モエレ沼公園
モエレ沼公園(モエレぬまこうえん、Moerenuma Park)は、北海道札幌市東区にある公園である。分類は、総合公園(都市公園)。
概要
面積はモエレ沼の水面もあわせて1.89km²。
公園の基本設計は、日系アメリカ人の彫刻家イサム・ノグチ、監修はイサム・ノグチ財団のショージ・サダオ(貞尾昭二)、設計統括はアーキテクトファイブによる。設計監理統括者は川村純一。
テンプレート:要出典範囲2002年(平成14年)度のグッドデザイン大賞を[1]、2004年(平成16年)度の「北海道赤レンガ建築賞」を受賞している[2]。
歴史
自然の沼地としては危機的な状況にあるとして、その保全を兼ねた大規模な水郷公園に改造する事業に札幌市が1978年(昭和53年)から着手することになったのが始まりである[3]。
当初の構想では野球場や植物園を設置する一般的な公園の構想で[3]、1983年(昭和58年)に約1800本の桜が植えられるなど桜の名所も目指していた[4]。
この公園の整備を兼ねて1979年(昭和54年)からゴミの搬入・埋め立てが始まり、1990年(平成2年)までゴミの埋め立てが行われ、廃棄物の総量は約270万トンに達した。
この公園計画は、1988年(昭和63年)6月に日系アメリカ人の彫刻家イサム・ノグチが公園の設計への全面協力をすることを発表して、その基本構想を公表したことから整備計画は大きく転換することになった[5]。
このノグチは若い頃から彫刻作品を作る一方で「大地を彫刻する」公園計画などに興味を持ち、1930年代以来「プレイマウンテン」など様々な模型を製作し、コンペにも参加していたがなかなか果たせなかった。
彼はそれが形になるのを見ずに同年末に死去したが、その後も基本設計に基づき工事は進められた。
1995年(平成7年)4月29日には一部開園し、桜と梅の花見やテニスコートなどスポーツ施設の利用が始まった[6]。
1996年(平成8年)にはイサム・ノグチが設計した遊具が置かれた広場など一部が開園した[7]。
全体構想の約70%が完成したとして[8]、1998年(平成10年)7月5日には開園式が行われた[9]。
2003年(平成15年)7月20日にはガラスのピラミッド「HIDAMARI」が完成して一般公開され[10]、同月23日からそれを記念して館内で設計者イサム・ノグチの展覧会が開催された[11]。
2004年(平成16年)には「モエレ山」が完成して一般公開され[12]、2005年(平成17年)7月1日に中央噴水「海の噴水」の通水式が行われて全面的に開園した[13]。
施設
園内にはノグチが設計した多数の遊具が設けられている。
- ガラスのピラミッド「HIDAMARI」
- 公園の中心施設で、管理事務所と休憩施設、ノグチのギャラリーなどがあり[14]、冬には温室として機能し、夏には別に設けた貯雪庫に蓄えた雪を冷房に活用する[15]。高さ約32mで表面のガラスの面積は約延べ2,483m²である[16]。2003年(平成15年)完成[10]。
- モエレビーチ
- 3か所の吹き出し口よりさざなみ(水の波紋)を立てる浅い池(水深50cm)で、夏には水遊びができる[17]。池には、サンゴが敷き詰められている。
- モエレ山
- 南にある山。モエレ山は、公園のために人工的に造られた山で、東区唯一の山であり、標高62mである。北側からの登山路は手すり付きで階段は242段であるが、メインとなる階段は300段を超えるため、大人が普通に登ると約10分掛かるとされる[12]。頂上は円形の平地となっており、360度の眺望が眺められる[12]。付近は平地であるため、風のある日の頂上付近には、風が集まり強風となる。2004年(平成16年)完成[12]。
- プレイマウンテン
- 北にある山。プレイマウンテンは、ピラミッドをモチーフに設計された[18]未来への道を象徴する99の石段が設えられた遺跡のような外観の山[19]。瀬戸内海産の花崗岩を用いた石段のある底辺は約155mのピラミッドである[18]。1996年(平成8年)完成。
- ミュージックシェル
- プレイマウンテン麓にある、半球に似た形の舞台。1996年(平成8年)完成。
- 海の噴水
- カラマツ林が取り囲むように配置され、公園の核ともなる中央噴水である。噴水池の周囲は、直径48m[20]。全体(カラマツ林)まで含めると直径80mにもなる。噴水の水柱の高さは、約25mまで噴出する[20]。荒れ狂う海のような波しぶきを人工的に作り出す独特の噴水である[21]。夜には、様々な色にライトアップされる。2003年(平成15年)に着工、2005年(平成17年)に完成した[20]。2013年(平成25年)に落雷で設備が破損し、長期間停止することになった[22]。
- アクアプラザ
- 中央にある彫刻アクアプラザより水が湧き出し、全長約150mの浅瀬の川カナール(運河)をつくる。1998年(平成10年)完成。
- テトラマウンド
- プレイマウンテンの西北にあるテトラマウンドは、ステンレス柱による高さ13mの三角錐と、芝生の丘で構成された構造物である。1996年(平成8年)完成。
- サクラの森
- 滑り台・シーソーなどの遊具施設がある広場。春になるとサクラも楽しめる。1993年(平成5年)施設の一部を一般解放。
- フィールドハウス
- スポーツ施設の受付所・休憩所。
- 野外ステージ
- 2000年(平成12年)完成。
これらは、みな独特の造形を持つ彫刻として眺めることができる。また公園内には、他に陸上競技場や野球場、テニスコート(15面)、無料駐車場が設置されている。但し、陸上競技場・野球場・テニスコートは有料であり、フィールドハウスで予約が必要である。また、自転車のレンタル(レンタサイクル)もでき、園内のサイクリングもできる。
2006年(平成18年)度の入場者数は831,350人(前年比117.4%)となり、札幌市の主な観光施設では一番の集客場所となっている。札幌市も「観光スポットとして既に定着したものと考えられる」と述べているテンプレート:要出典。
備考
- 園内のガラスのピラミッドは開館当初、授乳室の扉の上部に大きなすき間があり利用者から「上から覗かれそうで怖い」、配電盤もむき出しで「機械室」のようで「落ち着いて授乳ができない」など苦情が寄せられた[23]。のちに改修され、問題は解決している。
- モエレ沼公園から南西に少し離れたところには、サッポロさとらんどという「農業」をテーマにした公園がある。
- 以下の作品の撮影に使用されている。テンプレート:要出典
- 近年は北海道を舞台に行われる自転車ロードレース、ツール・ド・北海道において、最終日のゴール地点または周回コースとして本公園が使用されることが定着している。
交通
- 「モエレ公園東口」停(三角点通沿い)
- 「モエレ公園西口」停(水郷西大橋近く・冬期は閉鎖)
- 「モエレ沼公園」停(※公園駐車場内・ガラスのピラミッドに最も近いが、期間限定で平日は運休。夏季は平日も運行。)
※全て北海道中央バスが運行している。
脚注
関連項目
外部リンク
- モエレ沼公園(公式サイト)
- モエレ沼公園ストリートビュー - Google
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「hokkaido-np-2005-7-2
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