Atari Jaguar
Atari Jaguar(アタリ ジャガー)とは、アタリが1993年に発売した家庭用ゲーム機。日本では1994年12月8日に発売された。全世界累計販売台数は推定で25万台と少なく、世界で3番目に売れなかったゲーム機である。[1]
概要
64ビットシステムバスを採用し、CPU (MPU) にはMC68000が使われている。64ビットの能力を持ったグラフィックスカードを搭載した32ビットマシンとして、アメリカでは250ドル(約3万円)で発売された。
コントローラーは、方向キーとA・B・Cボタン(のちに6ボタンコントローラーも登場する)、Option、Pauseスイッチ(他機種でのSELECT、STARTに相当)、その下にテンキー様のボタンが12個付いている。テンキーにはゲームソフト付属のオーバーレイを被せ、補助的な操作を担う。コントローラの評価は高くなく、また本体との接続に利用されたD-sub端子が抜け落ちやすかった。そのため、IGNが2006年に掲載した「最悪なゲームコントローラー TOP10」のトップに選ばれてしまった。「ネズミが家のどこかで屁をしたら抜け落ちる」ともいわれた[2][3]。
ソフトウェアは、ファミリーコンピュータやメガドライブのカートリッジとほぼ同じ大きさのカートリッジで供給された。のちに後付けのCD-ROMドライブも発売される(Atari Jaguar CD)。本体にVLM(Virtual Light Machine)というソフトが内蔵されている。TEMPEST2000の作者Jeff Minterによるもので、CD再生させながら連動してCDデータを映像変換して表示するという映像ドラッグソフトである。
電源を入れると吠えるゲーム機としても知られる[4]。
スペック
ジャガーは三つのチップに都合5つのプロセッサを装備したマシンである。これらは全て並列に動作できる。
- CPU
- "Tom"(主に画像処理), 25.59 MHz
- 32-bit RISC Graphics Processing Unit (GPU) (#1) - 4Kキャッシュ; 実質的にはCPU扱い
- 64-bit Object processor (#2) - プログラマブル; スプライト処理、ピクセル処理など、様々な画像処理ユニットとして振る舞える。
- 64-bit Blitter processor (#3) - コプロセッサ。zバッファとグーローシェーディングをハードウェアサポート
- 64-bit DRAM コントローラ
- "Jerry" 26.6Mhz
- 32-bit RISC Digital Signal Processor (#4) - 8kキャッシュ; GPUと同じもので汎用に振る舞える
- CD音質サウンド(16-bit ステレオ)
- Wavetableシンセ、FMシンセ、 FMサンプリング、AMシンセ
- クロック、タイマー、UART制御
- ジョイスティック制御
- モトローラ 68000 (#5)
- 汎用用途 13.295MHz
- "Tom"(主に画像処理), 25.59 MHz
- その他
いずれのプロセッサもDRAMへのアクセス機能を持ち、DSP、GPUについては直接メモリ上のコードを実行できる。
他のゲーム機とは異なり、Jaguarの設計ではどれが正式なCPUという判断は付けにくい。68000は汎用用途となっているが、起動後はGPU・DSPともに汎用に使えるため、メインCPU基準で見るなら16ビット機、32ビット機、64ビット機、いずれの見方も可能である。
ただ、Object ProcessorとBlitterについては完全に64bitで、その意味では「Jaguarは64ビット機」という表現は当たっている。汎用に使えるレジスタはGPU・DSPの32ビット幅が最大なので「64ビットは単なるグラフィック処理機能で実質32ビット機」という表現もまた正しい。基本的にはメモリアクセスの速度を稼ぐためにシステムバス及び直結する演算用プロセッサを64ビットとし、制御系は32ビットでよいという設計方針である。
なおアタリはあくまでも「64Bits System」であるとし、「64Bits CPU」という表現は使っていない。
その他
日本ではAtari Lynx同様、ムーミンが輸入代行を行ったが、ハード・ソフトともに取り扱っている店舗が秋葉原などごく一部地域に限られたため、日本でのセールスは非常に少なかった。輸入代行の総代理店であったメッセサンオーでは3,000台しか売れなかったという[5]。アメリカ本国でもあまり成功したとはいえなかったようで、1995年の時点での本体販売台数は15万台ほどだったという。これ以降、アタリはハードウェア事業から撤退し、ブランドの身売りをするなど迷走状態が続く。
脚注
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ http://jp.youtube.com/watch?v=53Tk-oGL2Uo&feature=related
- ↑ 『洋ゲー通信 Airport51』(須田剛一 マスク・ド・UH著 エンターブレイン発行)148p
関連項目
- Atari Lynx
- レイマン - ユービーアイソフトのゲーム、およびマスコット。初出はAtari Jaguarである。
- 東京エンカウント - AT-Xにて過去に放映されていたテレビ番組。メインMC2人がゲームをプレイする部屋に背景として実機または箱に入った状態で展示されていた。番組中で起動された事はない。