STL (放送)

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STL (Studio to Transmitter Link) とは、放送内容を演奏所から送信所へ送るための回線のことである。

概要

放送局の演奏所(スタジオ)は、情報収集や営業などの利便を図るため、市街地の中心部に置かれることが多い。一方で送信所は、放送区域(サービスエリア)内の視聴者への電波の届きやすさを第一に考える必要がある。

極超短波 (UHF) や超短波 (VHF) を用いるテレビ放送や、VHFを用いるFM放送の送信所では、ある程度の高さ、また中波 (MF) を用いるAM放送の送信所では、ある程度の広さの確保が必要であり、送信所は電波塔や山、市街地近郊などに置かざるを得ない。また、特にテレビやFM放送の送信所は、総務省基幹放送局の開設の根本的基準第6条および第7条により、「同一の放送区域では、ほぼ同一の場所に設置すること」が規定されているため、多くは演奏所より離れた場所に設置されることになる。従って演奏所と送信所の間で、何らかの方法により放送内容を伝送する必要が生じる。そのための手段のひとつとなるのが、STLである。

STLは主に無線回線であり、 使用される電波の周波数電波型式は放送の種別により様々である。 周波数は短波からマイクロ波まで、 電波型式もアナログデジタルそれぞれ多様なものが用いられている。

また、STL回線では放送内容だけではなく、送信設備の起動、停止などの各種制御信号も送られる。これにより、送信所の無人化、省力化が図られている。

実際の運用においては、回線トラブル時の放送事故を防ぐために光ケーブル専用線などの有線での回線と2系統で運用されることも多く、また地域によってはこの形式を進めてSTLを従とし、有線による運用を主としているところもある。

関連するものとして、TSL (Transmitter to Studio Link) や、TTL (Transmitter to Transmitter Link) がある。TSLはSTLの逆方向の回線であり、送信所の送信設備の動作監視を目的として設置されるが、臨時の素材回線として、例えばFPUからの信号を演奏所に伝送するなどの目的のために用いることもある。また、TTLは送信所から送信所へ放送を送るための回線で、中継局(サテライト局)への信号伝送などに用いる。