メディア教育開発センター
メディア教育開発センター(めでぃあきょういくかいはつセンター、英: National Institute of Multimedia Education 略称NIME)は、多様なメディアを高度に利用して行う教育に関する事業を行っていた文部科学省所管の独立行政法人。
独立行政法人整理合理化計画により2009年3月31日に廃止され、その後の業務は放送大学 ICT活用・遠隔教育センターに移管された。
独法化から廃止まで、理事長は清水康敬(東京工業大学名誉教授)がその任に当たっていた。
概要
メディア教育開発センターの目的は大学及び高等専門学校における多様なメディア[1]を高度に利用して行う教育の内容、方法等の研究及び開発並びにその成果の普及等を行うことにより、大学及び高等専門学校における教育の発展に資することとされている(独立行政法人メディア教育開発センター法第3条)。
前記の目的を達成するために、平成16年度から20年度までの5年間の中期目標が与えられており、それに対する中期計画を立て、年度の計画に基づいて業務を進めている。
センターの業務は、研究開発業務、普及促進業務、大学院教育に関する業務、その他の業務に分けられる。研究開発業務としては、現在非常に重要になってきているe-Learningの支援研究をはじめ、多様なメディアを利用した教育の内容や方法に関する研究開発などを行っている。また普及促進業務としては、高等教育を中心とした教育情報ポータルの運用をはじめ、教育用ツール開発・普及、教育用コンテンツ開発・普及、SCS等による教育通信ネットワークの運用を行っている。さらに、セミナーやフォーラム、国際シンポジウムなどを開催している。学術研究誌としての「メディア教育研究」の発行と共に、研究成果の報告書とニューズレターを刊行して、関係機関に配布している。
メディア教育開発センターは大学と連携して大学院教育も担当している。特に総合研究大学院大学の基盤機関として同大学院文化科学研究科メディア社会文化専攻をセンター内に設けており現在20名の大学院生を指導している。
さらに、大学等が参加している12のコンソーシアムから構成される「IT教育支援協議会」と「教育に関する著作権協議会」の事務局をしており、新しい展開や政策提言について検討を行っている。
業務内容
研究開発・調査事業
- NIME-glad, GLOBE
- ツール開発
- コンテンツ開発
- 教育用コンテンツ
- ICT活用教育の情報収集・分析
- ICT教育の調査分析
- e-ラーニングセミナーの開催
- 衛星通信ネットワーク
- ICT教育の基礎的研究
- 研究開発プロジェクト
国際連携
- Globe及び韓国情報院との連携。
- ICT活用教育支援協議会(コンソーシアム推進)
整理合理化の目的
コンテンツ制作は、トップダウン型になじむものと、なじまないものがある。特に教育関連のコンテンツは、トップダウン型になじまない。現場教育の工夫によって、改善が可能であることから、整理・合理化の対象になった。
なお、表記中ICTとあるのは、Information Communication Technologyのことである。各教育用コンテンツに、セマンティックタグを付与したり、検索用データを付与するためには巨額の費用がかかる。これらの基本的な標準化を終了したことなどから、本法人の目的は終了したとして、整理・合理化となる。
コンソーシアム、ICT教育用のツール開発・コンテンツ制作及びICT教育の基礎研究などは、放送大学学園に移管し、総合研究大学院大学のメディア専攻としての研究教育は継続する。今後は新規入学生募集を行わないため、放送大学大学院に後期博士課程を設置し学生指導を行う。
沿革
- 1978年 国立大学共同利用機関放送教育開発センターを設置
- 1989年 大学共同利用機関「放送教育開発センター」に改称
- 1997年 放送教育開発センターをメディア教育開発センターに改組
- 2001年 総合研究大学院大学大学院文化科学研究科にメディア社会文化専攻を設置
- 2004年 独立行政法人メディア教育開発センターへ移行
- 2005年 能力開発学習ゲートウェイNIME-gladを開設
- 2009年 3月末に必要な業務を放送大学学園に移管した上でメディア教育センター廃止
脚注
- ↑ 放送、インターネットその他の高度情報通信ネットワーク及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録)に係る記録媒体をいう。