UHFアニメ
テンプレート:出典の明記 UHFアニメとは、日本の地上波テレビ放送における独立放送局(独立局)を中心に放送されるテレビアニメの総称もしくは通称である。
超短波帯(VHF)において行なわれるアナログ放送がテレビ放送の主流だった20世紀に、極超短波帯(UHF)を使用して放送し、且つ、いずれのテレビネットワークに加盟していなかったため「独立UHF局」「独立U局」「U局」などと通称された、全国独立放送協議会の加盟局にて主に放送することを由来としている。
独立局ではキー局およびその系列局・衛星放送局などで過去に放送された旧作について実質再放送を行ったり、該当局の放送対象地域内にテレビ東京系列局が存在しない場合はテレビ東京系アニメをネットする[注釈 1]ことも多いが、これらは基本的に本項では扱わないこととする。
目次
“UHFアニメ”の定義
「UHFアニメ」という呼称は、一般的には以下のようなアニメの総称として使用されている。
概要
1998年4月期に独立局各局の深夜帯放送を想定して企画・製作された『LEGEND OF BASARA』が放送された[1][3]のをきっかけに、その後独立局における「UHFアニメ」の放送本数が増加した[3][4]。
そのジャンルは多岐にわたるが(原作物に限らず、オリジナル企画作品もそれなりに存在する)、キー局系列では放送が困難と思われる際どい性的表現[3][注釈 2]を充実させた作品(アダルトゲーム原作作品など)が存在し、2005年度では1/4以上がPCゲーム原作となっている[5]。しかし2010年度以降、アダルトゲームが原作のUHFアニメは減少傾向にあり、2012年度は事実上ゼロに終わった[注釈 3][注釈 4]。
一方、独立局系においてはこれらのアニメ作品が特定の視聴者層を取り込む有効なコンテンツの一つとして認識されたことから、2010年頃を境に深夜枠のみならずプライムタイム枠[注釈 5]に当たる夜22時台や、深夜枠と全日枠が重複する夜23時台にアニメ枠を設ける事例が増加している傾向にある。
一般的にキー局系列もしくはNHKの「深夜アニメ」同様にビデオソフト化を前提にして製作されているため、テレビ放送はあくまでもその映像ソフトの販売の宣伝が目的となっているケースが殆どである[3]。またテレビ放送向けに内容の一部を改変し、市販されるビデオソフトをもって完全なものを発表する作品も多い。詳しくはテレビアニメの項を参照。
UHFアニメにおいてもアニメソングなどが注目されており[2]、『涼宮ハルヒの憂鬱』・『魔法少女リリカルなのはA's』・『らき☆すた』などの作品のCDが、オリコンのシングルチャートで週間ベスト10入りを果たしたものもある。
また『灼眼のシャナ』・『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st』・『Fate/stay night』・『涼宮ハルヒの消失』など、「UHFアニメ」として放送された作品の続編や番外編の映画化も行われている。中には実写作品と比べても大ヒットと言える作品もあり、『涼宮ハルヒの消失』では上映開始から2か月で7億2千万円もの興行収入を計上した[6]。
放送エリア
総務省が定める独立局の放送対象地域はいずれも県域放送であるものの、スピルオーバーもあることから事実上三大都市圏をカバーしている[注釈 6]。また、作品によっては準キー局や在名局を含めたネットワークに属する各局でも放送されており、これらも含めると独立局の視聴可能地域に留まらず相当の人口をカバーできるものとなる。
ただし、地上波では主に東名阪地区(特にUHFアニメを多く放送する南関東地方)では民放のチャンネル数の多さから、UHFアニメを含む深夜帯のアニメ番組同士の競合が頻発する一方で、それ以外の地域では放送される作品は少ないのが実情である。中には関東ローカルであったり、関東圏と関西圏・中京圏のいずれかでしか放送されないこともある。また、地域ごとに放送系列が異なる例も少なくなく、シリーズ作品によっては作品ごとにネット局構成が異なる事例もある(例:関西圏における『魔法少女リリカルなのはシリーズ』[注釈 7])。
一方で三大都市圏(に加えて主に北海道・福岡県。所謂五大都市圏)以外の地域で放送される中にはアニメの舞台の地域の地元局で放送されることもある。一例として『たまゆら』シリーズの場合、広島県が舞台であることから第1期はテレビ新広島、第2期はNHK広島総合(第1期の再放送と連続して日曜昼間帯にて)で放送された。また、富山県に本社を置くピーエーワークス元請制作作品は地元テレビ局で必ず放送されている。
更にキー局系列で放送された作品の続編がUHFアニメとして製作・放送されたり、逆にUHFアニメとして製作・放送された作品の続編がキー局系列で製作・放送[注釈 8]される事例もある。近年ではUHFアニメとして本放送された作品の一部がキー局(および系列局)[注釈 9]、もしくはNHK[注釈 10]で(実質)再放送される事例も出ている。前述の『たまゆら』第2期において広島県ではNHK(県域放送)でそれ以外の三大都市圏(+福岡県)では民放で放送されるという珍しいケースも出ている[注釈 11])。
なお、2000年代末期以降は衛星放送(BSデジタル放送・CSチャンネル)[注釈 12]やインターネット配信が行われる作品も増加しており、視聴可能な放送局での編成が無い場合でも環境を整えればほぼ全ての作品が視聴できるようになっている。
備考
デジタルテレビ放送への対応
製作委員会方式
テンプレート:See also 「UHFアニメ」では外部製作作品が多いが、一部は放送局が製作委員会に出資(製作費を捻出)したり、放送局が主体となって製作している作品もある[1][注釈 13]。2013年頃からTOKYO MXが次第に自局出資作品を増やしている[7]。中にはTBSのように製作委員会に参加しながらも自局では放送せず、UHFアニメの形態で放送するケースも見られる[8][注釈 14]。詳細はUHFアニメ一覧の記事を参照のこと。
幹事局
製作局ではないが、複数の放送局の動向を取りまとめる幹事局が存在し、主に放送規制に抵触しそうな描写や表現など、最低限のチェックを絵コンテ段階などで行っている[9]。また、近年になっては幹事局での一括評価だけではなく、納品段階でチェックを行い、内容によっては自局のみでも放送自粛する、など独自の規制強化に乗り出している放送局もある[10]。キー局およびその主な系列局と比べて規模の小さい独立局の場合、人手も予算も足りない事から、局側は放送を受け入れた番組内容の倫理面で問題が無いかをチェックするのが主な役割となる傾向にあると、アニメ評論家の藤津亮太は解説している[8]。
UHFアニメの各種問題
なお、下記に挙げている作品についての具体的な概要は、各作品の記事を参照のこと。
- 放送上のトラブルと自主規制
テンプレート:See also キー局系列あるいはNHKをキーステーションに放送の作品の場合、製作局の放送基準に沿って制作されているが、「UHFアニメ」の場合は各放送局ごとの放送基準がまちまちであるため[10]、各局間で放送される内容に微妙な差異が生じることも度々ある。また放送の取り止めには至らないものの、一部もしくは全てのネット局で劇中の描写に大規模な修正が施されるものも2007年以降数多く存在している(当初から映像ソフト版もしくは有料放送・配信などでの「完全版」の販売促進を前提に、無料放送局では「自主規制版」を放送する事例もある[注釈 15])。
2007年を中心に当時発生した事件などを理由にテレビ放送が延期されたり、放送が打ち切られたり、一部放送局で放送が見送られた作品が幾つか存在する(『ひぐらしのなく頃に解』[11]・『School Days』[11][12][13]・『こどものじかん』[14]など)。2011年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では甚大な被害を重んじ、時期柄不謹慎と思われるシーンが含まれる回の放送見送りや自主規制なども発生している。その他の主な具体例を以下に挙げた。
- 劇中の描写に関する問題
- サンテレビが夕方(18時)に放送したことから、BPO(放送倫理・番組向上機構)でも取り上げられる事態となった[15][16]。
- 地上波で放送しているTOKYO MXとサンテレビは当初プライムタイム(22時半)に放送していたが、高校生以上の若年層が視聴しやすい時間帯にも関わらず過激な性表現が含まれているとしてBPOへ苦情が寄せられ、その結果両局は2月から深夜帯で放送することになった[18]。
脚注
注釈
出典
関連項目
関連枠
- E!TV日曜→土曜枠(TOKYO MX。本来はソニー・ミュージックグループ全体の深夜番組枠であるが、UHFアニメも多数放送。土曜枠は2011年4月より群馬テレビ・とちぎテレビにも同時ネットしている。)
- アニメシャワー(毎日放送)
- 毎日放送木曜深夜アニメ枠(同上)
- 水曜アニメ〈水もん〉(朝日放送)
- MANPA(読売テレビ)
- ANIME+(BS11。BS無料放送局ながら、UHFアニメを積極的に放送している)
- AT-X(近年では積極的にUHFアニメの製作委員会に参加。一部作品は最速放送を実施)
- アニマックス(2012年7月よりノンスクランブル枠を開設し、UHFアニメの遅れネット、或いは最速放送を実施。製作委員会に参加作品あり)
- キッズステーション(一部のUHFアニメに製作委員会参加)
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- ↑ 2.0 2.1 テンプレート:Cite news
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 8.0 8.1 テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ 10.0 10.1 テンプレート:Cite news - テレ玉は「深夜帯といえども青少年の存在も無視できなくなってきた」として、それまでは絵コンテ段階で確認していたが、必ず本編を確認する、等内容のチェックを強化する方針を取ったと説明している。
- ↑ 11.0 11.1 「スクールデイズ」「ひぐらしのなく頃に解」 アニメ休止は「過剰反応」? : J-CASTニュースより。
- ↑ School Days:京都の父殺害事件で最終回の放送見送る 女子高生の暴力シーンを考慮 - 2007年9月19日 まんたんウェブのInternet Archiveキャッシュより。
- ↑ アニメ「スクールデイズ」 偏見助長する過剰反応うんざり - 2007年9月26日読売新聞より。
- ↑ こどものじかん公式サイトより 2014年7月6日閲覧。
- ↑ 放送局への回答のお願い
- ↑ 「アニメ らいむいろ戦奇譚」について再度のお尋ね
- ↑ シゴフミ公式サイト - 最新情報。
- ↑ アニメ「妹ちょ」が放送時間変更へ…中高生が視聴できる時間帯に性表現でBPO審議入り -シネマトゥディ。2014年2月1日閲覧。