屋だったため重みで潰れかかったことがある。まさしに「釘を打ってくれませんか?」と頼んだら、藁人形を打たれたことがある。大家はその時によって初老の男だったりおばあさんだったり中年夫婦だったり、出てくる人が変わっている。
里見教授
フルネームは里見治(3巻6ページでまさしが送った年賀状より)。東西大学教授。まさし達がゼミを取っている。まさしのイタズラと彼を始めとする学生達頭の悪さに悩むあまり、何回か入院している(主に胃潰瘍)。入院した際、まさしと大木が御見舞いで花束を持参したが、それはニンニクの花だったためその匂いで餃子を思い出し「餃子食べたいよぉー」と泣いていた。内職をする生徒には容赦なく、「目障りだから出て行け!」と言うこともある(ここでの内職とは、本来受けている授業とは違う科目をこっそりやっていることを指すが、まさしはバイトの内職をやっていた)。
里見教授以外の東西大学の教授
まさし達のイタズラに手を焼いている。まさしから大学教授へ、大学へ宛名を教授全員の名前にした年賀状が届いたことがある。ある一人の教授がまさし達の講義が終了した際に「黒板、消しとけよ」と言った。もちろん黒板の「文字を」消すようにという意味だったが、まさし達は黒板を丸ごと何処かに消してしまった。その現場を見た用務員もかなり困惑していた。他にもフランス語のテストで、「次の仏文を訳せ」という問題を出した。これももちろん「日本語に」という意味なのだが、「日本語に」という部分を書き忘れてしまい、悩んだ生徒たちはハナモゲラ語バルタン語(という設定で出鱈目に書いただけ)で書いて提出したこともあった。里見教授と全く同じ髪型で、メガネをかけていない教授が一度登場しているが、里見教授と同一人物かどうかは不明。

その他

ひまわり荘(連載初期には「○○アパート」という名だった)
主人公のまさし達が住むアパート。風呂なし、共同トイレ(和式)で損傷が激しいボロアパートでもある。まさしがドアをけん玉の玉で叩いてみると、すぐ外れたほど。連載初期は、雨戸も布団も早い者勝ちであったためにまさしの隣室に越してきた学生が2室共用の雨戸を取り損ねた挙句に、これまた2室共用の押入れにあった自分の布団までもまさしに取られてしまったことも。
東西大学
主人公のまさし達が通っている三流大学。五月病は新入生のみならず、あまりの学生レベルの低さに新任の講師までかかってしまう。くだらないクラブがたくさんある。医学部が存在するが、実態はお医者さんゴッコを目的としたサークル。「理工学部はあるか?」と聞かれたとき、「この大学に【りこう】なんてありません。」とまさしが答えていた。受験生のスベリ止めになっている。代返が頻繁に行われているが、バレていることもしばしば。試験問題は難関中学校の試験問題より簡単。大学OBに、プロゴルファーがいて、後輩であるまさしが偶然そのキャディを務めたことがある。ちなみに、そのゴルファーは、第1打でOBを出してしまった。ある受験生が絵馬に「東西大学以外の大学ならどこでもいい」と書いた。わかっている限り、鈴木二郎・山田吾作・木下藤夫・太田隆・小島仙一・中村三男・井上淳一・後藤又八・木村光一・秋山建二・佐藤茂・牧野明・横山正一、それに里見治と、14人の教授がいる(3巻6ページでまさしが送った年賀状より。まさしが講義をとっている教授のみ)。
自治会
東西大学の学生による団体。カンパを里美を始めとする教授たちから徴収するが、里美教授はそれを予期し、家に来られる前に居留守を使ったりする。よくデモを起こす。
セリフ
なぜか時々、「何するだ」「ちゃうもん」「ちゃうんだけどね」「ンダンダ」と、変な訛りのセリフがある(同作者の別作品『かりあげクン』にも時々出る)。

単行本

芳文社から全5巻で発売。その後、同社からコンビニコミックスで「特選まさし君」が3冊発売された他、作者の過去作品『すっから母さん』、『キップくん』、『おたかぜ君』などを同時収録した「特盛まさし君」も不定期に発売されている。

なお、コンビニコミックスなど近年に刊行されたものは、旧版にあった実在の商品名など記述が変更されている箇所がいくつかある。

テレビドラマ版

1985年2月18日に「月曜ドラマランド」(フジテレビ系)にて放送された。

バイト学生まさしがひょんな事から出会った車椅子の少年にキャンプの気分を味わって貰おうと店員の女性、アパートの住人である大木やケント達学生の助けを借りながら一肌脱ぐ。

キャスト

関連項目

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