猿飛佐助
猿飛 佐助(さるとび さすけ)は、講談や立川文庫の小説などに登場する架空の忍者。ただし、モデルとなった人物(上月佐助など)が実在したとする説もある(#架空説と実在説)。
概要
忍者ものの文学、講談などでは群を抜く知名度を持ったヒーローである。戦後、猿飛佐助をモチーフにしたキャラクターが、多くの小説や漫画などで生み出されている(#登場する作品、#関連キャラクターを参照)。
生涯
信濃の鳥居峠の麓に住む鷲尾佐太夫という郷士の息子で本名は井辺武助である。戸隠の山の中で猿と遊んでいるところ、戸澤白雲斎に見出されてその弟子となる。甲賀流の忍者だが、甲賀の里で修行した経験がない。
真田幸村に仕え、真田十勇士の1人として知られる。同じ十勇士で伊賀忍者の霧隠才蔵は、ライバルでもある。大坂夏の陣で徳川方に敗れた後、幸村と共に薩摩に落ちのびたという。
備考
立川文庫版の原作者が愛媛県今治市出身の山田阿鉄一族であることから、JR今治駅前に猿飛佐助の銅像が立っている。
架空説と実在説
司馬遼太郎は、小説『風神の門』において「明治末期~大正年間に立川文庫の作者達が創った」とする説を紹介し、「猿飛佐助の命名は、玉秀斎を中心とした作家グループ達が行った」との説を補筆している。それを司馬は「半ば真実かもしれない」と理解を示した上で、「すでに江戸時代には大阪の庶民の間で語り継がれていた」とする岡本良一の異説を紹介し、『淡海故録』および『茗渓事蹟』を出典に、「三雲新左衛門賢持の子、三雲佐助賢春が猿飛佐助である」と実在説を支持している。
それ以外にも、伊賀下忍・下柘植ノ木猿の本名が上月佐助である事から、「上月佐助こそが猿飛佐助である」との実在説もある。これについては、大坂夏の陣後、徳川家康の命を受けたと思われる服部半蔵宗家が、本拠地の三重県柘植野を徹底的に殲滅・残党狩りをしており、「大坂夏の陣で当時の忍術(≒現在の諜報・特殊部隊)を駆使したことへの報復・恐怖の傍証」とも取れる。
登場する作品
年代順。
- 小説
- 『猿飛佐助』(織田作之助)1945年
- 『忍者 猿飛佐助』(富田常雄)1948年
- 『猿飛佐助』(柴田錬三郎)1955年
- 『風神の門』(司馬遼太郎)1962年
- 『異聞 猿飛佐助』(中田耕治)1963年
- 『草書本 猿飛佐助』(神坂次郎)1972年
- 『産霊山秘録』(半村良)1973年
- 『真田十勇士』(柴田錬三郎)1975年
ほか多数
- 漫画
- 『猿飛佐助』(杉浦茂)1954年-1955年
- 『さるとび佐助』(福田三郎) 1956年-1960年
- 『魔界衆』(横山光輝)
- 『真田十勇士』(本宮ひろ志)1975年
- 『真田十勇士』(原作:柴田錬三郎 / キャラクターデザイン:石森章太郎 / 作画:すがやみつる)1975年
- 『須平巣忍風帳』(石川賢)1979年
- 『学研まんが 猿飛佐助』(中島昌利)1980年
- 『花の慶次』(原哲夫)1989年-1993年
- 『真田忍術秘帖』(くもぎり太郎)『こんにちは劇場』収録1994年
- 『真田くノ一忍法伝 かすみ』(原作:神林洋司、作画:平野仁)2003年-2005年
- 『BRAVE10』(霜月かいり)
- 『新生真田十勇士』(亜樹新)
- 『GATE7』(CLAMP)
- 演劇
- 『真田風雲録』(福田善之)1962年初演
- 映画
- 東宝『エノケンの猿飛佐助 ありゃありゃの巻、どろんどろんの巻』(演:榎本健一)1937年-1938年
- 日活『猿飛佐助』(主演:フランキー堺)1955年
- 新東宝『風雲急なり大阪城 真田十勇士総進軍』(演:天城竜太郎)1957年
- 東映長編漫画映画『少年猿飛佐助』1959年
- 東映『真田風雲録』(演:中村錦之助)1963年
- 松竹『異聞猿飛佐助』(演:高橋幸治)1965年
- 東映『猿飛佐助 闇の軍団』(主演:松方弘樹)2004年
- TMC『真田くノ一忍法伝 かすみ 誕生!猿飛佐助』(演:前田万吉)2007年
- 『GOEMON』(演:ゴリ(ガレッジセール)2009年
- テレビドラマ
- 『天下の暴れん坊 猿飛佐助』 (主演:沢村精四郎) 1961年
- 『忍びの者』(主演:坂口祐三郎)1964年。
- 『熱血猿飛佐助』(主演:桜木健一)1972年-1973年
- 『猿飛佐助』(主演:太川陽介)1980年
- 『風神の門』(演:渡辺篤史)1980年。
- 『猿飛三世』(声:千葉真一)2012年
- 人形劇
- 『真田十勇士』 1975年-1977年にNHK総合で放送。
- アニメ
- 『まんが猿飛佐助』1979年~1980年に東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放送。ただし、『テレビ東京20年史』では『猿飛佐助』と紹介されている。
- 『SAMURAI DEEPER KYO』2002年
- 『新釈 戦国英雄伝説 眞田十勇士 The Animation』2005年
- 『MUSASHI -GUN道-』(モンキー・パンチ)2006年
- 『戦国BASARA』シリーズ(声:子安武人)
- 『BRAVE10』2012年
- ゲーム
- 『戦国無双2』(koei)
- 『パズル&ドラゴンズ』(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)
関連キャラクター
年代順。
- 猿飛佐助
- 二代目 猿飛佐助(上条明峰『SAMURAI DEEPER KYO』)1999年~2006年
- 猿飛佐助(『猿飛三世』 演:伊藤淳史)2012年
- 猿飛
- 猿飛猿助(藤子不二雄A『忍者ハットリくん』)連載開始は1964年
- 猿飛エツ子(石ノ森章太郎『さるとびエッちゃん』)アニメ版は1971年~1972年
- 猿飛悦子(石ノ森章太郎『人造人間キカイダー THE ANIMATION』)2000年~2001年
- 猿飛サユリ(永井豪『ゴエモン先生』)1979年~1980年
- 猿飛肉丸(細野不二彦『さすがの猿飛』)1980年~1984年
- 猿飛八宝斎(細野不二彦『さすがの猿飛』)
- 猿飛アスマ(岸本斉史『NARUTO -ナルト-』)1999年~
- 猿飛ヒルゼン・三代目火影(岸本斉史『NARUTO -ナルト-』)
- 猿飛あやめ(空知英秋『銀魂』)2003年~
- 飛猿
- 『あずみ』(小山ゆう)1994年~2008年
- サスケ
- 大猿サスケ(白土三平『サスケ (白土三平)』)1968年~1969年
- 流サスケ(黒岩よしひろ『サスケ忍伝』)1986年
- ザ・グレート・サスケ ‐ プロレスラー。1990年デビュー、1992年改名。
- からくり忍者サスケ(コナミ『がんばれゴエモン』シリーズ)
- サスケ(カプコン『キャプテンコマンドー』)1991年
- サスケ(任天堂)『ジョイメカファイト』1993年
- ニンジャレッドサスケ(『忍者戦隊カクレンジャー』演:小川輝晃)1994年~1995年
- サスケ(アスキー『火星物語』)1994年~2000年
- うちはサスケ(岸本斉史『NARUTO -ナルト-』)1999年~
- サスケ(椎名高志『MISTERジパング』)2000年~2001年
- サスケ(古賀亮一『ニニンがシノブ伝』)2000年~2006年
- 妖精サスケ(篠塚ひろむ『ミルモでポン!』)2001年~2005年
- ロジャー・サスケ(アルファ・システム『式神の城II』)2003年
- 佐助
- 向井佐助『真田太平記』(池波正太郎)
- 佐助『BEHIND MASTER』(坂本あきら)
関連項目
- サスケ - 曖昧さ回避。商品名、番組名などについては、こちらも参照。