H・A・L
テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『H・A・L』(はる)は、あさりよしとおによる科学をテーマにしたギャグ漫画。全24話がワニブックス刊行の月刊漫画雑誌『コミックガム』にて1998年vol.12から2001年12月号まで連載された。後に単行本化(全2巻、および新装版全1巻)された。
概要
内容は学習漫画に近い体裁で、1話ごとに様々な科学に関するテーマを取り扱ったものである。ただし、実際は(疑似)科学をネタにしたギャグ漫画である。扉に「この作品には一部真実が含まれている場合があります」と書かれているとおり、本書の科学に関する知識には意図的に嘘が混ぜられている。正しい科学知識も入っているのだが、ジョークやウィットを用いて極端な解釈を採っている傾向が見られる。
その傾向で分けると、物事に対して拡大解釈しすぎているケース、物事に対して根本の理論を曲解してしまっているケース、空想科学世界と現実をごちゃ混ぜにしているケース、嘘であって欲しいのに実はそれが真実だったりするケース、過去の研究や事件を茶化してしまっているケース、無謀な実験を実践してしまうケースなどがあり、それをギャグとして漫画に採り入れている。
同作者の『まんがサイエンス』を大人向けにしたような内容である。同様の作者本人による『まんがサイエンス』のセルフパロディとして、読切作品『がんまサイエンス』(単行本『中空知防衛軍』に収録)が挙げられる。
H・A・Lは「はいぱあ・あかでみっく・らぼ(hyper academic labo)」の略。当初全2巻で出版されたが、後に「新装版」として1巻にまとめられた。この「新装版」では、最後に「番外編」が追加された替わりに各話の終わりにあった「用語解説」が削除された。
あらすじ
女子高校生のリカはある日、通学路を歩いている時にビルの屋上に「変な研究所」を見つけた。その中にいたのは、怪しげな研究者の希印と正体不明のホムンクルス。そしてリカは希印の風変わりな研究活動に、なんとなく付き合ってしまうことになる。
登場人物
- 希印(きじるし)
- 自称マッドサイエンティスト。年齢出身地ともに不祥。その外見は、ゴーグルとヘッドフォンを組み合わせたような器具で顔を覆った3頭身の白衣の少年。ビルの屋上に自前の研究所HALを創設し、女子高生のリカを助手に引き込んだ。それなりに知識は蓄えているが、勢い余って出任せを言うことが多い。科学実験と並行して、ときおりオカルト的実験も行っている。
- リカ
- HALで助手を務めていた好奇心旺盛の女子高生。けっこう世間知らずなところがあり、毎度博士の無謀な実験や理論に付き合わされている。また、作者の意図で、毎回のように眼の描かれ方が異なっている。最終回で研究所を見失い、希印に出会った記憶さえ曖昧にされた。
- ホムンクルス
- 希印博士の助手、またはペットのような人造生命体。黒いシルエットに丸い目と大きな口をくりぬいたような外見で、大きさや形状が自在に変化する。アミノ酸を弄っていたら発生してしまった。喋らない上、地味で目立たないが、時折悲惨な役回りを負うことがある。
各話題名とテーマ
- 「生命の誕生」(生命の起源)
- 「シュレディンガーの猫」(シュレーディンガーの猫)
- 「ドップラー効果と赤方偏移」(ドップラー効果)
- 「生き物の飼い方 恐竜編」(恐竜)
- 「水道水のしくみ」(水道)
- 「膨張する宇宙とインフレーション理論」(ビッグバン)
- 「生命の暗号 DNA」(遺伝子)
- 「生命の体質 セントラルドグマ」(セントラルドグマ)
- 「ザ・臨界」(臨界)
- 「震度計」(震度)
- 「死の判定」(死)
- 「倒れながら歩く!? 二足歩行ロボット」(二足歩行ロボット)
- 「冷凍睡眠技術」(コールドスリープ)
- 「真実を見抜く目」(科学における不正行為)
- 「バン・アレン帯」(ヴァン・アレン帯)
- 「未来の高速交通機関」(真空チューブ列車)
- 「宇宙の障害物」(スペースデブリ)
- 「見えない」(ステルス性技術)
- 「やってはいけない!」(毒物と劇物の扱い方)
- 「宇宙戦争」(火星・火星人)
- 「夢の単段式宇宙船」(単段式宇宙往還機)
- 「潜水艦」(潜水艦)
- 「アミノ酸」(アミノ酸と生命の起源)
- 「新たなる旅立ち」(スペースプレーン・電磁推進船)
番外編「水に伝言 ぬかに釘」(水からの伝言)
書誌データ
- 旧版:『HAL - はいぱあ あかでみっく らぼ』ワニブックス
- 2000年12月、ISBN 4-8470-3374-4
- 2002年02月、ISBN 4-8470-3425-2
- 新版:『HAL - Hyper Academic Laboratory』ワニブックス、2006年1月、ISBN 4-8470-3539-9