モーダルシフト

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テンプレート:複数の問題 モーダルシフト(modal shift)とは、貨物や人の輸送手段の転換を図ること。具体的には、自動車航空機による輸送を鉄道船舶による輸送で代替すること。当然のことながら、鉄道や船舶から自動車、航空機に代替することもモーダルシフトと呼ぶが、ここでは前者について述べる。

モーダルシフトによる効果

モーダルシフトによって、以下のことが期待できる。

貨物輸送の転換

トラック貨物機による輸送を貨物列車貨物船による輸送で代替することで、日本では、運輸省(現国土交通省)が1991年4月から推進しているほか、海外でも同様の取り組みを行っている国がある。鉄道・貨物船では単位輸送量当たりの必要人員が少なくてすむため、人員少子高齢化による労働力不足の緩和にも期待ができる。また、カーフェリーを利用してトラックそのものを航送する「モーダルシフト」も、数多く利用されている。鉄道に比べて速達性には劣るが、単にトラック輸送するよりも単位輸送量が大きく、トラックごと運ぶため荷の積み替えの時間と手間がかからないのが特徴である。

鉄道貨物における課題

日本貨物鉄道(JR貨物)では、2004年3月13日から大阪・東京間でM250系貨物電車を導入し列車の高速化を図ったほか、従来貨物船同様に時間がかかっていたでのコンテナ積み替えを、貨物駅E&S方式へ改良することで更なる時間短縮を実現している。輸送サービスの即時性が特に求められるジャストインタイム生産システムを採用している製造業や、宅配便での鉄道貨物輸送の大規模な採用例もある。[2]

だが依然として、交通渋滞の悪化に繋がり環境負荷も高いが柔軟な輸送対応が可能で多くの場合において速達性に優れるトラック輸送、速達性は低いが大量輸送とコストに優れ環境負荷も低い内航貨物船、とはっきりした利点と欠点があり棲み分けが行われている両者に比べると、その両者の中間に位置する鉄道貨物には制限が多い。

  • 東海道本線山陽本線など貨物需要の多い路線では旅客列車の需要も大きく路線が混雑していることに加え、国鉄末期以降の合理化で貨物輸送用の側線などの地上設備を撤去した駅も少なくないため貨物列車の増発には更なる設備投資が必要。
  • 鉄道は道路輸送に比べ天候や自然災害の影響を受けやすい。また自然災害で原因で路線が運休になった場合輸送自体がストップする。トラック輸送は豊富な道路上の迂回ルートが利用でき、内航路貨物船には悪天候による一時的な運休はあっても長期に渡って途絶する心配はない。
  • 日本の鉄道貨物のコンテナ貨車は海上輸送用コンテナを輸送できないわけではないが、20m級のコンテナ貨車(コキ100系列など)では、40フィート海上コンテナを1個しか積めず、輸送力に無駄が生じる。一方、海上コンテナ1個分に合わせた貨車(コキ200など)も存在するが、車体長が短い分、輸送力を確保しようとすると、必然的に増結が必要=線路使用料の増大を招くことになる。
  • 整備新幹線の開業に伴う並行在来線の経営分離で、今後線路使用料の負担が増えていくことが予想される。

旅客輸送の転換

自家用車等での移動から公共交通機関を利用しての移動に代替すること。

近年では環境問題等からモーダルシフトの為に公共交通重視の政策を進める動きがあり、近年の原油価格高騰時には自動車での移動コストが高騰したため公共交通が見直されるきっかけとなった。

関連項目

脚注

  1. 国土交通省運輸部門の地球温暖化対策についてによると、旅客輸送(人輸送)では営業用/自家用乗用車・航空バスに比べて鉄道の方が、貨物輸送では自家用/営業用貨物車に比べて船舶・鉄道の方が輸送量あたりの排出量が少ない。
  2. 東洋経済2008年4月18日“トヨタ列車”が大増発 部品輸送を船舶から貨物列車へ カイゼン進めコスト効率も向上。

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