クリエイティブ・コモンズ
テンプレート:WikipediaPage テンプレート:基礎情報 非営利団体 クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons、以下「CC」)とは、著作物の適正な再利用の促進を目的として、著作者がみずからの著作物の再利用を許可するという意思表示を手軽に行えるようにするための さまざまなレベルのライセンスを策定し普及を図る国際的プロジェクト およびその運営主体である国際的非営利団体の名称である。クリエイティブ・コモンズが策定した一連のライセンスはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスと呼ばれる。
目次
概要
情報を共有しようとすると、知的所有権法や著作権法が障害になる場合があるが、この運動の基本的なねらいは、そのような法的問題を回避することにある。
これを達成するために同プロジェクトは著作権者が作品のリリースにあたって無料で利用できるようなライセンスのプロトタイプを作成、提供し作品がウェブ上で公開される際に検索や機械処理をしやすいようなRDF(XML)によるメタデータのフォーマットを提案している。
著作権を全て留保する"All rights reserved"と、いわゆるパブリックドメインである"No rights reserved"の中間の、"Some rights reserved"が、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが規定する領域である。
発起人はローレンス・レッシグを始め知的所有権問題、インターネット法などの専門家を多く含む。
ライセンス(License)は文書、動画、音楽、写真など多様な作品を前提としている。ただし、ソフトウェアについては既に GPL などが存在することから特に対象としていないとしている。
ネットワーク上でのリソースの流通に寄与する活動が認められ、2004年にアルス・エレクトロニカ賞を受賞した。
ライセンス
テンプレート:Main クリエイティブ・コモンズ・ライセンスでは、著作権者の表示・非営利目的の利用限定・改変の制限・派生物に対するライセンスの継承、の4項目があり、作品の製作者はこれら条件の採否を選択し、その作品を利用する者はそれに従うかたちをとる。具体的には次のとおりである。
表示 | 表示 (Attribution, BY) |
作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求する。 |
非営利 | 非営利 (Noncommercial, NC) |
作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、非営利目的での利用に限定する。 |
改変禁止 | 改変禁止 (No Derivative Works, ND) |
作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、いかなる改変も禁止する。 |
継承 | 継承 (Share Alike, SA) |
クリエイティブ・コモンズのライセンスが付与された作品を改変・変形・加工してできた作品についても、元になった作品のライセンスを継承させた上で頒布を認める。 |
これらのうち、「改変禁止」と「継承」は同時に採用できない。またすべてを採用しないことはできず、2.0以降のバージョンでは「表示」を採用することが必須条件となる。従って、実際にあり得る組み合わせは次の6通りで、コピーライト(法律で定められている全ての権利の保持)からパブリックドメイン(すべての権利の放棄)の間に位置する、強さの異なる6つのライセンスを用意している。
- 表示(CC BY)
- 表示-改変禁止(CC BY-ND)
- 表示-継承(CC BY-SA)
- 表示-非営利(CC BY-NC)
- 表示-非営利-改変禁止(CC BY-NC-ND)
- 表示-非営利-継承(CC BY-NC-SA)
2.0未満のバージョンでは次が加わる。
- 改変禁止
- 継承
- 非営利
- 非営利-改変禁止
- 非営利-継承
- サンプリング・プラス
- 非営利-サンプリング・プラス
- サンプリング
また、2.0には発展途上国というライセンスもある。なおこれらの和訳語は2006年11月29日にクリエイティブ・コモンズ・ジャパンによって変更されたもので、それ以前は「表示」は「帰属」、「改変禁止」は「派生禁止」、「継承」は「同一条件許諾」と訳されていた[1]。そのため、日本版ライセンスのリーガルコードにはその訳で書かれている。
6つのライセンスのどれを取るかは、二つの質問に答えることで決めることが出来る。「商用利用を許可するか」と「改変を許可するか」という二つの質問にである。
作品の商用利用を許可するか | |||
---|---|---|---|
許可する | 許可しない(NC) | ||
作 品 の 改 変 を 許 可 す る か |
許可する | ファイル:Cc-by-icon.png 表示(CC BY) |
ファイル:CC-BY-NC-icon-88x31.png 表示-非営利(CC BY-NC) |
許可するが ライセンスの条件は継承(SA) |
ファイル:CC-BY-SA 3 icon 88x31.png 表示-継承(CC BY-SA) |
ファイル:CC-BY-NC-SA-icon-88x31.png 表示-非営利-継承(CC BY-NC-SA) | |
許可しない(ND) | ファイル:CC-BY-ND-icon-88x31.png 表示-改変禁止(CC BY-ND) |
ファイル:CC-BY-NC-ND-icon-88x31.png 表示-非営利-改変禁止 (CC BY-NC-ND) |
公有用具
クリエイティブ・コモンズはライセンスとは別に、公有作品のために「CC0」および「PDM」の2つの用具を提供している。CC0(Creative Commons Zero:クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)は権利者が自分の作品を能動的に公有に置く場合に用いるもので、一方PDM(Public Domain Mark:公有標)は既に公有になっている作品に標示する用具である。CC0の開発は2007年に始まり[2]、2009年に公開された[3][4]。PDMは2010年に発表された[5]。かつてクリエイティブ・コモンズは米国の法律に基づくPublic Domain Dedication and Certification(PDDC;公有献呈証明)を提供していたが、これを万国で通用するCC0とPDMで置き換える形となった[6]。
2011年、フリーソフトウェア財団はフリーソフトウェア・ライセンスにCC0を追加し、ソフトウェアを公有に置く推奨の方法としている[7]。
活動の経緯
クリエイティブ・コモンズは2001年に設立された。翌2002年12月、プロジェクトの最初の成果として4つの選択肢を複合して11種類のライセンスを発表した。
日本、フィンランド、ブラジルなどで既に同様の活動が始まっている。
2004年3月、クリエイティブ・コモンズはバージョン2を発表した。同時にクリエイティブ・コモンズのライセンスと他のライセンスとの混合の試みも始められている。2007年2月にはバージョン3が発表された。このバージョン3においてはUSライセンスからの総括的な分離、著作者人格権の扱いと言語の問題などの改善が行われた[8]。
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
2003年6月にはクリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)が発足。これは上記のライセンスを日本の法体系に即したものにすることを目的としたインターナショナル・コモンズ(iコモンズ)の一環である。同時にクリエイティブ・コモンズ・ジャパンもiコモンズの一環として日本語版を発表した。
2007年7月25日、NPO法人化。2009年現在の代表は中山信弘(東京大学名誉教授)。
2008年6月18日の日本政府による知的財産推進計画改訂においては、クリエイティブ・コモンズの取組促進が明記された。
受容と利用
クリエイティブ・コモンズのプロジェクトとしての目的は提供するライセンスを利用する著作権者が増え、それによって様々なコンテンツの利用が促進されることにある。
英語圏ではクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用した比較的大きなプロジェクトが幾つか存在しており、コンテンツの公開を行っている。例えば次のようなものがそれにあたる。
- マサチューセッツ工科大学のオープンコースウェア[9]
- The Oyez Project[10] - 合衆国最高裁判所の口頭弁論のオーディオファイル
- openphoto.net[11], flickr[12] - 写真のアーカイブ
またイギリスのBBCは所有する作品をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用してウェブ上で公開、P2Pソフトなどを使ったファイル交換にも利用できるようにする予定であることを発表した。
他に、 Common Content[13] には同ライセンスを利用しているサイトや作品のディレクトリがある。
日本ではアメリカにおけるライセンスの発表と共にネット上で紹介が行われクリエイティブ・コモンズ・ジャパンが発足してからは研究者による論考も出て来たが、日本の法律に即した日本語のライセンスがまだ開発中であることもあってか必ずしも大掛かりなプロジェクト、コンテント・アーカイブなどは存在していない。
また、最近になって日本ではライセンス利用者の比較的多くを占めると言われるブログ等のウェブサイトで他のサイトなどから転載した画像などがページ上に掲載されていることがあり、それにも関わらずページ全体をクリエイティブ・コモンズのライセンスでリリースしていることが指摘され議論を呼んだ。
ウィキニュースでは2005年9月25日以降に投稿されたテキストを「クリエイティブ・コモンズ 表示-2.5 ライセンス」で提供している[14]ほか、2009年6月15日からはウィキペディアなどその他のテンプレート:Srlinkでも「クリエイティブ・コモンズ 表示-継承-3.0 ライセンス」が採用されている[15]。
2011年6月、クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを利用したプロジェクトやクリエイターの活動をまとめた世界各国の事例集『The Power of Open』[16]をリリースした。この事例集自体が「クリエイティブ・コモンズ 表示-3.0 ライセンス」で公開されており、英語だけでなく、日本語[17]、フランス語、ポルトガル語、スペイン語の各国語でも読むことができる。紹介されている事例は、TED[18]、Jonathan Worthの写真作品[19]、Nina Paleyの『Sita Sings the Blues』[20]、ProPublica[21]、Vincent Moon[22]の映像作品、Jamendo[23]、Dublab[24]とInto Infinity[25]など。
2013年3月26日、日本の文化庁は、これまで策定を検討していた独自ライセンス「CLIPライセンス」の計画を破棄し、著作物の利用許諾について意思表示するライセンスとしてクリエイティブ・コモンズを支援していくと表明した[26]。
関連する活動
クリエイティブ・コモンズのプロジェクトのひとつにサイエンス・コモンズがあり、科学研究における情報の共有をめざしている。
脚注
関連項目
- 帰属 (著作権)
- 継承 (クリエイティブ・コモンズ)
- パブリックドメイン
- GNU Free Documentation License
- OpenCreation Movement
- シェアード・ワールド
- 伊藤穰一
外部リンク
情報サイト
紹介、リンク集、および英文資料の和訳などが提供されているサイト(又はサイトの一部)を以下に挙げる。
- Mat creative commons日本語情報
- 結城浩 「クリエイティブ・コモンズ 関連文書の日本語訳」(2003年のウェブログの和訳などもある)
- 神崎正英 「クリエイティブ・コモンズのメタデータ」
- The Power of Open(世界各国の事例集)
案内記事
既に挙げたものの他に以下の文章はクリエイティブ・コモンズについての入門、紹介文章として頻繁に言及される。
- 荒川靖弘 「クリエイティブコモンズについて」 2003年1月-
- テンプレート:Wayback
- テンプレート:PDFlink
- かみむら けいすけ「クリエイティブ・コモンズ---知のイノベーションを守るために」 CNET.com 2003年7月18日
- 中川譲「クリエイティブコモンズ」『Web担当者Forum』インプレスR&D 2007年2月1日
論考など
- テンプレート:Wayback
- テンプレート:Wayback
- テンプレート:PDFlink
- ヴァーチャルネット法律娘真紀奈17歳 (2003)「自由利用マークとCreative Commonsと」2003年3月
- 結城浩(2003)「クリエイティブ・コモンズのライセンスをWeblogツールで使うことの危険性」 2003年4月
- 澁川修一(2003)「Creative Commons-ユーザが積極的に「共有」するためのライセンス 」2003年6月12日
- テンプレート:Wayback
- 八田真行(2003)「クリエイティヴ・コモンズに関する悲観的な見解 「オープンソース的著作物」は可能か」 2003年9月29日 japan.linux.com(SourceForge.JP Magazine)
テンプレート:Intellectual property activism
テンプレート:Open navbox- ↑ ライセンス・マーク名称の変更について - クリエイティブ・コモンズ・ジャパン、2006年11月29日
- ↑ テンプレート:Cite press release
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Expanding the Public Domain: Part Zero
- ↑ Marking and Tagging the Public Domain: An Invitation to Comment
- ↑ 国立国会図書館、2009、「米Creative Commons、「著作権なし」のためのライセンスを策定」『カレントアウェアネス-R』 2009年3月9日、(2012年8月19日取得、[2])。
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Version 3.0 Launchedテンプレート:En icon - Creative Commons、2007年2月23日
- ↑ MIT OpenCourseWare
- ↑ [3]
- ↑ [4]
- ↑ [5]
- ↑ [6]
- ↑ n:ウィキニュース:利用規約
- ↑ テンプレート:Srlink
- ↑ [7]
- ↑ [8]
- ↑ [9]
- ↑ [10]
- ↑ [11]
- ↑ [12]
- ↑ [13]
- ↑ [14]
- ↑ [15]
- ↑ [16]
- ↑ テンプレート:Cite news