8弦ベース
8弦ベース(はちげんベース)とは、エレクトリックベースのバリエーションの一つ。
概要
通常のベースのチューニングは、構えた状態で上の低音弦から、E‐A‐D‐Gとなっている。つまり、ギターにおける、高音弦二本を取り除いた音程を、1オクターブ下げた状態である。その4本の弦にそれぞれ、1オクターブ高い弦(ギターと同じキーの弦)が付加されている。12弦ギターのベースバージョンといってもよい。
聴感上も、ベースにサイドギターが加わったように聞こえる。その構造上、通常のベースと全く同じ感覚でフィンガー・ピッキング(指で弾くこと)を行うのは難しく、そのため通常はベース用のピック(プレイヤーによっては、ギターピックも使用)やスラッピングによって演奏されることが多い。
アメリカのロックバンド、チープ・トリックのベーシストである、「トム・ピータソン」の用いている、特注の「12弦ベース」は、このベースのバリエーションといってもよく、ベースの4弦それぞれに、1オクターブ高い弦が2本ずつ付加されている。そのため、8弦よりさらに大きな広がりのある音が特色で、ディストーション(別項、エフェクター参照。)などで多少歪ますだけで、本当にサイドギターがもう一人、演奏しているように聞こえる効果を持たせる。
これらが普及しない理由は、奏法上使用可能な音楽が限られること、弦の張力に耐えられる構造からの重量、弦の数やその耐久性からの経済的事情、メンテナンスなどの問題があるためである。
ただし、近年上記のような複弦構造をもった8弦ベースではなく、5弦ベースや6弦ベースのように単弦構造をもった普通に弦が8本並んでいるエムベースや、9弦ベースのベナベンテ、また11弦ベースのアドラーのような新しい楽器も登場している。
1970年代半ばから後半にかけて、一部で使われた。
有名な使用者は、
- ジョン・ポール・ジョーンズ(元レッド・ツェッペリンのベースなどを担当。)
- グレッグ・レイク(エマーソン・レイク・アンド・パーマーのベーシスト兼、ボーカリスト。)
- ジョン・エントウィッスル(ザ・フーのベーシスト。)
- 鳴瀬喜博(カシオペア)
など。