新幹線総合車両センター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2014年8月9日 (土) 21:54時点におけるHohi233 (トーク)による版 (過去の配置車両)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

テンプレート:Coord テンプレート:車両基地 新幹線総合車両センター(しんかんせんそうごうしゃりょうセンター)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の新幹線車両基地の一つで、宮城県宮城郡利府町に所在する。敷地そのものは利府町および仙台市宮城野区多賀城市にまたがっている。

主に東北新幹線で運用される車両が所属し、仕業交番検査といった日常的な整備から、当センター以外に在籍する車両も含む全般検査などの重整備、改造工事や新製車両の搬入・廃車解体に至るまで、JR東日本が保有する新幹線車両に関する総合的な業務が行われている。

概要

1982年(昭和57年)の東北新幹線開業と同時に開設された。当初は車両の整備を行う仙台第一新幹線運転所と検査・修繕を行う仙台工場に分かれていたが、のちに統合され仙台総合車両所に改組。2004年(平成16年)4月より現在の名称になった。JR東日本本体の従業員が約500名、関連・協力会社を含めると1,100名を超えるスタッフがこの車両基地に勤務し、新幹線の定時輸送・安全運行を支えている。

全長3.7km、幅260mの広大な敷地を有し、仙台レールセンター、仙台新幹線保線技術センター、総合訓練センター等を併設している。敷地中央を砂押川が横切るため堤防高さをクリアする関係や地盤が軟弱である事を考慮して、車両検修建屋の大半はコンクリートパイル上に載る人工地盤に建設されている。

JR東日本が保有する全ての新幹線車両が、検査や修繕を受けるため定期的に当センターに入場する。また標準軌改軌された在来線区間で普通列車として運用される719系電車5000番台701系電車5000・5500番台については、当初は当センターで全般検査などを受ける計画だったが、その後所属基地で全ての検査を行うこととなったため、当センターに入場した実績はない。

山形新幹線福島駅 - 山形駅 - 新庄駅間が(悪天候等で)区間運休した場合、山形駅・新庄駅へ向かう予定の「つばさ」は仙台駅に行き先を変更し、仙台着後の車両は当センターまで臨時回送される。

沿革

  • 1979年昭和54年)9月:仙台試験線管理所開設。
  • 1981年(昭和56年)
    • 4月1日仙台工場発足。
    • 8月10日:仙台試験線管理所を改組し、仙台新幹線第一運転所発足。
  • 時期不詳:仙台工場と仙台第一運転所を統合し、仙台総合車両所に改称。
  • 1987年(昭和62年)4月1日国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道に移管。
  • 2003年平成15年)4月1日:ISO9001認証取得。
  • 2004年(平成16年)4月1日:新幹線総合車両センターに改称。

配置車両

2014年4月1日現在の配置車両は以下の通り[1]

  • E2系電車(300両)
    0番台の10両編成5本(J5, J6, J8, J11, J13編成)、1000番台の10両編成25本(J51 - J75編成)が所属している。
    東北新幹線「はやて」・「やまびこ」・「なすの」、上越新幹線とき」・「たにがわ」に使用される。
  • E5系電車(280両)
    10両編成28本(U1 - U28編成)が配置されている。
    東北新幹線「はやぶさ」の全列車と、一部の「はやて」・「やまびこ」・「なすの」に使用される。
  • E926形電車 (7両)
    新幹線電気軌道総合試験車「East i」。6両編成1本と中間車(軌道検測車)1両が配置されている。

過去の配置車両

  • 200系電車
    2階建て車2両連結の東北新幹線限定運用の16連H編成や新在直通併結向け10連K編成が配置されていた。2005年までにすべて廃車された。その後、敷地内に7両が解体されずに残されていたが、後に2両が再整備されて構内に保存されたほか、1両が2007年10月に開館した鉄道博物館さいたま市)に移設された。残る4両はしばらく留置されていたが、2010年3月に全て解体された。
  • 400系電車
    S4編成(L1編成)が配置されていた。のちに山形電車区(現・山形車両センター)へ移籍した。
  • E1系電車
    2004年に新潟新幹線車両センターに移籍した。
  • E2系電車
    S6編成(現・N1編成)、S7編成(J1→N21編成)が配置されていた。のちに長野新幹線運転所(現・長野新幹線車両センター)へ移籍した。
  • E3系電車
    S8編成(現・R1編成)が配置されていた。のちに南秋田運転所(現・秋田車両センター)へ移籍した。
  • E4系電車
    P1 - P22編成が配置されていた。P9 - P19編成は2006年までに、P8,P20 - P22編成は2012年3月までに、P1 - P7編成は2012年10月までに新潟新幹線車両センターへ移籍した。
  • E6系電車
    量産先行車のS12編成が配置されていた。2014年2月27日に量産化改造と同時にZ1編成に改名され、秋田車両センターへ移籍した。
  • 925形電車
    新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」。6両編成2本(S1・S2編成)と軌道検測車1両が配置されており、軌道検測車については2編成が共用する形であった。E926形電車にその役目を譲り、2001年に全車廃車された。
  • 952形・953形電車
    フル規格用高速試験電車「STAR21」。952形(東京方4両)と953形(盛岡方5両)を連結した9両編成1本(S5編成)の形で配置されていた。1998年に廃車されたが、構内に2両が保存されている。
  • 961形電車
    フル規格用高速試験電車。6両編成1本(S3編成)が配置されていた。1990年に廃車されたが、構内に両先頭車が保存されている。
  • E954形電車
    フル規格用高速試験電車「FASTECH 360 S」。8両編成1本(S9編成)が配置されていたが、2009年9月に廃車された[2]
  • E955形電車
    ミニ新幹線用高速試験電車「FASTECH 360 Z」。6両編成1本(S10編成)が配置されていたが、2008年12月に廃車された[3]

構内専用

上記の他、建屋内専用の車両移動機(アント工業製など)が数機存在する。

新幹線車両基地まつり

1994年から毎年夏季に開催しており、多くの来場者がある。とくに構内を走行する「体験列車」には多くの乗車希望者が列を作りさばききれなくなったため、2004年からは往復はがきによる事前申し込み制になった。年間来場者は7万人[6]

開催期間中は、車両基地まつりの際に人数を限定して「シミュレーター室」を開放している。これは仙台地区在来線の乗務員訓練のために使われるもので、当センターではなく総合訓練センター管轄である。

新利府駅と当センターは専用通路で直結しているが、通勤時間帯のみ利用可能な上に関係者以外は通路を利用できない。ただし、「新幹線車両基地まつり」の際は、来場者向けに一般開放される。列車を利用して来所し見学する場合、受付のある利府門へ行くには利府駅の方が近い。

2011年は東北地方太平洋沖地震東日本大震災)の影響により、中止となった。

保存車両

構内に、次の9両の鉄道車両静態保存されている。

電気機関車

蒸気機関車

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:日本の新幹線 テンプレート:東日本旅客鉄道仙台支社

テンプレート:JR東日本
  1. 鉄道ファン』2014年7月号 「JR旅客会社の車両配置表」。ただし、同記事には誤りがあり、2014年8月号179ページに訂正記事がある。
  2. 『JR電車編成表2010冬』(交通新聞社)335頁。ISBN 9784330116099
  3. 「JRグループ 車両のデータバンク 2008/2009」『鉄道ファン』2009年7月号(通巻579号)特別付録P.36、交友社、2009年
  4. 「シリーズ 東北新幹線・2 新幹線の車両基地」鉄道ファン No.256 (1982年8月号) p.67。
  5. 5.0 5.1 「新幹線総合車両センターの入換動車」『トワイライトゾーン・マニュアル 14』 ネコ・パブリッシング、2005年、pp.46 - 51。
  6. 南の玄関口 富合町 合併1年「(下)都市基盤の整備 新幹線基地…観光にも期待」熊本日日新聞 2009年10月5日)