ブランチインブランチ
テンプレート:出典の明記 ブランチインブランチとは、合併した銀行などで、経営合理化とサービス改善とを早期に実現する目的から、情報処理システム統合前に複数の支店を1か所の窓口にして行う形態のこと。
概要
店舗内店舗(てんぽないてんぽ)もしくは、店舗内支店(てんぽないしてん)とも称される。これまで主だったところでは、(旧)三井住友銀行[注釈 1]、みずほ銀行、りそな銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱東京UFJ銀行などで行われている。その目的から、システム統合が完了次第、早期に店舗統合を実施する例がほとんどである。
この形態の支店におけるATMの設置については、みずほ銀行・旧三井住友銀行のように一方の支店の管轄するATMしか設置しないケースと、りそな銀行や三菱東京UFJ銀行のように、双方の支店の管轄するATMを併設するケースとがある。後者の場合は、それぞれの旧行の採用するATMベンダがはっきりと違う(ないしは、ATMの筐体の色を分けている)ほか、ATMにピクトグラムなどで明示がなされ旧行の識別をしやすくしているケースが多く、システム上での店舗統廃合を行った場合でも両者の機種が並存することとなる。しかしながら、前者の形式では、自店宛の振込ができないケースもある(金融機関によっては、暫定的に、同一店扱いとして優遇するケースや、窓口で明細を提示することによりキャッシュバックを行うケースもある)。当然、本支店扱いすなわち同一行他店舗あて扱いとして、手数料がかかり事実上の値上げになることもある。
合併に伴い「〇〇中央支店」や「〇〇駅前支店」など(後者は主に都銀の場合)と改称される店舗は将来的な統廃合でのブランチインブランチ解消時の廃止対象となることが多い。
事例
ここでは、都市銀行などで見られる合併などによってシステムが複数並存するケースに伴うものおよび、東日本大震災に伴う損壊店舗の仮店舗を、暫定的に別支店内に併設する形でブランチインブランチとなったもの以外のケースを取り上げる。
システム統合を伴わない事例
- 都市銀行
- みずほ銀行(大手町タワー6F・本店・内幸町営業部・大手町営業部、2/3/5F・東京中央支店・丸の内中央支店)
- 三菱東京UFJ銀行(旧東京三菱銀行時代より、本店・丸の内支店),(2007年3月12日より、旧東京三菱同士である新宿中央支店・新宿西支店、同5月21日より、旧UFJ同士である三好支店・三好ヶ丘出張所)
- なお、三菱東京UFJ銀行の場合、新システムの全店稼働後も店舗統合せず、近隣店舗のブランチインブランチを行っている(統合を行ったのは、母店と同じ支店コードを有する有人出張所・特別出張所のみ)
- 三井住友銀行本店営業部・東京営業部(2011年4月18日より、三井住友銀行大手町本部ビルの建替えに伴い、東京営業部の窓口を、真向かいに所在する本店営業部窓口に取り込む)
- りそな銀行(2007年5月21日より2009年4月12日まで福島支店・野田支店、2009年1月19日より2010年9月12日まで名古屋支店・赤門通支店、2011年4月18日より2012年6月17日まで西葛西支店・行徳支店、2012年10月9日より我孫子道出張所・住吉支店)
- 地方銀行
- 北海道銀行(札幌駅北口支店・光星出張所、西野支店・西野二股出張所、室蘭支店・東室蘭支店、豊岡支店・銀座通支店)
- 荘内銀行(酒田営業部・若竹町支店(酒田市)、鶴岡東支店・朝暘町支店(鶴岡市)、米沢支店・米沢西支店(米沢市)、新庄支店・新庄南出張所(新庄市)、ときめき通り支店・鈴川支店(山形市)。いずれかの旧所在地となる場所ないしはその近隣に店舗外ATMが設置される)
- 七十七銀行(2014年8月25日より、本店営業部・本店営業部JR仙台出張所)
- 筑波銀行 - 合併による重複店舗を口座勘定統合せず、実態店舗の削減を行う形になったため、対象店を順次ブランチインブランチとする予定。理由は、合併と前後して主に旧茨城銀行利用者のシステム統合までの変更点が口座番号変更・通帳/カードの強制切替等、これ以上の負担を強いた場合の影響があまりにも大きく、口座勘定までは当面削減できないと判断したため(旧関東つくば銀行の店舗は、合併前・合併時の重複支店名称等の変更程度等に留まっている)。
- 鳥取銀行(倉吉支店・関金出張所、五千石支店・溝口出張所)
- 阿波銀行(本店営業部・徳島駅前支店・新聞放送会館出張所、2009年1月26日より両国橋支店・かちどき橋支店、2010年1月25日より鳴門支店・大津支店、2011年10月17日より田宮支店・矢三支店、2011年10月24日より阿南支店・見能林支店、2012年1月23日より羽ノ浦支店・古庄支店)
- 百十四銀行(2014年7月22日より坂出支店・駒止支店)
- 信託銀行
- (旧)住友信託銀行(2008年10月14日より2012年2月26日まで東京中央支店・東京営業部)…東京本部ビルの再開発・建替に伴い、東京営業部を八重洲にある東京中央支店内に取り込んだ。ATMは東京中央支店管轄のみの設置だが、振込に限り東京営業部宛を当店宛の手数料体系で取り扱う。
- 新銀行東京(2008年5月7日より本店を大手町から西新宿に移転させた上で、全出張所を本店に統合)
- 第二地方銀行
- きらやか銀行
- 旧山形しあわせ銀行(本荘支店・石脇出張所、遊佐支店・吹浦出張所、新庄支店(合併後は新庄北支店)・新庄南出張所、米沢支店(合併後は米沢中央支店)・米沢東出張所(2008年6月16日より、米沢東出張所は、旧殖産店の米沢駅前支店内に移転した)、産業通支店・南原出張所、城西支店・下条出張所)
- 旧殖産銀行(新庄支店・新庄西出張所、酒田支店・酒田千石町出張所、新発田支店・新発田北出張所)
- 合併後、重複拠点はブランチインブランチの形で実体店を消しており(合併と同時にシステム統合を実施)、口座店としては存続しているため、ブランチインブランチの形態で営業する形を取っている。合併後に廃止された拠点は、旧しあわせ店だった郡山支店のみ(継承先は、旧殖産店の福島支店。旧郡山支店跡地は、かんぽ生命保険福島支店の移転先となった)。
- 仙台銀行(本店営業部・国分町支店・東京支店、など)…東日本大震災で被災したことによる、店舗再建までの暫定処置あるいは渉外業務の合理化などを理由に、ブランチインブランチ形式を取り、口座店統合を実施しない形を取っている。
- 西京銀行(本店営業部・銀南街支店・新宿通出張所、桜木支店・周南支店、下松支店・星プラザ出張所・熊毛出張所、下関支店・新地支店、新下関支店・豊浦支店・綾羅木支店、小郡支店・阿知須出張所、長門支店・仙崎支店、岩国支店・和木支店、南岩国支店・由宇出張所、柳井支店・平生出張所、小倉支店・戸畑支店)
- 香川銀行(本店営業部・宮脇町出張所(2012年9月3日より。同出張所跡地に設置された無人ATMは「宮脇町一丁目出張所」)、宇和島支店・岩松支店(2013年1月21日より。同支店跡地に設置された無人ATMは「津島町出張所」)
- 信用金庫
- 農業協同組合
のように、システム統合が関わるものではないにも関わらずこの形態をとっている金融機関も出始めている。
理由はいろいろあるが、単純な店舗統合では、一方の店舗(廃止店)の顧客の通帳・キャッシュカードを強制切り換え・口座番号の変更等、顧客側への影響が大きくなるために、建物自体は廃止しても「口座店」としてはもう一方(建物としての廃止店)も残しておくというケースがみられる。
上記、三菱東京UFJ銀行本店・丸の内支店の場合がこれにあたる。丸の内地区再開発のあおりで丸の内支店の居場所がなくなったため本店内に取り込んだ。しかし、丸の内支店は旧三菱銀行時代には支店長が取締役兼任だった大支店であり取引先が大変多い。統合すると顧客に対する影響が大きすぎるためこのような措置になったとみられる(実際に、旧東京三菱銀行が、旧UFJ銀行との合併前の支店コード重複店の変更を行った際、通帳[1]の強制切り替えを行っており、東京三菱銀行時代に丸の内支店を統合していた場合は、確実に通帳強制切替などの影響は高かった。また、合併後に稼働した新システムのアーキテクチャにもその思想が残されているために、他店を含め、旧UFJ店の新システム移行完了後も店舗統合までは至らないともいわれる)。
建て替えに伴う一時的な措置の例
中国銀行(岡山駅前支店→富田町(とんだちょう)支店、2005年10月14日まで)やトマト銀行(岡山駅前支店→中山下(なかさんげ)支店、2005年10月7日まで)、りそな銀行(新井薬師出張所→中野支店、2004年5月17日 - 2005年10月16日)、伊予銀行(垣生(はぶ)支店→松前(まさき)支店、2010年2月12日まで)、西京銀行(下関支店→唐戸支店、2011年6月6日 - 2012年11月11日)、広島銀行(大州支店→広島東支店、2013年2月18日から)では店舗建替えの際、仮店舗を置かずにこの形態で業務を行っていた。また、広島銀行(西風新都支店→沼田支店、2008年12月8日 - 2009年2月16日、海田東支店→海田支店、2009年12月7日 - 2010年2月8日)、中国銀行(広島東支店→広島支店、2012年10月29日 - 2013年3月4日)では店舗開設の際、店舗建物の完成まで仮店舗を置かずにこの形態で業務を行っていた。
また、類似したケースとして、りそな銀行錦糸町支店(旧大和店)は、2004年10月18日からりそな銀行亀戸支店(旧あさひ店)内に移転していたが、2007年6月11日に錦糸町駅南口に再移転した。事情は公表されていないが、この2支店は、システム統合前の事実上の店舗統合のためのブランチインブランチではなかったか、あるいは当初はその計画であったがその後計画を変更し双方存続・独立させたものと推察される。
関連項目
店舗の合理化手法として、次の手法もとられる。
脚注
注釈
- ↑ 「旧」は、住友とさくらとの合併でのシステム統合の意味。今の三井住友は、わかしお銀と旧三井住友との合併でのシステム統合である。