貨物駅
貨物駅とは、貨物列車に貨物を積み降ろしすることを目的とした鉄道駅である。
貨物は、大きさが統一されたコンテナを用いるコンテナ輸送が鉄道貨物の主流となっている。 日本では、有蓋車での車扱輸送は、2012年に廃止された。
コンテナは直方体のものが一般的であるが、液体の化石燃料や化学薬品などを輸送する場合はタンクを有するコンテナとなり、丸みを帯びた形となっている。 標準軌以上の軸幅を持つ軌道を走る貨物列車は国際規格のコンテナが用いられることが多く、国際的に見ても大部分がこれに相当するが、狭軌の軌道や、カーブ区間の多い軌道では独自の大きさのコンテナが用いられることもある。
工場や燃料基地が駅となっておりへ引き込み線を通じて直接乗り入れる列車は、コンテナと貨車が一体となったものが用いられる場合がある。その場合は貨物のみを駅で積み降ろしするが、そうでない場合は、フォークリフトやクレーンを用いてコンテナを列車に直接載せることが多く、その為の設備を駅は有する。
鉄道駅は線路の高さによって、地上駅、高架駅、地下駅と言った区別ができるが、貨物駅の場合は地上駅が多い。
また、船舶との連絡に重点を置いた貨物駅では、埠頭へ直接乗り入れることもある。
着発線荷役方式
着発線荷役方式(ちゃくはつせんにやくほうしき)とは、貨物列車が発着する本線路(着発線)部分にコンテナホームを設けてコンテナの荷役作業を行う方式である。E&S(イー アンド エス、「Effective & Speedy Container Handling System」の略)方式ともいう。当初は電化区間の駅で採用されたことから、「架線下荷役」(かせんかにやく)とも呼ばれた。
概要
架線に接触する恐れのある着発線ではフォークリフト・トップリフターなどでの荷役ができないため、着発線に到着した貨車を入換担当のディーゼル機関車で架線のない荷役線まで持っていき荷役作業を行い、荷役完了後に再び着発線へ戻し本線牽引の機関車に連結する必要があった。しかし、従来の方法では車扱貨物の場合と同様の入換作業を必要とし、貨車が到着してから荷役作業を行うまでの時間や荷役作業が終了してから貨車が出発するまでの時間が長くなってしまう。そこで入換作業の効率化によるリードタイム短縮やコスト削減のため導入されたのがこの E&S 方式であり、中間駅においては荷役のための停車時間が最大約3時間短縮された。
着発線は操作により架線への送電を停止でき、非通電状態で架線を傷つけない E&S 方式対応のフォークリフトやトップリフターにより荷役を行う。架線の通電が停止すると架線柱などに取り付けられたランプが点滅し、荷役ができることを知らせるようになっている。
この方式は1986年11月1日改正より岐阜貨物ターミナル駅と新南陽駅の2駅で初めて採用され、2013年3月16日改正時点では29の貨物駅が E&S 方式となっている[1]。将来的には40駅程度に導入される見込みである[2]。なお、既存の横浜羽沢駅や、計画中の米原貨物ターミナル駅での導入も予定されている[3]。
従来の貨物駅を改造した E&S 採用駅の多くは、側線の荷役線で荷役作業を行う行き止まり式のコンテナホームも併設している。
日本の E&S 方式の駅
(採用順・2013年3月16日改正時点)
- 岐阜貨物ターミナル駅 (東海道本線)
- 新南陽駅 (山陽本線)
- 新富士駅 (根室本線)
- 八代駅 (鹿児島本線)
- 郡山貨物ターミナル駅 (東北本線)
- 新潟貨物ターミナル駅 (白新線)
- 富山貨物駅 (北陸本線)
- 京都貨物駅 (東海道本線)
- 西岡山駅 (山陽本線)
- 苫小牧駅 (室蘭本線)
- 静岡貨物駅 (東海道本線)
- 秋田貨物駅 (奥羽本線)
- 姫路貨物駅 (山陽本線)
- 川崎貨物駅 (東海道貨物線)
- 広島貨物ターミナル駅 (山陽本線)
- 南長岡駅 (信越本線)
- 東室蘭駅 (室蘭本線)
- 高松貨物ターミナル駅 (予讃線)
- 八戸貨物駅 (青い森鉄道線)
- 安治川口駅 (桜島線)
- 土浦駅 (常磐線)
- 北九州貨物ターミナル駅 (鹿児島本線)
- 熊本駅 (鹿児島本線)
- 高岡貨物駅 (新湊線)
- 金沢貨物ターミナル駅 (北陸本線)
- 神戸貨物ターミナル駅 (山陽本線)
- 鳥栖貨物ターミナル駅 (鹿児島本線)
- 百済貨物ターミナル駅 (関西本線)[1]
- 吹田貨物ターミナル駅 (東海道本線)[1]
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 テンプレート:PDFlink - 日本貨物鉄道(2013年3月13日付、同月24日閲覧)
- ↑ JR貨物 新中期経営計画「ニューストリーム2007」による。
- ↑ JR貨物 中期経営計画「ニューストリーム2011」による。