鮎川哲也賞
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鮎川哲也賞(あゆかわてつやしょう)は、東京創元社が主催する公募の新人文学賞。「創意と情熱溢れる鮮烈な推理長編」を募集する[1]。
1988年、東京創元社が全13巻の書き下ろし推理小説シリーズ「鮎川哲也と十三の謎」を刊行する際、その最終巻を「十三番目の椅子」として一般公募した。翌年、その企画を発展する形で鮎川哲也賞が創設された。正賞はコナン・ドイル像、賞金は印税全額。受賞作は、毎年10月前後に東京創元社より刊行される。
贈呈式は毎年、飯田橋にあるホテルメトロポリタンエドモント〈悠久の間〉にて、ミステリーズ!新人賞と合同で行われる。2009年からUstream、2013年からは、ニコニコ生放送によるインターネット生中継も行われている。
鮎川哲也と十三の謎 十三番目の椅子
- 選考委員
- 受賞作
- その他の刊行作品
選考委員
- 第1回 - 第6回:鮎川哲也、紀田順一郎、中島河太郎
- 第7回:鮎川哲也、土屋隆夫、有栖川有栖
- 第8回 - 第10回:綾辻行人、有栖川有栖、島田荘司
- 第11回 - 第12回:鮎川哲也、笠井潔、島田荘司
- 第13回:笠井潔、島田荘司
- 第14回 - 第18回:笠井潔、島田荘司、山田正紀
- 第19回 - 第21回:笠井潔、北村薫、島田荘司、山田正紀
- 第22回 - 第23回:芦辺拓、北村薫、辻真先
- 第24回 - 現在:北村薫、近藤史恵、辻真先
受賞作一覧
回(年) | 応募総数 | 受賞者 | タイトル | 初刊 | 文庫化等 |
---|---|---|---|---|---|
第1回(1990年) | 71編 | 芦辺拓 | 殺人喜劇の13人 | 1990年11月 | 1998年10月 講談社文庫 |
【佳作】二階堂黎人 | 吸血の家 | 1992年10月(立風書房) | 1995年9月 立風ノベルス 1999年7月 講談社文庫 | ||
第2回(1991年) | 90編 | 石川真介 | 不連続線 | 1991年11月 | 1999年3月 光文社文庫 |
第3回(1992年) | 104編 | 加納朋子 | ななつのこ | 1992年9月 | 1999年8月 創元推理文庫 |
第4回(1993年) | 121編 | 近藤史恵 | 凍える島 | 1993年9月 | 1999年9月 創元推理文庫 |
第5回(1994年) | 125編 | 愛川晶 | 化身 アヴァターラ | 1994年9月 | 1999年6月 幻冬舎文庫 |
第6回(1995年) | 126編 | 北森鴻 | 狂乱廿四孝 | 1995年9月 | 2001年8月 角川文庫 |
【佳作】佐々木俊介 | 繭の夏 | 1995年9月 | 2001年6月 創元推理文庫 | ||
【佳作】村瀬継弥 | 藤田先生のミステリアスな一年 | 1995年9月 | |||
第7回(1996年) | 81編 | 満坂太郎 | 海賊丸漂着異聞 | 1996年9月 | 2005年3月 創元推理文庫 |
第8回(1997年) | 85編 | 谺健二 | 未明の悪夢 | 1997年10月 | 2003年6月 光文社文庫 |
第9回(1998年) | 83編 | 飛鳥部勝則 | 殉教カテリナ車輪 | 1998年9月 | 2001年7月 創元推理文庫 |
第10回(1999年) | 99編 | 受賞作なし | |||
第11回(2001年) | 73編 | 門前典之 | 建築屍材 | 2001年9月 | |
第12回(2002年) | 74編 | 後藤均 | 写本室(スクリプトリウム)の迷宮 | 2002年10月 | 2005年3月 創元推理文庫 |
第13回(2003年) | 67編 | 森谷明子 | 千年の黙 異本源氏物語 | 2003年10月 | 2009年6月 創元推理文庫 |
第14回(2004年) | 112編 | 神津慶次朗 | 鬼に捧げる夜想曲 | 2004年10月 | |
岸田るり子 | 密室の鎮魂歌(レクイエム) | 2004年10月 | 2008年5月 創元推理文庫 | ||
第15回(2005年) | 131編 | 【佳作】日向旦 | 世紀末大(グラン)バザール 六月の雪 | 2006年6月 | |
第16回(2006年) | 138編 | 麻見和史 | ヴェサリウスの柩 | 2006年9月 | 2012年5月 創元推理文庫 |
【佳作】似鳥鶏 | 理由あって冬に出る | 2007年10月(創元推理文庫) | |||
【佳作】松下麻利緒 | 毒殺(ポイズン)倶楽部 | 未刊 | |||
第17回(2007年) | 132編 | 山口芳宏 | 雲上都市の大冒険 | 2007年10月 | 2011年1月 創元推理文庫 |
第18回(2008年) | 139編 | 七河迦南 | 七つの海を照らす星 | 2008年10月 | |
第19回(2009年) | 138編 | 相沢沙呼 | 午前零時のサンドリヨン | 2009年10月 | 2012年10月 創元推理文庫 |
第20回(2010年) | 148編 | 安萬純一 | ボディ・メッセージ | 2010年10月 | |
月原渉 | 太陽が死んだ夜 | 2010年10月 | |||
第21回(2011年) | 140編 | 山田彩人 | 眼鏡屋は消えた | 2011年10月 | |
第22回(2012年) | 140編 | 青崎有吾 | 体育館の殺人 | 2012年10月 | |
第23回(2013年) | 152編 | 市川哲也 | 名探偵の証明 | 2013年10月 | |
第24回(2014年) | 140編 | 内山純 | Bハナブサへようこそ |
その他の刊行作品
- 第1回(1990年) - 西澤保彦 『聨殺』 → 『仔羊たちの聖夜(イヴ)』に改題(1997年 角川書店)
- 第2回(1991年) - 篠田真由美 『琥珀の城(ベルンシュタインブルク)の殺人』(1992年8月 黄金の13/1998年10月 講談社文庫)
- 第4回(1993年) - 貫井徳郎 『慟哭』(1993年10月 黄金の13/1999年3月 創元推理文庫)
- 第5回(1994年) - 矢口敦子 『家族の行方』(1994年10月 創元クライム・クラブ/2002年6月 創元推理文庫)
- 第5回(1994年) - 美唄清斗 『由仁葉は或る日』(1994年11月 創元クライム・クラブ)
- 第7回(1996年) - 舞子悦司(門前典之) 『啞吼の輪廻』 → 『死の命題』に改題(1997年9月 新風舎)、『屍の命題』に改題(2010年2月 原書房)
- 第8回(1997年) - 城平京 『名探偵に薔薇を』(1998年7月 創元推理文庫)
- 第8回(1997年) - 柄刀一 『3000年の密室』(1998年7月 原書房/2002年3月 光文社文庫)
- 第8回(1997年) - 氷川透 『眠れない夜のために』 → 『密室は眠れないパズル』に改題(2000年6月 原書房)
- 第11回(2001年) - 迫光 『シルヴィウス・サークル』(2002年4月 創元クライム・クラブ)
- 第12回(2002年) - ほしおさなえ 『ヘビイチゴ・サナトリウム』(2003年12月 ミステリ・フロンティア/2007年6月 創元推理文庫)
- 第12回(2002年) - 江東うゆう 『楽土を出づ』(2003年4月 新風舎)
- 第18回(2008年) - 結城未里(彩坂美月)『ひぐらしふる』(2011年 幻冬舎)
脚注
参考文献
権田萬治、新保博久監修『日本ミステリー事典』新潮社、2000年(「十三番目の椅子」および第1-10回の最終候補作について参照)
関連項目
外部リンク
- 東京創元社
- 東京創元社 鮎川哲也賞 - 応募要項、過去の受賞作の紹介など
- ↑ 鮎川哲也賞 応募要項参照