Jリーグの選手契約条件
Jリーグの選手契約条件(Jリーグのせんしゅけいやくじょうけん)とは、Jリーグにおけるプロ選手の契約条件のこと。
概説
Jリーグには、選手契約に際して大きく3つの段階を用意している。これは、選手の契約金や年俸の高騰化、またそれでクラブ経営を著しく悪化させる懸念があることから、選手の年俸に一定の上限を設けてクラブの経営安定化を目指そうとするものである。
選手の移籍期間はJリーグが定めた期日(基本的に8月の最終金曜日を刻限とする)まで受け付けて、それ以後はシーズン終了までレンタルも含め一切の移籍を認めない。但しこの間も移籍を伴わない契約の解除決定はできる(解除された選手は次の解禁まで新規の契約はできない)。
また日本人選手の強化のため、以下の登録人数制限が設けられている。
- 外国籍選手(いわゆる「一般外人枠」)…3名まで(J3は2人まで[1])
- 但し、日本で生まれ教育基本法第1条で定められた学校(一条校)における義務教育を終えたか在籍中又は一条校に該当する高校若しくは大学を卒業した者にあっては、1名に限り外国籍選手として扱わないことが可能である(通称:在日枠 J1・J2のみ)。
- アジアサッカー連盟加盟国又は加盟地域の国籍保持者…「AFC国籍選手枠」(通称:アジア枠)として1名に限り外国籍とは別枠で登録可能(J1・J2のみ)
- Jリーグと国内リーグでの提携している国・地域(2014年1月現在でタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシアが該当)[2][3]の国籍保持選手…上記の「一般外人枠」「アジア枠」とは別枠で1名に限り登録可能[1]
- アマチュア契約選手若しくは20歳未満のC契約選手…5名まで(年度内の昇格は可能 J1・J2のみ)
契約の種別
以下は、J1・J2について記しており、J3は扱いが一部異なるため後述する。
プロA契約
年俸の上限は無いが、人数制限があり1チーム原則25人まで。最低でもJ1所属チームは15人、J2所属チームは5人以上と選手契約を結ぶことが条件とされている。
プロA契約の最低保有人数をクリアしていれば、アマチュア契約選手の登録も認められる。アマチュア選手は基本給(年俸や契約金)に関する契約を結ぶことが出来ないが、出来高払いの試合給は支給される。アマチュア選手を登録する例としては、2種登録選手・特別指定選手(ユースチーム所属の選手や、高校・大学チーム所属選手を所属させることのできる制度)や、サテライトなどに多い練習生契約の選手などである。また、下部組織(ユースなど)からJリーグ、JFLの公式戦に出場して上記時間帯の出場経験があり、A契約に移行した場合もそのシーズンから3年間は25人を超えてもよい(但し外国人は対象外)。
新人選手がA契約選手を結ぶ場合は、初年度に限り出場給を含む報酬に700万円の上限が設けられる。これには、世代別も含む日本代表としての出場時間が規定を満たしている場合や、ユース世代の身分でJリーグの試合に出場した場合などの限定条件が付く。2年目以降もA契約を結ぶ場合は上限なし。
なお、2005年度からAFCチャンピオンズリーグに進出するチーム(原則としてJ1の上位3位までのクラブと天皇杯で優勝したクラブ)は、A契約選手を1チーム27人まで拡大することが可能となっている。これは、チャンピオンズリーグとJリーグの日程が過密(主としてチャンピオンズリーグは火・水曜日開催)であるため、選手の体力的負担を抑える目的がある。
プロB契約
年俸の上限は480万円。人数制限なし。
プロC契約
年俸の上限はB契約と同じ480万円だが、新卒入団後以下に示す所定の出場時間をクリアしていない者がこれに該当する。
- J1…450分(5試合フル出場相当)
- J2…900分(10試合フル出場相当)
- J3…未定
- JFL…1350分(15試合フル出場相当)
C契約選手がこの条件をクリアした場合はA契約締結の権利を得ることができるが、C契約に降格はできない。また4年目以降の選手についてもC契約を交わすことはできない。
シーズンの途中でプロC契約選手が上記条件の時間帯をクリアしA契約に移行した場合は、そのシーズンに限ってプロA契約選手が25人を超えてもいいことになっている。
報酬について
- 基本報酬(年俸)は上記項を参照
- 変動報酬
- A契約 制限なし
- B契約 原則として制限なしであるが、出場プレミアム給を受給する場合は1試合当たり5万円以下とする
- C契約 出場プレミアム給(B契約に同じ)、および勝利プレミアム給のみ
- 統一契約書以外の契約を結んだ外国籍選手はプロA契約と同等の扱いとするが変動報酬はなし。
- 社員選手とアマチュア契約選手についても変動報酬なし。
- トレーニングコンペンセーション
- A・B契約選手
- A契約提示時 原則として算定基準に基づく
- B契約提示時、およびA契約提示時でも現報酬50%未満の選手 30万円×在籍年数
- クラブが契約更新の意思がない場合 なし
- C契約選手
- A契約提示時、または現報酬を下回らない範囲でのC契約を継続する場合 原則として算定基準に基づく
- B契約提示時、または現報酬を下回る範囲でC契約を継続する場合 30万円×在籍年数
- クラブが契約更新の意思がない場合 なし
- 統一契約書以外の契約を結んだ外国人選手 なし
- 社員契約選手 30万円×在籍年数
- 社員契約以外のアマチュア契約選手 トレーニング費という名目で支給
- A・B契約選手
その他
スポーツニッポンによると、Jリーグでは、若手選手の出場機会を増やすため、2012年10月31日に契約関係者会議を開き、2013年シーズンにおいて試験的に、23歳以下の選手がJ1からJ2へといった下のカテゴリーに属するチームへ移籍する場合に限り、期間制限を設けないことを決めたという。反対するクラブもあることから1年間の試行とし、その結果に基づき本格導入するかどうか決める[4]。
また、J3ではJ1・J2に加盟するクラブに所属する18-22歳の若手選手を対象とした「Jリーグ・アンダー22選抜チーム」を編成し、選手のメンバー登録を行っているが、U-22選抜の選手については所属元クラブの選手登録はそのまま残り(事実上二重登録)、プロA契約締結に必要な試合出場時間についても、U-22選抜で出場したものはカウントしないことになっている。
同じくJ3のクラブチームについては、「プロ契約選手の保有人数を3人以上」とする規定になっているが、この下限条件については「A契約」とは書かれていない他、A契約に移行するに必要な出場時間についても記載がなされていない(Jリーグ規約2014年改正版29ページ参照)。